【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の概要①経営成績の分析当社グループは米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)の研究者の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売に引き続き注力しております。自己組織化ペプチド技術は幅広い応用が可能なプラットフォーム技術です。既に安全性が確認されており人への使用も広く認められていること、また、医療機器の適応拡大としての開発が可能なこと等から、当社においては幅広い領域での事業展開を行っております。現時点では主に、外科領域、組織再生領域、ドラッグ・デリバリー・システム(以下、「DDS」という。)領域で事業を展開しております。外科領域においては、日米欧3極においてそれぞれ複数の製造販売承認を取得しており、規模の経済を獲得するための製造のスケールアップ等にも取り組んでおります。今後は自己組織化ペプチドの技術優位を活用し、将来的にさらに大きなニーズが見込める組織再生領域やDDS領域において、3極展開の強みを活かしグローバル最適の開発・販売方針を採用してまいります。
[販売進捗の状況]欧州における製品販売は、1,155,803千円となり前期比で40.8%増となりました。主要製品である消化器内視鏡領域の止血材は、既に顧客となっているKOL(Key Opinion Leader)と同じ病院に属する新規ユーザーをターゲットとすることで販売スピードを飛躍的に拡大させる計画としておりましたが、計画を大きく下回りました。特に欧州で最大規模の売上計画としていたドイツにおいて、2022年5月頃に想定していた既存代理店からのFUJIFILM EUROPE B.V.(以下、「FUJIFILM」という。)への販売代理店切替手続きが、想定以上時間がかかり2022年11月まで遅れました。協議中は既存代理店のコミットメントが大幅に下がったため、売上計画を大きく割り込むこととなり、欧州の計画未達の最大の原因事象となりました。しかしながら、ドイツでのFUJIFILM体制は2023年3月から本格稼働し、欧州全体としての第4四半期における過去最高の製品販売額達成に貢献いたしました。心臓血管外科領域及び耳鼻咽喉科領域における直販体制については、販売チャネル拡大のために投資したコストが短期的には想定どおりの貢献を見せず、結果として欧州の営業赤字を拡大する結果となりました。今後当面は、貢献利益の高い消化器内視鏡領域にリソースを絞り、欧州単体での早期黒字化を狙ってまいります。日本における製品販売は、457,251千円となり前期比で444.2%増となりました。販売開始以来継続して高い成長率を維持しており、オーストラリアの売上高を超え地域別第2位の規模まで成長いたしました。また、営業一人当たりの貢献利益は黒字化に転じており、キャパシティ拡大の準備が整いつつあります。オーストラリアにおける製品販売は、376,515千円となり前期比で26.2%減となりました。前期から続く政府による選択的手術(命にかかわらない手術)の規制緩和が大幅に遅れ、規制の影響による一時的な病院のスタッフ不足により手術件数の回復も遅れました。また、2022年7月に実施された民間保険価格の見直しによる製品販売価格の低下の影響を受けておりましたが、2023年3月から製品販売価格がさらに20%下方に見直されたことにより、製品販売額は前期比を下回りました。それでも主要病院を中心に需要を取り込み、当期は月次で過去最高の販売本数を達成しております。2024年4月期以降は回復しつつある需要をさらに取り込み、収益の最大化を狙ってまいります。米国における製品販売は、306,721千円となり前期比で489.5%増となりました。2022年7月から販売を開始した消化器内視鏡領域において順調な成長を維持しており、顧客獲得数及び顧客当たり売上高双方においてほぼ計画どおりの高い成長を達成する結果となりました。耳鼻咽喉領域においては、ターゲット施設の戦略変更の結果、アカウント獲得はでき始めているものの変更後のターゲット施設の購入行動の特性が想定と異なり、獲得に至るまでに想定以上の時間がかかっております。特定の病院では製品の使用量が増加しており、製品のポテンシャルは感じているものの直販体制への先行投資に対し大幅な売上増にはまだ時間を要する見込みです。これらを受けて2024年4月期は、営業リソースを消化器内視鏡領域に振り分け、同領域での成長を極大化する方針です。このような結果、当期の業績については、止血材の製品販売は欧州1,155,803千円、日本では457,251千円、オーストラリアで376,515千円及び米国では306,721千円を計上し、その他地域等売上17,791千円を含めますと、事業収益2,314,083千円(前期比807,852千円増加)と前期比で53.6%増となりました。費用面に関しては、外貨ベースのコストに対する営業体制の刷新に伴う費用増に加え、期中は一貫して円安傾向で為替相場が推移したことにより、円ベースでのコストが相当程度膨らんでおります。今後は販売領域の集中と選択を進め、確実な成果と確度の高い売上増が期待できる消化器内視鏡領域にさらにフォーカスし、現時点で利益への貢献が低いその他の領域については短期的には大幅縮小し、その分のコストを削減してまいります。これらにより、今後の利益水準を着実に改善させていく所存です。この結果、経常損失2,356,571千円(前期は経常損失1,807,067千円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,445,978千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,894,757千円)となりました。
②財政状態の分析当連結会計年度末における総資産は5,825,518千円(前連結会計年度末比214,795千円の増加)、総負債は5,300,746千円(同1,147,742千円の増加)及び純資産は524,771千円(同932,947千円の減少)となりました。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりです。
(流動資産)当連結会計年度末における残高は5,667,419千円(同89,898千円の増加)となりました。これは主に、売掛金の増加196,613千円、棚卸資産の増加1,190,776千円及び前渡金の増加319,524千円がある一方で、現金及び預金の減少1,677,737千円があることによるものです。
(固定資産)当連結会計年度末における残高は158,099千円(同124,896千円の増加)となりました。これは、投資その他の資産の増加によるものです。
(流動負債)当連結会計年度末における残高は1,302,897千円(同435,800千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の増加100,000千円、未払金の増加243,598千円及び未払費用の増加58,982千円があることによるものです。
(固定負債)当連結会計年度末における残高は3,997,849千円(同711,941千円の増加)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の増加608,726千円によるものです。
(純資産)当連結会計年度末における残高は524,771千円(同932,947千円の減少)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金のそれぞれ1,124,548千円の増加がある一方で、親会社株主に帰属する当期純損失による利益剰余金の減少2,445,978千円及び為替調整勘定の減少771,408千円があることによるものです。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,677,737千円減少し、1,170,903千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動の結果、減少した資金は4,585,082千円(前連結会計年度は2,903,268千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,443,874千円であり、増加原因として減損損失61,957千円、未払金の増加253,170千円や未払費用の増加52,058千円等があるものの、減少要因として為替差益996,613千円、売上債権の増加164,213千円、棚卸資産の増加1,054,315千円や前渡金の増加315,590千円等があることによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は81,504千円(同79,861千円の減少)となりました。これは主に、長期前払費用の取得による支出49,334千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は2,955,543千円(同4,663,641千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入304,100千円及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入2,550,000千円があることによるものです。
(2) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであります。
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
医療製品事業
1,723,812
+3.5
合計
1,723,812
+3.5
(注) 上記の金額は、製造原価によっております。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
医療製品事業
2,322,207
+54.4
3,094
△5.9
合計
2,322,207
+54.4
3,094
△5.9
(注) 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主にFujifilm Europe B.V.等からの受注が増加したことによるものであります。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
医療製品事業
2,322,401
+54.2
合計
2,322,401
+54.2
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
Fujifilm Europe B.V.
404,652
26.8
709,762
30.6
Nicolai Medizintechnik GmbH
210,877
14.0
142,364
6.1
(注) 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主にFujifilm Europe B.V.等への販売が増加されたことによるものであります。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の分析」に記載のとおりです。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。
④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性について (資金の需要)当社グループは、自己組織化ペプチド技術を基盤技術とした医療製品の開発・製造・販売を行っております。当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発費用、販売費及び一般管理費等の事業運営費用であります。 (資金の調達及び流動性)当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している止血材の製品販売による売上収入を計上してまいります。また親子会社間での研究開発成果の共有・事業運営上の効率化も進んでいることから、諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組んでまいります。当社グループの事業運営及び研究開発を進めるための十分な資金確保に向けて、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2022年10月に第6回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第33回新株予約権を発行し、2023年3月に第7回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第34回新株予約権を発行しました。これにより、当連結会計年度において、第6回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第33回新株予約権の発行により2,059,835千円、第7回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行並びに第34回新株予約権の発行及び一部権利行使により812,860千円を調達することができております。また、2023年6月29日開催の取締役会において、2023年7月に第8回無担保転換社債型新株予約権付社債、第35回及び第36回新株予約権を発行することを決議しており、同日付で関連する契約を締結しました。これにより、第8回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行により660,660千円、また既発行の第34回新株予約権の残り全ての権利行使により342,600千円を、2023年7月18日までに調達することができており、第35回新株予約権の発行及び行使により2,290,555千円を調達する予定です。さらに、第36回新株予約権は、既発行分の第25回、第28回、第31回及び第33回新株予約権につき、現在の株価水準が各回の行使価額を下回り行使が進んでいないため、本資金調達に併せて買入消却を行い、同数を現在の株価水準に基づく行使価額で再度発行するものです。これにより、従前よりも今後の新株予約権の行使の蓋然性が高まり、十分な資金確保につながるものと考えております。また、株式会社りそな銀行とコミットメントライン契約を締結しており、安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き、金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等及び(3)目標とする経営指標」に記載のとおりとなっております。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」及び「第2 事業の状況 5研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。
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