【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日までの6ヶ月間)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの分類変更や、賃上げの広がり等により緩やかな回復が見られたものの、資源価格の高止まりや円安の影響を受けた物価の上昇、欧米諸国の政策金利引き上げ等に伴う景気減速懸念もあり依然として先行きは不透明な状況で推移しました。コーヒー業界におきましては、業務用市場の消費量が新型コロナウイルス感染症の行動制限解除による人流の活発化や訪日客の回復等により伸長を続けるとともに、家庭用市場の消費量においても前年秋の店頭価格引き上げもある中、前年同期並みとなりました。業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆調達価格は、最大の産地であるブラジルの収穫が順調に進んでいることを受けコーヒー生豆相場に落ち着きが見られたものの、円安傾向が継続していることから依然高値水準となっています。また資源・エネルギー価格の上昇、資材費の上昇などからコーヒー製造コストは依然として高止まりしており、厳しい経営環境が続きました。このような状況の下、当社グループは「コーヒーを究めよう、お客様を見つめよう、そして心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を果たすため、長年にわたり培った「品質第一主義」のもと、「事業構造の改革」、「収益力の強化」及び「グループ総合力の強化」を3つの柱とし、新たな需要の創出や生活者のニーズにお応えする商品開発、お取引先の業績に寄与する企画提案型の営業活動を推進してまいりました。当社は、従前から環境配慮や人権尊重に取り組んでおり、前年度には2030年を見据えた新メッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、喫茶文化の継承と持続可能なコーヒー生産の実現を目指すとともに、その一環としてコーヒー生産国との連携や品種開発などの多岐にわたる業務を推進する専門部署「コーヒーの未来部」を創設しました。更に本年度は「サステナビリティ推進室」を新設し、サステナビリティに関する施策をより広範に推進してまいります。当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は、374億80百万円(前年同期比23.7%増)、営業利益は10億41百万円(前年同期比102.5%増)、経常利益は11億21百万円(前年同期比80.0%増)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、7億86百万円(前年同期比71.8%増)となりました。
<連結経営成績>
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
前年増減
前年増減率
売 上 高
30,310
37,480
7,170
23.7%
営 業 利 益
514
1,041
527
102.5%
経 常 利 益
623
1,121
498
80.0%
親 会 社 株 主 に 帰 属す る 四 半 期 純 利 益
457
786
328
71.8%
セグメントの営業概況は次のとおりであります。 (単位:百万円)
事業区分
売上高
営業利益又は営業損失(△)
当第2四半期
前年増減
前年増減率
当第2四半期
前年増減
前年増減率
コーヒー関連事業
33,209
6,801
25.8
1,095
373
51.7
飲食関連事業
2,104
270
14.7
△15
116
-
その他
2,166
98
4.7
243
119
96.1
調整額
-
-
-
△282
△81
-
合 計
37,480
7,170
23.7
1,041
527
102.5
(注)調整額は主に、セグメント間取引消去、棚卸資産の調整額、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。(コーヒー関連事業)業務用市場では、デジタルツール導入による顧客管理強化やWEB活用による受注自動化の他、売掛金回収業務の効率化などに取り組みました。また、トアルコ トラジャや氷温熟成珈琲など差別性の高いコーヒーの販売を推進するとともに、酒類他業務用食材の取り扱いアイテム強化による拡販を行いました。お取引先の活性化策としては、世界中の品質の優れたコーヒーを提供する月間企画などの提案やコーヒーインストラクターが中心となったお取引先向けコーヒーセミナーの実施、シーズン企画としてアレンジメニューやご当地カレーをラインアップした「カレーフェア」を実施しました。また9月にはアジア最大のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ2023」に出展し、当社フラッグシップコーヒー「トアルコ トラジャ」の価値と世界観の訴求を行いました。ブースではハンドドリップで抽出したコーヒーの提供のほか、生産地であるインドネシア・スラウェシ島トラジャ地方の自然豊かな環境や文化、品質へのこだわりを紹介する動画を大型ディスプレイにて上映し、生産地を訪れたような体感をしていただける空間を演出しました。カフェ開業支援の施策として取り組む様々な立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY’S CAFÉ」は2店出店となり、導入店舗数は71店舗となります。売上につきましては、新型コロナウイルスの分類変更やインバウンド需要の増加によりお取引先へのコーヒー及び業務用食材の販売量が増加し、前年同期に比べ大幅な増収となりました。家庭用市場では、発売45周年を機に「トアルコ トラジャ」シリーズを全面リニューアルするとともにコーヒーファンの意見を反映した期間限定「ドリップ オン」や「インスタントコーヒー」等を販売しました。また、9月には主力ブランドレギュラーコーヒー「PREMIUM STAGE(プレミアムステージ)」を次世代に続くブランドへ成長させるため簡易抽出型コーヒー「ドリップ オン」シリーズ等も傘下に入れた新ブランド「KEY DOORS+(キードアーズプラス)」へのリブランディングを行い、20代から30代の若年層の開拓に取り組んでまいります。ギフト商品では、中元期に向けて「ドリップ オン」シリーズをはじめ、定番の「氷温熟成珈琲アイスコーヒー」や「天然水プリズマ飲料」、大人から子どもまで楽しめる「アイスコーヒー&ジュース&ドリンク」など全27アイテムをラインアップしました。売上につきましては、主力商品グランドテイストシリーズの積極的な販促活動の奏功等により前年同期に比べ増収となりました。原料用市場では、コーヒー相場連動の取引であり販売単価上昇による増収となりました。コーヒー関連事業における営業利益は、コーヒー生豆調達価格等の製造コスト増及び人件費の増加等もあるなか、各市場における大幅な売上増により前年同期比増益となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間におけるコーヒー関連事業の売上高は332億9百万円(前年同期比25.8%増)、営業利益は10億95百万円(前年同期比51.7%増)となりました。
(飲食関連事業)株式会社イタリアントマトは、売上面では新型コロナウイルス分類変更もあり人流が回復するなか、季節限定メニューの毎月投入、催事の開催等による来店客数の回復等により前年同期を大きく上回りました。利益面では売上状況の変化に応じた人員配置や食材の発注、管理を行うとともに、廃棄ロスの低減に取り組み、人件費、原材料費の適正化を推進しました。また、原材料調達価格や光熱費などのコスト上昇を受けた商品開発及び商品の価格改定を実施、付加価値の高いメニューの投入にも継続して取り組んだ結果、利益水準は大きく改善し営業黒字に転換しました。同社店舗数は145店(直営店49店、FC店96店)となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間における飲食関連事業の売上高は21億4百万円(前年同期比14.7%増)となりました。営業損益については、その他の飲食関連事業の不振もあり15百万円の営業損失(前年同期は1億31百万円の営業損失)となりました。(その他)ニック食品株式会社は、売上面では新型コロナウイルス感染症の分類変更に伴い外食需要が回復し、業務用飲料製品を中心とする受注増により前年同期に比べ増収となりました。利益面では売上の伸長に加え、製造原価の抑制及び販管費の適正化に注力した結果、増益となりました。通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、売上原価が前年同期比大幅に上昇するなか、販売価格の引き上げや販売促進費の更なる抑制により売上高及び利益の確保に努めましたが、減収、大幅な減益となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間におけるその他事業の売上高は21億66百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は2億43百万円(前年同期比96.1%増)となりました。
(コーヒー生豆相場:ICO複合指標価格)
(2) 財政状態の分析(資 産)総資産は前連結会計年度末に比べて21億79百万円増加し、539億48百万円となりました。流動資産は13億91百万円増加し、358億95百万円となりました。これは現金及び預金の増加(4億48百万円増)、受取手形及び売掛金の増加(21億55百万円増)、原材料及び貯蔵品の減少(12億69百万円減)などによるものであります。固定資産は7億88百万円増加し、180億52百万円となりました。有形固定資産は8百万円減少し、無形固定資産は1億7百万円増加し、投資その他の資産は投資有価証券の増加(8億5百万円増)などにより6億89百万円増加しました。(負 債)負債は前連結会計年度末に比べて13億30百万円増加し、225億68百万円となりました。 流動負債は13億30百万円増加し、207億15百万円となりました。これは支払手形及び買掛金の減少(11億67百万円減)、短期借入金の増加(22億74百万円増)などによるものであります。固定負債は0百万円減少し、18億52百万円となりました。(純資産)純資産は前連結会計年度末に比べて8億49百万円増加し、313億79百万円となりました。これは利益剰余金の増加(6億77百万円増)などによるものであります。(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は45億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億48百万円の増加となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益11億3百万円、減価償却費4億65百万円、棚卸資産の減少額9億34百万円、未払消費税等の増加額2億96百万円を計上する一方、売上債権の増加額21億52百万円、仕入債務の減少額11億76百万円などの支出がありました。この結果、4億80百万円の支出となりました(前第2四半期連結累計期間は3億37百万円の収入)。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出6億16百万円、有形固定資産の取得による支出4億72百万円などにより11億78百万円の支出となりました(同累計期間は4億49百万円の支出)。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増加額22億60百万円、配当金の支払額1億8百万円、リース債務の返済による支出66百万円などにより20億87百万円の収入となりました(同累計期間は54百万円の支出)。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。(6) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億8百万円であり、主要な支出はコーヒー関連事業であります。(7) 経営上の問題点と今後の取組みについて当第2四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」中の「対処すべき課題」について、重要な変更はありません。