【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行するなど、社会経済活動の正常化へ一段の動きが見られたものの、先行きについては、ウクライナ情勢の長期化に加え、イスラエル・ハマス紛争により中東情勢が緊迫化するなど地政学リスクが高まり、世界的な金融引き締めが続く中、為替や金融資本市場の変動や物価上昇などによる、家計の消費支出動向等への影響に引き続き注視を要する状況にあります。
教育業界では、2020年以降小学生の英語教科化、プログラミング教育の導入、「大学入学共通テスト」への移行を柱とした大学入試改革、さらに2022年度からは高等学校で新学習指導要領が実施されるなど、教育改革が制度面から進んでおります。また、教育手法の革新という面では、通信インフラの整備やデジタル化の急速な進展を背景として、AIやIoTの活用による新たな学習形態やコンテンツが求められております。さらに、政府も強力に推進する社会人の学び直し、リスキリングとしてのITリテラシー教育需要の高まりなどにより、機動性の高い民間教育が担うべき役割や責務はますます大きくなっております。各企業は、少子化による市場縮小に加え、事業環境の大きな変化や他業種企業の参入、また、生徒、保護者の厳しい選別にも直面し、企業間競争はさらに激しさを増しております。
このような環境の下、当社グループは、人財育成企業として、「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」という教育理念をグループ全体が共有し、その実現に取り組んでおります。
「心・知・体」の教育を総合的に行える体制の構築を目指し、高校生部門(東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等)、小・中学生部門(四谷大塚、木村塾等)、スイミングスクール部門(イトマンスイミングスクール、イトマンスポーツスクール)を中心に、各部門が提供するコンテンツの充実や教育指導方法の深化、受講環境の整備などを進めてまいりました。高校生部門においては、受験生対象の「志望校別単元ジャンル演習講座」「第一志望校対策演習講座」の進化に加え、今年から英語を含む英数2教科対応となった高校2年生対象の「個人別定石問題演習講座」など、当社ならではのAIを活用した講座の充実を進めたほか、4年ぶりの会場実施となった夏期の恒例イベント、高校の先生対象の「夏の教育セミナー」や、高校生対象の「大学学部研究会」(オンライン実施)を開催、多数のご参加をいただきました。また、ビジネススクール部門では、企業対象の語学・ビジネススキル研修で培ったノウハウを活かし、新たな成長分野としてIT・DX研修への取り組みを積極的に推進いたしました。そのほか、2023年1月から新たに当社グループに加わったヒューマレッジの体制整備も進めました。
こうしたなか、当第2四半期連結累計期間の営業収益は対前年同期1,198百万円の増加となる25,397百万円(前年同期比5.0%増)となりました。これは、小・中学生部門がヒューマレッジ(木村塾等)の加入及び四谷大塚の増収などにより1,224百万円の増収となったことに加え、ビジネススクール部門が企業向けIT・DX講座の大口受注により492百万円の増収となったことによるものであります。なお、高校生部門では前期末募集期に新規入学者数が前年を下回った影響が残ったことと、夏期の生徒募集において、受験学年である高校3年生が一定程度回復したものの、高校1年生、高校2年生の入学数が伸び悩んだことにより526百万円の減収となりました。
費用面では、ヒューマレッジの加入による増加のほか、新規校舎に係る物件費や賃金ベースアップに伴う人件費の増加、全国統一小学生テストのTV広告に伴う費用などに加え、コロナ禍で中止していた合宿やセミナー等のイベント再開があり、費用全体で対前年同期2,213百万円の増加となる23,967百万円(前年同期比10.2%増)となりました。その他の経費においては、当期も学力の大巾向上の実現に焦点を絞った施策を引き続き積極的に進める一方、費用対効果の検証を通じた経費のコントロールにより概ね前年並みで推移しております。
この結果、営業利益1,430百万円(前年同期比41.5%減)、経常利益1,330百万円(前年同期比42.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益696百万円(前年同期比69.1%減)となりました。
なお、前期には、当社が保有していた研修施設の土地・建物の売却益1,009百万円を特別利益として計上していたため、前年比では税金等調整前四半期純利益、親会社株主に帰属する四半期純利益でこの影響がでております。
当社グループでは営業収益の計上が生徒募集期に当たる第3、第4四半期に集中し、第1四半期から第2四半期にかけては、費用計上が先行する傾向があります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益に調整額を加えたものであります。
①高校生部門
当部門は、東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等で、主に高校生を対象とした教育事業を行っております。当第2四半期連結累計期間のセグメント売上高は12,750百万円(前年同期比4.0%減)、セグメント利益は1,694百万円(前年同期比38.9%減)となりました。
②小・中学生部門
当部門は、四谷大塚、木村塾、東進四国、東進育英舎等で、主に小学生、中学生を対象とした教育事業を行っております。また、2023年9月に四谷大塚白金高輪校舎を開校しております。当第2四半期連結累計期間のセグメント売上高は6,510百万円(前年同期比23.2%増)、セグメント利益は991百万円(前年同期比28.7%減)となりました。
なお、上記にはヒューマレッジに係るのれん償却額116百万円を含んでおります。
③スイミングスクール部門
当部門は、イトマンスイミングスクール、イトマンスポーツスクールにおいて、主に水泳教室、フィットネスクラブの運営を行っております。当第2四半期連結累計期間のセグメント売上高は4,975百万円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益は308百万円(前年同期比11.0%増)となりました。
なお、上記にはイトマンスポーツスクールに係るのれん償却額63百万円を含んでおります。
④ビジネススクール部門
当部門は、東進ビジネススクール等で、主に大学生、社会人を対象とした教育事業を行っております。当第2四半期連結累計期間のセグメント売上高は795百万円(前年同期比162.5%増)、セグメント利益は261百万円(前年同期は151百万円の損失)となりました。
⑤その他部門
その他部門は、出版事業部門、こども英語塾部門、オンライン学校部門、国際事業部門を含んでおります。当第2四半期連結累計期間のセグメント売上高は968百万円(前年同期比3.1%増)、セグメント利益は148百万円(前年同期比486.7%増)となりました。
財政状態の分析は次のとおりであります。
当第2四半期連結会計期間末における財政状態は、前連結会計年度末に比べ総資産が5,179百万円減少し、72,925百万円に、純資産が1,116百万円減少して、25,331百万円となっております。
総資産の異動は、流動資産の減少6,204百万円、および固定資産の増加1,025百万円が主な要因であります。流動資産の減少は、生徒募集期に発生した売掛金が順調に回収された一方で、配当金や法人税等の支払などがあり、現金及び預金が6,580百万円減少したことなどによるものであります。また、固定資産の増加は、投資有価証券の期末評価に伴う増加1,083百万円を主因とした投資その他の資産の増加1,298百万円があった一方で、のれんが償却により179百万円減少したことなどによるものであります。
純資産の減少は、親会社株主に帰属する四半期純利益696百万円、その他有価証券評価差額金等、その他の包括利益累計額の増加820百万円を計上した一方で、配当金の支払による2,632百万円の減少があったことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより10,323百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,621百万円減少いたしました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは2,767百万円の資金減少となりました。これは、税金等調整前四半期純利益1,244百万円を計上したものの、預り金の減少額1,891百万円、前受金の減少額1,390百万円、仕入債務の減少額780百万円があったことなどが主な要因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,413百万円の資金減少となりました。これは、有形固定資産の取得による支出643百万円、および無形固定資産の取得による支出433百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,454百万円の資金減少となりました。これは、短期借入金の増加1,000百万円に対し、社債の償還による支出501百万円および長期借入金の返済による支出321百万円のほか、配当金の支払額2,631百万円による資金減少があったことなどによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの主要な設備に関し、著しい変動はありません。
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