【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間における我が国の経済は、7月以降の新型コロナウイルス感染症第7波の急拡大に加えて、半導体の他多様な部品の供給制約及び燃料・原材料価格の高騰等と円安の同時進行による物価上昇圧力が強まり、回復基調になりつつあった経済活動に悪影響を及ぼしました。先行きにつきましては、半導体及び電子部品・材料関連企業の工場及び製造設備等の増設並びにカーボンニュートラルの実現に向けての技術革新とインフラ整備関連に伴うクリーンエアーシステムの導入計画が期待されておりますが、部品供給停滞の長期化と生産コストの上昇及び地政学的リスク等の経済押し下げ要因が有り、引き続き動向を注視する必要があります。
当社における事業環境は、海外においては新型コロナウイルス感染症対策としての渡航制限が緩和されたものの、引き続き限定的な出張が継続しております。国内においては厚生労働省による令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)及び介護施設等における感染拡大防止対策に係る支援(地域医療介護総合確保基金)による感染症対策設備整備等が継続又は延長実施されておりますが、感染症対策製品の受注は漸減傾向にあります。バイオロジカル分野においては、再生医療分野の細胞加工用クリーンルーム、医薬品工場及び感染症関連研究施設等への設備投資が堅調であります。電子工業分野では、半導体関連の製造装置メーカー、自動車部品、電子材料関連及び電子部品メーカーへの営業強化を図っております。一方で、各種電子部品等の供給停滞及び原材料の高騰による影響が継続しており、代替部品の調達及び設計変更等により対応しておりますが、一部で粗利率の低下や受注機会の損失が見られます。
営業においては、九州地区における半導体製造関連顧客へのサービス向上及び物流コスト削減のための出張所開設を計画しております。また、「第7回 オーガニックライフスタイルEXPO2022」(9月16日~9月18日、東京都立産業貿易センター)に出展し、SDGs及び脱炭素の取組みを紹介しました。再生エネルギーの利用に着目した「スマートクリーンルーム」は、太陽光パネルとクリーンルームをワンストップで施工し顧客の省エネルギーに寄与する新しい取組みです。同時に、空気清浄機「クリーンパーティション」シリーズ機種も紹介しました。
製品の研究開発活動では、必要な設備とスターター備品を一式パッケージとした自立式の「オールインワンクリーンルーム」等を上市しました。引き続き、更なる省エネルギー化を目標とした研究開発を推進しております。
生産においては、8月より赤城スマートファクトリー(群馬県桐生市、武井西工業団地内)が稼働し、HEPAフィルターの生産を開始しました。現在、新規導入したラインに加え伊勢崎工場(8月1日改称旧群馬工場、群馬県伊勢崎市)から移設した生産設備と人員により本稼働しており、生産能力は約50%増加いたしました。交換フィルター需要の高まりとともにフィルターの売上を毎年10~20%増加させ、2025年には2020年の約2倍以上とする計画としております。さらに、本工場は低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーとして太陽光発電と蓄電池設備を導入しており、温室効果ガスの排出量を低減し運用しております。また、草加工場近隣の用地(約1,750㎡)取得にかかる不動産売買契約を締結しました(2022年10月12日、埼玉県草加市稲荷)。中長期計画達成に向けて草加工場を拡張するため、草加工場の倉庫や事務所等を移転し、研究開発拠点・事務所・倉庫・研修センター等への利用を計画しております。
当社の脱炭素社会実現への総合的な取組みにつきましてはサステナビリティ委員会を設置し、「TCFD提言」に基づいた気候関連財務情報として開示するためのシナリオ作成及びサプライチェーンを含めたGHGプロトコルに基づいたスコープ1、スコープ2の算出を集計済であり、スコープ3排出量の算定の検討を進めております。
新型コロナウイルス感染症への対応動向及び各種部品の安定供給はいまだ不透明でありますが、取引先及び従業員の安全を確保しつつ、受注生産体制の維持と拡大に注力してまいります。
① 経営成績
製品別の販売状況は、主にバイオ分野向けの「クリーンルーム」及び「フィルターユニット」「エアーシャワー」等の半導体・電子工業分野向け製品が増加しました。また「クリーンパーティション」「陰圧ユニット」「安全キャビネット」等の感染症対策製品が減少しました。
収益面におきましては、感染症対策機器の販売減少等により、前年同期比で減収減益となりました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高96億53百万円(前年同期比15.1%減)、営業利益8億40百万円(同53.6%減)、経常利益11億46百万円(同42.8%減)、四半期純利益は8億44百万円(同40.9%減)となりました。
②
財政状態
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は192億42百万円と前事業年度末に比べ7億25百万円(3.6%)の減少となりました。
流動資産は139億45百万円であり、前事業年度末に比べ14億49百万円(9.4%)の減少となりました。主な内訳は、現金及び預金14億91百万円の減少、受取手形、売掛金及び契約資産4億52百万円の増加、電子記録債権1億22百万円の減少及び棚卸資産3億18百万円の減少となります。
固定資産は52億97百万円であり、前事業年度末に比べ7億23百万円(15.8%)の増加となりました。主な内訳は、赤城スマートファクトリー竣工等に伴う有形固定資産4億96百万円の増加及び投資その他の資産2億45百万円の増加となります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債は55億円であり、前事業年度末に比べ10億11百万円(15.5%)の減少となりました。
流動負債は44億94百万円であり、前事業年度末に比べ9億9百万円(16.8%)の減少となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金1億10百万円の減少、電子記録債務2億80百万円の減少、1年内償還予定の社債1億円の減少及び未払法人税等3億48百万円の減少となります。
固定負債は10億6百万円であり、前事業年度末に比べ1億1百万円(9.1%)の減少となりました。主な内訳は、長期借入金76百万円の減少となります。
(純資産)
純資産は137億41百万円であり、前事業年度末に比べ2億85百万円(2.1%)の増加となりました。主な内訳は、利益剰余金4億4百万円の増加、譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行による資本金、資本剰余金各11百万円の増加及び「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」の導入に伴い、「日本エアーテック従業員持株会専用信託」が保有する当社株式を四半期財務諸表において自己株式として1億53百万円計上したことによる減少となります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は1億3百万円であります。なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発状況に重要な変更はありません。
新製品として、顧客ニーズを1つのパッケージにまとめ、大がかりな工事を不要とした「オールインワンクリーンルーム」を開発し、越谷工場に展示しました。また、「簡易陰圧装置・パッケージ型排気ユニット(PEU02-20型)」のデザイン改良型等を上市しました。
研究においては、省エネルギー性能をより高めた製品を開発すべく主要部品の性能から見直しており、高効率送風機の研究及び新型の温度制御システム等の製品開発に取組んでおります。
(4)主要な設備
前事業年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期累計期間に完了したものは以下のとおりであります。
事業所名
所在地
設備の内容
完了年月
赤城スマート
ファクトリー
群馬県桐生市
エアーフィルター製造
2022年7月
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」をご参照下さい。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
2022年3月29日開催の臨時取締役会決議に基づき、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行及び従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブとしての新株式の発行による増加、並びにストック・オプションの行使による増加に伴い、当第3四半期累計期間において資本金が13百万円、資本剰余金が14百万円それぞれ増加し、当第3四半期会計期間末において資本金が20億97百万円、資本剰余金が21億41百万円となっております。