【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当第1四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
経営成績等の状況
当社グループの主な事業領域は、生産財と消費財であり、「設備投資」と「個人消費」の動向が業績に影響を及ぼします。
当社グループを取り巻く事業環境として、国内においては、半導体産業の設備投資需要は踊り場の状況が続いており、また自動車産業等においては、半導体や部品の需給バランスが改善に向かっていることにより生産台数に回復の傾向があるものの、中小企業の生産現場への影響は限定的な状態であります。また、部品・部材不足による工作機械の長納期化が依然として継続する等、全体として厳しい状況となりました。海外においては、北米では製造業全般における景況感が2022年後半以降弱含みで推移しており、全体として設備投資は低迷したものの、EV・医療・航空等の分野は堅調でした。中国ではゼロコロナ政策の終了に伴い経済活動の回復が期待されたものの、国際貿易の構造変化の動きに伴い輸出向けの受注が減少する等、依然先行きが不透明な状況です。ASEANでは、半導体不足に端を発するサプライチェーンの混乱等により生産調整が行われる等、各地で様々な環境の変化がありました。
国内の個人消費については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限の緩和や政府の観光支援策の影響から経済活動に回復が見られました。一方、昨年度から続く原材料や電気・ガス価格の高騰に加え、円安が進んだことで様々な分野の商品やサービスの値上げが続き、耐久消費財に対する節約志向や商品の選別傾向が強まりました。
また、住宅産業においては、新設住宅着工戸数が持家を中心に依然としてダウントレンドでありますが、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の第1四半期の売上高は119,957百万円(前年同期比5.4%減)となりました。利益面につきましては、営業利益は2,452百万円(同、27.9%減)、経常利益は2,649百万円(同、25.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,569百万円(同、30.7%減)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
[生産財関連事業]
国内生産財事業では、半導体産業の需要が鈍化し、自動車産業においても新たな投資への活発な動きが見られなかった前連結会計年度後半の受注状況を反映し、工作機械等の売上は厳しいものとなりました。工具等の消耗品については、一部の商品では景況の影響があったものの、全体としてはほぼ前年同期並みの実績となりました。また、建設機械産業における設備投資需要の高まりにより、インフラ関連機器等の販売は堅調に推移しました。営業活動においては、製造業・物流・倉庫業等の自動化・省人化ニーズに対し、展示会等を通じてソリューション提案を精力的に行い、顧客接点を増やす様々な取り組みを行いました。この他、工作機械等の受注獲得に向けて各種補助金の提案に注力し、環境改善機器等の受注獲得においては「脱炭素」をテーマにした商談会を各地で実施する等、顧客の需要喚起に努めました。また、「地域経済活性化のためのリアルプラットフォーム」として当社が企画する大型展示商談会を各地で開催することで、顧客との関係性をより深め、プラスオンの受注を獲得しました。
海外生産財事業は、北米支社では、EV・医療・航空等の一部の分野における設備投資は堅調であったものの、前連結会計年度後半の受注状況を反映し、前年同期を下回る実績となりました。台湾支社では、EMS企業からの工作機械の受注及び販売が引き続き冷え込みを見せました。中国支社では、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー分野における需要は堅調でしたが、輸出向け産業の売上が厳しい結果となりました。アセアン支社では、サプライチェーンの混乱により各業界において生産調整が行われた影響で、全体としては前年同期を下回る実績となりましたが、タイ・インドネシア・インドでは、自動車・空調設備・建設機械等の分野への工作機械及び工具等の販売が好調に推移しました。(注)
その結果、生産財関連事業の売上高は76,416百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
(注)営業地域及び顧客属性ごとに事業を区分したビジネスユニットを支社と称しております。
[消費財関連事業]
〔住建事業〕
住建事業は、需要が停滞する状況の中で、昨今の光熱費高騰による消費者の節約志向の高まりに対応した高付加価値商材の提案に注力した結果、浴室機器、太陽光発電、蓄電池等の販売が堅調に推移しました。また、中小企業のカーボンニュートラル対応に向けて、環境商材と施工をセットにした設備改修提案を強化し、販売が堅調に推移しました。中でも、自家消費型の太陽光発電と蓄電池のセット提案を積極的に展開し、脱炭素化のニーズに即した営業活動に注力しました。
その結果、住建事業の売上高は15,847百万円(前年同期比1.2%増)となりました。
〔家庭機器事業〕
家庭機器事業は、外出自粛及びテレワーク拡大による「巣ごもり」需要が一巡し、さらに、原材料や電気・ガス価格の高騰、円安の影響による値上げ等によって、耐久消費財への購買意欲が冷え込みを見せたこと等により、前年同期を下回る結果となりました。一方で、消費者ニーズを捉えたスピーディーな商品開発とラインアップの強化に取り組み、様々なメディアを活用した情報発信を積極的に展開しYAMAZENブランドの浸透を図った結果、プライベートブランド商品の販売は堅調に推移しました。中でも扇風機・サーキュレーター・空調ウエア等、消費者ニーズを捉え独自性のある付加価値を持った商品は前年同期を上回る実績となりました。
その結果、家庭機器事業の売上高は26,395百万円(前年同期比1.5%減)となりました。
(2)経営者の視点による財政状態及び経営成績の状況に関する分析
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における経営成績は、生産財関連事業においては、前連結会計年度後半から設備投資に慎重さが見られ、全体的に厳しい状況となりました。また、消費財関連事業は、原材料・エネルギー価格の高騰や円安の影響による商品やサービスの値上げが続いており、耐久消費財への個人消費は落ち込みを見せましたが、一方で、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。
上記の結果、売上高は前第1四半期連結累計期間から6,905百万円減少し、119,957百万円(前年同期比5.4%減)となりました。なお、セグメント別の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益は、粗利率の高い商品及び製品の売上構成が高まったこと等により、前第1四半期連結累計期間から406百万円増加し、18,485百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、人的資本投資や前第2四半期連結会計期間より稼働した基幹システム等に係る減価償却費の増加により、前第1四半期連結累計期間から1,354百万円増加し、16,032百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
上記の結果、営業利益は、前第1四半期連結累計期間から947百万円減少し、2,452百万円(前年同期比27.9%減)となりました。また、売上高営業利益率は、2.0%となりました。
営業外損益(純額)は、受取利息や補助金収入の増加により、前第1四半期連結累計期間から63百万円改善し、196百万円となりました。
経常利益は、前第1四半期連結累計期間から884百万円減少し、2,649百万円(前年同期比25.0%減)となりました。また、売上高経常利益率は、2.2%となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前第1四半期連結累計期間から889百万円減少し、2,644百万円(前年同期比25.2%減)となり、法人税等合計額1,028百万円及び非支配株主に帰属する四半期純利益46百万円を控除した親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第1四半期連結累計期間から694百万円減少し、1,569百万円(前年同期比30.7%減)となりました。
②財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,968百万円減少し、286,919百万円となりました。これは、現金及び預金の減少(5,203百万円)、売上債権(受取手形、売掛金、電子記録債権)の減少(4,724百万円)、商品及び製品の増加(5,562百万円)や政策保有株式の時価変動等による投資有価証券の増加(2,945百万円)が主な要因であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ5,892百万円減少し、159,238百万円となりました。これは、仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少(4,813百万円)、賞与の支給に伴う賞与引当金の取り崩しによる減少(1,701百万円)や繰延税金負債の増加(1,712百万円)が主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,923百万円増加し、127,681百万円となりました。これは、政策保有株式の時価の変動等によるその他有価証券評価差額金の増加(2,090百万円)、円安による為替換算調整勘定の増加(1,782百万円)が主な要因であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の42.6%から44.2%と1.6ポイント向上いたしました。
③資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)資金需要について
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及び事業の維持・拡大のための設備投資資金、そして配当金の支払等であります。これらの資金需要に対しては、主に自己資金(手元資金及び営業活動により獲得した資金)を充当しております。また、既存事業とのシナジー効果が期待できるM&Aを含め、今後においても当社グループの持続的成長につながる投資を積極的に行ってまいります。所要資金については、主に自己資金を充当する予定でありますが、本報告書提出時点においては、ウクライナをめぐる現下の国際情勢が世界経済に与える影響を考慮し、手元資金の流動性を優先し、金融機関からの借入等により調達した資金を一部充当する方針であります。
ⅱ)資金の流動性について
当社グループは、取引先からの信頼を維持・獲得するために財務の健全性をより強化し、また、事業遂行に伴う支払債務を履行するのに十分な流動性を確保することの重要性を認識しております。連結ベースの流動比率は、運転資本の最適化により、前連結会計年度末は165.5%、当第1四半期連結会計期間末は171.1%と相応の水準を維持しており、十分な流動性と健全性を確保しているものと判断しております。
当社は、短期資金に関しては、複数の金融機関と当座貸越契約及び手形債権流動化契約を締結しており、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備えるため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性補完を確保しております。さらに、格付投資情報センター(R&I)及び日本格付研究所(JCR)の2社から発行体格付けを継続的に取得し、本報告書提出時点における、両者により付与された発行体格付は、R&I:A-、JCR:Aとなっており、中長期資金に関しても、多様な調達手段の選択が可能な環境を確保できているものと判断しております。
④経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
⑤優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
⑥研究開発活動
該当事項はありません。