【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済の動向は、新型コロナウイルスの感染対策が進み経済活動が正常化に向かう一方、米国、欧州では、インフレ抑制に向けた積極的な金融引き締めやロシア・ウクライナ情勢の長期化にともなう資源高やエネルギー価格の高騰など景気の減速懸念が高まり、また中国では、ロックダウンの規制をめぐる混乱で内需が低迷し景況感が悪化しました。わが国においては、経済活動正常化に向け景気は緩やかに持ち直してはいるもののエネルギー価格上昇や円安による物価高騰など、依然として先行き不透明な状況が継続しました。このような経済情勢の中、当社グループは中期経営計画「Ever Onward 2023」に基づき、戦略商品と位置付けるホールガーメント横編機の拡販、ソリューションビジネスの拡大などサステナブルなもの創りを支援する製品・サービスの提案活動を世界各地の顧客、業界に向けて展開しました。当期においては、本社及びオンライン特設サイトにおいて創立60周年記念イベントを開催し当社の先進的な取り組みと今後の方向性を発信しました。加えて、ホールガーメント横編機の最新機種「SWG-XR154」をアピールするとともに、裁断精度と生産性を大幅にアップさせた、自動裁断機のフラッグシップモデルである「P-CAM R」を発表し、さらに産業資材向け編機のプロトタイプ機やサンプルを披露するなど、新たな市場へのアプローチも推進しました。当連結会計年度の売上の状況は、横編機事業において、欧州市場で経済活動の再開にともなう設備投資が活発となりホールガーメント横編機や成型編機の販売が伸長しました。デザインシステム事業においては、横編機事業の売上増加にともない「APEXFiz」のライセンス契約数が増加しました。手袋靴下編機事業においては、大手ユーザーの設備投資が一巡したことにより売上が減少しました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は378億86百万円(前期比22.2%増)となりました。利益面におきましては、コロナ禍を背景とした部品や原材料価格、物流費の高騰の影響はあったものの、工場操業度が改善したことや継続的なコスト削減に努めた結果、売上総利益率は回復傾向となり、営業損失は21億84百万円(前期は営業損失42億68百万円)、経常損失は17億0百万円(前期は経常損失34億0百万円)と改善しました。一方で、固定資産の減損損失、関係会社株式評価損などの特別損失の計上があり、親会社株主に帰属する当期純損失は56億44百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失35億89百万円)となりました。セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(横編機事業)当社のコア・ビジネスである横編機事業は、欧州では、付加価値の高い商品開発を得意とするイタリア市場において、経済活動の再開や有名ブランドの自社商品開発の動きにともない設備投資が活発となり、ホールガーメント横編機や高いデザイン性を発揮する成型編機の需要が増加しました。中東のトルコ市場においては、欧州や国内ファストファッションアパレルからの受注による設備投資が活発となりコンピュータ横編機の売上高が伸長しました。アジア地域では、主要マーケットである中国市場において上海のロックダウンなどゼロコロナ政策にともなうサプライチェーンの混乱により企業活動や生産設備投資が大きく停滞し、ホールガーメント横編機を中心に販売が低調となりました。一方、香港系の大手顧客による東南アジアの生産拠点向け設備更新需要が伸長し生産効率の高い「N.SVR」の販売が増加し、また先進国向けニット製品の生産拠点であるバングラデシュ等においては、大手アパレルからの受注が回復傾向となり設備投資が活発化し売上が伸長しました。国内市場においては、ホールガーメント横編機の販売台数は前期に比べて減少しましたが、成型編機を中心に需要が増加しました。これらの結果、横編機事業の売上高は273億95百万円(前期比32.4%増)、セグメント利益(営業利益)は26億93百万円(前期比341.5%増)となりました。
(デザインシステム関連事業)デザインシステム関連事業は、欧米、国内の大手アパレルブランドを中心にSDS-ONE APEXソフトウェアのサブスクリプションサービスである「APEXFiz」のライセンス契約数が伸長しました。また自動裁断機「P-CAM」については海外を中心に販売が増加しました。これらによりデザインシステム関連事業の売上高は35億38百万円(前期比23.3%増)、セグメント利益(営業利益)は7億73百万円(前期比5.8%増)となりました。(手袋靴下編機事業)手袋靴下編機事業は、国内及び海外大手ユーザーの設備投資が一巡したことにより、売上高は9億13百万円(前期比62.6%減)、セグメント利益(営業利益)は1億0百万円(前期比342.3%増)となりました。(その他事業)その他事業については、メンテナンス部品や紡毛糸の販売などで、売上高は60億38百万円(前期比21.0%増)、セグメント利益(営業利益)は10億14百万円(前期比92.4%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比
横編機
29,408
82.4%
デザインシステム関連
3,088
22.7%
手袋靴下編機
731
△67.3%
合計
33,228
59.1%
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比
受注残高(百万円)
前年同期比
横編機
29,770
31.7%
8,008
42.1%
デザインシステム関連
3,754
22.7%
648
49.8%
手袋靴下編機
763
△63.8%
42
△77.9%
合計
34,287
23.4%
8,700
39.0%
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比
横編機
27,395
32.4%
デザインシステム関連
3,538
23.3%
手袋靴下編機
913
△62.6%
その他
6,038
21.0%
合計
37,886
22.2%
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がいないため、記載はありません。
(2) 財政状態当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、固定資産の減少などで、前連結会計年度末に比べて7億68百万円減少し、1,010億40百万円となりました。負債合計は、買掛債務や短期借入金の増加などで前連結会計年度末に比べて19億19百万円増加し、149億32百万円となりました。純資産は利益剰余金の減少などで26億87百万円減少し、861億7百万円となりました。また、自己資本の額は前連結会計年度末に比べて26億93百万円減少し860億68百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末より2.0ポイント低下し85.2%となりました。(3)キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて87億54百万円減少し、155億17百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。[営業活動によるキャッシュ・フロー]売上債権の増加や棚卸資産の増加などにより、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは71億78百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は61億96百万円の資金の増加)[投資活動によるキャッシュ・フロー]定期預金の預入による支出や有形固定資産の取得による支出などにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは21億33百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は10億23百万円の資金の減少)[財務活動によるキャッシュ・フロー]ファイナンス・リース債務の返済による支出や配当金の支払いなどにより、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは3億9百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は77億59百万円の資金の減少)
当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。当社グループの資金需要の主なものは、事業活動にかかる運転資金、生産能力増強・生産効率化のための設備投資及び新製品開発・成長領域での製品開発投資等によるものであります。資金調達においては、資金の使途、目的に対応して、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等、多様な調達方法を組み合わせて低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。財務の安全性を示す指標である自己資本比率及び流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、85.2%、723.6%となり、極めて良好な財務状態を保っております。今後も当社グループが将来にわたり世界のリーディングカンパニーとして強固な地位を占め、安定的に成長を維持するために必要な運転資金、設備投資資金及び製品開発投資資金は、良好な財務状態および営業活動により、充分調達することが可能と考えております。ウクライナ情勢長期化による資源エネルギーや食料品の価格高騰、欧米の金融不安や景気後退懸念の拡大等により、依然として先行きは不透明な状況が続いておりますが、現時点で必要充分な手許資金を確保しており、また必要に応じて金融機関等から資金調達が可能な体制を整えております。株主還元については経営の最重要課題のひとつとして位置付けており、事業の持続的な発展を通じて、安定した配当を長期にわたって継続することを基本方針としております。中期経営計画「Ever Onward 2023」に基づき、業績の黒字化を実現し、連結配当性向30%を目安とするとともに、株価水準や資金の状況、市場環境などを総合的に勘案し、時機に応じて柔軟に自己株式の取得を行うなど、資本効率の向上にも努めるものとしております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
① 貸倒引当金の計上基準当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その回収可能性が低下した場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価について、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に従い将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。④投資有価証券の減損当社グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
