【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの世界的大流行に伴う経済活動の抑制によって、景況感が急速に減速したことにより、極めて厳しい状況になりました。米国においては、4月に悪化した雇用情勢が回復基調にあるものの、依然として個人消費は流行前の水準を下回っております。欧州においては、各国の雇用維持政策により大幅な失業率の上昇はみられていないものの、新型コロナウイルス感染の再拡大を背景に、所得・雇用環境の悪化の懸念が続いております。日本におきましても、新型コロナウイルスの感染症の影響により景気が足元で大幅に下押しされ、企業収益の落ち込みやインバウンド需要の消失がみられております。感染拡大の影響は一巡し、経営環境は最悪期を脱したように見受けられるものの、引き続きコロナ禍の影響は残っており、回復のペースは鈍いものと思われます。このような経済環境の中、当連結会計年度の受注高は576億5千5百万円(前期比7.2%の増加)、売上高は534億9千7百万円(前期比3.4%の減少)となりました。受注残高は271億9千2百万円(前期比18.5%の増加)となりました。利益面におきましては、主に減収の影響により、営業利益は47億9千1百万円(前期比19.0%の減少)、経常利益も同様に50億7百万円(前期比17.9%の減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は33億1千7百万円(前期比20.7%の減少)となりました。なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日。以下「収益認識会計基準」という。)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2018年3月30日)を適用したことに伴い、売上高は14億4千9百万円増加し、売上原価は9億9千3百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ4億5千6百万円増加しております。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
<粉体関連事業>当事業は、粉砕・分級装置、混合・乾燥装置及び日本市場においての大気汚染防止装置、製品捕集用集塵装置、精密空調制御装置等の製造販売、複合ナノ粒子を中心とした新素材開発とその商品化並びに微粉体受託加工サービスを提供するホソカワミクロングループの主力分野であります。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、いち早く在庫調整の動きが見られた受託加工事業など、コロナ禍の影響が強く見られた分野もありましたが、大型投資のあった二次電池を中心とした電子材料向けや、ミネラル向けが大幅に増加したほか、本年1月に買収いたしましたSolids Solutionsグループの寄与もありました。これらの結果、当連結会計年度の受注高は445億3千万円(前期比6.7%の増加)、受注残高は213億9千5百万円(前期比23.9%の増加)となり、売上高は403億9千3百万円(前期比1.6%の減少)となりました。セグメント利益は45億2千8百万円(前期比14.0%の減少)となりました。
<プラスチック薄膜関連事業>当事業は、単層から多層の各種プラスチック高機能フィルム製造装置の開発・製造・販売を行っております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が顕著になった第2四半期連結会計期間以降、受注は漸減傾向となりましたが、主要市場である北米向けが過去最高に近い受注水準となったほか、東欧、中国を含むアジア、西欧などから満遍なく受注を獲得いたしました。これらの結果、当連結会計年度の受注高は131億2千5百万円(前期比9.0%の増加)、受注残高は57億9千7百万円(前期比2.1%の増加)となり、売上高は131億4百万円(前期比8.5%の減少)となりました。セグメント利益は15億9千8百万円(前期比12.7%の減少)となりました。
② 財政状態
(1) 資産の状況当連結会計年度の資産は、前連結会計年度に比べ、50億6千7百万円増加し、651億8千万円となりました。これは、主に有形固定資産が28億1千2百万円増加したこと、受取手形及び売掛金が18億9千2百万円増加したことによるものであります。
(2) 負債の状況当連結会計年度の負債は、前連結会計年度に比べ、13億2千4百万円増加し、246億5百万円となりました。これは、主に長期借入金が7億3千2百万円増加したこと、未払法人税等が5億9千3百万円増加したことによるものであります。
(3) 純資産の状況当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ、37億4千3百万円増加し、405億7千5百万円となりました。これは、主に利益剰余金が25億7千2百万円増加したこと、為替換算調整勘定が9億6千6百万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ、5億3千6百万円増加し、173億1千万円となりました。各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、39億9千万円の資金の増加(前連結会計年度比7億9千9百万円の増加)となりました。主に税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、38億7千7百万円の資金の減少(前連結会計年度比8億2千9百万円の減少)となりました。主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、9千4百万円の資金の増加(前連結会計年度比20億2千3百万円の増加)となりました。主に長期借入れによる収入によるものであります。
(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
粉体関連事業
25,004
△0.3
プラスチック薄膜関連事業
9,185
△6.5
合計
34,189
△2.1
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
粉体関連事業
44,530
6.7
21,395
23.9
プラスチック薄膜関連事業
13,125
9.0
5,797
2.1
合計
57,655
7.2
27,192
18.5
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
粉体関連事業
40,393
△1.6
プラスチック薄膜関連事業
13,104
△8.5
合計
53,497
△3.4
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益及び費用の計上に際し、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれております。当社グループ経営陣は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる方法により見積り判断を行っておりますが、実際の結果は不確実性を含んでおり、見積りによる数値とは異なる場合があります。 なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。 また、新型コロナウイルス感染症による影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報 (新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積り) 」にて記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び・検討内容(1) 財政状態の分析 当連結会計年度末の財政状態につきましては「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析 当連結会計年度において、第2四半期会計期間以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、特に受託加工事業において生産調整のため受注の減少が顕著になったほか、一部の顧客において、発注に慎重になる動きも見られましたが、受注面におきましては、総じて新型コロナウイルス感染症の影響は小さく、大型案件を受注した二次電池電極材料向けや炭酸カルシウム向け、さらには2020年1月に買収いたしましたSolids Solutionsグループ(ドイツ、スペイン)の寄与により、邦貨換算上不利となる前連結会計年度比で円高環境下ながら、受注高は前連結会計年度比7.2%増の576億5千5百万円となりました。他方、売上におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により各国・地域ともに移動制限や都市封鎖(ロックダウン)等の措置が取られた影響から、移動制限や自粛が続き、客先現場での作業(据付作業や試運転調整など)を行うことができない期間があり、売上検収の遅延が散見されました。このようなことから、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ、3.4%減の534億9千7百万円となりました。主要品目別の売上高の状況及び分析は以下のとおりであります。 コア事業と位置付ける粉体関連事業におきましては、当初より納期の長い案件が多かったことに加え、輸出案件を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大による移動制限・自粛の影響を受け、出荷先での現場作業が滞ったこと、さらには、対ユーロ及び対米ドルにおいて円高が進んだことなどから、邦貨への換算において為替換算上の目減りが発生したことにより、売上高は、前連結会計年度に比べ1.6%減の403億9千3百万円となりました。もう一つの柱であるプラスチック薄膜関連事業におきましては、米国を中心に引き続きゴミ袋用生産装置向けが活発であったほか、巣篭り需要の増加に伴う通信販売用パッケージング向けなど、新たな需要も生まれており、受注は前連結会計年度と比べ、9.0%増加の131億2千5百万円となりました。しかしながら、期首の繰越受注残高が前連結会計年度と比べ低かったことや、受注時期と納期の関係、さらには粉体関連事業と同様、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあり、売上高は前連結会計年度と比べ、8.5%減の131億4百万円となりました。 売上総利益は、売上総利益率が前連結会計年度と同等だったものの、減収の影響により、前連結会計年度と比べ3.6%減の193億5千7百万円となりました。営業利益は、新型コロナウイルス感染症の拡大による営業活動の自粛により販売費及び一般管理費の項目の一部は減少したものの、買収や新設による子会社の増加、過年度より人材強化に努めてきたことによる労務費の増加、マテリアル事業における積極的な広告宣伝活動などの影響もあり、全体として販売費及び一般管理費が増加したことから、売上総利益の減少と相俟って、前連結会計年度と比べ19.0%減の47億9千1百万円となりました。 経常利益は、前連結会計年度と比べ17.9%減の50億7百万円となりました。持分法による投資利益等の計上により、経常利益の減益幅は営業利益の減益幅を下回っております。 親会社株主に帰属する当期純利益は、海外でのリストラ費用や政策保有株式の一部減損等を特別損失に計上したことなどから、前連結会計年度に比べ20.7%減の33億1千7百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報) 当社グループの運転資金需要は主に、製品の製造に使用する原材料や部品の調達等の製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用、継続的な新製品開発に向けた研究開発費用、さらには株主各位への配当金支払等であります。また、長期性の資金需要は、粉体関連機器及びプラスチック薄膜製造機器の製造に係る工作機械等の製造設備や顧客テストに供するテストセンター機器、受託加工装置の増強のための設備投資等であります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、現預金等の流動性資金は、月次連結売上高の2.0ヶ月以上を維持するよう努めておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による不透明な経済情勢を踏まえ、長期借入金の借入やコミットメントラインの新設により、通常より厚めの流動性を確保するよう努めております。 資金の調達方針としては、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入による調達を基本とし、設備投資や長期性資金につきましては、金融機関からの長期借入等による調達を基本としております。 当連結会計年度末における借入金の有利子負債の残高は21億9千9百万円、現金及び預金の残高は154億4千5百万円となっております。 なお、当連結会計年度末における当社グループの流動比率は225.0%と流動性は十分な水準にあります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等) 当社グループでは2018年9月期をスタートとする第16次中期3カ年経営計画において、最終年度となる2020年9月期に売上高560億円、営業利益56億円(営業利益率10%)以上の達成、総配分性向の向上とROE(株主資本利益率)10%以上の達成を掲げておりましたが、最終年度となる2020年9月期は、既述のように、受注は好調ながら、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあり、534億9千7百万円の売上、47億9千1百万円の営業利益、ROE8.6%と計画未達に終わりました。 本来なら新たな第17次中期経営計画を2020年10月1日にスタートさせるところではありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大の収束が見えない中、経済環境が予見不可能であることから、2021年9月期は単年度計画とし、2021年10月1日から新たな第17次中期経営計画をスタートさせる方針としております。このような中、2021年9月期は新型コロナウイルス感染症緊急対応計画とし、来る中期3ヶ年計画に向けた足場固めと経営体質の強化に努めるという位置づけで、減収減益の予想ながら、売上高530億円、営業利益40億円の必達を目指してまいります。