【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社グループは「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、2030年を見据えた「AR-2030VISION」を定めております。当連結会計年度は「AR-2030VISION」の実現に向けて2020年4月からスタートした第13次三ヵ年中期経営計画の最終年度になります。中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、「お客様の期待」に素早く応えて「多くの信頼」が得られる行動や、「ステークホルダーとの絆」を強くする行動を活発に実践し、経験と実績を繰り返し積み上げながら質を高めて、グローバルな経済環境のもとで持続的な成長を果たしてまいります。
当社グループの重点事業分野を「光学事業」、「医療・ライフサイエンス事業」、「機能事業」、「通信事業」の4つとし、事業展開を進めるうえで、独自の競争力の源泉となるコア技術である「色と光のコントロール技術」「素材変性技術」「表面改質およびマイクロ加工技術」に、それぞれの事業分野に成長のキーワードとなる視点を加えて、ゴムが有する無限の可能性をさらに進化させる活動を進めております。医療・ライフサイエンス事業では、2022年7月に医療機器の国際規格であるISO13485(医療機器—品質マネジメントシステム)の認証を取得したことで海外のお客様と評価活動が開始されました。安心・安全なものづくり環境構築と法令順守を最優先とした品質管理体制を構築して事業拡大を加速させてまいります。機能事業の再生可能エネルギー分野では、令和4年度福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業費補助金(再生可能エネルギー事業化実証研究支援事業)に採択され、風力発電性能を高める製品の実機評価活動に拍車がかかっております。風力O&M(オペレーション&メンテナンス)事業体制の構築に向けて人材育成に力点を置いた活動も注力しております。
当第3四半期連結累計期間における事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響はまだ続くものの、経済活動は緩やかな回復傾向が続きました。一方、急激な為替変動、エネルギー資源や物価の高騰などが事業活動に様々な影響を与えました。この中で当社グループは、当期経営方針に「みんなにうれしさをお届けしよう」を掲げ、お客様の要望に素早く応える計画的な生産活動や事業の魅力を高めて貢献する機会を増やす活動を展開し、各重点事業分野への施策遂行を積極的に進めてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、連結売上高は医療・衛生用ゴム事業の販売が増加したことから連結売上高は54億7千万円(前年同期比3.6%増)となりました。利益面においてはエネルギーコストの増加、営業活動の販売力と技術サービス力向上を推進した人員強化による販管費増加により連結営業利益は2億1千2百万円(前年同期比18.1%減)、連結経常利益は2億1千8百万円(前年同期比17.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億7千1百万円(前年同期比15.2%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
工業用ゴム事業
工業用ゴム事業では、経済情勢や部品調達不安などによる自動車メーカーの減産影響を受け、ASA COLOR LED製品など車載用ゴム製品の売上高は減少しました。一方、RFIDタグ用ゴム製品は第2四半期より引き続き受注は回復傾向となりました。また、卓球ラケット用ラバーは前連結会計年度から好調が続き売上高は増加しました。
この結果、工業用ゴム事業の連結売上高は44億8百万円(前年同四半期比0.3%増)となりました。一方、セグメント利益はエネルギーコストの増加、営業活動の販売力と技術サービス力向上を推進した人員強化による販管費増加により3億5千7百万円(前年同四半期比19.5%減)となりました。
医療・衛生用ゴム事業
医療・衛生用ゴム事業では、通常の医療活動が回復傾向にあることから在庫調整の緩和が進み、引き続きプレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の売上高が増加しました。
この結果、医療・衛生用ゴム事業の連結売上高は10億6千2百万円(前年同四半期比20.2%増)となりました。セグメント利益は1億4百万円(前年同四半期比61.6%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べて1億6千5百万円増加し、98億8千5百万円となりました。その主な要因は、売上債権が増加したことによるものであります。
負債は前連結会計年度末に比べて6千2百万円減少し、49億8千1百万円となりました。その主な要因は、短期借入金の増加があったものの、約定返済による1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金の減少によるものであります。
純資産は前連結会計年度末に比べて2億2千7百万円増加し、49億4百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金及び為替換算調整勘定の増加によるものであります。
また、当社グループでは各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施しております。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの借入金による調達を基本としております。
なお、当第3四半期連結会計期間末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は22億7千8百万円となっております。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、1億5千2百万円であります。 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について重要な変更はありません。