【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症からの影響も落ち着きを見せ、社会の新たな段階への移行が進む中、経済活動は平常に戻りつつあり、緩やかな景気の持ち直しの動きが見られました。一方、世界的な金融引き締めのほか、日銀が長期金利の上限を引き上げたことから、景気の先行きは非常に不透明なものとなっております。
当社グループを取り巻く事業環境におきましては、岸田内閣が2022年を「スタートアップ創出元年」と表明し、11月には「スタートアップ育成5か年計画」を発表するなど、当社の起業支援「スタートアップスタジオ」の取り組みに強い追い風が吹いております。また、シェアリングエコノミー分野においては、2030年度には最大約14兆円にまで日本の市場が拡大すると予測されています。また、web3分野においては、世界市場が2030年には2021年の約25倍となる800億ドルに成長すると予測されているほか、先述の「スタートアップ育成5か年計画」では政府による環境整備が進んでいく見込みです。
このような背景のもと、当社は、引き続き成長が期待されるシェアリングエコノミー分野やオンライン事業分野、そしてweb3(DAO、分散型自律組織)に注力し、様々なサービスの開発や起業・事業支援をするとともに、ソーシャルメディアサービス事業のノウハウを展開し、ビジネス領域の更なる拡充と優位性の確保に努めてまいりました。11月には、日本初となる複数自治体の連合DAO「美しい村DAO」の開発に着手する等、2022年度は数々の日本初の取り組みを他社に先駆けて実施し、いち早く新技術の市場を開拓してまいりました。
この結果、ソーシャルメディアサービス事業においては顧客数が増加し、安定的な売上が確保できました。インキュベーション事業においては、保有株式の売却に加え、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に解消され、各サービスの売上が回復してきており、売上高については、2,597,744千円(前年同期比18.2%増)となりました。利益面においては、販売管理費は、人件費等の増加、円安の影響によるAWSの通信費が大幅に増加、特別損失は、インキュベーション事業の固定資産について減損損失を計上いたしました。これらにより営業損失は、210,440千円(前年同期195,429千円の損失)、経常損失は、174,485千円(前年同期195,815千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は、341,528千円(前年同期30,368千円の損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(ソーシャルメディアサービス事業)
①ソーシャルメディア領域
<コミュニティパッケージ、企業向けブログ、活性化サービス>
Facebook、Twitter、LINE@、Instagram、ブログなどソーシャルメディア活用の企画提案やシステム構築・運営、多店舗向けのブログシステムの提供、グループウェア、クラウド型グループウェアを提供
②マーケティング支援領域
<ソーシャルメディアマーケティング、Webマーケティング>
ソーシャルメディアやブログなどを活用したマーケティングのコンサル業務、Webサイトの構築・運営
③その他領域
動画面接スカウトサービスのオンライン就活、ウェルビーイング、コーチング
当連結会計年度は、Instagram、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用したプロモーションの代行業務及びコンサルティングにおいて顧客数の拡大に伴い安定的に受注を積み重ね、売上高については、前連結会計年度に比べ伸長いたしました。また、オウンドメディアリクルーティングに取り組み、多様で先進的な採用を行う企業を表彰する「オウンドメディアリクルーティングアワード2022」では、採用動画賞を単独で受賞するなど、当社の強みを活かしたSNSの領域を更に拡張してまいりました。
この結果、売上高は1,826,749千円(前年同期比21.7%増)、セグメント利益は342,164千円(前年同期比11.8%増)となりました。
(インキュベーション事業)
インキュベーション事業は、グループ外における投資育成支援(グループ外インキュベーション)とグループ内で創設される新規事業(グループ内インキュベーション)で構成されております。
グループ外インキュベーションにおきましては、投資先企業の株式を保有し、事業育成・成長支援などのハンズオン支援を行っております。
グループ内インキュベーションにおきましては、地域体験マッチングサービス「aini」、海外在住の日本人が現地案内などを行うマッチングサービス「LOCOTABI」、オンライン配信サービスなどを提供しております。
当連結会計年度においては、保有株式の一部を売却したため、売上高においては前連結会計年度より増加いたしました。セグメント利益については、新型コロナウイルス感染症の影響は落ち着きを見せ始め、Nagatacho GRiDの運営、「aini」、「LOCOTABI」の利用状況は徐々に回復に向かっております。また新規事業として、DAOに関するコンサルティングサービスや開発をスタートし、自治体などと協力したプロジェクトを開始いたしました。この他、回収可能性が著しく低下した保有株式について評価損を売上原価に計上いたしました。
この結果、売上高は802,435千円(前年同期比14.0%増)、セグメント損失は186,302千円(前年同期193,432千円の損失)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて11.0%減少し、2,128,020千円となりました。これは、主に営業投資有価証券が248,199千円、現金及び預金が70,736千円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて73.9%減少し、76,229千円となりました。これは、主に建物及び構築物が55,917千円、のれん147,550千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて17.8%減少し、2,204,249千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて15.3%増加し、487,392千円となりました。これは、主に未払法人税等21,206千円、流動負債のその他に含まれる未払金が21,935千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて23.0%減少し、385,554千円となりました。これは、主に長期借入金が40,282千円、繰延税金負債が84,054千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて5.4%減少し、872,946千円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて24.3%減少し、1,331,303千円となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金が166,257千円、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純損失により341,528千円減少したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ70,736千円減少し、647,954千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果減少した資金は、101,240千円(前年同期は155,591千円の支出)となりました。主な増加要因は、のれん償却額39,657千円、減損損失179,113千円であり、主な減少要因は、税金等調整前当期純損失352,569千円、売上債権の増加額59,199千円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果増加した資金は、4,817千円(前年同期は8,363千円の収入)となりました。主な増加要因は、貸付金の回収による収入が64,720千円であり、主な減少要因は、貸付けによる支出が37,800千円、有形固定資産の取得による支出が17,872千円あったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果増加した資金は、33,613千円(前年同期は64,835千円の収入)となりました。主な増加要因は、株式発行による収入が98,494千円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出が62,912千円あったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a
生産実績
該当事項はありません。
b
受注実績
当社グループが提供するサービスの性質上、受注の規模を金額あるいは数量で示すことが馴染まないため記載しておりません。
c
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
ソーシャルメディアサービス事業
1,803,842
20.3
インキュベーション事業
793,901
13.8
合計
2,597,744
18.3
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成における重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a
経営成績の分析
(売上高)
当社グループの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べて400,902千円増加し、2,597,744千円となりました。SNSコンサル・マーケティング売上においては、長年培ったSNSマーケティングにデータ解析をプラスし一気通貫でコンサルティングを行う統合型マーケティングを提供し、売上高が前年同期に比べ24%増加いたしました。受託開発においても、顧客からの受注が順調に推移し、売上高は前年同期に比べ19%増加いたしました。また、インキュベーション事業においては、保有している株式の一部を売却し、売上高増加に貢献いたしました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費の合計額は、前連結会計年度に比べて415,914千円増加し、2,808,184千円となりました。主な増加要因は、インフルエンサーなどの増強により人件費および業務委託費が増加したことに加え、円安によるAWS等通信費の増加、さらに外形標準課税の税負担などにより大きく増加いたしました。
(営業外収益及び営業外費用)
当連結会計年度における営業外収益は41,871千円となりました。主な要因は、為替差益及び貸倒引当金戻入額であります。営業外費用は5,916千円となりました。主な要因は、支払利息と株式交付費であります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益12,851千円の主な要因は、雇用調整助成金5,902千円によるものであります。また特別損失190,935千円の主な要因は、固定資産の減損損失179,113千円によるものであります。
b
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費のほか、外注費、株式購入費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、営業投資有価証券の取得等によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本方針としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は119,450千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は647,954千円となっております。
c
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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