【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により停滞していた社会経済活動が再開しつつありましたが、再び新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより、緊急事態宣言の発出やGoToトラベルの中止等、回復に向けた動きを停滞させる状況となり、運輸業においては大幅な減少からの回復について、依然として先行き不透明となっております。
当連結会計年度の連結業績は、主要事業である旅客運送において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛やテレワークの浸透等で利用客が大幅に減少したことにより、売上高は11,533百万円(前期比28.0%減)、営業損失は3,544百万円(前期は営業利益63百万円)、経常損失は2,088百万円(前期は経常利益87百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,624百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益635百万円)となりました。
なお、当連結会計年度において、雇用調整助成金1,485百万円を営業外収益に、賃貸ビル(テラス銀座)の売却等による固定資産売却益524百万円を特別利益に、それぞれ計上いたしました。
また、株式会社丸井自動車の全株式を取得し、第1四半期連結会計期間より連結子会社といたしました。
更に、子会社の大和物産株式会社が、ゴルフ場、ホテル等、全国約130物件の総合メンテナンス業を東京、大阪、福岡で展開する株式会社トータルメンテナンスジャパン(以下「TMJ」という)の全株式を取得し、第3四半期連結会計期間より連結子会社といたしました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 旅客自動車運送事業
タクシー部門では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による利用客の大幅な減少や、2020年4月16日よりタクシー部門で実施している計画供給調整(稼動タクシー車両台数の減少)の影響により、全タクシー子会社7社の売上高は5,111百万円(前年同期比44.6%減)となりました。当連結会計年度におきましても、当グループの課題である乗務員不足解消の施策として、積極的な採用活動を展開し、接客やマナーの教育・訓練を十分に施すことで適性のある良い人材を増やしております。また、事前確定運賃サービスや需要予測サービスなど、お客様の利便性向上を図る配車アプリ「S.RIDE」のサービスにも引き続き注力しており、そのサービス提供の地域を多摩地区にまで拡大させました。前期に導入しました後部座席タブレット端末やIPタブレット端末による電子決済サービスに加え、今期はQRコードによる決済サービスも導入いたしました。新たな事業展開といたしましては、規制緩和を受けて有償運送(フードデリバリー)許可申請を行い、フードデリバリーサービスを開始いたしました。このサービスに関しましては、お客様の行動自粛等により、少しずつではありますが受注が伸びております。また、新型コロナウイルス禍における行動自粛からくるお客様のストレス軽減と旅行ニーズへの施策として、株式会社共立メンテナンスと提携し、同社のリゾートホテル事業「共立リゾート」とタイアップしたタクシー往復送迎付き宿泊プラン「自宅からリゾート直幸往復便」を2020年6月より開始いたしました。このプランは、自宅玄関前から宿泊施設までをDoor to Doorで結ぶことで、他者との接触を最小限に抑え、安全・安心かつ癒し・安らぎを届けるプレミアムな旅をリーズナブルな価格でお客様に提供しており、発売開始以降、一事業として堅調に推移しております。また、観光・旅行需要のお客様獲得に向け、2020年9月にGoToトラベル地域共通クーポン取扱事業者申請を行いました。そして引き続き、外国人のお客様対応を目的とした多言語音声翻訳システム実証実験、交通事業者としてモビリティのサービス化(MaaS)や自動運転分野の実証実験、需要予測サービスや相乗りタクシーの実証検証へ積極的に参画し、異業種や大学等の学術機関との連携を深めることで、新たな移動サービスの提供の実現に努めております。特に自動運転分野に関しましては、株式会社日本総合研究所が高齢化社会に向け交通弱者でも地域内外の移動をスムーズにし、地域内外の商店・企業等と地域をつなげ、住民同士の関わり合いの機会を作ることを目指している「まちなか自動サービス事業構想コンソーシアム」に当社も参画し、各種サービスの開発に取り組んでおります。輸送の安全確保面では、前期に引き続き先進安全機能が搭載されたトヨタJPN-TAXI車両の導入を推進し、追突、接触及び乗降時のドア開閉における事故等の有責事故件数の減少に寄与いたしました。
ハイヤー部門では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、お客様におけるテレワークの浸透で需要が低下し、売上高は2,347百万円(前期比13.4%減)となりました。経費面では、新規入社乗務員募集費や採用乗務員研修費等が前期に続き増加いたしましたが、駐車場や事務所賃料の値下げ交渉を行い、経費支出の圧縮により、利益率の改善・向上に努めてまいりました。営業面では、お客様の新型コロナウイルス感染症防止対策として通勤時のハイヤー利用を積極的にセールスした結果、新規顧客を獲得することができました。福祉輸送部門においては、新型コロナウイルス感染症予防対策として福祉車両に換気のためのサイドバイザー(車の窓ガラス上部を覆う樹脂製カバー)装着や飛沫防止カーテンの設置等の実施に加え、新型コロナウイルス禍における安全な移動手段として通学時の福祉車両利用を積極的にセールスし、福祉車両台数の増加に寄与いたしました。また、乗務員不足の課題解決のため、「doda」「イーキャリア」などの求人媒体に乗務員インタビューを掲載する等の採用募集を積極的に行うとともに、新人乗務員指導係を増員し、乗務員未経験者に対する教育体制も更に充実させました。加えてシルバー人材センターへの乗務員求人登録や運転者職場環境良好度認証(働きやすい職場認証制度)の審査申請も完了しております。
以上の結果、タクシー部門とハイヤー部門等の旅客自動車運送事業売上高は7,458百万円(前期比37.6%減)、営業損失は3,061百万円(前期は営業損失81百万円)となりました。旅客自動車運送部門の最重要課題である乗務員確保、高齢化社会の到来に伴い多様化する生活サポート・福祉関連ニーズの高まりに応えるため、大和グループの総力を挙げ、「安心・安全、おもてなし」の更なる向上に努めてまいります。
② 不動産事業
不動産事業では、引き続きテナントの要望に沿った施設の改善に努めるとともに、大手仲介不動産会社や各物件所在の地元不動産会社と継続して積極的な情報交換を実施し、事業収益の増強に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、賃貸ビル(テラス銀座)の売却に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、商業店舗等からの一時的賃貸料の減額等に応じたこともあり、賃貸収入売上が減少いたしました。また、オフィスビルやマンションのリフォームにも積極的に取り組んだことで費用が発生したため、利益が減少いたしました。一方で、TMJを子会社化したことに伴い、TMJの第4四半期連結会計期間業績が連結対象となりましたので、売上高は大幅に増加しております。
以上の結果、不動産事業の売上高は1,432百万円(前期比53.8%増)、営業利益は296百万円(前期比48.8%減)となりました。
③ 販売事業
自動車燃料販売部門では、売上高の減少を最小限に抑えるため、既存スタンドにおいて新型コロナウイルス感染症対策用品配布等の販売促進キャンペーンを実施するとともに、より一層のきめ細かいサービスの提供を推進する等、顧客営業を強化しております。しかしながら新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外出自粛要請等による自動車燃料の需要が減少していることや、既存スタンドにおいて時短営業を余儀なくされていること等、厳しい状況が続いておりますが、小売価格の見直し等を行うことで営業利益の確保に努めてまいりました。
金属製品製造販売部門では、安定的な収益基盤を確立するため、高利益率の見込める特注品等の受注生産を積極的に展開しております。共同出資企業のベトナム工場の生産高は堅調に推移しておりますが、前期より続く住宅の建設面積の縮小傾向は止まらず、主力商品である標準階段の生産高が減少しました。
以上の結果、販売事業売上高は2,642百万円(前期比16.1%減)、営業損失は62百万円(前期は営業利益46百万円)となりました。
(注) 売上高に消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
① 資産
当連結会計年度末の総資産は29,449百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,414百万円の増加となりました。これは主に長期借入れにより現金及び預金が増加した結果、流動資産が5,940百万円増加し、また賃貸ビル(テラス銀座)の売却があったものの、株式会社丸井自動車及びTMJの子会社化により、固定資産が474百万円増加したことによるものであります。
② 負債
負債は前連結会計年度末に比べ7,840百万円増加の22,016百万円となりました。これは短期借入金が2,360百万円増加した結果、流動負債が1,853百万円増加し、長期借入金が6,687百万円増加した結果、固定負債が5,987百万円増加したことによるものであります。
③ 純資産
純資産は前連結会計年度末に比べ1,425百万円減少の7,433百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が1,659百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の38.3%から25.1%に減少しております。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ4,912百万円増加し、6,398百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の支出は1,029百万円(前連結会計年度は849百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,569百万円を計上したこと等によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は546百万円(前連結会計年度は110百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の売却による収入1,248百万円があった一方で、信託預金の預入による支出783百万円、子会社株式の取得による支出570百万円、及び固定資産の取得による支出562百万円があったこと等によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の収入は6,488百万円(前連結会計年度は193百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入による収入8,370百万円があったこと等によるものであります。
有利子負債の長期・短期の分類は下表のとおりです。
(単位:百万円)
1年以内返済・償還
1年超返済・償還
合計
短期借入金
2,320
-
2,320
長期借入金
1,045
11,288
12,333
リース債務
578
1,176
1,755
合計
3,943
12,465
16,408
重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
(5)経営者の問題認識と今後の方針
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う個人消費の動向や外需の減少、政府による緊急事態宣言発出に伴う外出自粛要請等の外的要因に晒され、タクシー部門で概ね50%程度の計画的供給調整(稼動タクシー車両台数の減少)を実施せざるを得ない等、厳しい状況が続いております。この影響により、2020年度の当社グループの業績は大幅に下落いたしましたが、新型コロナウイルス感染症が終息した後に、機を逸することなく事業を再び成長軌道に乗せるための準備を着実に進める必要があります。
2021年度については、更なる財務体制の強化に重点を置き、キャッシュ・フローへの影響が及ぶ前に、慢性的乗務員不足解消に向けての投資、株主還元の維持、手許の運転資金不足への備えとして、2021年3月31日に不動産信託を利用した借入(Asset Backed Loan)4,680百万円及び運転資金借入1,700百万円の資金調達を行うことで、今後の財務基盤の安定化を図るとともに、引き続き資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した適切な資本構成を維持する方針であります。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積りや判断を行う必要がございます。これらの見積り及び判断を過去の実績や状況に応じ合理的に行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(7)生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
