【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限が緩和され、経済活動の正常化に向けた緩和策により、景気は緩やかな持ち直しが進む一方で、ウクライナ情勢の長期化による原油価格をはじめとした原材料やエネルギー価格の高騰、円安等の為替変動の影響等により、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの関係する自動車業界では、半導体不足による生産遅れ、原油をはじめとした資源価格の上昇等に引き続き留意が必要な状況となっております。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、期末に向けて部品供給不足による生産遅れも徐々に回復基調にあり、売上高は当初の予想値を上回る結果となりました。各利益につきましては、原材料、副資材、電力価格等の高騰により利益が圧迫されておりますが、売上高の増加による利益率の増加、一時的な試作受注に関する一括売上が計上され、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに、当初の予想値を上回る結果となりました。
また、連結子会社のPT.IKUYO INDONESIAは、ブカシ県のグリーンランド国際工業センター(GIIC)に建設中の自社工場も完成し2023年10月の量産開始に向けて準備を進めております。
a.財政状態
当連結会計期年度における流動資産は5,874百万円となり、前連結会計年度に比べ348百万円増加しました。
主な内訳は、受取手形及び売掛金767百万円増加、現金及び預金933百万円が減少したこと等によるものです。固定資産は8,126百万円となり、前連結会計年度に比べ2,470百万円増加しました。主な内訳は、工具、器具及び備品1,097百万円、建設仮勘定1,525百万円が増加したこと等によるものです。投資その他の資産は512百万円となり、前連結会計年度に比べ91百万円増加しました。主な内訳は、投資有価証券115百万円が増加したこと等によるものです。
この結果、資産合計は14,000百万円となり、前連結会計年度に比べ2,819百万円増加しました。
当連結会計期年度における流動負債は6,008百万円となり、前連結会計年度に比べ2,103百万円増加しました。主な内訳は、支払手形及び買掛金496百万円、短期借入金420百万円、設備関係支払手形663百万円が増加したこと等によるものです。固定負債は2,722百万円となり、前連結会計年度に比べ279百万円増加しました。主な内訳は、長期借入金270百万円が増加したこと等によるものです。
この結果、負債合計は8,730百万円となり、前連結会計年度に比べ2,382百万円増加しました。
当連結会計期年度における純資産は5,270百万円となり、前連結会計年度に比べ436百万円増加しました。主な内訳は配当金の支払により15百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益493百万円計上したことにより、利益剰余金478百万円が増加したこと等によるものです。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は14,608百万円(前年同期比10.3%増加)、営業利益695百万円(前年同期比95.2%増加)、経常利益706百万円(前年同期比94.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益493百万円(前年同期比14.2%増加)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績につきましては、当社グループは、自動車部品事業を単一のセグメントとして運営しており、これ以外に報告セグメントがないため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計期年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,349百万円(前年同期比40.9%減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計期年度における営業活動による資金は876百万円(前年同期比56.0%減少)の収入となりました。主な要因としては、税金等調整前当期純利益697百万円(前年同期比31.6%増加)、減価償却費959百万円(前年同期比19.4%減少)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計期年度における投資活動による資金は2,584百万円(前年同期比191.1%増加)の支出となりました。
主な要因としては、新規受注品の金型投資及び連結子会社の自社工場建設による有形固定資産の取得による支出2,460百万円(前年同期比246.5%増加)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計期年度における財務活動による資金は863百万円(前年同期比967.2%増加)の収入となりました。主な要因としては、借入による収入800百万円(前年同期比11.1%減少)、配当金の支払による支出15百万円(前年同期比100.0%増加)によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
当社は生産・販売体制を基礎とした自動車部品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
自動車部品事業
9,694,955
11.4
(注)1.金額は製造原価によっております。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
受注高(千円)
前年同期比
(%)
受注残高(千円)
前年同期比
(%)
自動車部品事業
14,660,528
11.0
1,172,373
4.6
(注)1.数量については同一品目のなかでも種類が多く、かつ仕様も多岐にわたるため記載を省略しております。
2.金額は、販売価格で表示しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
構成比(%)
前年同期比(%)
自動車部品事業
14,608,740
100.0
10.3
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
総販売実績に対する割合
(%)
金額(千円)
総販売実績に対する割合
(%)
三菱自動車工業㈱
5,088,793
38.4
4,983,073
34.1
三菱ふそうトラック・バス㈱
1,966,699
14.9
2,844,385
19.5
日野自動車㈱
1,783,098
13.5
1,509,098
10.3
合計
8,838,591
66.8
9,336,557
63.9
2.数量については同一品目のなかでも種類が多く、かつ仕様も多岐にわたるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針等は、「第5
経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末における資産の額は14,000百万円(前年同期比25.2%増加)となりました。資産の主な内訳は、現金及び預金1,349百万円(前年同期比40.9%減少)、受取手形及び売掛金2,662百万円(前年同期比40.5%増加)、工具、器具及び備品2,488百万円(前年同期比78.8%増加)、建設仮勘定1,697百万円(前年同期比887.4%増加)等です。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債の額は8,730百万円(前年同期比37.5%増加)となりました。負債の主な内訳は、支払手形及び買掛金3,032百万円(前年同期比19.6%増加)、設備関係支払手形790百万円(前年同期比520.9%増加)、長期借入金1,890百万円(前年同期比16.7%増加)等です。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産の額は5,270百万円(前年同期比9.0%増加)となりました。純資産の主な内訳は、資本金2,298百万円、利益剰余金2,957百万円(前年同期比19.3%増加)等です。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は14,608百万円(前年同期比10.3%増加)となりました。そのうち、国内売上高は13,469百万円(前年同期比9.6%増加)、海外売上高は1,139百万円(前年同期比19.6%増加)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、12,438百万円(前年同期比8.1%増加)となり、売上総利益率は14.9%となりました。主な内訳は、材料費等の変動費によるものです。
販売費及び一般管理費は、1,474百万円(前年同期比6.9%増加)となりました。主な内訳は、運搬費によるものです。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、44百万円(前年同期比75.6%増加)となりました。主な内訳は、受取利息、受取配当金、受取補償金の計上によるものです。
営業外費用は、32百万円(前年同期比89.9%増加)となりました。主な内訳は、借入金に対する支払利息、支払補償費の計上によるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上のことにより、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は493百万円(前年同期比14.2%増加)となりました。
(c) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、金型投資及び機械設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は2,840百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,349百万円となっております。
当連結会計年度は、国内の各完成車メーカーは、主力のメーカーの生産調整による受注の落ち込みも見られましたが、一時的な試作受注に関する一括売上が計上され、当社グループの売上高は予想値を上回る結果となりました。この結果、売上高14,608百万円(計画比482百万円増加)、経常利益706百万円(計画比259百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益493百万円(計画比182百万円増加)、ROE(自己資本利益率)は9.8%(計画比3.7ポイント増加)となりました。
主な内容として売上高については、国内完成車メーカーの環境の回復の遅れも見込まれておりましたが、期末に向けて部品供給不足による生産遅れも徐々に回復基調で推移しました。経常利益については、合理化などによる原価低減を進め、収益改善に向けてグループ一丸となって収益の拡大に努めてまいりました。また、当連結会計年度における特殊要因として、投資有価証券評価損1百万円、債権放棄損5百万円を特別損失、繰延税金資産23百万円を取崩し、法人税等調整額に計上しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。
指標
2023年3月期
(計画)
2023年3月期
(実績)
2023年3月期(計画比)
売上高
14,125百万円
14,608百万円
482百万円 (3.4%)
経常利益
447百万円
706百万円
259百万円 (58.0%)
親会社株主に帰属する当期純利益
310百万円
493百万円
182百万円 (58.8%)
ROE
(自己資本利益率)
6.1%
9.8%
3.7ポイント
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
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