【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年7月1日~2023年9月30日)における経営環境は、景気は緩やかに回復するものと見込まれているものの、円安、資源高等に起因する原材料価格およびエネルギー価格の上昇による物価高もあり、個人消費動向や企業収益における不確実性も高く、引き続き先行きが不透明な状況となりました。
当社が属する情報サービス産業においては、堅調なソフトウエア投資が続いており、2023年10月2日に公表された日銀短観(9月調査)による2023年度ソフトウエア投資計画(全産業・全規模合計)は、2022年度と比較し、15.3%増と引き続き拡大傾向を示しました。
当社グループにとっても、DXの実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、既存システムのクラウドシステムへの移行、システム開発のスピードアップを実現するローコード開発等の進展により、ビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大に繋がりました。
また、「サイバーセキュリティの対策強化」及び「業務効率化」のニーズは引き続き高まっており、これらに対して有効なソリューションを有する当社グループの追い風となりました。
このような環境の下、当社グループでは、「5つの事業戦略」を掲げ、積極的な取り組みを継続しております。
・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の拡大・安定化)
・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)
・競合から協業へ(協業による事業拡大)
・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)
・人材調達・人材育成(採って育てる)
また、当社は2021年8月20日に中期経営計画及びDITグループの2030年ビジョンを発表しました。2030年ビジョンでは、「信頼され、選ばれるDITブランド」の構築に向けてDITの将来像(DIT Services:ワンランク上の価値提供、DIT Spirits:プロフェッショナル集団)を掲げると共にチャレンジ500(*)と銘打ち、下記経営目標を設定いたしました。
2030年6月期までの経営目標
2030年6月期までの中期経営目標
オーガニックグロース
+新規事業・M&A等
売上高
300億円以上
500億円
営業利益
40億円以上
50億円
(*)チャレンジ500
2030年6月期に向け売上高500億円に挑戦!
この2030年ビジョンの実現ステップとして、2022年6月期から2024年6月期を、次の成長を可能とする会社作り、仕組作りを推進することにより事業力を蓄える「事業構造改革の推進」の期間、2025年6月期から2027年6月期までの期間を、事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる「成長軌道の実現」の期間、また、2028年6月期から2030年6月期の期間を、全てのステークホルダーから信頼され、選ばれる「DITブランドの確立」の期間としています。
2024年6月期は、今中期経営計画の最終年度にあたり、過年度から継続している「事業基盤の拡大・安定化」と「成長要素の拡大」の2軸をより強化した事業の推進を継続しています。「事業基盤の拡大・安定化」については、ビジネスソリューション事業において、不採算案件の影響(前期第1四半期にあった不採算顕在化前の利益の剥落及び今期実施した移管会社への引継ぎ作業への要員投入)等により、売上の伸びが抑えられると共に大幅な減益となりました。また、エンベデッドソリューション事業において、需要の高い車載関連事業に着実に対応し、想定以上に売上利益共に伸ばすことができました。システム販売事業については、インボイス制度導入を追い風にした駆け込み需要もあり、大幅な増収増益となりました。
「成長要素の拡大」については、電子契約サービス関連の売上増により着実に成長することができました。独自技術による自社商品であるWebセキュリティソリューション「WebARGUS:ウェブアルゴス」(*1)及びExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos:ゾブロス」(*2)については、サブスクリプションライセンスの売上を着実に積み上げることができました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における業績は、売上高は四半期ベースでは過去最高の4,709,564千円(前年同四半期比4.5%増)、営業利益546,059千円(前年同四半期比16.3%減)、経常利益537,935千円(前年同四半期比18.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は365,815千円(前年同四半期比21.7%減)となりました。
(*1)Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」は、ウェブサイ卜等の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しい方式のセキュリティソリューションです。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイト等を守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぎます。
(*2)Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」は、Excelベースの非効率な業務を自動化します。これにより短期間で劇的に業務を効率化することができます。(Excel®は、米国Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。)
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。
①ソフトウエア開発事業
ビジネスソリューション事業分野(業務システム開発、運用サポート)の需要自体は旺盛でした。
業務システム開発では公共、通信の案件の獲得が順調でしたが、前期発生した医薬系の不採算案件の影響及びERP関連が受注サイクルの谷間にあたり案件獲得が進まなかったことから、売上の伸びが抑えられると共に大幅な減益となりました。なお、不採算案件の引き継ぎ作業は予定通り今第1四半期において収束していることから、第2四半期以降への影響は無い見通しです。
運用サポートでは、事業領域の拡張と前期グループ入りしたシンプリズム社の増収増益により、前期の最高業績を更に上回ることができました。
エンベデッドソリューション事業分野(組込みシステム開発、組込みシステム検証)は、車載関連が好調で、利益面の改善が進み、売上の伸び率以上に利益率を伸ばすことができました。
組込みシステム開発では、車載系、半導体系、家電系IoT関連が伸長し、売上・利益ともに前年を着実に上回りました。
組込みシステム検証においては、車載系の検証業務が伸び、売上・利益ともに前年を着実に上回りました。
自社商品事業分野は、サブスクリプションモデルのライセンス売上の積上げと電子契約サービス関連の売上増により、売上は順調に伸びましたが、体制強化に伴うコスト増により、利益は前年並みとなりました。
サイバーセキュリティビジネスについては、ライセンス売上は着実に増えましたが、大型案件の受注がなく、売上・利益共に前年並みとなりました。また、外部サイバーセキュリティ専門会社(F-Secure社、SSH Communications Security社等)との協業によるWebARGUSを核としたトータルセキュリティサービス(DIT Security)の拡販を進めると共に、情報セキュリティで最大の脅威となっているランサムウェア攻撃等から重要データを確実に保護するセキュリティ製品「WebARGUS(ウェブアルゴス) for Ransomware(ランサムウェア)」について顧客となるターゲットを絞り込み、営業を進めました。
業務効率化ビジネスについては、既存顧客の他部署への横展開を推進すると共に前期から積み上げていたリード顧客の案件の取り込みに努めましたが、SI開発の減少と体制強化に伴うコスト増もあり、売上・利益共に前年並みとなりました。
コロナ禍のニューノーマルな社会でニーズが拡大した電子契約のアウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」(ディ・ディ・コネクト)は、周辺開発を含め大幅に売上が増加し、利益に寄与し始めました。
これらの結果、ソフトウエア開発事業の売上高は4,501,030千円(前年同四半期比3.4%増)、セグメント利益(営業利益)は515,447千円(前年同四半期比17.3%減)となりました。
②システム販売事業
カシオ計算機株式会社製中小企業向け業務・経営支援システム「楽一」を主力とする販売ビジネスについては、2024年1月から義務化される「電子帳簿保存法改正に伴う電子データ取引データ保管」に向け営業を開始すると共に、インボイス制度導入の駆け込み需要により売上高及びセグメント利益は前年より大幅に増加しました。
この結果、システム販売事業の売上高は210,351千円(前年同四半期比29.7%増)、セグメント利益(営業利益)は30,611千円(前年同四半期比30.3%増)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における財政状態の分析は以下のとおりであります。
①流動資産
当第1四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ13,084千円増加し、7,391,334千円となりました。これは、主に現金及び預金が221,928千円減少し、売掛金及び契約資産が139,454千円、商品が40,123千円並びにその他が46,870千円それぞれ増加したことによるものです。
②固定資産
当第1四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ112,293千円増加し、910,668千円となりました。これは、有形固定資産が34,831千円及び投資その他の資産が84,681千円それぞれ増加し、無形固定資産が7,219千円減少したことによるものです。
③流動負債
当第1四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ146,176千円増加し、2,126,419千円となりました。これは、主に買掛金が113,792千円、賞与引当金が149,680千円及びその他が74,577千円それぞれ増加し、未払法人税等が184,061千円減少したことによるものです。
④固定負債
当第1四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ36,670千円増加し、226,680千円となりました。これは、主に株式給付引当金が6,967千円及びその他が29,406千円それぞれ増加したことによるものです。
⑤純資産
当第1四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ57,469千円減少し、5,948,902千円となりました。これは、主に利益剰余金が66,320千円、自己株式が137,108千円それぞれ増加したことによるものです。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社は、ソフトウエア開発事業の一環として、新製品・新技術の研究・開発に取り組んでおります。当第1四半期連結累計期間については、2,312千円の研究開発費を計上しております。
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