【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第2四半期連結累計期間においても、世界情勢の変化による急激な為替の変動や世界的な原材料価格の高騰・金利の上昇等を受けて、景況感の悪化傾向が続いております。また、ロシア・ウクライナ戦争に加え、イスラエルとイスラム組織ハマスとの大規模軍事衝突が発生し、地政学的リスクの高まりを受けて、世界的に先行きが不透明な状況となっております。
サイバーセキュリティ市場につきましては、病院や港湾を狙ったランサムウェア攻撃「LockBit(ロックビット)」や大手企業を標的とするサプライチェーン攻撃、IoTデバイスやテレワークを狙った攻撃、地政学的な緊張の高まりを受けた国家によるものなど高度化・多様化・激化したサイバー攻撃の脅威が世界的にますます深刻化し、セキュリティ対策需要は引き続き拡大傾向にあります。今後も生成AIの普及によるものや、近年被害が増加しているOT環境を狙った攻撃、社会的・政治的な攻撃などを含め、より巧妙なサイバー攻撃が世界的に急増することが想定され、同市場は中長期的な拡大が見込まれます。実際に警察庁が公表した資料によれば、2022年のサイバー犯罪の国内検挙件数は過去最多の12,369件(確定値)となり、警視庁のインターネット観測システムで検知した、インターネットに接続される機器の脆弱性を探索するアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり7,707.9件で同様に過去最高となり、企業・団体等におけるランサムウェア被害は前年比で57.5%増加しております。このようなサイバー空間における脅威の高まりを受けて、中央省庁による連名での対策強化の呼び掛けが行われるとともに、警察法改正案が成立・施行され、2022年4月にサイバー警察局が発足いたしました。なお、国家安全保障戦略などの防衛3文書のうち新たな防衛力整備計画では2023年度以降の5年間でサイバー領域における能力強化にも1兆円が配分される予定です。また、民間企業でも一般社員のDX人材への転換やサイバーセキュリティに長けた専門人材の採用・育成の取り組みが活発化しております。
マーケティング市場につきましては、ビッグデータ・人工知能(AI)・IoT等の技術革新が進み、DX、メタバースや生成AIによる新たな事業機会の可能性が顕在化するとともに、SDGsの具現化に向けた事業機会も顕在化しております。
このような経営環境の下、当社グループは、顧客ニーズに沿った最適なソリューション提供による受注拡大に注力いたしました。また、収益の最大化を目指し、ソリューションの開発・強化に注力するとともに、アップセル・クロスセル戦略、官民の多様なパートナーや顧客獲得などに加え、重点戦略分野であるサイバーセキュリティ分野、マーケティング分野及びこれらの関連分野における最先端の情報・技術・ノウハウの獲得並びに事業パートナーとの関係強化を推進いたしました。
これらの取組みにより、セキュリティ事業及びマーケティング事業とも受注面において概ね堅調に推移し、新規ソリューションの収益化とパイプラインの拡大も進捗いたしました。また、費用面では先行投資として、セキュリティ事業において、良好な事業環境を背景に人材の前倒し確保を進めたことで採用コスト・人件費が増加したほか、両事業において、自社プロダクトを含む新規ソリューションの開発及びマーケティングにかかる戦略的な投資費用が増加いたしました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における経営成績につきましては、売上高901百万円(前年同期比14.6%減)、営業損失272百万円(前年同期は営業損失54百万円)、経常損失271百万円(前年同期は経常損失51百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失289百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失72百万円)となりました。
セグメント別の業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりであります。
(セキュリティ事業)
サイバートレーニングソリューションについては、事業拡大及び収益性向上を図るため、トレーニングのリモート提供、新規プログラム開発、トレーニング施設『CYBERGYMアリーナ』の新設等を推進しております。前期までに事業パートナーとも連携し、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌及び沖縄の10カ所に CYBERGYMアリーナを開設いたしました。当期も学校法人杏文学園(東京都練馬区、理事長 高山雅行)との東京都練馬区でのCYBERGYMアリーナの共同開設など各事業パートナーとのプロジェクトや協議が進捗しております。同ソリューションを提供する事業子会社の株式会社サイバージムジャパン(以下、「サイバージムジャパン」といいます。)は、サービス提供実績の積み上げとブランド力の向上等により、令和4年度「防衛装備品製造過程等におけるサイバーセキュリティ対策強化事業」や警視庁が2023年9月から2024年2月にかけて実施する『官民共同サイバー攻撃対策技術訓練業務委託』など官公庁や大手企業を始めとする様々な新規顧客からの大型案件も増加し、併せて継続的な受注やリピート案件も増加しております。アジア諸国においても丸紅株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 柿木真澄)、当社の共同事業パートナーであるCyberGym Control Ltd.(イスラエル ハデラ市、CEO Ofir Hason)及びサイバージムジャパンの3社間合意に基づき、重要インフラ事業者及び製造業向けOTセキュリティ分野での協業を進めております。
セキュリティ診断・調査ソリューションについては、セキュリティ対策ニーズの高まりを受け、売上・受注とも堅調に推移いたしました。そのなかでも、AIを応用した『ImmuniWeb®AI Platform』の引き合いが引き続き強く、ダークウェブ等調査『ImmuniWeb®Discovery』の受注・引き合いも拡大しております。今後は、年間を通じて脆弱性診断を回数無制限で実施可能な完全AI主導型の新ソリューション『ImmuniWeb®Neuron』を中心にImmuniWebシリーズのラインナップ増加を含め、更なる高付加価値ソリューションの拡充を図るとともに、Capture The Flag(CTF)の継続的な主催や参加などを通じて業界内での地位を高め、拡大する需要を取り込むためにホワイトハッカー人材の増強を推進いたします。
情報セキュリティ規格(プライバシーマーク、ISO27001等)のコンサルティングサービスについては、自社開発のITツール「V-Series」の活用などを通じた競合他社との差別化や協業先との連携強化により、新規取得案件、更新案件ともに引き続き堅調に推移いたしました。このコンサルティングサービスによる事業基盤を各種サイバーセキュリティソリューションの展開に活用するとともに、同サービスと連携したサイバーリスクを可視化するセキュリティリスク分析サービス『V-sec』の提供、2022年4月の個人情報保護法の改正法施行やISMS適合性評価制度における認証基準ISO/IEC 27001の2022年10月の改定に伴い拡大する事業機会の獲得に注力いたしました。
また、当社グループ各社の保有する販売チャネル、セキュリティソリューションの相互活用を強力に推進し、相互連携による受注も引き続き拡大しております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間におけるセキュリティ事業の売上高は562百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
(マーケティング事業)
マーケティングリサーチ部門、セールスプロモーション・広告代理部門とも中長期的な安定収益の確保及び成長の実現を目指し、引き続き、きめ細かい対応と最適なソリューション提供を通じたターゲット顧客との強固かつ広範な関係構築を推進いたしました。また、リサーチコンサルティング(オーダーメイド型の調査企画・設計・分析・実査)による顧客のマーケティング戦略や事業戦略上の課題解決の支援に注力するとともに、顧客のプロモーション活動を総合的にバックアップするため、常に最新のトレンドやマーケットニーズを見極めながら、最新のSPツールや長期にわたる企画・制作・編集実績を活かし、顧客企業と消費者の双方のニーズを満たす効果的な広告や販促プランの提案に努めました。これらの従来からの取組みに加え、有力な外部パートナーとも連携し、SDGsの具現化に向けたソリューションやインバウンドマーケティング・越境ECサービスの開発・提供などを推進いたしました。
マーケティングリサーチ部門においては、主要顧客を中心とした複数案件化やカスタマーエクスペリエンスの最適化に向けた各種ソリューションの提供を推進し、リサーチ業務の受注が堅調に推移いたしました。セールスプロモーション・広告代理部門においても、きめ細かい対応と新規提案によって、デジタルマーケティング関連の受注が堅調に推移いたしました。また、学術的根拠に基づくSDGs対応戦略の加速と産業界の活性化を目指すため、慶應義塾大学SFC研究所xSDG・ラボ(代表:蟹江 憲史)との共同研究『中小企業を念頭に置いたSDGs認証制度の機築と社会実装』を開始しております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間におけるマーケティング事業の売上高は350百万円(前年同期比29.0%減)となりました。
②財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて284,052千円減少し、809,047千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて275,400千円減少し、590,012千円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が244,526千円、現金及び預金が63,566千円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて6,524千円減少し、214,291千円となりました。これは、有形固定資産が9,368千円減少したことなどによります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて99,825千円減少し、383,363千円となりました。これは、その他に含まれる未払消費税等が46,416千円、賞与引当金が36,169千円、契約負債が14,328千円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2,788千円増加し、66,165千円となりました。これは、退職給付に係る負債が12,856千円増加した一方で、長期借入金が10,008千円減少したことなどによります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて187,015千円減少し、359,518千円となりました。これは、資本金及び資本準備金が新株予約権の行使により、それぞれ62,984千円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が289,144千円減少したことなどによります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.3%から43.5%となり、1株当たり純資産が43円62銭から27円60銭となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ63,566千円減少し、142,051千円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は125,308千円となりました。主な増加要因は売上債権の減少244,526千円、主な減少要因は税金等調整前四半期純損失288,439千円、未払消費税等の減少46,416千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は29,331千円となりました。主な増加要因は貸付金の回収による収入6,250千円、主な減少要因は投資有価証券の取得による支出19,000千円と有形及び無形固定資産の取得による支出12,657千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は91,073千円となりました。主な増加要因は株式の発行による収入125,316千円、主な減少要因は自己株式の取得による支出24,235千円であります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
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