【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
経営成績等の状況
当社グループの主な事業領域は、生産財と消費財であり、「設備投資」と「個人消費」の動向が業績に影響を及ぼします。
当社グループを取り巻く事業環境として、国内においては、部品・部材不足による工作機械の長納期化が依然として継続し、伸長が続いていた半導体産業においても設備投資に一服感が見られ、自動車産業等においては半導体や部品の供給不足により生産設備の稼働率がやや低下しました。一方、脱炭素化に向けた設備投資は底堅く推移しました。海外においては、北米では医療・航空等の分野における設備投資は堅調でしたが、高インフレと金融引き締めにより景気の減速感が見られるようになりました。台湾では地政学的リスクの高まりにより、各業界が設備投資を控える動きが顕著となりました。中国では「ゼロコロナ政策」の終了後、12月以降に新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起こったことにより工場稼働率が低下し、ASEANではサプライチェーンの混乱等により内燃機関関連の自動車メーカーを中心に生産調整が行われる等、各地で様々な環境の変化がありました。
国内の個人消費については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限の緩和や政府の観光支援策の影響から社会経済活動に回復の兆しが見え始めた一方、昨年度から続く原材料や電気・ガス価格の高騰に加え、急速に円安が進んだことで様々な分野の商品やサービスの値上げが続き、耐久消費財に対する消費マインドは冷え込みを見せました。
また、住宅産業においては、新設住宅着工戸数が持家を中心にダウントレンドであり、一部の商材では供給が滞ることもありましたが、住宅設備機器の更新需要は継続して堅調に推移しました。
このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の第3四半期の売上高は393,991百万円(前年同期比7.0%増)となりました。利益面につきましては、営業利益は12,138百万円(同、1.3%減)、経常利益は12,857百万円(同、4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,641百万円(同、2.3%減)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメント区分の変更を行っており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
[生産財関連事業]
国内機械事業は、昨年度から好調に推移していた半導体製造装置向けの工作機械への設備投資需要が鈍化したものの、裾野の広い自動車産業で、脱炭素化等に向けた設備投資が底堅く推移しました。営業活動においては、Webセミナーを活用し、省エネ補助金を含む各種補助金の提案を行い顧客接点を増やしたほか、2022年11月に「JIMTOF2022(第31回 日本国際工作機械見本市)」へ出展し自動化・省人化の提案を行う等、リアルでの営業活動も本格化し、受注獲得を図りました。
国内機工事業は、第3四半期に入り自動車産業等で工場稼働率の低下が見られたものの、測定機器や補要工具、切削工具等の販売が堅調で、生産・物流現場等の空調設備機器やマテハン機器等も好調に推移しました。また、営業活動においては、Webセミナーやメールマガジンを活用した情報発信を行い、さらに、昨今ニーズが高まっている「脱炭素」をテーマにした商談会を各地で実施することで、顧客の需要喚起に努めました。国内機械事業・国内機工事業とも、当社が企画する大型展示商談会を各地で開催することで、顧客との関係性をより深め、プラスオンの受注を獲得しました。
海外生産財事業は、北米支社では、医療・航空・EV等の分野における設備投資が堅調で、工作機械とともに、切削・補要工具の販売が底堅く推移しました。台湾支社では、EMS企業からの工作機械の受注及び販売は厳しい状況となり、半導体産業が踊り場を迎えたことによって製造装置向けのメカトロ部品等の販売にマイナスの影響を及ぼしました。中国支社では、EV・半導体・医療等の分野での設備投資は順調で、工作機械の販売も堅調に推移しました。アセアン支社では、サプライチェーンの混乱により各業界において生産調整が行われたものの、タイ・ベトナム・インドを中心に、自動車・航空・空調設備等の分野への工作機械及び工具等の販売は好調で、全体的に堅調に推移しました。(注)
その結果、生産財関連事業の売上高は258,943百万円(前年同期比9.6%増)となりました。
(注)営業地域及び顧客属性ごとに事業を区分したビジネスユニットを支社と称しております。
[消費財関連事業]
〔住建事業〕
住建事業は、堅調なリフォーム需要を背景に、オンサイトとオフサイトを使い分けながら高付加価値商材の提案に注力した結果、給湯・水廻り機器等の販売が堅調に推移しました。また、新設した「スマートエネルギー推進室」では、自家消費型のエネルギー活用提案を積極的に展開し、脱炭素化のニーズに即した営業活動に注力しました。非住宅分野においても、昨今の光熱費の高騰による企業のコスト対策意識の高まりを受け、商材と施工をセットにした設備改修提案を強化することで、太陽光発電等の新エネルギー機器や高効率空調機器等の販売が好調に推移しました。
その結果、住建事業の売上高は50,612百万円(前年同期比11.3%増)となりました。
〔家庭機器事業〕
家庭機器事業は、外出自粛及びテレワーク拡大による「巣ごもり」需要が一巡し、さらに、原材料や電気・ガス価格の高騰、急激な円安の影響による値上げ等によって、耐久消費財への購買意欲が冷え込みを見せたこと等により、前年同期を下回る結果となりました。一方で、消費者ニーズを捉えたスピーディーな商品開発とラインアップの強化に取り組み、様々なメディアを活用した情報発信を積極的に展開した結果、プライベートブランド商品の販売は堅調で、中でも調理家電や、こたつ・電気毛布等の比較的消費電力の低い暖房家電等は前年同期を上回る実績となりました。
その結果、家庭機器事業の売上高は80,363百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
(2)経営者の視点による財政状態及び経営成績の状況に関する分析
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における経営成績は、生産財関連事業は半導体産業やEMS企業の設備投資の鈍化が見られましたが、全体として堅調に推移しました。消費財関連事業においては巣ごもり消費の一巡や原材料・エネルギー価格の高騰・急激な円安による調達コストの上昇により厳しい状況となりましたが、住宅設備機器の販売は堅調に推移しました。
上記の結果、売上高は、前第3四半期連結累計期間より25,691百万円増加し、393,991百万円(前年同期比7.0%増)となりました。なお、セグメント別の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益は、売上高の増加に伴い、前第3四半期連結累計期間から4,308百万円増加し、58,201百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人件費や新基幹システム等の稼働に伴う減価償却費の増加により、前第3四半期連結累計期間から4,466百万円増加し、46,063百万円(前年同期比10.7%増)となりました。
上記の結果、営業利益は、前第3四半期連結累計期間から158百万円減少し、12,138百万円(前年同期比1.3%減)となりました。また、売上高営業利益率は、3.1%となりました。
営業外損益(純額)は、為替差益等の発生により、前第3四半期連結累計期間から732百万円改善し、719百万円となりました。
経常利益は、前第3四半期連結累計期間から573百万円増加し、12,857百万円(前年同期比4.7%増)となりました。また、売上高経常利益率は、3.3%となりました。
特別損益(純額)は、臨時性を伴う取引が多く発生せず、45百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間から134百万円減少し、12,902百万円(前年同期比1.0%減)となり、法人税等合計額4,152百万円及び非支配株主に帰属する四半期純利益109百万円を控除した親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間から205百万円減少し、8,641百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,176百万円増加し、283,831百万円となりました。これは、現金及び預金の減少(2,368百万円)、売上債権(受取手形、売掛金、電子記録債権)の減少(3,587百万円)、商品及び製品の増加(10,038百万円)、未収入金の減少等によるその他流動資産の減少(1,693百万円)、政策保有株式の時価変動等による投資有価証券の減少(1,469百万円)が主な要因であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,865百万円減少し、166,421百万円となりました。これは、仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少(1,658百万円)、未払法人税等の減少(2,048百万円)、契約負債の増加(1,072百万円)が主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ4,042百万円増加し、117,410百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加(4,635百万円)が主な要因であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の39.9%から41.1%と1.2ポイント向上いたしました。
③資本の財源及び資金の流動性
ⅰ)資金需要について
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及び事業の維持・拡大のための設備投資資金、そして配当金の支払等であります。これらの資金需要に対しては、主に自己資金(手元資金及び営業活動により獲得した資金)を充当しております。また、既存事業とのシナジー効果が期待できるM&Aを含め、今後においても当社グループの持続的成長につながる投資を積極的に行ってまいります。所要資金については、主に自己資金を充当する予定でありますが、本報告書提出時点においては、新型コロナウイルス感染症及びウクライナをめぐる現下の国際情勢が世界経済に与える影響を考慮し、手元資金の流動性を優先し、金融機関からの借入等により調達した資金を一部充当する方針であります。
ⅱ)資金の流動性について
当社グループは、取引先からの信頼を維持・獲得するために財務の健全性をより強化し、また、事業遂行に伴う支払債務を履行するのに十分な流動性を確保することの重要性を認識しております。連結ベースの流動比率は、運転資本の最適化により、前連結会計年度末は158.4%、当第3四半期連結会計期間末は162.5%と相応の水準を維持しており、十分な流動性と健全性を確保しているものと判断しております。
当社は、短期資金に関しては、複数の金融機関と当座貸越契約及び手形債権流動化契約を締結しており、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備えるため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性補完を確保しております。さらに、格付投資情報センター(R&I)及び日本格付研究所(JCR)の2社から発行体格付けを継続的に取得し、本報告書提出時点における、両者により付与された発行体格付は、R&I:A-、JCR:Aとなっており、中長期資金に関しても、多様な調達手段の選択が可能な環境を確保できているものと判断しております。
④経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
⑤優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
⑥研究開発活動
該当事項はありません。
⑦主要な設備
前連結会計年度末において構築中であった当社における基幹システム等は、第2四半期連結会計期間より稼働開始いたしました。