【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)当第1四半期連結累計期間(2022年9月1日~2022年11月30日)のわが国経済は、第8波となる新型コロナウイルス感染症拡大が見られるものの、社会経済活動は制限緩和などにより緩やかに回復へ向かう動きが表れております。しかしながら、半導体不足や原材料費高騰、エネルギー問題、為替問題、ウクライナ情勢の長期化など多くの課題を抱えており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
1)サステナブル経営このような経済環境の中、当社グループではサステナブル経営を掲げ、SDGs達成への社会貢献活動を推進すべく、森林保有や使用電力の再エネ化など脱炭素や環境保全への取り組みを行ってまいりました。2022年9月には、当社が保有し維持・管理を行っている那智勝浦の保安林(16.7ha)が、公益財団法人都市緑化機構から都市に立地する企業の緑地管理による地域への社会貢献として高い評価を受け、同機構の社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES*1)審査会にてExcellent Stage2に認定されました。現在、奈良県吉野の山林など合わせて約27haを保有しておりますが、今後更に山林を拡大し、当社グループで排出しているCO2の100%吸収を目指してまいります。また、国内においては、建設業における高度技術者の不足が大きな課題となっており、当社においても人材確保と育成が重要課題であります。当社では、2022年10月に独立行政法人国際協力機構(JICA)と「ベトナム国BIM*2理論を活用した産学連携による電気技術者育成のための案件化調査」を正式締結いたしました。工学院大学やSOBA Projectとの産学連携により、ベトナム国ダナン工科大学にBIM講座を開設し、高度技術者の育成を図ってまいります。また、育成した人材につきましては、当社グループの人材紹介会社であるJESCOエキスパートエージェント社を通じて、当社を含め国内外企業の人材不足のニーズに応えてまいります。
2)当期業績について当期は新中期経営計画の初年度となり、成長分野である再生可能エネルギー関連設備、無線通信インフラ関連設備、アセアンEPC及びCRE(不動産)事業を注力分野として更なる事業拡大に努めております。国内においては、特に再生可能エネルギー関連分野において、脱炭素社会実現に向けた自家消費型の太陽光発電システム案件が活況となっており、O&M(オペレーション&メンテナンス)や太陽光パネルのリサイクルなどライフサイクルに亘りワンストップで対応する体制を構築するなど当社の取り組みも強化してまいりました。また、Society5.0実現に向けた移動体通信システム、国土強靭化計画に基づく激甚災害防止に向けての防災減災システムなどの分野についても市場の拡大が見込まれており、引き続き取り組んでまいります。海外においては、JESCO ASIA社が2022年12月にベトナム政府から35,000V以下の特別高圧(特高)の電気設備設計元請け企業に認定されました。ベトナムのノイバイ国際空港第2ターミナルの電気設備詳細設計などの数多くの空港設計実績や資格保有技術者数などから、ベトナム政府よりライセンスを取得したものです。空港案件においてはホーチミン市東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港の電気設備関連詳細設計に続き、ハノイ市のノイバイ国際空港第2ターミナルビル拡張工事の電気設備詳細設計を受注しており、今回のライセンス取得により更なる国際空港建設案件の受注に努めてまいります。併せまして、エンジニアリング部門強化に向けて、2022年10月にカントー支店を開設し、300名体制へ向けて増員を進めるとともに技術力アップを進めてまいります。また、建設部門では設計に引き続いて国際空港関連設備工事の受注に向けて注力するとともに、成長分野である太陽光発電設備、防災減災設備などに取り組んでまいります。なお、当第1四半期連結累計期間において阿久澤電機株式会社のM&Aに伴う取得関連費用52百万円を販売費及び一般管理費として計上しております。その結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高24億88百万円(前年同四半期比37.4%増)、営業利益94百万円(前年同四半期比7.2%減)、経常利益88百万円(前年同四半期比18.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益14百万円(前年同四半期比80.1%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
① 国内EPC事業国内EPC事業では、注力分野である再生可能エネルギー関連設備工事が大きく進捗したことに加え、5G等移動体通信工事とも順調に推移いたしました。特に太陽光発電設備において、半導体不足等の影響もありましたが、PPA(Power Purchase Agreement*3)モデルの自家消費型の設計施工案件が増加いたしました。また、2022年9月に当社グループとなった阿久澤電機株式会社についても計画通り順調に推移しております。その結果、売上・セグメント利益とも増収増益となりました。当第1四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高16億94百万円(前年同四半期比10.4%増)、セグメント利益1億53百万円(前年同四半期比61.9%増)となりました。
② アセアンEPC事業アセアンEPC事業では、設計積算部門においては前期より取り組んでいるDXによる国内設計部門との一体化が定着し、順調に推移いたしました。建設部門においては、投資抑制の影響は残るものの、高層コンドミニアムなどの建設が再開し、電気設備工事が順調に進捗いたしました。また、2022年6月に当社グループとなったJESCO PEICO ENGINEERING社についても計画通り順調に推移しております。その結果、売上・セグメント利益とも増収増益となりました。当第1四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高7億12百万円(前年同四半期比225.8%増)、セグメント利益12百万円(前年同四半期比6.9%増)となりました。
③ 不動産事業不動産事業では、保有ビルの賃貸管理収入など順調に推移し、売上・セグメント利益とも増収増益となりました。当第1四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高82百万円(前年同四半期比40.1%増)、セグメント利益27百万円(前年同四半期比80.6%増)となりました。
*1 SEGES (Social and Environmental Green Evaluation System): 公益財団法人都市緑化機構が運営する企業等の敷地、用地における緑地の保全、創出、活用等の取り組み及び活動について審査し、環境貢献活動、社会貢献活動の取り組み状況を社会貢献性及び環境貢献性の観点から、総合的に評価し、格付け区分するシステム。*2 BIM:Building Information Modeling ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフローを提供する設計ソフト*3 PPAモデル:施設所有者が提供する屋根や敷地などにPPA事業者(太陽光発電の所有・管理を行う会社)が太陽光発電システムを設置・運用し、発電された電力を施設所有者へ有償提供するビジネスモデル
(財政状態の状況)当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、72億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億99百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が14億7百万円増加したこと等によるものであります。当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、83億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億80百万円の増加となりました。これは、無形固定資産が97百万円、投資その他の資産が2億70百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、156億47百万円となり、21億80百万円の増加となりました。
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、62億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億83百万円の増加となりました。これは短期借入金が8億78百万円、未成工事受入金が3億45百万円増加したこと等によるものであります。当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、46億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億38百万円の増加となりました。これは、長期借入金が7億33百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、109億23百万円となり、22億22百万円の増加となりました。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、47億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ41百万円の減少となりました。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の32.8%から当第1四半期連結会計期間末は27.9%になりました。
(2) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。