【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループの報告セグメントは、「サロンサポート事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和と、ウクライナ情勢の長期化に伴う国際情勢の不安や急激な円安等の為替変動により、一進一退の景気動向が続いておりました。
当社グループの属する美容業界におきましては、顧客の消費マインドの復調と、美容サービスへの底堅い需要により、緩やかな回復の兆しを見せている一方で、物価高による消費マインドの落ち込みを警戒した新規投資控え等先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社グループはサロンサポート事業を通じて、美容業界に向けた「広告求人サービス」による美容室経営企業の課題解決、「紹介・派遣サービス」による優秀な美容師人材の供給、「教育(その他)サービス」による教育機会の提供等により、美容業界の活性化を促進するための取り組みを継続いたしております。
当連結会計年度における「広告求人サービス」、「紹介・派遣サービス」、及び「教育(その他)サービス」の状況は、以下のとおりであります。
「広告求人サービス」- 美容業界向けWebメディア等の広告を中心としたサービス
「re-quest/QJ 就職フェア」は、新卒採用市場の活況を受け、当該フェアの開催回数、出展企業数、及び平均出展単価について、いずれも過去最高の水準で向上いたしました。
「re-quest/QJ navi 新卒」もまた、新卒採用市場の活況を受けて新たに開発した高価格プランの販売拡大により、Web広告掲載企業数の増加、及び掲載単価が向上いたしました。
「re-quest/QJ navi」は、掲載件数は掲載単価の低いプランの掲載促進により微増したものの、掲載単価はやや低調に推移いたしました。
「beauqet」は、取引先企業の原材料費及び物流費高騰による広告・販促費予算縮小の影響を受け、美容室へのサンプリング等の案件数の減少及び案件単価が低下いたしております。
5月より開始した「タブレット・レンタルサービス」は、タブレット導入台数を堅調に増加させておりますが、収益貢献については未だ限定的であります。
雑誌定期購読サービス「ZASSI MART」は、顧客との契約から生じる収益が当連結会計年度より収益認識会計基準の代理人に該当したため、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識する方法に変更し、売上高が減少いたしました。
その結果、「広告求人サービス」は、売上高1,608百万円(前連結会計年度比1.5%減)、売上総利益1,203百万円(前連結会計年度比0.7%増)となりました。
「紹介・派遣サービス」- 美容師と美容室経営企業をOne to Oneで繋ぎ、働く場を提供するサービス
「re-quest/QJ agent」は、人材紹介と採用プロモーションをセットにした商品の販売好調により、サービス利用企業数と商品単価ともにいずれも大幅向上いたしております。
「re-quest/QJ casting」は、美容室経営企業サイドの派遣受入需要は一定の水準で推移しているものの、美容師サイドの派遣就労意欲の回復に時間を要していることから、需要と供給のアンマッチが継続しております。
その結果、「紹介・派遣サービス」は、売上高442百万円(前連結会計年度比11.7%減)、売上総利益163百万円(前連結会計年度比0.7%増)となりました。
「教育(その他)サービス」- 美容師や美容学生向けの産学協同による実践型教育を中心としたサービス
SEYFERT International USA, Inc.による美容室運営については、新型コロナウイルス感染症の影響が概ね払拭されたことにより、2店舗ともに顧客数も同感染症拡大前の水準まで回復いたしました。併せて、高単価メニューの需要も拡大したことにより、顧客単価も向上いたしました。
「資格証明」及び「アカデミー」は、産学協同に資する当プログラムが導入美容学校、及び導入美容室経営企業に普及促進されたことにより、プログラム受講者数が向上いたしました。
その結果、「教育(その他)サービス」は、売上高190百万円(前連結会計年度比27.5%増)、売上総利益97百万円(前連結会計年度比26.3%増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高2,241百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業利益234百万円(前連結会計年度比11.3%減)、経常利益218百万円(前連結会計年度比13.3%減)となり、特別損益として減損損失6百万円、事務所移転費用5百万円等、及び法人税等合計57百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は149百万円(前連結会計年度比3.1%増)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,814百万円となり、前連結会計年度末に比べ64百万円減少いたしました。
流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は1,459百万円となり、前連結会計年度末に比べ89百万円減少いたしました。
これは主に、現金及び預金が86百万円、流動資産のその他に含まれる前払金や前払費用等が9百万円減少した一方で、売掛金(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)が6百万円増加したことによるものです。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産合計は355百万円となり、前連結会計年度末に比べ25百万円増加いたしました。
これは主に、投資有価証券の償還により20百万円減少した一方で、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の合計が27百万円、及び建物及び構築物(純額)が14百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は776百万円となり、前連結会計年度末に比べ601百万円減少いたしました。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は573百万円となり、前連結会計年度末に比べ527百万円減少いたしました。
これは主に、短期借入金が288百万円、1年内返済予定の長期借入金が162百万円、未払法人税等が37百万円、1年内償還予定の社債が30百万円減少したことによるものです。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債合計は202百万円となり、前連結会計年度末に比べ73百万円減少いたしました。
これは主に、長期借入金が81百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,037百万円となり、前連結会計年度末に比べ536百万円増加いたしました。
これは主に、2021年12月期期末配当18百万円、2022年12月期中間配当17百万円、及び収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の当期首残高の減少15百万円により利益剰余金が50百万円減少した一方で、株式上場に伴う公募増資を実施したことにより、資本金及び資本剰余金が433百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益を149百万円計上したことで利益剰余金が増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ86百万円減少し1,037百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は164百万円(前連結会計年度は234百万円の増加)となりました。
これは主に、法人税等の支払により102百万円資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益の計上207百万円、減価償却費の計上56百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は89百万円(前連結会計年度は42百万円の減少)となりました。
これは主に、投資有価証券の償還による収入により20百万円資金が増加した一方で、無形固定資産の取得による支出67百万円、有形固定資産の取得による支出39百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は172百万円(前連結会計年度は639百万円の減少)となりました。
これは主に、株式の発行による収入433百万円により資金が増加した一方で、短期借入金の純減額288百万円、長期借入金の返済による支出243百万円、配当金の支払額35百万円、社債の償還による支出30百万円により資金が減少したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績及び受注実績
当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループの報告セグメントは、「サロンサポート事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
セグメントの名称
販売高(千円)
前連結会計年度比(%)
サロンサポート事業
2,241,984
98.2
合計
2,241,984
98.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性のため、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析は、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ42百万円減少し、2,241百万円となりました。
なお、サービス毎の売上高については、「広告求人サービス」1,608百万円(前連結会計年度に比べ24百万円減少)、「紹介・派遣サービス」442百万円(前連結会計年度に比べ58百万円減少)、「教育(その他)サービス」190百万円(前連結会計年度に比べ41百万円増加)であります。これは主に、「広告求人サービス」における「新卒採用商品」のオンラインを含むイベント回数の増加や「re-quest/QJ navi 新卒」の高価格プランの販売拡大、「教育(その他)サービス」におけるSEYFERT International USA, Inc.の美容室運営において、新型コロナウイルス感染症の影響が概ね払拭されたこと等により売上高が増加した一方で、「紹介・派遣サービス」における美容師人材派遣で、需要と供給のアンマッチが続いていることや、「ZASSI MART」の収益を純額で認識したこと等により売上高が減少したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ72百万円減少し、777百万円となりました。これは主に、「紹介・派遣サービス」における美容師人材派遣の売上減少に伴う派遣美容師の給与減少、「ZASSI MART」の収益を純額で認識したこと等によるものです。
以上の結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ30百万円増加し、1,464百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ60百万円増加し、1,229百万円となりました。これは主に、各サービスサイトに対する広告宣伝費の増加、資本金増加に伴う外形標準課税の適用による事業税の計上、及び上場に係る諸費用の増加等によるものです。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ30百万円減少し、234百万円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ26百万円減少し、12百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症に係る助成金収入が19百万円減少したことによります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ23百万円減少し、28百万円となりました。これは主に、新規上場に伴い上場関連費用は8百万円増加しましたが、前連結会計年度においてコミットメントライン契約のアレンジメントフィーが発生していたことによりシンジケートローン手数料が23百万円減少、融資返済により支払利息が7百万円減少したことによります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ33百万円減少し、218百万円となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度において、特別損益として主に、本社事務所一部退去に伴う減損損失6百万円、本社及び子会社の事務所移転費用5百万円を計上しております。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ24百万円減少し、207百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を併せ、前連結会計年度に比べ28百万円減少し、57百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が減少したこと、資本金増加に伴う実効税率の減少、子会社の繰越欠損金に係る繰延税金資産の計上等によります。
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ4百万円増加し、149百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費や地代家賃等の経費支払や美容師人材派遣における派遣美容師への給与の支払、その他の販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、ソフトウエア開発等の設備投資資金によるものであります。
当社グループは不透明な世界経済情勢の中で、事業運営上必要な資金流動性とその源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度における主な経営指標の前連結会計年度比の増減率は以下のとおりであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進して参ります。
指標
2021年12月期
(前連結会計年度実績)
2022年12月期
(当連結会計年度実績)
前連結会計年度比増減率
売上高
2,284百万円
2,241百万円
△1.8%
営業利益
264百万円
234百万円
△11.3%
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