【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、各種感染症対策や行動制限の緩和により、緩やかに持ち直しの動きが見られたものの、円安や資源価格の高騰による物価上昇圧力が強まり、回復基調になりつつあった経済活動、消費活動に悪影響を及ぼしました。世界的な金融引き締めが続くなか、景気の先行きについては、更なる物価上昇、金融資本市場の変動、中国における感染動向などによる影響に注視を要する状況にあります。
教育業界では、2020年度以降小学生の英語教科化、プログラミング教育の導入、大学入試における「大学入学共通テスト」への移行、さらに2022年度からは高等学校で新学習指導要領が実施されるなど、制度面から教育改革が進んでおります。一方で、コロナ禍を契機として文部科学省のGIGAスクール構想の実現が急がれ、オンライン型教育の需要が急激に高まるなど、社会環境の変化に応じた新たな学習形態やコンテンツが求められております。また、5Gをはじめとする通信インフラの整備やデジタル化の急速な進展を背景とした、AIやIoTの活用による教育手法の革新という面でも、機動性の高い民間教育が担うべき役割や責務はますます大きくなっております。各企業は、少子化による市場縮小に加え、事業環境の大きな変化や他業種企業の参入、また、生徒、保護者の厳しい選別にも直面し、企業間競争はさらに激しさを増しております。
このような環境の下、当社グループは、人財育成企業として、「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」という教育理念をグループ全体が共有し、その実現に取り組んでおります。
「心・知・体」の教育を総合的に行える体制の構築を目指し、高校生部門(東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等)、小・中学生部門(四谷大塚等)、スイミングスクール部門(イトマンスイミングスクール・イトマンスポーツスクール)を中心に、各部門が提供するコンテンツの充実や教育指導方法の深化、受講環境の整備などを進めており、前期末から新たにグループに加わったイトマンスポーツスクールの体制整備にも取り組みました。
高校生部門では、受験生対象の「志望校別単元ジャンル演習講座」「第一志望校対策演習講座」に加え、高校2年生対象の「個人別定石問題演習講座」を新たに開発、当社ならではのAIを活用した講座の充実を進めたほか、夏期の恒例イベントとして毎年実施している、高校の先生対象の「夏の教育セミナー」や、高校生対象の「大学学部研究会」を今年もオンラインにて開催し、多数のご参加をいただきました。
さらに、2023年1月には、株式会社ヒューマレッジ及び株式会社ティエラコムの株式を取得し、株式会社ヒューマレッジは連結子会社、株式会社ティエラコムは持分法適用関連会社としております。
この度、当社が連結子会社化した株式会社ヒューマレッジは、「絶対に生徒を見捨てない塾」を標榜し、兵庫、大阪北摂地区を中心に「木村塾」ブランドで34校舎(生徒数9,000名)を展開、「勉強のできる子だけでなく、苦手な子・普通の子もしっかり成績があがる塾」として、開塾以来地域No.1の有力塾です。また、2012年より東進衛星予備校に加盟いただき、現在11校舎を展開する有力フランチャイジーでもあり、関西中心に、難関大学への高い合格実績を挙げています。同社は創業来、「すべての生徒たちが人として成長すること」を目標とし、「人生の勝利の方程式」に基づく人間教育を土台に据えた教育方針は地域に強く支持されており、当社の教育理念とも軌を一にしております。
株式会社ヒューマレッジの幅広い学力層への指導に関する知見やノウハウを、当社の全国ネットワークにおいて融合、活用することで、小・中学生部門、高校生部門双方において、今まで以上に生徒層の裾野を拡大でき、当社の全国ネットワークの成長に寄与するものと確信しております。
また、株式会社ティエラコムとも、今般の株式取得を通じて、両社の信頼関係をより強固なものとし、相互の知見、ノウハウを融合し活用することで、小中高一貫教育指導の一層の深化、多様な事業展開の推進など、双方のブランド力、顧客満足度を高め、共に発展を目指して参ります。
こうしたなか、当第3四半期連結累計期間の営業収益は対前年同期2,697百万円の増加となる38,542百万円(前年同期比7.5%増)となりました。これは、スイミングスクール部門がイトマンスイミングスクールの増収及びイトマンスポーツスクールの加入により2,544百万円の増収となったことに加え、小・中学生部門が四谷大塚などの小学生の在籍者数増加により342百万円の増収となったことによるものであります。なお、高校生部門では前期末と夏期(7月・8月)、冬期(11月・12月)の生徒募集期に新型コロナウイルス感染再拡大があったことも影響し、対前年同期581百万円の減収となりました。
費用面では、イトマンスポーツスクールの加入による経費増があったことを主因として、対前年同期1,700百万円の増加となる33,552百万円(前年同期比5.3%増)となりました。既存部門の経費においては、当期も学力の大巾向上の実現に焦点を絞った施策を引き続き積極的に進め、また、物件費、光熱費等の増加要因があったものの、広告宣伝費をはじめとした費用対効果の検証を通じた経費のコントロールにより、前年以下に抑えた運営を実現いたしました。
また、期中に、当社が杉並区に保有していた研修施設の土地・建物等を売却したことなどにより、固定資産売却益1,023百万円を特別利益に計上しております。
この結果、営業利益4,989百万円(前年同期比25.0%増)、経常利益4,736百万円(前年同期比27.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,883百万円(前年同期比50.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、セグメント利益(又は損失)は四半期連結損益計算書の営業利益に調整額を加えたものであります。
①高校生部門
当部門は、東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等で、主に高校生を対象とした教育事業を行っております。当第3四半期連結累計期間のセグメント売上高は21,876百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は5,520百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
②小・中学生部門
当部門は、四谷大塚、東進四国、東進育英舎等で、主に小学生、中学生を対象とした教育事業を行っております。
また、2022年12月に、四谷大塚自由が丘校舎、調布校舎を新たに開校しております。
当第3四半期連結累計期間のセグメント売上高は7,994百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は1,811百万円(前年同期比21.1%増)となりました。
③スイミングスクール部門
当部門は、主に水泳教室、フィットネスクラブの運営を行っております。前期末に新たに株式会社イトマンスポーツスクール(旧ブリヂストンスポーツアリーナ株式会社)が加わり、運営を開始しております。
また、2022年4月に、イトマンスイミングスクール福岡マリナタウン校を新たに開校しております。
当第3四半期連結累計期間のセグメント売上高は7,476百万円(前年同期比51.6%増)、セグメント利益は404百万円(前年同期比275.8%増)となりました。
なお、上記にはイトマンスポーツスクールに係るのれん償却額94百万円を含んでおります。
④ビジネススクール部門
当部門は、東進ビジネススクール等で、主に大学生、社会人を対象とした教育事業を行っております。当第3四半期連結累計期間のセグメント売上高は760百万円(前年同期比40.9%増)、セグメント利益は3百万円(前年同期は242百万円の損失)となりました。
⑤その他部門
その他部門は、出版事業部門、こども英語塾部門、オンライン学校部門、国際事業部門を含んでおります。当第3四半期連結累計期間のセグメント売上高は1,361百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント損失は72百万円(対前年同期215百万円の改善)となりました。
財政状態の分析は次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末における財政状態は、前連結会計年度末に比べ総資産が1,012百万円減少し、75,552百万円に、純資産が2,536百万円増加して、25,646百万円となっております。
総資産の異動は、流動資産の増加472百万円、および固定資産の減少1,485百万円が主な要因であります。流動資産の増加は、配当金や法人税等の支払などがあった一方で、生徒募集期に発生した売掛金が順調に回収されたことに加え、不動産売却に伴う収入があったことにより、現金及び預金が730百万円増加となったことによるものであります。また、固定資産の減少は、不動産売却による土地・建物などの有形固定資産の減少1,615百万円などがあったことによるものであります。
純資産の異動は、親会社株主に帰属する四半期純利益3,883百万円、およびその他有価証券評価差額金等、その他の包括利益累計額の増加407百万円を計上した一方で、配当金の支払1,755百万円があったことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(8)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、以下の主要な設備を売却しております。
会社名
事業所名
(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
帳簿価額(百万円)
売却時期
建物及び
構築物
工具、器具
及び備品
土地
(面積㎡)
合計
提出会社
ナガセ杉並宮前研修所
(東京都杉並区)
全社
(共通)
研修施設
173
0
1,753
(3,186.02)
1,927
2022年6月
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