【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年6月30日まで)の世界経済は、ウクライナ戦争終結の兆しが見えない中、米中覇権争いによるデカップリングの進展、中国経済の回復ペースの鈍化など、先行きの不透明さが一段と増しました。わが国経済は、緩やかなインフレを目標とした金融緩和策が継続される中、大幅な賃上げ、アフターコロナによる経済活動の正常化、インバウンド消費の増加などにより景気回復への期待が高まっています。一方、半導体需要の減少に見られるように、製造業では電気・電子製品などの生産数量は減少し、一部の工業用製品の需要は低迷しました。このような状況下、当社グループは高機能製品の開発および拡販に注力しながら事業を推進してまいりました。その結果、売上高は769億4千7百万円(前年同期比1.3%減収)、営業利益は47億4千6百万円(前年同期比39.9%減益)、経常利益は61億7千2百万円(前年同期比34.2%減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は54億6千9百万円(前年同期比26.0%減益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。2023年1月1日付で組織変更を実施し経営管理区分を変更したことに伴い、第1四半期連結会計期間から、従来「基幹化学品事業」セグメントに含めていたサステナビリティ関連事業を「その他」セグメントに移管しております。なお、前年同期比につきましては、変更後の区分方法により作成した前第2四半期連結累計期間の数値と比較しております。
①基幹化学品事業電解製品は、自動車部品や電子製品関係などでの需要が回復せず全般的に販売数量減となりましたが、昨年からの価格改定もあり増収となりました。アクリルモノマー製品は、主に海外市況の悪化により減収となりました。工業用ガスは、自動車部品等の生産数量減少の影響を受け販売数量減となりましたが、価格改定により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は351億2百万円(前年同期比0.2%増収)となりました。営業利益は、昨年から原燃料価格の高騰に対応し価格改定をいたしましたが、全般的な販売数量減やアクリル製品の海外市況悪化により、22億5百万円(前年同期比42.9%減益)となりました。
②ポリマー・オリゴマー事業アクリルポリマーは、自動車部品向けが販売数量減となりましたが、昨年からの原燃料価格高騰に対応した価格改定もあり、前年並みの売上高となりました。アクリルオリゴマーは、ディスプレイ関係などでの需要減少による販売数量減で減収となりました。高分子凝集剤は、土木関係および海外向けの販売数量減により減収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は164億2千5百万円(前年同期比8.7%減収)となりました。営業利益は、全般的な販売数量減により、13億3千9百万円(前年同期比41.8%減益)となりました。
③接着材料事業家庭用は、ホームセンターの来店客数減による販売数量減などで減収となりました。機能性接着剤は、スマートフォン用電子部品や自動車部品向けは販売数量減となりましたが、車載用電池向けの販売数量増により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は56億8百万円(前年同期比3.3%増収)となりました。営業損益は、スマートフォン用電子部品や自動車部品向けの販売数量減や研究開発費の増加により、1億6千1百万円の損失となりました。
④高機能材料事業高純度無機化学品は、半導体市況低迷の影響を受け販売数量減となりましたが、原燃料価格高騰に対応した販売価格の改定もあり、前年並みの売上高となりました。無機機能材料は、電子部品向けのイオン捕捉剤が販売数量減となり減収となりました。また、メディカルケア製品では試験用サンプルとしての販売があり増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は52億8千5百万円(前年同期比6.0%増収)となりました。営業利益は、販売数量減の影響により、9億5千9百万円(前年同期比16.2%減益)となりました。
⑤樹脂加工製品事業管工機材製品は、住宅着工戸数低迷による販売数量減で減収となりました。ライフサポート製品は価格の改定と新製品の好調な販売により増収となりました。エラストマーコンパウンドは、事務機器や飲料容器向けなどの販売数量増により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は135億8千9百万円(前年同期比0.9%減収)となりました。営業利益は、主に管工機材製品の販売数量減の影響により、6億6千9百万円(前年同期比17.6%減益)となりました。
⑥その他の事業新規製品の研究開発事業、輸送事業、商社事業などにより構成される当セグメントは、商社部門で増収となり、売上高は9億3千6百万円(前年同期比12.3%増収)となりました。営業損益は2億7千2百万円の損失となりました。
財政状態につきましては、資産合計は、「現金及び預金」などの流動資産が減少しましたものの、保有株式の時価の上昇により「投資有価証券」が増加しましたため、前連結会計年度末に比べ9億4千3百万円、0.4%増加し、2,660億7千8百万円となりました。負債合計は、繰延税金負債の増加により固定負債の「その他」などが増加しましたため、前連結会計年度末に比べ10億3千9百万円、1.9%増加し、553億6千7百万円となりました。純資産合計は、「その他有価証券評価差額金」が増加しましたものの、連結子会社であるMTアクアポリマー株式会社の出資比率引上げにより「非支配株主持分」が減少しましたため、前連結会計年度末に比べ9千5百万円、0.0%減少し、2,107億1千1百万円となり、自己資本比率は78.8%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益が減少しましたが、棚卸資産および法人税等の支払額が減少しましたため、前年同期に比べ収入が24億1千7百万円増加し、136億7百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が減少しましたため、前年同期に比べ支出が48億1千6百万円減少し、44億5千4百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、非支配株主への配当金の支払額および子会社株式の取得のための支出が増加しましたため、前年同期に比べ支出が70億2千5百万円増加し、131億7千2百万円の支出となりました。以上の結果、当第2四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物の残高は410億8千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億4千9百万円の減少となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの中期的な経営戦略および対処すべき課題について重要な変更はありません。また、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めておりますが、当第2四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
なお、PBR改善に関する目標および施策について、当社取締役会において以下のとおり決議し、2023年8月4日に発表しております。
1.目標以下の施策の実行により、2027年にROE8%を達成し、PBR1倍超えを目指す。2.施策(1)収益力の強化2025年中期経営計画における成長戦略の推進により収益力を強化する。①重点事業(モビリティ、半導体関連高機能製品)の推進②メディカルケア、セルロースナノファイバーの早期事業化(2)資本効率の向上資本効率の観点から、以下の施策により自己資本をコントロールする。①株主還元の強化 2025年中期経営計画期間の株主還元は、期間総還元性向100%を目途に株主還元を実施②政策保有株式の縮減推進 2025年末に政策保有株式を連結純資産比10%未満に縮減(3)持続可能な社会への貢献以下を中心に、ESGの観点から企業価値向上を図る。①多様な人財の活躍推進②GHG排出削減
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は25億4千万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。