【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績(経営成績)当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、オミクロン株を主とする新型コロナ感染症蔓延の第7波の影響や継続するロシアのウクライナ侵攻の影響により経済活動の先行きが再び不透明な状況となっております。
当社グループは、「Every Life Deserves Attention(すべての命に、光を)」を経営理念として掲げ、そのほとんどが希少疾患に属する遺伝子疾患に対して画期的な新薬を提供することを目標とし、研究開発を行っております。技術的基盤となるCRISPR-GNDM®プラットフォームを元に、世界初のCRISPRを用いた遺伝子制御治療を開発する会社として2016年の設立から7期目に当たる当連結累計期間にいたるまで、リーディングカンパニーとして最先端の研究をリードし続けてまいりました。この成果を結実させるべく当期は臨床試験に向けた取り組みを本格化させております。
当第2四半期連結累計期間においては、MDL-101を中心とした各協業モデルパイプライン及び自社モデルパイプラインの研究開発は着実に進んでおります。MDL-101は2023年中の治験申請にむけて開発を継続しております。7月中旬にFDAとINTERACTミーティングを実施し、INDに至るまでに解決すべき課題の確認を行いました。当社が進める遺伝子制御による治療薬の開発はCRISPRを用いる方法のみならず、その他のプラットフォームにおいても臨床入りの経験が無い新しいアプローチであり、また当局にとっても新しいアプローチであるために、適用されるガイドラインや臨床入りに必要な試験については明らかではない部分がありました。しかしながら、この度の当局との対話により、概ね当社の仮説通りの試験を行えば良いことが明らかになったと考えます。この他のパイプラインも確実な進捗を見せております。アルツハイマー病を含むタウオパチーをターゲットとしたMDL-104ではヒト化タウモデルマウスにおいてGNDMによるタウタンパクの抑制を確認することができています。これによりマウス版MDL-104ではなくヒト版MDL-104の効果を直接みることができます。また、MDL-105のパイプラインにおいては臨床及び遺伝子解析の専門家とのディスカッションを行い、将来の臨床試験及び上市後に対象となる患者群についての理解を深めるにいたりました。結果、相当数の患者がTitin遺伝子の変異によって拡張型心筋症になっていることが示唆され、当社のアプローチによる治療薬開発に一定の合理性があることが示されました。これら研究開発の取り組みと平行して当社はCMD1aの患者団体であるCureCMD及び当該疾患の臨床の専門家とのエンゲージメントを作り、臨床に向けた取り組みを加速させています。当社が対象としている希少疾患の場合、臨床試験における患者さんのリクルーティングはマスによるアプローチではなく、ネットワークを介した個別の患者さんへのアプローチになるため、臨床前のこうした助走は将来の臨床試験をスムースに遂行させるために重要であると考えます。5月にはワシントンD.C.で開催された米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)において、6演題を発表しました。このうち、当社のリードプログラムのMDL-101、タウオパシーを対象としたMDL-104、拡張型心筋症を対象としたMDL-105、アンジェルマン症候群を対象としたMDL-205について、6演題を発表しました。学会での発表は今回が初めてでしたが、CRISPR-GNDM®プラットフォームへの注目度が高まったと考えます。特許面においては、当社と当社のパートナーであるアステラス社との間でデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬開発を目指して共同出願された「ユートロフィン遺伝子を標的とした筋ジストロフィーの治療法」の特許出願が日本において4月に特許査定を受け、5月に特許登録となっておりますが、6月に米国でも特許査定を受けました。治療薬の最も大きい市場である米国で特許成立の見通しとなったことは大きな成果であると考えます。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、事業収益40,500千円(前年同四半期は事業収益1,100千円)、営業損失868,457千円(前年同四半期は営業損失477,318千円)、経常損失780,483千円(前年同四半期は経常損失464,982千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失775,695千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益17,702千円)となりました。なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(財政状態)(流動資産)当第2四半期連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて811,942千円減少し、4,255,101千円となりました。これは主に、現金及び預金が777,701千円減少したためであります。
(固定資産)当第2四半期連結会計期間末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて85,947千円増加し、1,088,041千円となりました。これは主に、有形固定資産が117,980千円増加したためであります。
(流動負債) 当第2四半期連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて24,582千円増加し、205,300千円となりました。これは主に、賞与引当金が18,634千円増加したためであります。
(固定負債)当第2四半期連結会計期間末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて14,028千円減少し、325,178千円となりました。これは主に、その他固定負債が11,221千円減少したためであります。
(純資産)当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて736,548千円減少し、4,812,663千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失が775,695千円発生したためであります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて777,701千円減少し、4,158,491千円となりました。当第2四半期連結累計期間末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、使用した資金は713,384千円(前年同四半期は18,377千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純損失780,483千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は118,965千円(前年同四半期は275,022千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出129,719千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、獲得した資金は3,653千円(前年同四半期は56,436千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入7,595千円によるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動 当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、778,908千円であります。 なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。