【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルスの新変異種の出現による感染症再拡大に始まり、物価高や為替相場の変動といった厳しい環境に見舞われたものの、ウィズコロナの浸透による社会経済活動の正常化に向けた着実な動きが見られました。海外では、国内よりも早期に経済の回復が進んだ一方、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、欧米の歴史的なインフレとそれに対応する利上げの発生や、中国のゼロコロナ政策の影響による経済成長の鈍化等、先行き不透明な状況が継続しました。
このような環境の中、当社グループは、国内では、段階的に回復する飲食市場への拡販及び流通販売業や加工販売業等の飲食外市場への拡販と新規顧客の開拓に注力しました。上半期においては世界的なサプライチェーンの混乱や中国ロックダウン等を起因とする部材の調達難が起こり製品供給への制約が生じましたが、7月以降は段階的に緩和に向かいました。一方、部材価格の高騰は継続しており、自社努力のみでは収益性の改善は困難と判断し、6月には製品価格の改定を実施しております。
海外では、経済の持ち直しに伴う需要の回復への対応に注力する一方で、一部製品においては、部材の調達難が起こり製品供給への制約が生じました。また、世界的な部材価格や物流費の高騰、米国を中心とした人手不足や人件費の上昇等の影響を受ける中、製品価格の改定を随時実施し、収益性の維持に努めました。
イ.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高は3,213億38百万円(前期比17.1%増)、営業利益は279億15百万円(同12.0%増)となりました。保有外貨資産等の円換算評価による為替差益90億32百万円を計上したこと等により、経常利益は377億63百万円(同21.2%増)となりました。また、特別損失として事業構造改革費用31億22百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は243億45百万円(同12.3%増)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
1.日本
日本におきましては、上半期は部材の調達難が起こり、代替部品の確保等に努め生産活動は継続したものの、製品の納品までのリードタイムが長期化しておりました。また、代替部品の調達にかかる費用や部材価格の高騰が利益に大きく影響していた中、6月に製品価格の改定を実施しております。下半期は部材の調達難が段階的に緩和し、ほぼ全ての製品が通常生産可能となり、特に主力製品である冷蔵庫、製氷機及び食器洗浄機等の拡販に努めました。その結果、売上高は1,934億7百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益は192億99百万円(同17.1%増)となりました。
2.米州
米州におきましては、部材の調達難による製品供給への制約も生じる中、経済の回復に伴う強い需要に対して、製氷機、ディスペンサ等の拡販に努めました。また、製品価格の改定によって収益性の維持に努めた一方で、急激なインフレに伴う部材価格や人件費の高騰の影響を受けました。その結果、売上高は797億3百万円(前期比30.4%増)、セグメント利益は54億47百万円(同3.0%減)となりました。
3.欧州・アジア
欧州・アジアにおきましては、欧州において製氷機部材の調達難・供給制約があったものの、飲食店向けを中心に主力製品の拡販に努めました。また、インドにおいては冷蔵庫の販売が好調に推移しました。その結果、円安による為替換算の影響もあり、売上高は571億58百万円(前期比44.9%増)、セグメント利益は48億20百万円(同39.9%増)となりました。
ロ.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ437億57百万円増加し、4,222億27百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ175億94百万円増加し、3,282億40百万円となりました。主な要因は、生産増に対応した原材料及び貯蔵品の増加によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ261億62百万円増加し、939億86百万円となりました。主な要因は、のれんの増加によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ109億92百万円増加し、1,296億円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ85億38百万円増加し、1,029億87百万円となりました。主な要因は、仕入増加に伴う支払手形及び買掛金の増加によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ24億53百万円増加し、266億12百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ327億65百万円増加し、2,926億27百万円となりました。主な要因は、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ50億53百万円増加し、1,866億69百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、51億70百万円の収入(前期は273億43百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益が346億32百万円ありましたが、棚卸資産の増加169億25百万円、法人税等の支払額135億94百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、19億41百万円の収入(前期は52億38百万円の収入)となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が187億48百万円、有形固定資産取得による支出51億56百万円でありましたが、一方で定期預金の純減による収入が270億48百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、133億49百万円の支出(前期は81億22百万円の支出)となりました。主な要因は、配当金の支払額が123億6百万円あったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
日本(百万円)
70,893
110.6
米州(百万円)
68,824
162.5
欧州・アジア(百万円)
45,234
148.7
合計(百万円)
184,952
135.1
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
日本(百万円)
49,710
111.6
米州(百万円)
3,154
137.2
欧州・アジア(百万円)
6,421
105.9
合計(百万円)
59,286
112.0
(注)金額は、仕入価格によっております。
ハ.受注実績
当社グループは、見込生産を行っているため、該当事項はありません。
ニ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
日本(百万円)
186,439
106.4
米州(百万円)
79,054
130.4
欧州・アジア(百万円)
55,845
144.9
合計(百万円)
321,338
117.1
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等の分析
1.経営成績
売上高は3,213億38百万円(前期比17.1%増)となりました。セグメントごとの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、日本は1,934億7百万円(同6.9%増)、米州は797億3百万円(同30.4%増)、欧州・アジアは571億58百万円(同44.9%増)となりました。海外売上高は1,348億99百万円(同36.1%増)となり、連結売上高に占める海外売上高比率は42.0%(同5.8ポイント増)となりました。
売上原価は2,095億19百万円(前期比19.9%増)となりました。売上総利益は1,118億19百万円(同12.2%増)となりました。売上総利益率は34.8%(同1.5ポイント減)となりました。
販売費及び一般管理費は839億3百万円(前期比12.2%増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は26.1%(同1.1ポイント減)となりました。営業利益は279億15百万円(同12.0%増)となりました。セグメント利益は日本は192億99百万円(同17.1%増)、米州は54億47百万円(同3.0%減)、欧州・アジアは48億20百万円(同39.9%増)となりました。
営業外収益は為替差益が90億32百万円あったこと等により110億51百万円(前期比69.8%増)となりました。営業外費用は12億3百万円(同337.1%増)となりました。経常利益は377億63百万円(同21.2%増)となりました。
特別利益は81百万円(前期比32.4%減)となりました。特別損失は事業構造改革費用を計上したこと等により32億12百万円(同5,794.3%増)となりました。税金等調整前当期純利益は346億32百万円(同10.9%増)となりました。
法人税等合計は97億39百万円(前期比5.5%増)となりました。非支配株主に帰属する当期純利益は5億46百万円(同69.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は243億45百万円(同12.3%増)となりました。
なお、経営成績に影響を与える要因の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 」もご覧ください。
2.財政状態
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 ロ財政状態」のとおりであります。
3.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
また、事業運営上必要な資金を確保すると共に、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。事業活動に必要な資金については、主に内部資金を活用しております。また、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は18億97百万円、現金及び現金同等物の残高は1,866億69百万円となりました。