【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年7月1日から2023年6月30日まで)におけるわが国経済は、コロナ禍からの正常化の動きが加速し、消費者の慎重姿勢を和らげ、物価高が続くなかでも消費の回復が見込まれ、ウィズコロナを一層進展させております。
このような外部環境の下、当社は「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」という企業テーマを掲
げ、保険分析・販売支援におけるプラットフォーマーとしての事業展開を推進しております。また、独自開発した
『保険IQシステム®』、『ASシステム』、『AS-BOX』及び『スマートOCR®』を活用し、システムユーザーの更なる拡大を目指しております。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
・保険販売事業
直営店部門は、向井理さんをイメージキャラクターとしたテレビCMをメインに大規模なプロモーションを2022年11月と2023年2月に実施しました。また、オリコン顧客満足度®調査で保険ショップ部門史上初の3年連続総合1位を全面に押し出した広告も継続しております。その結果、WEB広告からの電話相談・オンライン相談への流入が増加したことにより予約数は大幅に増加しました。一方で、既存店における直接来店件数は横ばいとなりました。売上高は前年を上回りましたが当初予想値には届きませんでした。なお6月末の直営店舗数は前期末から4店舗増の62店舗となりました。
法人営業部門は、新規案件及び既存顧客の大型追加契約の獲得により、売上高は当初予想値を上回りました。
この結果、同事業の当連結会計年度の売上高は3,299,467千円(前連結会計年度比8.3%増)、セグメント利益は274,604千円(同39.0%減)となりました。
・ソリューション事業
FC部門は、6月末のFC店舗数が前期末より4店舗増の200店舗(18店舗オープン、10店舗クローズ、4店舗直営化、純増4店舗)となりました。一部店舗の直営化ならびに、WEB広告からの送客増加により増収いたしました。今後も、①新規リクルート活動の強化、②既存代理店への追加出店の提案、③店舗運営指導要員の派遣という施策を実施し、他業界からの新規参入企業への支援と取り込みを行っていきます。
AS部門は、ASシリーズのユーザーID数が11,921となり堅調に推移しました。地方銀行への導入は増加しており、銀行の導入は前期30行から36行となりました。また、大手保険会社をはじめとした大型案件は複数継続しており、具体的な導入に向けての検討が進んでおります。今後も全国規模の金融機関や保険会社、地方銀行、企業系代理店による新規導入の獲得に向けて注力しております。
この結果、同事業の当連結会計年度の売上高は2,000,758千円(前連結会計年度比29.3%増)、セグメント利益は815,764千円(同37.3%増)となりました。
・システム事業
子会社である株式会社インフォディオは、官公庁関連サービスへのOEM提供や大手企業や生命保険会社など、『スマートOCR®』関連の新規受託開発が好調に推移し大幅な増収増益となりました。『スマートOCR®』および電子帳簿保存クラウドサービス『DenHo®』については多くの問い合わせを頂いております。今後の当社グループの業績を牽引することが期待できるサービスの一つです。
この結果、同事業の当連結会計年度の売上高は704,331千円(前連結会計年度比16.1%増)、セグメント利益は73,258千円(同94.7%増)となりました。
(注)『スマートOCR®』とは、AI(人工知能)を搭載し、ディープラーニング技術(深層学習、人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法の一つ)を活用した、非定型帳票対応の次世代型光学的文字認識システムです。
(注)『DenHo®』とは、紙文書をスキャンしたり、スマホで撮影してアップロードするとAIが文書の文字を認識・データ化して保存、文書内のキーワードで検索・閲覧できる電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスです。
販売費及び一般管理費につきましては、2023年5月15日に開示しました、「債権の取立不能又は取立遅延のおそれ、ならびに投資有価証券評価損による特別損失計上に関するお知らせ」のとおり、第3四半期連結会計期間において、貸倒引当金繰入額48,400千円を計上いたしました。また、2022年11月と2023年2月に実施したテレビCMをメインとした大規模プロモーションや、人員増による人件費の増加、システム開発に伴うソフトウエア償却等から、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,827,570千円(前連結会計年度比23.3%増)となりました。
営業利益以下につきましては、特別損失として上記のお知らせのとおり、当社が出資している取引先に対して投資有価証券評価損43,000千円も計上いたしました。
この結果、当連結会計年度における業績は、売上高6,004,557千円(前連結会計年度比15.5%増)、営業利益187,890千円(同55.1%減)、経常利益194,772千円(同54.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16,039千円(同93.7%減)となりました。
財政状態につきましては、以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,831,291千円となり、前連結会計年度末に比べ176,867千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が632,413千円減少したことによるものであります。固定資産は1,667,573千円となり、前連結会計年度末に比べ99,573千円増加いたしました。これは主にソフトウエアが48,586千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、4,498,864千円となり、前連結会計年度末に比べ79,293千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は862,724千円となり、前連結会計年度末に比べ103,860千円増加いたしました。これは主に未払金が92,419千円増加したことによるものであります。固定負債は21,915千円となり、前連結会計年度末に比べ3,433千円増加いたしました。これは主にその他の固定負債が3,433千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、884,639千円となり、前連結会計年度末に比べ107,294千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,614,225千円となり、前連結会計年度末に比べ186,588千円減少いたしました。これは主に自己株式の取得により188,617千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は79.7%(前連結会計年度末は83.0%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ632,413千円減少し、当連結会計年度末には1,600,833千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は208,101千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益114,921千円、減価償却費256,277千円、売上債権及び契約資産の増加額260,375千円、契約負債の増加額5,263千円、法人税等の支払額154,252千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は421,592千円となりました。これは有形固定資産の取得による支出53,465千円、無形固定資産の取得による支出244,013千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は419,307千円となりました。これは主に配当金の支払額102,711千円、自己株式取得のための預け金の増減額212,544千円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比(%)
保険販売事業
3,299,467
8.3
ソリューション事業
2,000,758
29.3
システム事業
704,331
16.1
合計
6,004,557
15.5
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
メディケア生命保険株式会社
653,197
12.6
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(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性のため、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当社グループの財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b.経営成績の分析
(売上高)
当社グループの売上高の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は、外注費の支払いやシステム開発に係る原価等により、989,096千円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、2023年5月15日に開示しました、「債権の取立不能又は取立遅延のおそれ、ならびに投資有価証券評価損による特別損失計上に関するお知らせ」のとおり、第3四半期連結会計期間において、貸倒引当金繰入額48,400千円を計上いたしました。また、2022年11月と2023年2月に実施したテレビCMをメインとした大規模プロモーションや、人員増による人件費の増加、システム開発に伴うソフトウエア償却等から、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,827,570千円(前連結会計年度比23.3%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は187,890千円(同55.1%減)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、助成金収入の減少等により前連結会計年度に比べ744千円減少し、31,756千円(同2.3%減)となりました。また、営業外費用については、賃貸収入原価の増加により前連結会計年度に比べ6,418千円増加し、24,874千円(同34.8%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、194,772千円(同54.9%減)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損失は、減損損失36,880千円及び投資有価証券評価損43,000千円の計上により、前連結会計年度に比べ51,098千円増加し、80,121千円(同176.1%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、16,039千円(同93.7%減)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d.資本の財源及び資金の流動性
イ.財務戦略の考え方
当社グループは、財務体質の強化と資金効率の向上を両立しつつ、企業価値の向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としております。
ロ.資金調達の基本方針
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フロー及び財務キャッシュ・フローを指標としながら、安定的な自己資金確保を目指していきます。運転資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて金融機関との間の当座借越枠を活用していきます。設備投資資金につきましては、自己資金を基本としております。
ハ.資金の流動性について
当社グループは、金融機関と当座借越契約を締結し、資金の流動性を維持しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,600,833千円となっております。
e.経営戦略の現状と見通し
当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載した課題に対応していくことが必要であると認識しております。経営者は外部環境の変化についての情報入手及び分析を継続的に行い、適切な対応策を策定し実施していく方針であります。
f.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
g.目標とする経営指標
当社グループは売上高及び営業利益を重要な指標としております。当連結会計年度の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の分析」をご参照ください。
h.経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループ経営陣は、現時点での当社グループを取り巻く事業環境及び入手可能な情報等により、迅速かつ最善な経営戦略・事業戦略の立案と、戦略に基づく各施策の確実かつ効率的な実施に努めております。当社グループが今後も持続的な成長を維持するためには、新たなシステム及びサービスの開発、事業規模の拡大に合わせた人材の確保、知名度の向上並びに組織体制の継続的な強化等が重要であると認識しており、各項目の強化・改善により、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
当社グループは、2022年6月30日付け取締役会において「3か年計画」を策定致しました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」をご参照ください。
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