【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社が判断したものであります。(1)経営成績の分析当第2四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明な中で、ウクライナ紛争の影響が長引くとともに、円安も急速に進行していることから、依然として注視すべき状況が継続しております。当社の最終ユーザー諸国においては、中東諸国での行動制限解除による需要回復を受けて、受注と出荷への追い風となったものの、中国の経済停滞の影響を強く受ける形となりました。また、我が国経済においては、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和され、経済活動正常化が期待される一方で、資源高騰に伴うエネルギー価格の大幅上昇や原材料価格の値上がりから、予断を許さない状況にあります。このような環境下、当社グループは徹底した感染症対策に努め、製品需要を勘案した生産体制や人員体制の整備を図ってまいりましたが、前述の通り事業全体のコスト上昇とリサイクル事業での販売数量減少により、第2四半期連結累計期間の業績は、売上高551,320千円(前年同期比61.1%増)、営業損失81,241千円(前年同四半期は46,470千円の営業損失)、経常損失66,605千円(前年同四半期は43,891千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失89,872千円(前年同四半期は46,341千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。当社個別決算につきましては、前年同期累計期間(2021年4月から2021年9月)との比較では、各指標において著しい改善には至りませんでしたが、直前四半期会計期間(2022年4月から2022年6月)と当第2四半期会計期間(2022年7月から2022年9月)の比較では、下表のとおり売上高、営業損益、経常損益ともに回復の兆しが見えつつあります。
回次
第100期第1四半期会計期間
第100期第2四半期会計期間
前四半期会計期間比較
会計期間
自 2022年4月1日至 2022年6月30日
自 2022年7月1日至 2022年9月30日
売上高
(千円)
218,236
257,024
+38,788(
17.7 %)
営業損失(△)
(千円)
△41,957
△29,101
+12,855
経常損失(△)
(千円)
△32,505
△24,779
+7,726
なお、各セグメント別の業績は次のとおりであります。各セグメントの営業損益は、各事業に配分していない全社費用63,177千円を配分する前の金額であります。
(紡績事業)当第2四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、未だ半導体不足による先行きの不透明感はあるものの、自動車関連向け用途を主体とした需要は堅調に推移しており、紡績事業全体での生産数量は前年同期より5.24%増加し342tとなりました。主力のアラミド繊維製品においては、当期首以降の自動車関連向け紡績糸を主体とする強い引き合いが継続し、生産量は前年同期より5.22%増加し252tとなりました。一方で、高級インナー向け紡績糸も需要は回復傾向にあるものの、生産銘柄が細番手特殊複合糸中心へ傾倒した影響で、生産量は前年同期より微減となりました。また、ポリエステル等の他素材については、ユニフォーム関連向け紡績糸の受注が増加していることから、今後の生産増が期待されます。利益面では、大幅なエネルギー価格の上昇による影響を受け、売価の価格改定が急務であります。この結果、紡績事業の第2四半期連結累計期間の業績は、売上高171,087千円(前年同期比0.4%増)、営業利益2,161千円(前年同期比90.8%減)となりました。(テキスタイル事業)中東各地域では、年初からの新型コロナウイルス感染者の減少傾向に伴い、得意先からの商品の前倒し受注が得られたことで、予算を超える売上を計上いたしました。東南アジア向け商品は、前連結会計期間末における加工出荷遅れを挽回し、新たな引き合いも増え、堅調に推移しております。今後は、加工場のキャパシティを勘案しながらの契約の納期管理とスムーズな出荷、及び新用途開発を進めていく予定であります。この結果、テキスタイル事業の第2四半期連結累計期間の業績は、売上高252,179千円(前年同期比118.8%増)、営業利益13,409千円(前年同四半期は46千円の営業損失)となりました。(ヘルスケア事業)既存商材の不織布マスクは、業界内の競争激化を背景に、受注と生産が伸び悩みました。 また、子会社である株式会社中部薬品工業では、既存の主力製品であるパウダー歯磨き粉の販売数量が減少しておりますが、委託製造の新商品については、2022年3月からドラッグストアチェーンでの取扱が開始し、市場ニーズを取り込めたことで販売は徐々に増加中であります。この結果、ヘルスケア事業の第2四半期連結累計期間の業績は売上高50,085千円(前年同期比4.5%減)、営業損失13,706千円(前年同四半期は7,877千円の営業損失)となりました。
(リサイクル事業)前連結会計年度より新たに開始したリサイクル事業につきましては、第1四半期会計期間においては、生産設備の不具合を受け大幅な生産量減少となりましたが、第2四半期会計期間以降は順調な生産を継続中であります。販売状況においては、これまでの主要供給先であった中国の大幅な景気後退の影響を強く受けており、大幅な販売量減少となりました。今後は、販売ポートフォリオの見直しによる国内販売先の開拓に注力し、2022年11月より国内大手プラスチック成形メーカー向けの契約を開始する予定であります。これにより下半期の収益に大きく貢献することを期待しております。この結果、リサイクル事業の第2四半期連結累計期間の業績は、売上高77,898千円(前年同期比1,891.3%増)、営業損失19,972千円(前年同四半期は3,064千円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)総資産は前連結会計年度末より15,295千円減少し2,054,908千円となりました。これは主に、現金及び預金が108,207千円減少した一方で、出荷の遅延により商品及び製品が54,971千円増加し、新規加工設備の建屋等の建築を進める中で建設仮勘定が76,916千円増加したこと、及び、償却によりのれんが7,693千円減少し、売却や時価の変動により投資有価証券が27,715千円減少したことによるものであります。(負債)負債は前連結会計年度末より85,724千円増加し1,075,557千円となりました。これは主に、テキスタイル事業の拡販により支払手形及び買掛金が33,673千円、子会社での新規借入により1年内返済予定の長期借入金と長期借入金が21,642千円、新規設備の建設が進む中で設備未払金が増え未払金が30,462千円、それぞれ増加したことによるものであります。(純資産)純資産は前連結会計年度末より101,019千円減少し979,351千円となりました。これは主に、四半期純損失を計上したことにより利益剰余金が89,861千円、有価証券の時価の変動によりその他有価証券評価差額金が11,158千円減少したとこによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、200,420千円となりました。当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、86,296千円の減少(前同四半期は95,826千円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前四半期純損失83,887千円を計上している一方で、販売領域の拡大による売上債権の増加22,496千円と棚卸資産の増加56,652千円がある一方で、仕入債務の増加33,673千円があることによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、41,474千円の減少(前同四半期は217,335千円の減少)となりました。その主な要因は、新規加工設備等の取得による支出が65,224千円あった一方で、投資有価証券を売却したことによる収入が23,737千円あったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、19,562千円の増加(前同四半期は347,917千円の増加)となりました。その主な要因は、新規借入による収入が30,000千円あった一方で、長期借入金の返済が8,358千円あったことによるものであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。 (5)研究開発活動当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は5,473千円であります。紡績事業については、取引先企業ととも生産品種の拡大等に取り組み、販売費及び一般管理費に2,486千円計上しております。その他の事業については、抗菌・抗ウイルス糸の研究開発に取り組み、販売費及び一般管理費に2,987千円計上しております。テキスタイル事業、ヘルスケア事業及びリサイクル事業については、研究開発費の計上はありません。
(6)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策「1.事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象に対応すべく、以下の対応策を実施しております。① 紡績事業及びテキスタイル事業の強化紡績事業は、取引先との連携強化、研究開発の迅速化により高機能繊維の開発に取り組み、自社ブランドの確立を図ってまいります。テキスタイル事業は、グレードの多様化による販売強化に取り組んでおります。② ヘルスケア事業のポートフォリオ変更ヘルスケア事業は、不織布マスクの製造販売から、連結子会社である中部薬品工業を中核としたオーラルケア用品や健康補助食品へシフトし、開発強化に取り組みます。③リサイクル事業の強化リサイクル事業は、既存の紡績事業に並ぶコア事業の早期実現に向けて、新掛川工場の操業を高めるとともに、白山本社工場への新規設備導入を行い、売上と利益の拡大を図ります。④ キャッシュ・フローの改善運転資金面では、前年度に株主割当増資により調達した資金を活用しているものの、新規設備や商品仕入の先行投資のため、キャッシュ・フロー状態は予断を許さない状況にあります。引き続き、新株予約権行使促進等の資金政策を進めるとともに、投資の早期収益化に努めてまいります。これらの対応策を進めることにより、当第2四半期連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。