【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、欧米ではインフレ圧力の高まりと金融引締め政策、ウクライナ情勢の悪化・長期化に伴う原燃料価格の高騰により、新型コロナウイルス感染症の収束後、回復基調にあった景気は減速局面を迎えました。中国ではゼロコロナ政策(ロックダウン)、不動産部門の低迷により、経済成長は鈍化傾向を強めました。一方、国内においては、足元の新型コロナウイルス感染症の感染者数減少に伴い、行動自粛要請が緩和され、景気回復の兆しは見えてきましたが、円安、原燃料価格の高騰により、貿易収支の赤字が拡大しました。今後も、円安の継続、原燃料価格の高止まりによる、経済活動への悪影響が懸念されます。
こうした事業環境のもと、溶剤を回収するVOC処理装置は、リチウムイオン電池の需要拡大を受けて販売が堅調に推移しました。加えて、7月からの新型コロナウイルス感染症の感染再拡大によるPCR検査需要に応え、PCR検査用原料や試薬が販売を伸ばしました。一方、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、セラミックコンデンサ用離型フィルムは、一時的な市況の悪化により販売が減少しました。また、フィルムや長繊維不織布スパンボンドなどは、原燃料価格高騰に対し製品価格改定が追いつかず苦戦しました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同期比173億円(9.4%)増の2,011億円となり、営業利益は同92億円(53.9%)減の79億円、経常利益は同65億円(49.2%)減の68億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、火災事故の受取保険金56億円を第1四半期連結会計期間において特別利益に計上したこともあり、同13億円(13.0%)増の110億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
(フィルム・機能マテリアル)
当セグメントは、原燃料価格高騰と工業用フィルムの市況悪化の影響を受け、増収減益となりました。
フィルム事業では、包装用フィルムは、販売が堅調に推移したものの、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定が追いつかず、低調でした。
工業用フィルムは、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、セラミックコンデンサ用離型フィルムが、一時的な市況悪化の影響を受け、販売が減少しました。
機能マテリアル事業では、工業用接着剤“バイロン”は、中国のゼロコロナ政策の影響を受け、販売が低調でした。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比8億円(0.9%)増の867億円、営業利益は同80億円(65.4%)減の42億円となりました。
(モビリティ)
当セグメントは、原燃料価格高騰と自動車減産の影響を受け、増収、営業損失拡大となりました。
エンジニアリングプラスチックは、国内・海外ともに原燃料価格高騰に対し価格改定が追いつかず、加えて、自動車減産の影響を受け、販売が減少しました。
エアバッグ用基布は、販売は増加したものの、円安および原料価格高騰による原糸購入価格の上昇により、スプレッドが悪化しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比26億円(12.0%)増の241億円、営業損失は20億円となりました(前年同期は営業損失9億円)。
(生活・環境)
当セグメントは、溶剤を回収するVOC処理装置の販売は堅調に推移しましたが、不織布マテリアル事業など、原燃料価格高騰に対し価格改定が追いつかず、増収減益となりました。
環境ソリューション事業では、VOC処理装置は、世界的なEV化に伴うリチウムイオン電池の需要拡大を受けて、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC処理装置、および交換エレメントの販売が堅調でした。
不織布マテリアル事業では、長繊維不織布スパンボンド、機能フィルターは、国内の自動車減産の影響を受け、機能性クッション材“ブレスエアー”は、中国のゼロコロナ政策の影響を受けました。加えて、原燃料価格高騰に対する価格改定が追いつかず、苦戦しました。
高機能ファイバー事業では、“ザイロン”は自転車タイヤ用途、建築補強用途の販売が堅調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比99億円(18.1%)増の646億円、営業利益は同7億円(35.1%)減の12億円となりました。
(ライフサイエンス)
当セグメントは、当第2四半期にPCR検査用試薬の需要が急増し、増収増益となりました。
バイオ事業では、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大によるPCR検査需要に応え、PCR検査用原料や試薬が販売を伸ばしました。診断薬用原料酵素、遺伝子検査用試薬の原料酵素は、欧米向けの販売が拡大し、為替の影響も加わり、堅調に推移しました。
メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜、ウイルス除去膜の販売は堅調も、原燃料価格高騰の影響を受けました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比30億円(18.1%)増の193億円となり、営業利益は同8億円(17.3%)増の54億円となりました。
(不動産、その他)
当セグメントでは、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比11億円(19.7%)増の64億円、営業利益は同1億円(8.1%)減の10億円となりました。
資産、負債及び純資産の状況
総資産は、前年度末比234億円(4.5%)増の5,412億円となりました。これは主として棚卸資産や設備投資による有形固定資産が増加したことによります。
負債は、前年度末比136億円(4.2%)増の3,342億円となりました。これは主として支払手形及び買掛金や借入金が増加したことによります。
純資産は、利益剰余金の増加や、為替換算調整勘定などの増加により前年度末比98億円(5.0%)増の2,070億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比4億円(3.3%)収入が増加し、122億円の収入となりました。主な内容は、棚卸資産の増加による資金の減少164億円と、税金等調整前四半期純利益148億円および減価償却費96億円による資金の増加です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比23億円(15.6%)支出が増加し、168億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出195億円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期57億円の支出に対し、52億円の収入となりました。主な内容は、長期借入れによる収入229億円、長期借入金の返済による支出192億円です。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前年度末比17億円増の281億円となりました。
(3)事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は7,231百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。