【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍で制限されていた経済社会活動が大幅に緩和され、景気持ち直しの動きがみられました。一方で世界的な金融引き締めに伴う急激な円安の進行により、エネルギー資源や原材料の高騰を招き、景気の下押し圧力となっています。日銀が公表した2022年11月の国内企業物価指数は前年同月比で9.3%上昇しました。2020年平均を100とする指数は118.5となり、8ヶ月連続で過去最高を更新し景気の先行きは不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業は、従前から引き続き、クラウドシフトやアジャイル活用、及びSAP・ERPの保守サポートが今後終了することに伴う後続製品へのアップグレード需要等を背景として、デジタル変革「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」関連の推進機運は一層高まりを見せました。特定サービス産業動態統計(経済産業省/2022年12月分)によると、情報サービス業の前年同月比の売上高は2022年3月を除き12月まで19ヶ月増加傾向で推移しております。また、法人企業景気予測調査結果(内閣府・財務省/令和4年10‐12月期調査)によると、2022年度のソフトウェア投資額を含む設備投資額は13.2%増の見込みとなっており、企業の設備投資に対する意欲は堅調に推移しております。その一方で、情報サービス業はシステムエンジニア(SE)の不足が常態化しており、IT人材の育成が急務となっております。
このような経営環境の下、官民両面でDXへの取組みが加速する中、当社はSEの確保のために国内、中国の2系統の採用ルートがあるという強みを最大限に活用し、グローバルで優秀な人材の採用をさらに推進しております。また、採用に加え、ビジネスパートナーも積極的に活用し、案件を確実に遂行する体制の確保に取り組んだことにより、主要顧客大手SIer3社の取引が好調に推移しました。その結果、増収増益となり、過去最高を更新しました。
中国子会社においては、3月から5月にかけて子会社が所在する上海市で新型コロナ感染症の拡大によりロックダウンが行われ、また、12月に行われたゼロコロナ政策の方針転換により、中国全土で感染者が急増し経済にも一部混乱が見られましたが、テレワーク環境下で業務を継続することで事業への影響はありませんでした。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高17,045百万円(前期比28.2%増)、営業利益3,910百万円(同30.3%増)、経常利益3,931百万円(同30.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,726百万円(同28.2%増)となりました。
なお、当社グループは、ソフトウェア受託開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、14,559百万円となり、前連結会計年度末より3,118百万円増加しました。
流動資産は、前連結会計年度末より2,972百万円増加し、12,962百万円となりました。これは主に売上債権の回収等により現金及び預金が2,703百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末より146百万円増加し、1,597百万円となりました。これは主に繰延税金資産が142百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、3,960百万円となり、前連結会計年度末より1,104百万円増加しました。
流動負債は、前連結会計年度末より1,186百万円増加し、3,934百万円となりました。これは主に未払費用が366百万円、未払法人税等が513百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末より81百万円減少し、26百万円となりました。これは主に長期借入金が80百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、10,598百万円となり、前連結会計年度末より2,013百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が1,914百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は10,191百万円となり、前連結会計年度末より2,701百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,667百万円(前年同期は1,437百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上3,931百万円の資金増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は38百万円(前年同期は116百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出24百万円の資金減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は948百万円(前年同期は1,063百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額811百万円の資金減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループはソフトウェアの受託開発を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア受託開発
17,561,425
130.2
2,260,559
129.5
合計
17,561,425
130.2
2,260,559
129.5
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア受託開発
17,045,851
128.2
合計
17,045,851
128.2
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
富士通株式会社
2,592,862
19.5
3,598,123
21.1
株式会社野村総合研究所
1,933,156
14.5
2,395,368
14.1
みずほ証券株式会社
1,895,311
14.3
1,987,810
11.7
株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ
1,358,047
10.2
1,734,121
10.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表を作成するにあたっての重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高、売上原価及び売上総利益
当連結会計年度における売上高は、主要顧客4社のうち、大手SIer3社との取引拡大等により17,045百万円となり、前連結会計年度に比べて3,751百万円、28.2%の増加となりました。
当連結会計年度における売上原価は、売上拡大に伴う人件費及び外注費の増加等により12,133百万円となり、前連結会計年度に比べて2,735百万円、29.1%の増加となりました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は4,911百万円となり、前連結会計年度に比べて1,016百万円、26.1%の増加となりました。
b.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、採用関係費の増加等により1,001百万円となり、前連結会計年度に比べて107百万円、12.0%の増加となりました。
この結果、当連結会計年度における営業利益は3,910百万円となり、前連結会計年度に比べて908百万円、30.3%の増加となりました。
c.営業外損益及び経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、為替差益の計上等により22百万円となり、前連結会計年度に比べて3百万円、18.5%の増加となりました。
当連結会計年度における営業外費用は、為替差損の減少等により1百万円となり、前連結会計年度に比べて14百万円、89.3%の減少となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は3,931百万円となり、前連結会計年度に比べて926百万円、30.8%の増加となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における税効果会計適用後の法人税等負担額は、税金等調整前当期純利益の増加に伴い1,169百万円となり、前連結会計年度に比べて316百万円、37.1%の増加となりました。また、連結子会社にかかる非支配株主に帰属する当期純利益は36百万円となり、前連結会計年度に比べて10百万円の増加となりました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,726百万円となり、前連結会計年度に比べて600百万円、28.2%の増加となりました。
なお、財政状態の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」、キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、運転資金については、当座貸越を利用することにより、手許資金で賄うこととしております。なお、当座貸越枠につきましては、取引銀行4行と契約を締結しており、その限度額は総額2,500百万円であります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、経営指標として営業利益を重視しております。当連結会計年度における営業利益の前年同期比は以下のとおりであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。
2021年12月期
2022年12月期
前年同期比
営業利益
3,001百万円
3,910百万円
130.3%
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