【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社が判断したものであります。(1)経営成績の分析当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナ紛争の影響が長引くとともに、為替も急激に変動しており、依然として注視すべき状況が継続しております。当社の最終ユーザー諸国においては、中東諸国では行動制限解除によるラマダン好況を受けて、受注と出荷への追い風となったものの、中国ではゼロコロナ政策に伴う景気減速の影響が強く残る形となりました。我が国経済においては、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の正常化との両立が進められる中で景気は緩やかな持ち直しが見られたものの、一方で、資源高騰に伴うエネルギー価格の大幅上昇や原材料価格の値上がりから、経営環境は予断を許さない状態にあります。このような環境下、当社グループでは、製品需要を勘案した生産体制や人員体制を整備し、既存事業の発展・強化に努めるとともに、新規事業であるリサイクル事業の生産と販売体制の安定化を進めてまいりました。しかしながら、コスト上昇に伴う製品価格改定が一部あったため、コスト上昇をカバーするには至らなかったこと、リサイクル事業での一時的な販売数量減少があったことにより、当社グループの第3四半期連結累計期間の業績は、売上高908,645千円(前年同期比59.17%増)、営業損失105,924千円(前年同四半期は85,395千円の営業損失)、経常損失97,798千円(前年同四半期は80,458千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失123,596千円(前年同四半期は84,336千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
当社個別決算につきましては、前年同期累計期間(2021年4月から2021年12月)との比較では、各指標において著しい改善には至りませんでしたが、直前四半期会計期間(2022年7月から2022年9月)と当第3四半期会計期間(2022年10月から2022年12月)の比較では、下表のとおり売上高、営業損益ともに回復の方向に向かっております。
回次
第100期第2四半期会計期間
第100期第3四半期会計期間
前四半期会計期間比較
会計期間
自 2022年7月1日至 2022年9月30日
自 2022年10月1日至 2022年12月31日
売上高
(百万円)
257,024
317,286
+60,261(+23.4%)
営業損失(△)
(百万円)
△29,101
△20,421
+8,680
経常損失(△)
(百万円)
△24,779
△25,305
△526
なお、各セグメント別の業績は次のとおりであります。各セグメントの営業損益は、各事業に配分していない全社費用93,796千円を配分する前の金額であります。
(紡績事業)当第3四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、未だ半導体不足による先行きの不透明感から一部の用途向け製品については需要が一時より落ち着いているものの、全体として受注の引き合いは堅調に推移しております。主力のアラミド繊維製品においては、当期首以降の自動車関連向け紡績糸の強い引き合いがピークを迎えておりますが、生産量はほぼ前年同期並みとなりました。一方で、回復傾向にある高級インナー向け紡績糸においては需要の最盛期を迎えたことから、生産量は前年同期より若干増加となりました。また、ポリエステル等の他素材についても、ユニフォーム関連向け紡績糸の受注増が継続していることから、生産量は前年同期より若干増加となりました。利益面でも、大幅なエネルギー価格の上昇によるコストアップの影響を受けているものの、加工費の価格改定による売価転嫁が順調に進んでおります。この結果、紡績事業全体での第3四半期連結累計期間の生産数量は前年同期より3.18%増加し510tとなり、業績は、売上高259,002千円(前年同期比3.53%増)、営業利益822千円(前年同期比96.66%減)となりました。(テキスタイル事業)当第3四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、為替の急激な変動や加工スペースの確保等の不確定要素はあるものの、順調な需要の回復が進んでおります。中東各地域では、ラマダンセール向け商品が出荷最盛期を迎えたこと、及び為替の円安基調も後押ししたことで、予算を超える売上を達成しております。一方で、東南アジア向け商品は新たな引き合いも増え受注は堅調に推移しているものの、加工委託先スペースの問題から計画数量の出荷には至りませんでした。今後も引き続き、加工場のキャパシティを勘案しながらの契約の納期管理とスムーズな出荷、及び新規用途開発を進めていく予定であります。この結果、テキスタイル事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高426,902千円(前年同期比97.52%増)、営業利益34,903千円(前年同期比608.47%増)となりました。(ヘルスケア事業)既存商材の不織布マスクは、業界内の競争激化を背景に、受注と生産が伸び悩みました。また、子会社である株式会社中部薬品工業では、既存の主力製品であるパウダー歯磨き粉の販売数量が減少しておりますが、委託製造の新商品については、2022年3月からドラッグストアチェーンでの取扱が開始し、市場ニーズを取り込めたことで販売は徐々に回復基調にあります。この結果、ヘルスケア事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高77,203千円(前年同期比3.47%減)、営業損失16,151千円(前年同四半期は16,956千円の営業損失)となりました。(リサイクル事業)前連結会計年度より新たに開始したリサイクル事業につきましては、第1四半期会計期間においては、生産設備の不具合を受け一時的に生産量減少となりましたが、第2四半期会計期間以降は安定的に生産を継続し、出荷量も回復傾向にあります。販売状況においては、これまでの主要供給先であった中国の大幅な景気後退の影響を受けており、大幅な販売量減少となりました。今後は、販売ポートフォリオの見直しによる国内販売先の開拓に注力し、第3四半期会計期間より国内大手プラスチック成形メーカー向けの販売を開始いたしました。これにより下半期の収益に大きく貢献することを期待しております。この結果、リサイクル事業の第3四半期連結累計期間の業績は、売上高145,467千円(前年同期比495.83%増)、営業損失31,745千円(前年同四半期は5,090千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析(資産)総資産は前連結会計年度末より168,877千円増加し2,239,081千円となりました。これは主に、以下の理由により、現金及び預金が69,696千円減少した一方で、売上高の拡大により受取手形および売掛金が77,356千円増加するとともに、商品仕入の前払により前渡金が20,318千円増加したこと、また、新規加工設備の建屋建築と生産機材導入を進める中で建設仮勘定が210,168千円増加したこと、及び売却や時価の変動により投資有価証券が36,252千円減少したことによるものであります。(負債)負債は前連結会計年度末より309,558千円増加し1,299,390千円となりました。これは主に、上記新規設備の建設と導入が進む中で設備未払金が増えたことで未払金が135,516千円増加するとともに、その支払に備え短期借入金が160,000千円増加したことによるものであります。(純資産)純資産は前連結会計年度末より140,680千円減少し939,690千円となりました。これは主に、四半期純損失を計上したことにより利益剰余金が123,585千円、有価証券の売却や時価の変動によりその他有価証券評価差額金が17,095千円減少したことによるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は7,712千円であります。紡績事業については、取引先企業と共に生産品種の拡大等に取り組み、販売費及び一般管理費に4,197千円計上しております。その他の事業については、抗菌・抗ウイルス糸の研究開発に取り組み、販売費及び一般管理費に3,515千円計上しております。テキスタイル事業及びヘルスケア事業については、研究開発費の計上はありません。
(5)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策「1.事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象に対応すべく、以下の対応策を実施しております。① 紡績事業及びテキスタイル事業の強化紡績事業は、取引先との連携強化、研究開発の迅速化により高機能繊維の開発に取り組み、自社ブランドの確立を図ってまいります。テキスタイル事業は、グレードの多様化による販売強化に取り組んでおります。② ヘルスケア事業のポートフォリオ変更ヘルスケア事業は、不織布マスクの製造販売から、連結子会社である中部薬品工業を中核としたオーラルケア用品や健康補助食品へシフトし、開発強化に取り組みます。③リサイクル事業の強化リサイクル事業は、既存の紡績事業に並ぶコア事業の早期実現に向けて、新掛川工場の操業を高めるとともに、白山本社工場への新規設備導入を行い、売上と利益の拡大を図ります。④ キャッシュ・フローの改善運転資金面では、前年度に株主割当増資により調達した資金を活用しているものの、新規設備や商品仕入の先行投資のため、キャッシュ・フローは継続してマイナスの状態にあります。引き続き、新株予約権行使促進等の資金政策を進めるとともに、投資の早期収益化に努めてまいります。なお、2023年1月17日に第三者割当による新株及び新株予約権の発行を決議し、同年2月7日に発行価額の払込を受けていることから、今後の資金的余裕は担保しております。これらの対応策を進めることにより、当第3四半期会計期間末において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。