【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
①経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で各種規制の緩和と、それに伴う消費の持ち直しの動きが見られ、経済社会活動は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる国際情勢不安の長期化や、原材料価格・エネルギー価格の高騰、各国の金融引き締めによる為替市場の急変動など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く経営環境につきましては、原材料・物流コストの高騰、急速な円安進行といった外部要因の厳しさが続くなか、環境意識の高まりから紙製品事業は好調に推移いたしました。特に、紙製宅配資材はコロナ禍における生活様式の変化によるオンライン消費活動が定着したことを背景に、その市場規模は今後も拡大していくものと見込んでおります。また、行動制限や入国制限の緩和、経済活動支援等の影響による人流回復が進むことで、来店型事業における紙製包装資材需要はさらに増加していくものと期待されます。このような環境のもと、2021年6月30日に公表した中期経営計画『次世代パッケージ企業への転換』に掲げる『環境対応と成長基盤確立のための3ヵ年~本気の変革~』を基本方針として、「事業構造の転換」、「新規事業の発掘」、「コスト削減」、「業務運営の効率化」、「組織・人員の見直し」などに取り組み、引き続き環境戦略の強化、構造改革の徹底に努めております。当期においては、生産設備・人員配置の見直し等による紙製品事業の生産体制再構築、事業の見極めと不採算事業の整理を実施したほか、新たな市場も含めた開拓を進めてまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は25,253百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益450百万円(前年同期は営業損失496百万円)、経常利益472百万円(前年同期は経常損失503百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益473百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失642百万円)となりました。セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、各セグメントのセグメント損益(営業損益)は、「セグメント情報等」に記載のとおり、各セグメントに配分していない全社費用591百万円を配分する前の金額であります。
「紙製品事業」紙製品事業につきましては、国内における個人消費の回復もあり、主力の角底袋、宅配袋、手提袋の販売数量の増加により、売上高は前年同期に比べ2,183百万円増加して13,246百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は原材料費が増加したものの、生産体制の効率化に伴う利益率の向上により、前年同期に比べ502百万円増加して895百万円となりました。
「化成品事業」化成品事業につきましては、環境意識の高まりから、包装資材の紙化の流れが継続し、ポリ宅配袋の販売数量の減少などにより、売上高は前年同期に比べ1,778百万円減少して5,682百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は売上高減少に加えて調達コストの上昇や円安の影響があったものの、前期より継続している事業構造改革の成果により固定費削減が進んだ結果、前年同期に比べ373百万円増加しましたが、21百万円の損失となりました。
「その他事業」その他事業につきましては、S・V・S(スーパーバッグ・ベンダー・システム)を主たる事業として展開しておりますが、前期需要が旺盛であった新型コロナウイルス感染拡大を背景とした清掃用品の売上高が減少したことにより、売上高は前年同期に比べ285百万円減少して6,324百万円となりました。品目ごとの販売構成では、清掃用品、包装用品が減少し、事務用品が増加しております。セグメント利益(営業利益)は前年同期に比べ55百万円増加して168百万円となりました。
②生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
紙製品事業
8,752
+10.5
化成品事業
176
△88.5
合計
8,928
△5.5
(注) 1.金額は販売価格により算出しております。2.当連結会計年度において、化成品事業の生産実績に著しい変動がありました。これは、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化といった環境対応の影響により得意先の需要が大きく減少したことなどによるものであります。
ロ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
紙製品事業
13,355
+19.5
1,037
+11.8
化成品事業
5,616
△23.5
415
△20.5
その他事業
6,330
△4.5
512
+1.2
合計
25,302
+0.6
1,965
+0.4
(注) 当連結会計年度において、化成品事業の受注実績に著しい変動がありました。これは、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化の流れが継続し、ポリ手提袋の販売数量が大きく減少し、また子会社における生産活動を停止したことなどによるものであります。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
紙製品事業
13,246
+19.7
化成品事業
5,682
△23.8
その他事業
6,324
△4.3
合計
25,253
+0.5
(注) 当連結会計年度において、化成品事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、レジ袋有料化やプラスチック製包装資材の紙化の流れが継続し、ポリ手提袋の販売数量が大きく減少し、また子会社における生産活動を停止したことなどによるものであります。
(2) 財政状態総資産は、前連結会計年度末に比べ345百万円増加して14,125百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が157百万円減少、受取手形が49百万円減少、電子記録債権が94百万円減少した一方、売掛金が324百万円増加、棚卸資産が436百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ453百万円増加の9,821百万円となりました。固定資産は、設備投資等により123百万円増加、投資有価証券の時価評価額が162百万円増加した一方、固定資産の売却及び除却で36百万円減少、減価償却で245百万円減少、退職給付に係る資産が119百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ107百万円減少の4,304百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ185百万円減少して11,139百万円となりました。これは、電子記録債務及び設備電子記録債務が192百万円増加、未払法人税等が60百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が168百万円減少、短期借入金及び長期借入金が152百万円減少、リース債務が94百万円減少したことなどによるものであります。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ531百万円増加して2,985百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益計上により473百万円増加、その他有価証券評価差額金が100百万円増加したことなどによるものであります。この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ347.35円増加し1,944.73円に、自己資本比率は、前連結会計年度末の17.7%から21.0%になりました。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,148百万円となり、前連結会計年度末に比べ152百万円減少しております。その内訳は次のとおりであります。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、60百万円(前年同期は500百万円の増加)となりました。これは、棚卸資産の増加436百万円、売上債権の増加180百万円、利息の支払額89百万円等資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益474百万円、減価償却費245百万円、利息及び配当金の受取額75百万円等資金が増加したことなどによるものであります。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」当連結会計年度における投資活動による資金の増加は、30百万円(前年同期は705百万円の増加)となりました。これは、投資有価証券及び固定資産の取得による支出155百万円等資金が減少したものの、保険金積立金の解約による収入80百万円、固定資産の売却による収入68百万円、定期預金の払戻による収入58百万円等資金が増加したことなどによるものであります。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、255百万円(前年同期は575百万円の減少)となりました。これは、借入金が純額で152百万円減少、リース債務の返済による支出103百万円等資金が減少したことなどによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出や資金調達手段の確保に努めております。設備投資などの長期資金需要につきましては、自己資金及び主に金融機関からの長期借入など、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。また運転資金需要につきましては、自己資金、営業活動から得られるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの当座貸越枠を利用した短期借入金により対応しております。
(4) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2021年度からの3カ年を『環境対応と成長基盤確立のための3ヵ年~本気の変革~』と位置づけて策定した中期経営計画のなかで、売上高、営業利益、営業利益率などについて目標値を設け業績の回復に努めてまいりました。中期経営計画の2年目にあたる当連結会計年度は、売上高25,253百万円、営業利益450百万円、営業利益率1.8%となりました。また、収益性指標につきましては、自己資本比率とROE(自己資本利益率)を重要指標と位置付け、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上に努め、自己資本比率は21.0%、ROEについては17.5%となっており、初年度を上回る結果となりました。2023年度は中期経営計画の最終年度にあたり、当社グループは上記を踏まえ、更なる収益構造改革の推進、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上を目指し、企業体質の変革に引き続き取り組むことを目標としております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上し、回収が不確実と判断した部分に対して評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。