【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産の部)
当事業年度末における総資産は2,386,263千円となり、前事業年度末と比較し907,892千円増加いたしました。
流動資産は2,070,791千円となり、前事業年度末と比較し853,916千円増加いたしました。これは主に、公募増資414,000千円及び当期純利益510,027千円の計上による現金及び預金の増加771,815千円によるものであります。
固定資産は315,472千円となり、前事業年度末と比較し53,976千円増加いたしました。これは主に、金沢営業所開設及び本社移転等による敷金の増加65,741千円、2019年6月30日に旧株式会社ファインズを吸収合併したことにより発生したのれんの償却18,239千円、営業支援システムの改良によるソフトウエア仮勘定の増加8,520千円によるものであります。
(負債の部)
当事業年度末における負債は638,787千円となり、前事業年度末と比較し21,486千円減少いたしました。
流動負債は638,787千円となり、前事業年度末と比較し21,486千円減少いたしました。これは主に、1年内償還予定の社債の償還20,000千円によるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産は1,747,476千円となり、前事業年度末と比較し929,379千円増加いたしました。これは主に、当期純利益510,027千円の計上に伴い利益剰余金が増加し、公募増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ209,676千円増加したためとなります。
②経営成績の状況
当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限が緩和され経済回復が期待される一方、世界的に金融引締めが進む中で金融資本市場の変動や原材料価格の高騰等、景気下振れリスクが高まり、依然として先行きが不透明な状態が続いておりました。
しかしながら、当社の位置するDX市場は2030年に6兆5,195億円(注)に達する見込みとされる等、社会全体としてDXへの関心やニーズへの高まりが定着しつつあり、当社にとっては継続的に追い風の状況が続いているものと考えております。
このような環境下において当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、主力サービスである「Videoクラウド」の販売に注力してまいりました。効果的な集客手段や求人方法などに課題意識を持った全国各地の中小企業事業者や個人事業主向けに、動画の視聴データを有効活用することで、「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪から経営課題の改善をサポートし、企業のDX化を推進する事業活動を行ってまいりました。また、当事業年度末でのセールスコンサルタント人員は、前年同期比で17.3%増加し、163名となっており事業拡大に寄与しております。また、社内制作の生産性が向上したことで、内製化率が引き続き高い水準で推移した結果、売上原価が抑制されております。これにより、当事業年度における各段階利益は、業績予想に対して順調な推移となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,913,096千円(前年同期比12.2%増)、営業利益は739,034千円(前年同期比24.9%増)、経常利益は743,469千円(前年同期比23.7%増)、当期純利益は510,027千円(前年同期比21.3%増)となりました。
(注)「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研
当事業年度の経営成績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
a.Videoクラウド事業
当事業では、主力サービスである「Videoクラウド」の販売に注力し、全国各地の中小企業事業者や個人事業主等のSMB向けに動画の視聴データを有効活用することで、「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪から経営課題の改善をサポートし、企業のDX化を推進する事業活動を行った結果、2021年4月に本格リリースした動画配信プラットフォームサービス「Videoクラウド」に関しては、導入実績社数が順調に拡大しており、ストック収益の積み上げに寄与しております。さらに、既存顧客へのアップセル・クロスセルへの取り組みを強化した結果、Videoクラウドで得られた視聴データを元に企業のDX支援を行うDXコンサルティングサービス等、複数商材を導入した顧客の増加により、業績が拡大しております。
その結果、売上高は2,809,117千円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益は1,281,952千円(前年同期比32.5%増)となりました。
b.店舗クラウド事業
当事業は、2022年6月期を以って新規販売を停止しており、既存顧客のみへのサービス提供を行っております。
その結果、売上高は103,978千円(前年同期比54.1%減)、セグメント利益は91,626千円(前年同期比43.4%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ771,815千円増加し、1,737,173千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は464,848千円(前事業年度は561,611千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益743,469千円(前事業年度は601,147千円の計上)の計上、売上債権の増加額による資金の減少51,581千円(前事業年度は5,287千円の減少)、契約負債の減少額53,221千円(前事業年度は110,009千円の増加)、法人税等の支払額215,411千円(前事業年度は161,582千円の支払)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は83,336千円(前事業年度は3,395千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,400千円(前事業年度は2,091千円の支出)、敷金及び保証金の差入による支出68,702千円(前事業年度は1,073千円の支出)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は390,304千円(前事業年度は460,014千円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入419,252千円(前事業年度は7,514千円の収入)によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
Videoクラウド事業
2,669,670
109.6
558,854
92.2
店舗クラウド事業
2,051
2.5
-
-
合計
2,671,722
106.0
558,854
92.2
(注) セグメントのうち受注販売を行っているのは、制作売上のみであります。上記金額は制作売上の受注高、受注残高であります。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
Videoクラウド事業
2,809,117
118.6
店舗クラウド事業
103,978
45.9
合計
2,913,096
112.2
(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社は、のれんについて10年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたり慎重に検討することとしておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②財政状態の分析
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は2,913,096千円(前年同期比12.2%増)となりました。これは主に、前事業年度同様、国内のDX市場の成長により、社会全体としてDXへの関心やニーズへの高まりが定着しつつあり、動画のDXにおける活用幅が拡がりを見せていることから、Videoクラウド事業のニーズが高まっていることが挙げられます。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は473,864千円(前年同期比3.5%減)となりました。これは主に、前事業年度同様、動画制作の内製化の向上に努めたことにより売上高外注費率が8.0%(前年同期比2.6ポイント減)へ減少したことによるものであります。
この結果、当事業年度の売上総利益は2,439,231千円(前年同期比15.9%増)となりました。売上総利益率は2.6ポイント増加し、83.7%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,700,196千円(前年同期比12.4%増)となりました。これは主に、中途採用を積極的に行ったことにより給与手当が89,239千円増加、外形標準課税の適用により租税公課が22,881千円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度の営業利益は739,034千円(前年同期比24.9%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は13,511千円(前年同期比19.8%減)となりました。これは主に、顧客からのキャンセル増加に伴い、逸失利益の補填に係る受取補償金が2,775千円減少したことによるものであります。また、営業外費用は9,076千円(前年同期比21.3%増)となりました。これは主に、株式上場に伴う上場関連費用が6,948千円増加したことによるものであります。
この結果、経常利益は743,469千円(前年同期比23.7%増)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当事業年度における特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税等合計を233,442千円計上しております。
この結果、当期純利益は510,027千円(前年同期比21.3%増)となりました。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要の主なものは、外注費、広告宣伝費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
運転資金及び投資資金は自己資金のほか、金融機関からの長期借入により調達することとしております。なお、当事業年度末の現金及び預金は1,737,173千円であり、十分な流動性を確保していると考えております。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高構成比の高い、Videoクラウド事業の収益モデルを重視しております。売上高及び営業利益の主な構成要素として下表の指標を主要な経営指標と位置付けております。
a.セールスコンサルタント数(注1)
b.納品件数(注2)
c.動画制作単価(注3)
d.内製化率(注4)
重要な経営指標
2020年6月期
2021年6月期
2022年6月期
2023年6月期
セールスコンサルタント数(人)
63
76
120
152
納品件数(件)
1,189
1,306
1,523
1,795
動画制作単価(千円)
860
1,100
1,320
1,314
内製化率(%)
33.6
34.1
46.6
77.2
(注)1.Videoクラウド事業(DXコンサルティングを除く。)のセールスコンサルタント在籍人数を期中平均算出
2.動画制作サービスの納品件数
3.動画制作サービスの平均制作単価であり、小数点以下は四捨五入
4.動画制作工程の「①ディレクション」「②撮影」「③編集」「④納品」のうち、「②撮影」以外の全ての工程を当社で担った案件の比率を算出
当該指標に対する今後の方針としては、中途採用を中心としたセールスコンサルタントの採用強化、それに伴う納品件数の増加、戦略的顧客ターゲット層の引き上げによる動画制作単価の向上、内製化促進による動画制作プロセスの改善とそれぞれを強化していくことで、結果として売上高、営業利益の成長に繋げていきたいと考えております。
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