【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更されたことにより経済社会活動が徐々に正常化しつつありますが、一方で、円安等の急激な為替変動や資源・エネルギー価格の高騰などによるインフレ懸念、増税などによる国民負担の増加が検討されるなど景気の先行きは不透明な状況が続いております。世界経済においても、資源・エネルギー価格の高騰やインフレ率の高止まり、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引締めによる景気悪化懸念など世界経済は緩やかな減速が続くとみられています。このような環境の中、当社グループの当第1四半期連結累計期間の営業収益は256億94百万円(前年同期比93億5百万円増)、営業利益は57億82百万円(前年同期比8億25百万円増)、経常利益は63億47百万円(前年同期比10億14百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は19億66百万円(前年同期比12億66百万円減)となりました。
当社グループは、当社、連結子会社3社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。
銀行関連事業 ハーン銀行(Khan Bank LLC) (※1)、 キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)リユース事業 株式会社STAYGOLDその他事業 当社、H.S. International (Asia) Limited
※1 当第1四半期連結会計期間において、ハーン銀行は新株発行による新規株式公開を行い、その結果、当社の持分比率が50%を下回ることとなり、同行は当第1四半期連結会計期間末より持分法適用関連会社に異動することとなりました。このため、第2四半期連結会計期間より同行の業績は持分法による投資損益に反映されることとなります。
報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
① 銀行関連事業銀行関連事業の当第1四半期連結累計期間の営業収益は187億15百万円(前年同期比34億5百万円増)、営業利益は57億62百万円(前年同期比9億58百万円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。
ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)モンゴル経済につきましては、新型コロナウイルス収束後における消費の増加、石炭や金の輸出の増加が寄与し、実質GDP(1-3月)は前年同期比で7.9%の大幅な成長となりました。インフレ率は食品価格を中心にあらゆる財・サービス価格が上昇したことにより前年同期比12.2%上昇と依然として高水準にあります。また、貿易収支(1-3月)は、前年同期が中国におけるロックダウンの影響で大幅に減少していたことから前年同期比で約8倍と増加しており、外貨準備高も好調な輸出に支えられ34億ドル台(前年同期比3.6%増加)と増加に転じております。為替市場では依然として米ドルに対して現地通貨トゥグルグ(以下、MNTという。)の通貨安が進行し、前年同期比で米ドルに対して19.3%下落(ドル高)しました。このようなインフレ率の上昇や通貨安の状況を受け、モンゴル中央銀行は政策金利を断続的に引き上げております。モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル政府が実施した低金利融資や延滞している融資の返済期限延長等の景気対策の結果、金融セクターの融資残高は前年同期比で3.3%増加しました。また、延滞債権残高は42.7%増加、不良債権残高は4.8%増加となりました。このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、法人向け融資や個人向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。特に、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策により個人向け融資が大きく増加したことや金利上昇の影響から資金運用収益が増加しました。一方で、預金残高の増加や預金金利の上昇、により資金調達費用も増加しておりますが、デジタルバンキングサービスの推進による手数料収入が増加したことも影響し、増収増益となりました。結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前年同期比で14.3%増加、融資残高は7.2%増加、資金運用収益は45.1%増加、四半期純利益は28.9%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前年同期比で1.0%増加、個人向け融資は34.6%増加、農牧業向け融資は4.7%増加いたしました。
キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)キルギス経済につきましては、ロシア・ウクライナ情勢による悪影響が懸念されましたが、全ての主要な業種で成長が見られ、2023年第1四半期の実質GDP(1-3月)は前年同期比で4.6%増加しました。一方で、エネルギーと食品価格の上昇により、2023年第1四半期(1-3月)のインフレ率は前年同期比14.7%上昇となりました。キルギスコメルツ銀行は、利回りの高い個人融資の拡大を念頭に個人融資の商品開発に注力しつつも、ロシア・ウクライナ情勢を背景に慎重な融資を行いました。預金業務では、預金残高の維持のために預金金利を引き上げました。また、ロシアの銀行が制裁を受けていることから、キルギスコメルツ銀行では、外貨取引、コルレス口座ネットワーク、海外送金などの決済業務の見直しを行い、非金利収入を増加させることができました。しかし、高止まりのインフレや不透明な国際情勢を背景に、金利費用や人件費を含む経費が増加しました。結果として、現地通貨ベースでは僅かな黒字を維持しておりますが、連結損益計算書作成の元となるIFRSベースでは赤字となっております。今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢を背景にキルギス経済の先行きは依然として不透明な状況となっております。このような環境の中、キルギスコメルツ銀行は、リスク管理とコンプライアンス体制を強化し、安定した預金基盤の構築と顧客ニーズに応える融資商品の提供に努めます。また、バックオフィス業務の効率向上を目指して、その業務プロセス・IT基盤の見直しを行います。
ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)ロシア経済につきましては、ウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けている影響から2023年第1四半期の実質GDP(1-3月)は前年同期比で1.8%の減少となりました。2023年第1四半期のインフレ率(1-3月)は、比較のベースとなる前年同期のインフレ率が大幅な上昇となっていたため、前年同期比では食料品価格の下落などにより8.6%の上昇と1桁台の上昇となりました。このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、新規顧客への融資を慎重に行い、銀行保証や外為取引などの非金利収入の拡大に注力するとともに、ロシア大手銀行や企業に対する制裁による環境変化を背景に店舗ネットワークと国際業務の見直しを行いました。今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢に起因する幅広い経済制裁を背景に、ロシア経済の先行きについては依然として厳しい状況が続くと予想されます。このため、現地通貨ルーブルの為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の様々な要因により、ソリッド銀行の業績に影響を与える可能性がありますが、今後もソリッド銀行は不良債権の増加を抑制しつつ優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力するとともに、新たなビジネスに取り組み収益拡大を図ってまいります。
② リユース事業リユース市場は、SDGsなど環境意識の高まりやフリマアプリなどによるネット販売の急拡大により、市場規模は10年以上も拡大しており、今後も成長を続けていくとみられています。リユース事業である株式会社STAYGOLDは、事業拡大に伴い人件費や広告宣伝費などの経費が増加していますが、主に時計やバッグ、ジュエリーの販売が好調であり大幅な増収増益となっております。新型コロナウイルス感染症の収束に伴いインバウンド消費が急回復していることに加え、国内消費においてもリユース品に対する需要は強く、今後も積極的な販売拡大を目指してまいります。また、当第1四半期では新たに3店舗の新規出店を行い、オンライン取引を中心としつつも実店舗による買取・販売も増加させてまいります。結果として、リユース事業の当第1四半期連結累計期間の営業収益は69億78百万円、営業利益は1億23百万円となりました。なお、STAYGOLDは前期第3四半期末からの連結となりますので、前期比較は記載しておりません。
③ その他事業当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。当社(単体)の営業収益は、主に関係会社からの配当金で構成され、当第1四半期連結累計期間においては、関連会社からの配当金がなく減益となった一方で、販管費の減少により営業損失は減少しました。なお、子会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績に影響を与えません。結果として、その他事業の当第1四半期連結累計期間の営業収益は4百万円(前年同期比35百万円減)、営業損失は1億82百万円(前年同期は営業損失2億99百万円)となりました。
④ 持分法による投資損益持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。ソリッド銀行につきましては、金利上昇により預金コスト等の金利費用が増加しておりますが、法人貸出の金利収入や外貨取引の非金利収入の増加により増収増益となっております。持分法による投資利益は、外為どっとコムの持分法からの除外により、前年同期比で減少となりました。結果として、当第1四半期連結累計期間の持分法による投資利益は61百万円(前年同期比3億53百万円減)となりました。
また、財政状態は次のとおりであります。
当第1四半期連結会計期間末において、当社グループの主要な連結子会社であったハーン銀行が持分法適用関連会社に異動することとなったため、連結貸借対照表の各科目は、純資産の内訳である株主資本やその他包括利益累計額を除き、対前期比で大きく減少しております。そのため、主な増減要因の記載は省略いたします。各科目の減少額については、P.10からP.12「四半期連結貸借対照表」をご参照ください。
① 資産当第1四半期連結会計期間末の資産合計につきましては、832億90百万円となり、前期末比5,384億37百万円減少しました。
② 負債当第1四半期連結会計期間末の負債合計につきましては、211億21百万円となり、前期末比5,191億93百万円減少しました。
③ 純資産当第1四半期連結会計期間末の純資産合計につきましては、621億68百万円となり、前期末比192億43百万円減少しました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
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