【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
経営成績に関する説明
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)は、原油高・円安の進行による原材料価格や物価の上昇、世界的な地政学リスクの高まりなどにより、依然として不透明なエネルギー情勢が続きましたが、その一方で、国内の電力需給環境は極めて安定的に推移し、夏季においても記録的な高気温が続いたにもかかわらず、電力市場価格は低位に推移しました。
このような状況のもと、当第2四半期連結累計期間の売上高は120,894百万円(前年同期比12.1%減)、売上原価は126,209百万円(同3.9%増)、売上総損失は5,315百万円(前年同四半期は売上総利益16,153百万円)、販売費及び一般管理費は5,389百万円(同0.6%増)、営業損失は10,704百万円(前年同四半期は営業利益10,794百万円)、経常損失は9,220百万円(前年同四半期は経常利益7,521百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は11,162百万円(前年同四半期は親会社に帰属する四半期純利益4,522百万円)となりました。
各事業別の経営成績につきましては、以下のとおりであります。
①電力小売事業
2022年度に調達した割高な電源が原価を大幅に増加させました。
高圧分野については、日本卸電力取引所(以下、JEPX)のスポット価格が低水準で推移していることから、価格競争が激化し、利益を十分に確保できる水準での需要の積み上げができず販売電力量は減少し790GWh(前年同期比△46.2%)となりました。一方で、値上げ対応が完了し、販売単価が大幅に上昇し、収益に貢献しました。
低圧分野では、市場連動プランへのメニューの切替により利益率は安定したものの、JEPXのスポット価格の低下により販売単価も下落しました。販売電力量は688GWh(前年同期比△0.01%)、電力供給件数は約303,000件(前年対比△8,000件)となりました。
②電力トレーディング事業
2023年度のJEPXスポット価格が大幅に低位に推移した事で、調達した電源が割高となり、同時に、低圧需要を市場連動メニューに移行させたことや、離脱による高圧需要の減少により、確保した電源の余剰分を安価なJEPXに卸販売せざるを得なくなり逆ザヤが発生した事で利益は大幅に減少しました。
③発電事業
土佐発電所、佐伯発電所、豊前発電所、中城発電所は優先給電ルールに基づく出力抑制があったものの、概ね計画通り安定稼働をしております。糸魚川発電所ついては、石炭価格高騰の影響が残り、計画的に抑制運転を実施したため、収支はマイナスとなりました。なお、同発電所においては、本年9月に木質バイオマス燃料を燃料比10%~30%にする混焼試験の実施をしました。今後は、現状の発電設備において混焼量を段階的に変動させ、稼働状況の確認と各種データ採取を行い、CO2排出量削減のための本格運用に向けた検討を行っていく予定です。
④燃料事業
パーム椰子殻(以下、PKS)や木質ペレットは、国際的な需要の高まりによって取扱数量、単価ともに上昇して
おります。加えて、円安の影響、海上運送費の高騰によりコスト負担が増加しております。マレーシアのJV等に
よる自社調達と商社からの調達との組合せや、輸送コストの低減に向けた取組を進めることにより、PKSや木質ペ
レットのコスト削減、安定供給体制の構築・拡充に取り組んでおります。
⑤海外事業
当初想定していた以上の規模とスピードでベトナムやカンボジアにおけるプロジェクトが実行段階に入っております。ベトナム事業については、本年7月、YenBai省において木質ペレット工場「イーレックス・サクラ・バイオマス・イェンバイ工場」の起工式を行いました。加えて、本事業において、株式会社国際協力銀行及び株式会社三井住友銀行と協調融資契約を締結しました。同契約は、再生可能エネルギーの開発・導入の観点から、新設バイオマス発電所建設(PDP8承認案件)に先立ち、未利用の木質残渣等を木質ペレットに加工し、販売する事を目的として、YenBai省・TuyenQuang省において木質ペレット工場の建設を進めてまいります。
さらに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)の「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」第2回公募に応募し、2023年10月20日付にて、NEDOホームページで、当社提案の「脱炭素を実現するための既設石炭火力発電所へのバイオマス燃料高比率混焼に係る実証研究(ベトナム国クアンナム省)」が採択されました。本実証研究は、当社が培ってきた知見をもとにベトナム国における石炭焚き循環流動層(CFB)ボイラを対象として、設備投資を抑制した上でバイオマス燃料高比率混焼(混焼率50%以上)の安定稼働を実証することを目的にしております。また、当社初の海外事業であるカンボジア水力発電プロジェクトに関しては、引き続き本体工事を進めております。
今後も、ベトナム、カンボジアを始めとする東南アジアでの電力の安定供給確保と脱炭素推進の両立に貢献するため、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
なお、販売費及び一般管理費については、業務委託費、賃借料、システム関連費等が増加しましたが、継続的に業務改善を進めコストを抑制してまいります。
②財政状態に関する説明
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は66,106百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,223百万円減少いたしました。これは主に未収入金及び未収消費税等が増加したものの、現金及び預金、売掛金が減少したことによるものであります。固定資産は82,096百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,679百万円減少いたしました。これは主に豊前ニューエナジー合同会社が当社の連結の範囲から除外されたことにより建物及び構築物(純額)、機械装置及び運搬具(純額)が減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、148,202百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,902百万円減少いたしました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は39,776百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,623百万円減少いたしました。これは主に短期借入金の増加があったものの、買掛金、1年内返済予定の長期借入金、未払法人税等、デリバティブ債務が減少したことによるものであります。固定負債は44,358百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,392百万円減少いたしました。これは主に社債が増加したものの、豊前ニューエナジー合同会社が当社の連結の範囲から除外されたことにより長期借入金が減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、84,135百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,016百万円減少いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は64,066百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,886百万円減少いたしました。これは主に繰延ヘッジ損益の増加があったものの、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上等による利益剰余金及び豊前ニューエナジー合同会社が当社の連結の範囲から除外されたことにより非支配株主持分の減少があったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は37.3%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11,398百万円減少し、22,090百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、15,101百万円(前年同期は23,384百万円の収入)となりました。主な要因は、減価償却費1,765百万円、売上債権の減少(資金の増加)2,412百万円があったものの、税金等調整前四半期純損失9,220百万円、仕入債務の減少(資金の減少)3,261百万円及び法人税等の支払額3,811百万円等が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、896百万円(前年同期は4,702百万円の支出)となりました。主な要因は、敷金保証金の回収による収入558百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出1,118百万円、無形固定資産の取得による支出268百万円、出敷金及び保証金の差入による支出76百万円等が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、10,658百万円(前年同期は1,024百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,734百万円及び配当金の支払額1,306百万円等があったものの、短期借入金の純増加額4,190百万円、長期借入による収入3,635百万円及び社債の発行による収入6,000百万円等が生じたことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更は
ありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画の修正について
2023年5月12日に、2023年から2025年度及び2031年3月期に向けた事業展開等に関する新たな中期経営計画を策定し、その達成に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、当連結会計年度は,これらの計画策定時と比較して電力市場価格が大幅に下落するなど、計画の前提となる事業環境が大きく変化しており、2023年11月10日に通期業績予想を修正しました。こうした状況を踏まえ、当初の中期経営計画を取り下げ、電力市場価格の変動による影響を極小化する事業計画への見直しを行い、併せて、石炭価格の状況など、足元の経済情勢に鑑みた、新たな事業上の見通しを策定・公表しました。今後、現下の経営課題に対処するための社内組織の見直しを行うとともに、国内の収益基盤の安定と、今後の成長に向けた海外事業の展開に向けた取組を進めることで、企業価値の高めてまいります。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、23百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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