【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では金融引き締め政策が続く中、堅調な消費と設備投資に支えられ、経済活動は回復基調を継続しましたが、中国では不動産市場の低迷、消費マインドの回復遅れにより、景気は減速傾向を強めました。一方、国内においては、コロナ禍からの経済の正常化に伴い、景気は緩やかに回復しました。今後、産油国の生産調整や地政学的リスクの高まりによる原燃料価格の上昇、日米金利差の拡大による円安の進行、中国経済の低迷が、景気回復に影響を及ぼすことが懸念されます。
こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は、強い需要に牽引され販売を大きく伸ばしました。一方、セラミックコンデンサ用離型フィルムや包装用フィルムは、需要回復の遅れにより流通在庫の調整が長引き、PCR検査用試薬は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い需要が大幅に減少しました。加えて、一部の製品においては、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定が追いつかず、収益性の改善が遅れました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同期比17億円(0.8%)減の1,994億円となり、営業利益は同55億円(70.1%)減の24億円、経常利益は同57億円(84.7%)減の10億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、投資有価証券売却益30億円を第2四半期連結会計期間において特別利益に計上したこともあり、同90億円(81.7%)減の20億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しています。以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(フィルム)
当セグメントは、包装用フィルムの需要の回復が弱く、加えて原燃料価格高騰の影響もあり、増収減益となりました。
包装用フィルムは、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定を進めましたが、流通在庫の調整が長引き、第1四半期、第2四半期を通じて荷動きが低調となったことに加え、新機台の立上げ費用が嵩みました。
工業用フィルムは、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”が強い需要に牽引され販売を大きく伸ばしました。セラミックコンデンサ用離型フィルムは、需要回復の遅れにより、サプライチェーン全体での在庫調整が長引き苦戦しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比37億円(5.0%)増の781億円、営業利益は同10億円(41.0%)減の14億円となりました。
(ライフサイエンス)
当セグメントは、新型コロナウイルス感染症のPCR検査用試薬の販売が大幅に減少したことにより、減収減益となりました。
バイオ事業では、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、PCR検査用試薬の販売が大幅に減少しました。
メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜の販売が堅調に推移しました。
医薬品製造受託事業では、2023年7月にFDAよりWarning Letterが解除され、収益性が改善しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比27億円(14.2%)減の166億円となり、営業利益は同30億円(55.7%)減の24億円となりました。
(環境・機能材)
当セグメントは、電子材料での需要減退、原燃料高騰の影響を受け、減収減益となりました。
樹脂・ケミカル事業では、エンジニアリングプラスチックは、国内の自動車生産台数が回復し販売量を確保しました。工業用接着剤“バイロン”は、中国をはじめアジア向けの販売が低調でした。水現像型感光性印刷版用途の光機能材料は、北米向けの販売が低調でした。
環境・ファイバー事業では、環境ソリューションは、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置が、受注は好調も出荷ずれ込みにより販売が減少しました。高機能ファイバーでは、“ツヌーガ”は耐切創手袋用途の販売回復が遅れました。不織布マテリアルは、衛材用途や土木用途での販売減に加え、原燃料価格高騰の影響を受けました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比32億円(5.8%)減の525億円、営業利益は同18億円(82.6%)減の4億円となりました。
(機能繊維・商事)
当セグメントは、市況の回復と衣料繊維事業の構造改革の推進により、増収、営業損失縮小となりました。
衣料繊維事業は、不採算商材からの撤退完了と製品価格の改定が進み収益が改善しました。
エアバッグ用基布事業は、自動車生産台数の回復に伴い販売量が増加し、加えて原料価格の上昇に対する製品価格の改定が進み、収益性が改善しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比3億円(0.7%)増の457億円、営業損失は9億円となりました(前年同期は営業損失11億円)。
(不動産、その他)
当セグメントでは、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比2億円(3.3%)増の66億円、営業利益は同4億円(39.6%)増の14億円となりました。
資産、負債及び純資産の状況
総資産は、前年度末比117億円(2.0%)減の5,772億円となりました。これは主として設備投資により有形固定資産が増加した一方で、現金及び預金や受取手形及び売掛金が減少したことによります。
負債は、前年度末比121億円(3.3%)減の3,554億円となりました。これは主として社債を償還したことや支払手形及び買掛金が減少したことによります。
純資産は、投資有価証券の売却に伴いその他有価証券評価差額金が減少した一方で、為替換算調整勘定が増加したことなどにより、前年度末比4億円(0.2%)増の2,218億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比21億円(17.3%)収入が減少し、101億円の収入となりました。主な内容は、減価償却費94億円および売上債権の減少による資金の増加50億円と仕入債務の減少による資金の減少56億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比101億円(60.5%)支出が増加し、269億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出288億円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期52億円の収入に対し、154億円の支出となりました。主な内容は、短期借入金の純減少額220億円および社債の償還による支出100億円、長期借入れによる収入302億円です。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前年度末比308億円減の294億円となりました。
(3)事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は7,728百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。