【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、ウィズコロナの下での政府による政策効果等により景況感は改善しつつありますが、欧米を中心とした金融引き締め政策の長期化による海外景気の下振れリスクや、歴史的な円安傾向の継続、今後の日銀による金融政策の影響など、国内景気の先行きは不透明な状態が続いております。
食品流通業界におきましては、消費者の食生活や購買行動の多様化が進むとともに、小売業の業種・業態を超えた競争が激しくなっております。さらに、コロナ禍からの経済活動の正常化の中で、高水準な円安も加わり、原材料価格も含めた仕入価格やエネルギー価格等の大幅なコストアップの影響が顕在化しております。また、商品の値上げ等により家計への負担感がさらに増すことで、日常の生活関連消費については生活防衛意識が一層強くなると予想されます。そして、新型コロナウイルスの影響によって消費者の生活スタイルが大きく変化する中で、コロナ禍からの行動制限解除により外食関連需要に回復傾向が見られる一方、家庭内消費に関連する需要は堅調ではあるものの、物価上昇に伴う節約志向の進行によって消費マインドの冷え込みの兆しが出てまいりました。
このような状況に対して当社グループは、グループミッションである『豊かな食生活を提供して人々の幸せを実現すること』を目指して、デジタル技術の活用も含めた取引先との取組み強化、業務の見える化・見直し及び生産性向上に取り組み、付加価値を高める営業活動・業務活動を進めてまいりました。
海外事業におきましては、今後の当社グループの成長戦略の一つとして位置づけ、マレーシア・ベトナム・シンガポール・中国国内での食品卸売事業の展開を図っており、日本を含めたアジア地域における食品流通事業の強化を進めてまいりました。そして、2023年4月にはベトナムの食品卸売会社であるNam Khai Phu Service Trading Production Joint Stock Companyの株式を取得して連結子会社とすることを予定しており、同国において確固たる卸売業グループとなることを目指すとともに、今後も東南アジアを中心に海外事業全体のさらなる拡大を図ってまいります。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における営業収益は、既存得意先を中心とした取引の増大に加えて、外食関連需要の回復による取引の増加もあり、前年同四半期に比べて8.0%増加して2,846億91百万円となり、営業利益は45億31百万円(前年同四半期比35.0%増)、経常利益は51億65百万円(前年同四半期比28.8%増)となりました。そして、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期に比べて20.2%増加して33億77百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
<常温流通事業>
当社グループの主力事業であります常温流通事業につきましては、家庭内消費に関連する需要は堅調であるものの、原材料価格等の高騰や高水準な円安などによる仕入価格も含めた大幅なコストアップの影響が顕在化しております。また、商品の値上げ等により家計への負担感がさらに増すことで、日常の生活関連消費については生活防衛意識が一層強くなることが予想され、厳しい経営環境で推移いたしました。
このような状況に対して、価格だけに頼らない価値の提供に向けて、提案型営業の一層の推進や卸売業としての役割・機能の進化を通して、仕入先との取組み強化及び得意先との関係強化を図るとともに、自社ブランド商品の開発・販売においてもブランド価値・商品価値の訴求を進めてまいりました。加えて、業務の見える化と見直し及び生産性向上に努めてまいりました。
以上の結果、営業収益は1,783億87百万円(前年同四半期比4.2%増)となり、営業利益は36億49百万円(前年同四半期比14.2%増)となりました。
<低温流通事業>
低温流通事業につきましては、コロナ禍からの行動制限解除により社会経済活動の正常化に向けた動きの中で、外食及び内食関連需要はともに堅調に推移するものの、原材料価格やエネルギーコストの高騰に円安の影響も加わって物価が上昇するなど、厳しい経営環境で推移いたしました。
このような状況に対して、得意先のニーズに応じた付加価値商品や、消費者のライフスタイルの変化に応じた売場の提案を積極的に行うとともに、さらなるローコストオペレーションに取り組んでまいりました。
以上の結果、営業収益は296億13百万円(前年同四半期比2.7%増)となり、営業利益は3億10百万円(前年同四半期比61.0%増)となりました。
<酒類流通事業>
酒類流通事業につきましては、飲酒人口の減少や若年層のアルコール離れ等により消費の規模は縮小傾向が続いている中、家庭内需要は2022年10月から値上げとなったビールの駆け込み需要の反動により減少いたしましたが、外食関連需要はコロナ禍からの行動制限解除による回復が見られました。市場の傾向としては、健康志向に対応した機能性商品の需要拡大や価格と価値が伴った商品への消費移行が見られ、低価格志向との消費の二極化がより一層鮮明になっており、消費者による買い場など購買行動の変化やコストアップの懸念もあり、厳しい経営環境で推移いたしました。
このような状況に対して、主要取引先との取組み強化及び自販力・提案型営業の強化を進めるとともに、商品毎の利益管理を徹底し、さらに業務の効率化や生産性の向上を図ることでローコストオペレーションに取り組んでまいりました。
以上の結果、営業収益は、既存得意先との取引増大に加えて外食需要の回復も寄与し、569億83百万円(前年同四半期比15.3%増)となり、営業利益は2億62百万円(前年同四半期は営業損失56百万円)となりました。
<海外事業>
海外事業につきましては、マレーシア・ベトナム・シンガポール・中国国内での食品卸売事業の展開を図っており、既存の海外卸売業としてのベースに加え、日本国内で培ってきた営業力の浸透及び経営管理の定着と、現地企業間でのシナジーの創出を図ってまいりました。
以上の結果、営業収益は、コロナ禍からの経済活動及び市場の回復や為替変動の影響もあり、188億19百万円(前年同四半期比41.9%増)となり、営業利益はのれん償却費の負担もあり1億7百万円(前年同四半期は営業損失1億22百万円)となりました。
<その他>
その他の事業につきましては、物流関連事業がその主な内容であり、営業収益は、物量の増加等により27億94百万円(前年同四半期比4.9%増)となり、営業利益は諸経費等の減少により1億76百万円(前年同四半期比30.7%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて533億44百万円増加し4,541億36百万円となりました。
流動資産は、主に売上債権及び棚卸資産が増加したことから、506億86百万円増加し3,223億8百万円となりました。また固定資産は、投資有価証券の時価評価額の上昇等により増加したことから、26億57百万円増加し1,318億28百万円となりました。
流動負債は、主に仕入債務が増加したことから、493億78百万円増加し2,866億18百万円となり、固定負債は、投資有価証券の時価評価額の上昇等により繰延税金負債が増加したことから、6億38百万円増加し240億2百万円となりました。
純資産は、33億27百万円増加し1,435億16百万円となり、その結果、自己資本比率は30.5%となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(6) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設のうち、当第1四半期連結累計期間において完成したものは次のとおりであります。
会社名
事業所名
所在地
セグメント
の名称
設備の内容
投資総額
(百万円)
資金調達
方法
完成年月
当社
高知南国センター
高知県
南国市
常温流通事業
事務所及び倉庫
1,086
自己資金
2022年10月