【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
第1四半期連結累計期間における我が国経済は、ウイズコロナへの経済政策の転換、水際政策の緩和によるインバウンド需要の復活により、サービス業の回復が見込まれる状況になっております。一方、エネルギー資源の高騰・食料品で顕著であった原材料価格の上昇、急激な円安ドル高による価格転嫁の影響により、物価高が更に継続するものと考えられております。
このような経営環境のもと、当社グループでは、2023年度からスタートした「新中期3ヵ年経営計画」を確実に実行することにより、回復基調に転じております。なお、新中期3ヵ年経営計画の施策の内容については次のとおりであります。
① オリジナルブランドの構築
消費者直接対応の小売型販売管理体制の強化策としては、山喜のファンになっていただくために、お客様にご提供するオリジナル商品の強化、即ちオリジナルブランドの構築を行います。
・SWANブランドの復活とメンズ&レディースでの展開に挑戦
量販店シャツ売場にて、当社オリジナルブランドSHIRT HOUSE(シャツハウス)のコンセ店舗を展開しており、前連結会計年度末の109店舗から、3年後には167店舗まで拡大する目標を掲げております。このコンセ店舗を足掛かりに、SWANブランドの企画・製造・販売をメンズ&レディースで展開することで、3年後の直営店出店を目標に、SWANブランドの復活を図ります。
・CHOYAブランドのブランディングとコーナー化・一社化・ショップ化
百貨店の既製ドレスシャツ売場およびオーダーシャツ売場にて、CHOYAブランドのコーナー化・一社化でシェアを拡大中であり、現在のシェア75%をさらに高めることで売場の一社化・ショップ化を図り、CHOYAブランドの構築を実行してまいります。あわせて、CHOYAレディースの企画・販売の開始、およびシャツ生地を使用したハンカチーフ・エプロン・パジャマ・エコバッグ・クッションカバーなどの拡がりを企画し、3年後の直営店出店を目指して、CHOYAブランドのブランディングを進めてまいります。
② BtoCの強化による収益アップ
・3年後のネット売上16億円、自社サイト会員数8万人を目指す
実店舗と同様にネット販売を拡大するため、お客様がインターネットで発注しやすいシンプルな画面の設計、ネット販売専用のオリジナルブランドの商品開発に取り組み、さらに自社サイトの会員数増加に向けた販売促進策を強化し、3年後にはネット売上16億円、自社サイト会員数8万人を目指します。
・リアル店舗とネット販売サイトのオムニチャネル化
百貨店シャツ売場や、量販店シャツコンセ売場にご来店頂いたお客様と、山喜公式サイトにご来店頂いたお客様が、店頭売場とネット販売サイトの双方向から、当社商品をお買い回り頂けるプラットフォームを整備することでオムニチャネル化を促進し、売上・利益の拡大を図ります。
・SWANブランド売場・CHOYAブランド売場の収益改善
量販店、百貨店の衣料品売場縮小、コンセやテナント売場拡大の方針転換により、SWANブランド展開予定の量販店シャツコンセ売場「SHIRT HOUSE」や、CHOYAブランドを展開している百貨店シャツ売場での取引条件改定を促進し、収益改善に繋げてまいります。
③ ドレス・カジュアル・レディース・ユニフォームの新商品開発と売上拡大
ビジネススタイルのカジュアル化に伴い、スーツからジャケットやシャツが主役となるニュー・ワーク・スタイルに変化していることから、カジュアル化に対応したシャツジャケット・シャツワンピース・カットソーアイテム等の企画・生産・販売の強化を図ります。
・新商品開発の機能強化
従来のシャツビジネスで培った紡績・合繊メーカーとの素材開発機能や縫製技術を駆使し、シャツジャケットやシャツワンピースの企画・生産や、カットソー素材を使用した高機能なビジカジシャツの新商品開発を強化してまいります。
・OEM受注型営業からODM提案型営業への転換
得意先様から素材、パターンが提供されるOEM受注と、当社から素材、デザインを提案するODM受注の二通りの営業形態がありますが、収益性を高める上でも前述の新商品開発の機能を強化し、ODM提案型の営業に切り替え、粗利益額・粗利益率の向上に努めてまいります。
・新規得意先の開拓
長年シャツビジネスで培った素材開発機能と自社工場での縫製技術を活かし、カジュアル事業、レディース事業、ユニフォーム事業はもちろんのこと、生活雑貨・ファッショングッズ等を扱うライフスタイル事業まで営業活動を拡げ、新しいビジネスモデルの構築に向けて、新規得意先の開拓を強化してまいります。
④ 物流対応力の強化
・物流対応力の強化
作業の標準化を推進し、EC物流対応を強化してまいります。
・デジタル化の推進による物流効率改善
ネット販売の売上拡大に伴う出荷単位の小口化に対応すべく、さらなるデジタル化を図り、物流効率改善に努めてまいります。
⑤ 国内外の自社工場・海外販売子会社の収益改善
・国内4工場(山喜ソーイング)の連携強化
国内4工場のさらなる連携を強化しながらキャパシティーの拡大を実施すると同時に、技術力を活かしたオーダーシャツはもちろんのこと、レディースブラウス、シャツワンピースなど、シャツ生地で生産できる新しいアイテムの拡充にもチャレンジしてまいります。また、高齢化などの人手不足の対策としては、雇用条件などの改善を行うと同時に、海外自社工場であるラオ山喜(ラオス)からの実習生を受け入れ、長く働ける職場環境の改善にも努めてまいります。
・タイ山喜・ラオ山喜の連携強化
中国の生産を移管した自社工場であるタイ山喜、ラオ山喜の両工場の特性を活かしながら、連携を強化するとともに、さらに付加価値の高い商品の生産工場へシフトしてまいります。また、低価格商品の受注拡大を目的に、その生産拠点であるバングラデシュの協力工場の生産管理業務を、タイ山喜と連携し強化してまいります。
・海外販売体制の強化
上海ジョイモントにおいて、中国での既製品のODM・OEMの受注を強化してまいります。
また、アセアン、オセアニア地区および欧米のオーダーに関しましては、タイ山喜・ラオ山喜を中心に、販売体制の強化をさらに図ってまいります。
⑥ SDGsの取り組み
持続可能な社会の形成として、リサイクル素材の使用はもちろんのこと、ドレスシャツのプラスチック製付属品を2030年までに全廃する取り組みを始めており、環境省の「プラスチック・スマート(脱プラスチック)」運動にも登録し、活動を強化しております。また、国内自社工場の強みを活かし、衿・カフス取替等のリフォームサービス事業の継続拡大、また衣料品再生のリメイクサービス事業にもチャレンジしてまいります。
以上のような各施策の実行に加え、前連結会計年度下半期より実施した納品価格の改定、店頭小売価格の値上げ、機動的な為替予約の実行等を行いました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、連結売上高34億21百万円(前年同期は31億61百万円)、営業利益2億76百万円(前年同期は41百万円)、経常利益3億39百万円(前年同期は1億12百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益2億81百万円(前年同期は1億3百万円)となりました。
事業セグメントごとの業績は次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
①国内販売
国内販売セグメントは上述の要因により、売上高30億93百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益2億46百万円(前年同期比661.1%増)となりました。
②製造
製造セグメントにおいては、在庫削減方針のもと、仕入をコントロールした関係で、売上高は6億円(前年同期比13.3%減)、セグメント利益20百万円(前年同期比16.0%減)となりました。
③海外販売
海外販売セグメントにおいては、春夏物の受注が順調に進んだことから、売上高は99百万円(前年同期比426.1%増)、セグメント利益11百万円(前年同期は6百万円の損失)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は123億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ48百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の増加等によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の負債は80億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億9百万円減少いたしました。この主な要因は、支払手形及び買掛金、短期借入金の減少によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の純資産は42億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億58百万円増加いたしました。この主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等によるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。
(6)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。