【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における経済環境について、米国では、個人消費や労働市場は引き続き増加基調が保たれているものの、複数回の追加利上げが行われる可能性が示唆される等、今後の動向について注意する必要があります。欧州では、深刻な景気後退は見込まれていないものの、インフレ対策として金融引き締めが継続される可能性が高く、景気復調へは不透明感があります。わが国では、新型コロナウィルス感染症の感染症法上の分類が引き下げられたこと、また各種政策の効果もあり景気は緩やかに回復しているものの、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、金融資本市場の変動等に注意する必要があります。
このような状況のもと、当社グループは2021年を起点とする5ヵ年の中期計画「中計’21」を策定し、その中で掲げた各種経営指標を実現するため、これまで培ってきた得意分野や独自性、研鑽してきた機能別組織機能、変革・強化を図ってきたガバナンスやコンプライアンス体制をベースに置きながら、取り巻く変化に迅速、かつ柔軟に適応する力を当社グループ全体で強化することに取り組みました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は265,457百万円(前年同期比41,790百万円増、18.7%増)、営業利益は26,673百万円(前年同期比701百万円増、2.7%増)、経常利益は38,761百万円(前年同期比251百万円増、0.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は29,122百万円(前年同期比1,907百万円減、6.1%減)となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
① タイヤ事業
北米市場における市販用タイヤについては、OPEN COUNTRY A/T Ⅲ(オープンカントリー・エーティースリー)、NITTO RECON GRAPPLER A/T(ニットー リコングラップラー・エーティー)、OPEN COUNTRY R/T TRAIL(オープンカントリー・アールティー・トレイル)など当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤ、更に全天候型タイヤの新商品CELSIUS Ⅱ(セルシアス・ツー)などの重点商品を中心とした販売に注力したことにより、販売量が前年度を上回りました。また、売上高は値上げや重点商品の拡販による商品ミックスの改善もあり、販売量以上に前年度を大きく上回りました。
欧州市場における市販用タイヤについては、ロシア・ウクライナ情勢に伴うロシアや周辺地域への販売停止の影響を受けたものの、他欧州諸国向けに優先的な供給を行い販売量は前年並みでした。また、売上高は欧州各国での値上げや商品ミックス改善により、販売量以上に前年度を大きく上回りました。
国内市場における市販用タイヤについては、4月からの夏タイヤ値上げ及び7月からの冬タイヤ値上げに対する値上げ前需要の刈り取りにより、販売量は前年度を上回りました。また値上げ効果や、新商品PROXES Sport 2(プロクセス・スポーツ ツー)、 PROXES Comfort Ⅱs(プロクセス・コンフォート ツーエス)や OPEN COUNTRY(オープンカントリー)シリーズなど重点商品の拡販を受けて売上高も前年度を上回りました。
新車用タイヤについては、半導体不足が緩和し自動車メーカーの生産が回復基調となり、販売量が前年度を大きく上回りました。また、売上高も原材料市況高騰の一部を価格に反映できたため、前年度を大きく上回りました。
その結果、タイヤ事業の売上高は242,523百万円(前年同期比38,586百万円増、18.9%増)、営業利益は27,400百万円(前年同期比67百万円増、0.2%増)となりました。
② 自動車部品事業
自動車部品事業については、半導体不足が緩和し自動車メーカーの生産が回復基調となり、また原材料市況高騰の一部を価格に反映できたため、自動車部品事業の売上高は22,925百万円(前年同期比3,203百万円増、16.2%増)と前年度を大きく上回り、営業損失は728百万円(前年同期は1,354百万円の営業損失)となりました。
③ 当社免震ゴム問題に係る製品補償対策費
2015年12月期において、出荷していた製品の一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない等の事実が判明いたしました。
当第2四半期決算において、製品補償対策費135百万円(主として、免震ゴム対策統括本部人件費等)を特別損失として計上しております。
(2)財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は642,256百万円となり、前連結会計年度末に比べ43,366百万円増加しました。これは、主として、受取手形及び売掛金や有形固定資産等が増加したことによります。
また、負債は280,319百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,345百万円増加しました。これは、主として、未払法人税等が増加したことによります。なお、有利子負債は133,620百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,815百万円減少しました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産は361,936百万円となり、前連結会計年度末に比べ41,021百万円増加しました。これは、主として、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金、円安の影響により為替換算調整勘定が増加したことによります。
この結果、自己資本比率は56.3%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入が27,499百万円となり、投資活動による支出が15,410百万円となったため、純現金収支(フリーキャッシュ・フロー)は12,088百万円となりました。財務活動においては13,249百万円の支出となりました。以上の結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、これら収支に為替換算差額の増加額を合わせ42,217百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益を計上したことや棚卸資産の減少により、27,499百万円の収入(前年同期は2,303百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等により、15,410百万円の支出(前年同期比4,215百万円増、37.7%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等により、13,249百万円の支出(前年同期は4,659百万円の収入)となりました。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、当第2四半期連結累計期間において、その内容に重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6,084百万円であります。
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりであります。
〔タイヤ事業〕
市販用タイヤについては、当社のプレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport 2(プロクセス・スポーツ ツー)」が、世界的に権威のあるデザイン賞「Red Dot Award(レッドドット・アワード)」の2023年プロダクトデザイン賞を受賞しました。Red Dot Awardは、ドイツのDesign Zentrum Nordrhein Westfalen(ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター)が主催し、1955年に創設された60年以上の歴史があるデザイン賞で、世界三大デザイン賞の一つと言われております。受賞に際しては、審査員から「接地圧の均一な分散を確保し、ウェット路面とドライ路面の両方でブレーキ性能を向上させる、ダイアゴナルグルーブ(斜め方向の溝)が刻まれた非対称トレッドパターンに感銘を受けた」と評価をいただいております。当社は今後もタイヤに求められる性能の進化を追求しながら、付加価値の高い製品開発に取り組んでまいります。