【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況 当第2四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く環境は、社会活動の正常化等により、回復基調で推移しました。一方、先行きにつきましては、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、原燃料価格の高騰、為替相場の変動など、依然として不確実性が高い状況が続いております。このような状況下、当社グループは、生産性向上や工場の安定操業に取り組み、販売面では製品価格改定や新製品の拡販に努めました。また、当社グループでは、企業価値向上を図るべく「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)基本方針に沿って、以下の取り組みを実施しました。
① 選択と集中、新事業拡大による収益力の強化2023年4月1日付で販売代理店の統合、当社と北上サイト子会社の統合、八戸サイト子会社同士の統合などのグループ組織再編を実行、固定費削減とコーポレートガバナンスの強化を進めました。2023年1月30日に発表したドイツ事業フレンスブルク工場の事業売却については、2023年9月1日に事業売却が完了いたしました。また、当社連結子会社(孫会社)である株式会社カツマタの感熱紙加工等の事業譲渡、当社連結子会社である菱紙株式会社が運営するスポーツクラブ事業及び固定資産(信託受益権)の譲渡を決定しました。引き続き、グループの組織変革を進め、収益性向上を図ってまいります。
② グリーン社会への貢献当社グループの持続的な成長と中長期的企業価値の向上に向け、また、社会に貢献することを目指して、気候変動が事業に与えるリスク・機会の両面に関してTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示を進めております。CO2排出量削減への取り組みでは、GXリーグ(GX:グリーン・トランスフォーメーション)へ参画し、カーボンニュートラル社会実現に向け、公約した2030年目標の達成に向けた取り組みを推進してまいります。環境配慮型製品の拡販では、通販や外食テイクアウト等の紙袋用途で需要が堅調なクラフト紙やバリア紙の拡販を進めております。脱プラ・減プラ、安全かつ快適なサステナブル社会の実現に貢献してまいります。
③ サステナビリティ向上のための組織変革2023年4月に「三菱製紙グループサステナビリティ基本方針」を制定しました。皆様からの信頼と共感を得ることを通して企業価値の向上を図るとともに、さまざまな社会的課題の解決につなげ、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。また、2023年9月に「三菱製紙 ニッシー・カッシーの森」制度を新設致しました。森の恵みを受け高品質な紙素材製品を生産する当社グループの事業活動と、サステナビリティ推進活動の在り方について、株主の皆さまに植樹と当社社有林の見学を通して理解を深めていただき、その一翼を担っていただくことを目的としております。
当第2四半期連結累計期間の連結売上高は967億3百万円(前年同四半期比3.6%減)となりました。損益面では、製品価格改定効果等により連結営業利益は19億9千5百万円(前年同四半期は連結営業損失4億3千5百万円)、為替差益等も加わり連結経常利益は35億2千6百万円(前年同四半期は連結経常利益15億4百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億3千8百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りとなりました。(単位:百万円)
売上高
営業利益(△は損失)
2023年3月期
2024年3月期
増減率
2023年3月期
2024年3月期
増減率
第2四半期
第2四半期
第2四半期
第2四半期
報告セグメント
機能商品
53,553
50,223
△6.2
1,389
1,928
38.8
紙素材
47,941
47,707
△0.5
△1,927
12
-
計
101,495
97,931
△3.5
△538
1,941
-
その他
2,991
2,569
△14.1
52
82
56.3
計
104,487
100,500
△3.8
△485
2,023
-
調整額(注)
△4,122
△3,797
49
△28
合計
100,364
96,703
△3.6
△435
1,995
-
(注)調整額は主として内部取引に係るものです。
(機能商品事業)産業資材関連製品は、バッテリーセパレータ、リライトメディアの販売金額は前年を上回りましたが、エアフィルター、化粧板原紙、テープ原紙、壁紙用裏打紙の販売金額は前年を下回りました。画像資材関連製品は、インクジェット用紙は海外向けの販売数量増により販売金額は前年を上回りました。特殊ドライフィルムレジストは通信デバイスの販売不振や半導体関連の不況により、販売金額は前年を下回りました。情報資材関連製品は、販売数量は前年を下回りましたが、昨年度実施した価格改定の効果により販売金額は前年を上回りました。ドイツ事業は、景気後退懸念による需要減少等の影響を受け、販売数量、販売金額ともに減少しました。この結果、機能商品事業全体としては、減収増益となりました。中期経営計画の重点分野である産業資材事業においては、世界的な水ビジネス需要増に応える水処理膜支持体事業、感染症対策の換気と環境対策の省エネルギーを両立できる全熱交換素子などのフィルター事業の欧米拡販に注力すると共に、自動車電装化や通信機器の伸長により需要拡大中の蓄電用セパレータ事業は新設した専用抄紙機の安定稼働による規模拡大を図ってまいります。画像資材事業は、特殊ドライフィルムレジストの通信デバイス用途に加えて車載関連用途の拡販に取り組んでまいります。画像出力や印刷向けの需要が減少しているイメージングメディア関連事業は、ラベル用途・産業用インクジェットの拡販やアジア新興国向け拡販により販売数量の維持に努めると共に、継続して生産体制の見直しを図り、収益向上に取り組んでまいります。情報資材事業は、引き続き収益の安定化に取り組むとともに、FSC認証紙製品などの高付加価値品による増販に取り組んでまいります。ドイツ事業は、9月1日にフレンスブルク工場の事業売却を完了、今後はビーレフェルト1工場体制となります。更なる事業構造改革を推進、収益の安定化を図ってまいります。
(紙素材事業)印刷用紙の国内市場は、需要減少の影響で販売数量は前年に比べ減少したものの、昨年度実施した価格改定の効果により販売金額は増加しました。輸出は、円安影響もあり販売金額は前年を上回りました。また、需要動向に合わせた生産体制を継続してまいりました。市販パルプにつきましては、海外市況の下落により輸出向け販売を抑制したことから、販売数量、金額ともに減少しました。この結果、紙素材事業全体としては、減収増益となりました。国内市場では前年からの価格維持、生産体制最適化と在庫水準適正化の取り組みの継続に加えて、脱・減プラ意識の高まりから需要増のクラフト紙の拡販、バリアコート紙の品揃え拡充による製品ポートフォリオの転換と、さらに八戸・北上両工場シナジー効果の最大化により紙素材事業の収益安定化を目指してまいります。輸出につきましては、為替動向を踏まえ販売数量及び利益拡大に注力いたします。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間末の資産は、有形固定資産等の減少はありましたが、月末休日影響等による現金及び預金の増加、棚卸資産、投資有価証券の評価差額等の増加により前連結会計年度末に比べ45億6千3百万円増加し、2,316億2千2百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金等の減少はありましたが、未払費用等の増加により前連結会計年度末に比べ12億3千9百万円増加し、1,562億5千5百万円となりました。純資産は、その他有価証券評価差額金の増加等により前連結会計年度末に比べ33億2千4百万円増加し、753億6千6百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント増加し、32.5%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ40億5千5百万円増加し、124億1千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、前年同四半期に比べ113億6千9百万円増加し、62億2千2百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益に減価償却費を加えた67億9千3百万円です。前年同四半期に比べ営業活動の結果得られた資金が増加した主な要因は、棚卸資産及び売上債権の減少により収入が133億2千2百万円増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、前年同四半期に比べ12億5百万円減少し、12億3千4百万円となりました。前年同四半期に比べ投資活動の結果使用した資金が減少した主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が22億6千万円減少したことや、有形及び無形固定資産の売却による収入が6億8千2百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、前年同四半期に比べ57億2百万円増加し、14億1千9百万円となりました。これは主に借入金の返済によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億8千6百万円であります。
(6) 従業員数① 連結会社の状況当第2四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数に著しい増減はありません。② 提出会社の状況当第2四半期累計期間において、提出会社の従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい増減はありません。
(8) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。