【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
当社グループでは、持続的成長と収益性を向上し、企業価値の継続的な拡大を目指す中期経営目標(2022年度から2024年度)を2022年2月に公表いたしました。より多様化し高まっていくお客様のご期待にお応えし着実な成長を実現するために、マクドナルドビジネスの基盤と将来に向けた分野への投資を強化いたします。これからの成長に向けた3本柱として「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」の分野に注力し、3年間で全店売上高年平均成長率5%前後、営業利益年平均成長率3~5%、RОE10%以上を目指してまいります。
当第3四半期連結累計期間におきましては、これまで同様お客様の声を伺い、QSCの向上を通じてお客様の店舗体験の向上に努めました。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、引き続き店舗の衛生管理を徹底するとともに、ソーシャルディスタンスを確保した店舗運営などの対応を行いました。既存店売上高は2015年第4四半期から2022年第3四半期まで28四半期連続でプラスとなりました。
一方で、急激な為替変動や小麦や牛肉をはじめとする原材料価格の高騰、エネルギーコストや人件費、物流費などの上昇の影響を受け、利益面では年初の想定より厳しい状況となりました。これらの影響を慎重に検討した結果、9月30日より約6割の品目の店頭価格を改定いたしました。今後も引き続き、輸入業者やサプライヤーと協力のうえ、グローバル規模の原材料調達や、より効率的な物流網の構築といったコスト管理、為替ヘッジの取り組み、経費削減など最大限の企業努力を行うとともに、価格戦略等に柔軟に取り組み、お客様一人ひとりに寄り添ったマクドナルドらしいおもてなしに努めてまいります。
①ブランド
地域社会の一員として、サステナビリティを積極的に取り組むべき重要課題と位置づけ、「安全でおいしいお食事を」「地球環境のために」「地域の仲間にサポートを」「働きがいをすべての人に」を重点的に取り組む4つの領域と定めました。2022年3月にサステナビリティレポート2021としてマクドナルドの考え方と取り組みをウェブサイトで公開しております。
「安全でおいしいお食事を」:食を提供する企業として「食の安全」の確保を最優先課題とし、お客様に安全なお食事をお召し上がりいただけるよう食品管理システムの正確な運用に取り組んでおります。関連法令・規制の遵守とともに、グローバル食品安全イニシアチブ(GFSI)にも準拠し、さらにマクドナルド独自の基準を加えて構成された、厳しい品質管理システムを構築しております。また、商品に対するお客様の信頼を高めるため、最終加工国、主要原材料の主要原産国の情報公開や、対象サプライヤーに対する監査の実施など、徹底した品質管理体制の構築と強化を図っております。
「地球環境のために」:海のエコラベル(MSC)や森林認証制度(FSC)といった持続可能な原材料であるとの認証を取得した素材の使用、ハッピーセットのおもちゃリサイクル、プラスチック素材の削減、店舗の省エネ機器やデリバリーの電動三輪バイクの導入による温室効果ガス排出の削減にも取り組んでまいります。
「地域の仲間にサポートを」:公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンへの支援や、スポーツ支援、教育支援、安全笛の提供等を通じて地域社会への貢献に努めてまいります。
「働きがいをすべての人に」:全国で19万人のクルーを雇用する雇用主として、性別や年齢、国籍といった様々な個性や背景を持った多様な人材が、それぞれの強みを発揮して働きがいを感じていただける職場環境を作ってまいります。
②メニュー・バリュー
お客様のご期待にお応えするために、それぞれの時間帯に合わせたメニューラインアップを強化し、バリュー・フォー・マネーにおいてお客様にお得感を感じていただける様々な取り組みを実施いたしました。期間限定商品としては、夏の定番バーガー「チーズロコモコ」と「ガーリックシュリンプ」に加え、新商品として「ザク切りポテト&ビーフ ハラペーニョマヨ」を販売したほか、9月には、秋の定番として毎年ご提供している「月見バーガー」に新商品を加えた全8種類のラインアップにて販売し、多くのお客様にご好評をいただきました。また、平日のランチタイムのお得なセットメニューを、お得な価格はそのままに、より親しみやすい「ひるまック」として名称をリニューアルしたほか、100円から手軽に様々な商品をお選びいただける「ちょいマック」を継続するなど、お客様に「おいしさ」「お得さ」「手軽さ」を通じて、マクドナルドのバリューを実感していただける商品をお届けしております。
③店舗・デジタル・ピープル
「店舗」:今後の成長に向けて、移転を含む新規出店や改装、リビルドに積極的に投資を行っていくことで、よりお客様や地域のニーズに合った店舗ポートフォリオへの進化を実現してまいります。キッチンの製造能力アップやドライブスルーレーンの増設、デリバリーサービスの最適化など、お客様により便利で快適にご利用いただける環境をご提供してまいります。
当第3四半期連結累計期間においては、新規出店39店舗、閉店31店舗となり、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は2,950店舗となりました。経営資源を効果的に活用するために、新規出店と改装、リビルドへの投資配分を柔軟に行いながら、お客様の満足度と業績を向上させるための投資を継続してまいります。
区分
前連結会計年度末
新規出店
閉店
区分移行
当第3四半期
連結会計期間末
増加
減少
直営店舗数
867店
15
△12
0
△6
864店
フランチャイズ店舗数
2,075店
24
△19
6
0
2,086店
合計店舗数
2,942店
39
△31
6
△6
2,950店
「デジタル」:デジタルとピープルの融合により、より良いサービスをご提供していく「未来型店舗体験」のひとつとして、「モバイルオーダー」を導入しております。また、お客様のニーズにお応えし続けるために、決済方法の拡充をはじめとした機能強化を通してさらに利便性を高め、利用者数を伸ばすことを目指しています。
デリバリーは、今後も大きく成長が期待されるポテンシャルの高いマーケットです。マクドナルドのクルーがお届けするマックデリバリーサービス(MDS)と、Uber Eats、出前館等との提携により、デリバリーサービスを展開しております。2022年9月末時点で、デリバリー実施店舗数はそれぞれMDS952店舗、Uber Eats1,880店舗、出前館1,933店舗等を合わせて、合計で全国2,191店舗となっております。今後もデリバリーサービスを提供できる店舗を拡大し、お客様の利便性の向上を目指してまいります。
ドライブスルーについては、キャパシティの増強に加え、「モバイルオーダー」でご注文いただいた商品を、車に乗ったまま店舗の駐車場で受け取れるサービス「パーク&ゴー」をより多くの店舗に拡大しており、2022年9月末時点で全国の1,077店舗で展開しております。また、マクドナルド公式アプリのモバイルオーダーに、ドライブスルーでの受け取りが可能になる「ドライブスルー モバイルオーダー」機能を追加し、全国のドライブスルー店舗(一部店舗を除く)でスタートいたしました。
「ピープル」:新型コロナウイルス感染症による環境変化が激しい中で、お客様のご期待にお応えできたのは、約19万人のクルーや店舗社員をはじめとしたピープル、つまり人材があってこそだと考えております。お客様に最高の店舗体験をしていただくため、優秀な人材の採用と育成に積極的な投資を継続しております。デジタル端末を使ったトレーニング教材である「デジタルCDP」は現在日本語以外に5ヶ国語に対応しており、クルーの理解度の向上、トレーニング時間の短縮に繋がっております。また、ハンバーガー大学ではオンラインによる授業を継続し、当第3四半期連結累計期間においては16,000名以上が受講いたしました。また、多様な人材の多様なライフスタイルに応じた社員としてのキャリアパスを提供するため、地域社員制度を導入しております。
今後も、新型コロナウイルスの影響を注視し、お客様、従業員をはじめ全ての方々の安全と健康を最優先しながら、常にお客様に寄り添い、変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応できるよう進化を続けてまいります。おいしいメニュー、お得感、納得感のあるバリュー並びに便利で快適な店舗環境を日々ご提供するとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組みながら、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」ご提供してまいります。
上述の施策の結果、当第3四半期連結累計期間の既存店売上高は7.7%の増加となりました。システムワイドセールスは5,291億9百万円(対前年同期比425億36百万円増加)、売上高は2,599億30百万円(対前年同期比233億78百万円増加)、営業利益は271億25百万円(対前年同期比14億22百万円減少)、経常利益は265億92百万円(対前年同期比12億73百万円減少)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は167億95百万円(対前年同期比11億42百万円減少)となりました。
(注)1.既存店売上高とは、少なくとも13ヶ月以上開店している店舗の合計売上高です。
2.システムワイドセールスとは、直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高であり、四半期連結損益計算書に記載されている売上高と一致しません。
3.当社グループの事業はハンバーガーレストラン事業単一であるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の流動資産は891億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ137億21百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が139億38百万円減少したことが主な要因です。
固定資産は1,673億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ101億9百万円の増加となりました。これは、有形固定資産が22億34百万円増加、投資その他の資産のその他が20億2百万円増加、投資有価証券が20億円増加したことが主な要因です。
流動負債は460億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ126億5百万円の減少となりました。これは、その他が70億20百万円減少、未払法人税等が43億58百万円減少、未払金が42億36百万円減少したことが主な要因です。
固定負債は69億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億96百万円の減少となりました。これは、リース債務が1億18百万円減少、賞与引当金が1億10百万円減少したことが主な要因です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
特記すべき研究開発活動はありません。
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