【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、まん延防止等重点措置が3月21日をもって全面解除されたことを受け、経済活動は徐々に正常化に向けた動きが見えてきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の第7波・第8波の影響により、引き続き先行き不透明な状況となりました。また、外食産業におきましては、原材料価格の高騰、急激な円安の進行、人件費や光熱費等の上昇など、引き続き厳しい経営環境が続いております。
このような状況下、当社グループは、既存事業への集中と今後を見据えた新業態の開発、育成、成長をより促進させるために、2022年1月1日付で、2つの子会社「株式会社オールウェイズ」、「株式会社ホットランドネクステージ」を立ち上げました。主力ブランド「築地銀だこ」事業や製販事業等の運営を行う「株式会社ホットランド」を引き続き主軸として、酒場事業の運営を行う「株式会社オールウェイズ」、主食事業の運営を行う「株式会社ホットランドネクステージ」、この3社体制を中心にグループ運営を推進してまいります。
「築地銀だこ」事業においては、11月17日より公益財団法人日本サッカー協会(JFA)が公認する『サッカー日本代表オフィシャルライセンス商品 だんらんパック』を、全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて数量限定で発売いたしました。また、11月30日から12月4日までの5日間、全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて、たこ焼(ソース・8個入り)の100円引き&スタンプ2倍の『年末大感謝祭』を開催した他、12月8日よりNHK Eテレで放送中の『かいじゅうステップ ワンダバダ』(製作:円谷プロダクション)とのコラボレーション商品(『贅沢だんらんパック』、『だんらんパック』、『クロワッサンたい焼 BOX』)を全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて数量限定で発売いたしました。また、デリバリーサービス対応店舗の拡充も継続して取り組んでおり、12月末のデリバリーサービス導入店舗数は酒場業態を含めて357店舗となり、売上も好調に推移いたしました。こうした取り組みにより、当連結会計年度における既存店売上高前年比は110.3%となりました。2020年より展開しているロードサイド型店舗については、収益性の改善に向けて、よりコンパクトなモデルへの改装や出店、グループ内業態との併設出店などに引き続き取り組んでおり、12月末のロードサイド型店舗の店舗数は16店舗となりました。また、デリバリー売上比率が高く今後の新たな出店モデルと考えている住宅街の路面店舗も堅調に推移いたしました。
酒場事業においては、3月21日のまん延防止等重点措置の解除に伴い、徐々にお客様の来店、売上も回復してまいりました。「銀だこハイボール酒場」や「銀だこ酒場」については、10月24日に「ギンダコハイボール酒場 新大久保店」を直営店で出店した他、11月15日に「ギンダコハイボール酒場 渋谷道玄坂店」、12月16日に「ギンダコハイボール酒場 八戸三日町店」をフランチャイズで出店いたしました。また、今後を見据えた小スペース・少人数での収益化が可能な業態として昨年より積極的に出店に取り組んできた「おでん屋たけし」は、引き続き好調に推移し、12月5日に「新橋烏森通り店」を出店し、12月末の店舗数は12店舗となりました。更にTBSテレビ「坂上&指原のつぶれない店」で放映された「元祖ざる焼 小林養鶏」の2号店目となる「蒲田西口店」を10月26日に出店した他、新たに「蕎麦と串焼き満天 つくば店」を10月7日に出店いたしました。
主食事業においては、ロードサイドマーケットをターゲットにし2021年11月に出店を開始した新業態「野郎めし」が好調に推移いたしました。10月14日に「座間店(神奈川県)」、10月28日に「町田木曽店(東京都)」、11月18日に「土浦店(茨城県)」、12月16日に「鹿沼店(栃木県)」がオープンし、12月末での店舗数は11店舗となりました。また新規出店に加え、グループ内の不採算店舗を「野郎めし」に業態変更するなど、積極的な展開を推進してまいります。当社が運営する「東京油組総本店<油そば>」業態も好調を維持しており、12月末の店舗数は27店舗となり、今後は「築地銀だこ」のロードサイド型店舗との共同出店等も計画しております。
製販事業においては、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け販売の他、アイスクリーム製品の大手スーパーマーケット向けの販路が拡大し、好調に推移いたしました。冷凍たこ焼については、今後海外販路の開拓に積極的に取り組んでまいります。
海外事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による諸規制の影響はあったものの、インドネシアではフランチャイズによる出店が進み、回復の兆しが見えてきております。また、香港では新型コロナウイルス感染症の影響は大きかったものの、直営店舗は営業黒字を維持しており、家賃下落等の外部環境の変化を商機と捉え、積極的な出店を行っており、当連結会計年度では6店舗の出店をいたしました。
この結果、当社グループの当連結会計年度末の店舗数につきましては、出店62店舗(国内37店舗・海外25店舗)、退店41店舗(国内32店舗・海外9店舗)により、697店舗(国内613店舗・海外84店舗)となりました(業態変更による出退店は含んでおりません)。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は32,163百万円(前連結会計年度比8.4%増)、営業利益は1,744百万円(前連結会計年度比79.8%増)となりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金及び為替予約の時価評価による為替差益等の計上により、経常利益は2,608百万円(前連結会計年度比27.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,358百万円(前連結会計年度比34.7%減)となりました。
店舗数の推移は、以下のとおりであります。
(店舗数の推移)
区分
ブランド
前連結会計年度
当連結会計年度
国内
築地銀だこ
432
425
銀だこハイボール酒場・銀だこ酒場・ギンダコハイボール横丁
55
64
油そば(東京油組総本店)
22
27
日本再生酒場・もつやき処い志井
19
15
おでん屋たけし
9
12
野郎めし
1
11
銀のあん
16
11
大釜屋
10
10
ごっつい
10
8
日本橋からり
8
4
その他
26
26
小計
608
613
海外
築地銀だこ
44
57
銀カレー
15
15
銀のあん
4
7
銀だこハイボール酒場
1
1
その他
4
4
小計
68
84
合計
676
697
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は193百万円増加し、3,214百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、増加した資金は2,896百万円であります。この増加は主に税金等調整前当期純利益1,906百万円、減価償却費1,339百万円があったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、減少した資金は1,835百万円であります。この減少は主に有形固定資産の取得による支出が1,644百万円あったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、減少した資金は909百万円であります。この減少は主に長期借入れによる収入が2,100百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が1,808百万円、短期借入金の純減少額が808百万円あったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
飲食事業
13,275,694
120.4
合計
13,275,694
120.4
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)販売実績
当連結会計年度の販売実績を契約形態ごとに示すと、次のとおりであります。
契約形態
販売高(千円)
前年同期比(%)
直営(国内)
18,432,795
-
直営(海外)
1,614,866
-
FC・PC
10,680,073
-
その他
1,435,341
-
合計
32,163,066
-
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る販売実績は、当該会計基準等を適用した後の金額となっております。そのため、前年同期比(%)は記載しておりません。また、これに伴い、当連結会計年度の期首より、契約形態ごとの金額の集計区分を変更しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りにあたりましては、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループが採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、財政状態及び経営成績に特に重要な影響を与える会計方針と見積りは、以下のとおりと考えております。
① 固定資産の減損処理の測定基準
当社グループは、店舗、工場及び賃貸物件など多くの固定資産を有しております。これら固定資産につきまして減損の認識が必要とされた場合の回収可能価額は、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い合理的に算定しておりますが、前提が異なることとなった場合には、将来追加で減損処理が発生する可能性があります。
② 繰延税金資産の計上基準
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金を有しております。これらにかかる繰延税金資産の計上にあたりましては、「税効果会計に係る会計基準」等に従い回収可能性を判断しており、将来の課税所得見積りは、その実現可能性について十分な検討を行い、必要に応じて評価性引当額を計上しております。しかし、将来の経営環境の変化などにより回収可能見込額が変動した場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(2) 財政状態に関する分析
資産、負債および純資産の状況は下記のとおりであります。
(資産) 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して750百万円増加し22,063百万円となりました。その主な要因は、為替予約が599百万円、有形固定資産が281百万円増加したこと等によるものであります。
(負債) 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して804百万円減少し11,382百万円となりました。その主な要因は、短期借入金が808百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産) 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して1,555百万円増加し、10,681百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,358百万円を計上したこと等によるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(1)経営成績」に記載しておりますが、その主な要因は次のとおりです。
①「築地銀だこ」の既存店舗における売上高の推移 当連結会計年度においては、臨時休業や営業時間短縮、酒類販売の制限等の影響はありながらも、「呪術廻戦」、「鬼滅の刃」等のコラボキャンペーンにより好調に推移いたしました。また、デリバリーサービスの拡充に継続的に取り組み、導入店舗数は12月末で357店舗となりました。 その結果、「築地銀だこ」事業の既存店舗における売上高は前年比110.3%(築地銀だこ業態:前年比108.1%、酒場業態:前年比128.2%)となりました。
②製販事業 製販事業においては、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け販売の他、アイスクリーム製品の大手スーパ ーマーケット向けの販路が拡大し、好調に推移いたしました。
③海外事業 海外事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による諸規制の影響はあったものの、インドネシア ではフランチャイズによる出店が進み、回復の兆しが見えてきました。また、香港では新型コロナウイルス感染症の影響は大きかったものの、直営店舗は営業黒字を維持いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は下記のとおりとなりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は32,163百万円となり、前連結会計年度に比べ8.4%の増加となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は1,744百万円となり、前連結会計年度に比べ79.8%の増加となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は2,608百万円となり、前連結会計年度に比べ27.6%の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,358百万円となり、前連結会計年度に比べ34.7%の減少となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況についての分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は193百万円増加し、3,214百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、増加した資金は2,896百万円であります。この増加は主に税金等調整前当期純利益1,906百万円、減価償却費1,339百万円があったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、減少した資金は1,835百万円であります。この減少は主に有形固定資産の取得による支出が1,644百万円あったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、減少した資金は909百万円であります。この減少は主に長期借入れによる収入が2,100百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が1,808百万円、短期借入金の純減少額が808百万円あったことによるものであります。
(5)キャッシュ・フローの状況についての分析に基づく資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載の通りであります。
なお、当社グループの事業活動における運転資金の需要の主なものは、生産に必要な運転資金(原材料・人件費及び外注費)、従業員給与等の販売費及び一般管理費があります。また、設備資金需要としましては、海外子会社を含む新規店舗の出店及び既存店舗の改装およびМ&A等があります。
これらの事業活動に必要な資金は、内部資金の活用を基本としておりますが、必要に応じて資本市場からの資金調達及び金融機関からの借入による資金調達も行っております。十分な手元流動性資金と金融機関の借入枠を有しているため、今後の運転資金及び投資資金需要にも十分対処できる状況であります。
(6)経営戦略の現状と見通し
外食市場におきましては、消費者の低価格志向・節約志向・中食需要の拡大等により大変厳しい環境となっておりますが、今後もコンビニや中食各社を含めた企業間競争の激化や新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、厳しい状況は続くことが想定されます。
このような状況において、当社グループは、2022年1月1日付で、グループ内の組織再編により、2つの新たな子会社「株式会社オールウェイズ(旧株式会社ギンダコスピリッツ)」、「株式会社ホットランドネクステージ」を立ち上げました。前者は「銀だこハイボール酒場」、「銀だこ酒場」、「おでん屋たけし」、「日本再生酒場」等の酒場業態を展開していく会社として、後者は「油そば」、「野郎めし」等の主食業態を展開していく会社として、それぞれ事業を推進してまいります。
2023年12月期につきましては、原材料価格の高騰、円安の進行、人件費や光熱費等の上昇なども踏まえながら、当社の主力事業である「築地銀だこ」の安定的な成長に加え、冷凍たこ焼の卸販売事業の拡大、そして、子会社「株式会社オールウェイズ」による酒場業態の展開、「株式会社ホットランドネクステージ」による主食マーケットの開拓に引き続き取り組んでまいります。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、2022年3月にまん延防止等重点措置が全国で解除となり、日常生活の制約や経済活動への制限も緩和され、経済活動の正常化に向けた動きが見られておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は日本のみならず全世界において膨大な損失を与え、また、国内外の人々の生活に甚大な影響を及ぼし、社会全体が大きく変わる可能性があります。当社はこのような時代だからこそ「企業個性」を磨き、さらに強く発揮することが最も重要であると考えております。
当社は、創業以来、挑戦と失敗を繰り返し、その失敗から学び、成長を遂げてまいりました。その中で培った個性が「自由な発想力」、「行動力」、「スピード感」、「現場力」、そして、何よりも大切にしているものは「人を想う心」です。これらの「企業個性」には、時代や環境の変化への「対応力」があると信じております。「人を想う心」を持った人材を育て上げ、日本の良き「共食」文化を世界に広げてまいります。
また、世界のマーケットでは、「和食」は日本の重要輸出品目であり、健康食としての和食ブームは今後もますます拡大していくことと考えております。
当社グループの店舗へのお客様の支持を獲得し続けていくために、当社グループは本来食事の持つ「おいしさ」、「あたたかさ」、「楽しさ」を大切にし、安全で美味しい商品を提供し続けてまいります。