【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動規制緩和などの政府の各種政策の効果もあり、景気は緩やかに持ち直してきました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化による原材料の供給不足、資源価格上昇や世界的な金融引締め等を背景とした急激な円安進行や物価高騰など、景気の先行きは不透明な状況が続きました。当社グループが属する情報サービス業界では、社会、産業、生活などのあらゆる面において、DX化やIoT化の動きが進み、デジタル社会の実現に向けて動きが加速しております。このような環境の中で、当社グループは、中期経営計画の初年度として、企業が直面するビジネスDX化の課題に対する支援を円滑に行うため、2022年7月に「ビジネスDXリーディングセンター」を新設し、これまで安川電機DXで培ってきたDX化推進力を活用し、展開を進めてきました。ソーシャルIoT分野において、物流、畜産業界での課題に対して新ソリューション(MMLogiStation、Milfee)の販売を開始するなど、AI・IoTソリューションの拡販に努め、事業拡大に取り組んでまいりました。サービスビジネスにおいては、ビジネスDXとソーシャルIoTとの連携強化や独自の新たな付加価値サービスを創出するためITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」を2022年6月に移転・拡張しました。その結果、当連結会計年度の業績については、売上高は161億51百万円(前連結会計年度比17.7%増)となりました。利益面では、営業利益9億9百万円(同8.0%増)、経常利益8億36百万円(同15.6%増)となり、さらに、確定給付年金から確定拠出年金へ制度移換したことに伴う特別利益計上(退職給付制度改定益3億94百万円)等により、親会社株主に帰属する当期純利益7億83百万円(同93.9%増)となり、前年度に比べ増収増益を達成することができました。
事業別の概況は、以下のとおりです。
〔ビジネスソリューション事業〕当事業では、健康保険者向けシステム構築は前年度に比べ減少しましたが、移動体通信事業者向け開発は堅調に推移し、ERPソリューションは当社プライムでのビジネスDX推進・構築が引き続き好調に推移し増加しました。その結果、受注高は124億75百万円(前連結会計年度比24.2%増)となり、売上高は118億99百万円(同18.8%増)となりました。
〔IoTソリューション事業〕当事業では、遠隔監視などのFAシステム開発や文教分野向けインターネット・セキュリティ関連製品は前年度に比べ減少しましたが、畜産分野向け新ソリューションでは海外からの供給面制約や飼料価格高騰の影響があったものの前年同期に比べ増加し、スマートロジスティクス事業についても、需要拡大が続く物流業界への新ソリューション拡販により増加しました。その結果、受注高は47億29百万円(前連結会計年度比15.7%増)となり、売上高は42億51百万円(同14.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1億円減少し、26億35百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権及び契約資産の増加11億69百万円、退職給付制度改定益3億94百万円、法人税等の支払額2億5百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益12億27百万円、仕入債務の増加4億90百万円、未払費用の増加3億27百万円、減価償却費2億71百万円があったこと等により、5億63百万円(前連結会計年度比76百万円増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3億59百万円、無形固定資産の取得による支出1億4百万円があったこと等により、△4億78百万円(同2億65百万円減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1億80百万円があったこと等により、△1億88百万円(同0百万円増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、情報サービスの総合的な提供を事業内容としており、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における実績を部門別に記載しております。
a. 生産実績
部門
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
金額(千円)
前連結会計年度比(%)
ビジネスソリューション事業
8,864,421
+25.2
IoTソリューション事業
2,677,113
+14.8
合計
11,541,534
+22.7
(注) 上記金額は製造原価で記載しております。
b. 受注状況
部門
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
受注実績
受注残高
金額(千円)
前連結会計年度比(%)
金額(千円)
前連結会計年度比(%)
ビジネスソリューション事業
12,475,382
+24.2
3,491,333
+10.0
IoTソリューション事業
4,729,550
+15.7
2,718,762
+13.4
合計
17,204,933
+21.8
6,210,095
+11.4
c. 販売実績
部門
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
金額(千円)
前連結会計年度比(%)
ビジネスソリューション事業
11,899,068
+18.8
IoTソリューション事業
4,251,983
+14.6
合計
16,151,052
+17.7
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社安川電機
5,054,247
36.8
6,454,576
40.0
富士通株式会社
1,769,434
12.9
1,978,895
12.3
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。ビジネスソリューション事業の増加、IoTソリューション事業の増加により、当連結会計年度の売上高は161億51百万円(前連結会計年度比17.7%増)となりました。売上原価は117億63百万円(同23.2%増)となり、売上原価率は72.8%と前連結会計年度から3.3ポイント悪化いたしました。売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は43億87百万円(同4.9%増)となりました。また、販売費及び一般管理費は34億77百万円(同4.2%増)となりました。この結果、当連結会計年度は9億9百万円の営業利益(同8.0%増)となりました。営業外収益は15百万円(同282.1%増)となり、営業外費用は持分法による投資損失の発生等により89百万円(同27.7%減)となりました。特別利益は退職給付制度改定益の発生により3億94百万円となり、特別損失は3百万円となりました。この結果、当連結会計年度は8億36百万円の経常利益(同15.6%増)となり、税金等調整前当期純利益は12億27百万円(同69.6%増)となりました。これに法人税等の税金、法人税等調整額と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は7億83百万円(同93.9%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、次のとおりです。情報サービス業界におきましては、あらゆる分野・業種において、クラウドやビッグデータ、IoT、AI、セキュリティ等の技術を活用したサービスの提供が加速してきております。クラウドビジネスの進展は、情報システムやソフトウエアの消費目線が所有から利用へとシフトし、公共や企業等の情報関連投資の選択やIT企業が提供するサービスに変化が現れます。 このような動きは、情報システムの開発やITサービスの提供を行うビジネスソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。また、クラウドビジネスやビッグデータ市場を支えるインフラ(情報機器やネットワーク)が重要な役割を担うことになり、情報漏洩やコンピュータウイルス等の外部からの攻撃に対してのセキュリティ技術もますます重要になってきます。このような動きは、機器間の情報伝送のための組込ソフト開発、IoT機器、ネットワーク・セキュリティ関連商品を取扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。さらに、モバイル端末をはじめとする通信端末やAI技術の発達により、機器同士が人の手を介さずに相互に情報交換し、自動的に情報収集や管理・制御を行うようになってきております。このような動きは、AI技術や組込・制御システム、IoT機器を取り扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。なお、このような新技術・新ビジネスの普及は、情報通信技術の高度化・大規模化・複雑化を伴い、今まで以上に品質上の問題が発生する危険性が高くなっています。このような品質上の問題が発生した場合には、当社グループの売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。その一方で、付加価値の高い新製品・新サービスの商品化やライセンス化は、当社グループの売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。
② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について当社グループは、営業活動によって獲得した現金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大のための設備投資を行っております。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。(百万円)
2019年2月期
2020年2月期
2021年2月期
2022年2月期
2023年2月期
営業活動によるキャッシュ・フロー
346
280
841
487
563
投資活動によるキャッシュ・フロー
△346
△421
119
△213
△478
財務活動によるキャッシュ・フロー
△110
△111
△113
△188
△188
フリー・キャッシュフロー
△0
△140
960
273
84
2019年2月期
2020年2月期
2021年2月期
2022年2月期
2023年2月期
自己資本比率 (%)
32.2
33.8
34.6
43.1
40.8
時価ベースの自己資本比率 (%)
85.0
87.6
105.2
76.4
70.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)
―
―
―
―
―
インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)
2,435.7
36,775.0
3,176.6
―
―
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー自己資本比率:自己資本÷総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、引き続き先行き不透明な状況が予想されますが、現時点では、会計上の見積りに及ぼす重要な影響はないと判断しております。
#C2354JP #YEDIGITAL #情報通信業セクター