【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況 当第2四半期連結累計期間は、新型コロナウイルス感染症拡大に対する防疫と経済の両立により、経済活動は一定程度の回復が続きました。一方、ウクライナ情勢の長期化、原燃料価格の高騰、急激な円安進行による為替相場の変動など、依然として不確実性が高い状況が続いております。当社グループを取り巻く環境におきましては、需要の回復がみられた一方、原油・石炭・天然ガスなどの原燃料価格高騰の影響を大きく受けました。このような状況下、当社グループは各事業の需要動向に合わせた生産体制を継続し、生産性の向上を図るとともに、販売面では製品価格の改定や新製品の拡販に努めました。
また、当期より当社グループでは「新しい三菱製紙グループの創造」とのスローガンを掲げて「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)を開始しております。「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)の基本方針は以下の通りです。① 「選択と集中」「新事業拡大」による収益力の強化② グリーン社会への貢献③ サステナビリティ向上のための組織変革
中期経営計画の方針に沿って、2022年8月5日にドイツ事業フレンスブルク工場の事業撤退を決議しました。今後も収益性向上施策として組織合理化を進めてまいります。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は、原燃料価格高騰影響を受けた製品価格改定の実施等により、1,003億6千4百万円(前年同四半期比16.9%増)となりました。損益面では、製品価格改定、固定費削減・原単位向上等のコストダウン効果はあったものの、原燃料価格高騰の影響が大きく、連結営業損失は4億3千5百万円(前年同四半期は連結営業利益2億8千8百万円)、為替差益等により連結経常利益は15億4百万円(前年同四半期は連結経常利益7億4千万円)、特別退職金等により親会社株主に帰属する四半期純損失は2億8千8百万円となりました。セグメントごとの経営成績は、次の通りとなりました。(単位:百万円)
売上高
営業利益(△は損失)
2022年3月期
2023年3月期
増減率
2022年3月期
2023年3月期
増減率
第2四半期
第2四半期
第2四半期
第2四半期
報告セグメント
紙素材
67,527
79,482
17.7
△1,276
△2,270
-
機能商品
24,167
28,909
19.6
1,666
1,876
12.6
計
91,695
108,391
18.2
389
△393
-
その他
2,953
2,991
1.3
1
52
-
計
94,648
111,382
17.7
390
△340
-
調整額(注)
△8,774
△11,018
△101
△95
合計
85,874
100,364
16.9
288
△435
-
(注)調整額は主として内部取引に係るものです。
(紙素材事業)国内市場につきましては、販売数量は前年を下回りましたが、販売金額は価格改定効果により増加しました。輸出につきましては販売数量、金額ともに増加しました。市販パルプにつきましては、国際市場価格の高騰に応じて販売価格改定を実施、また国内の顧客においては国産パルプへの切り替え需要も高まり、販売数量・金額ともに増加しました。欧州子会社につきましては、販売数量は前年を下回りましたが、天然ガス・パルプ価格を中心とする原燃料価格の高騰を受け販売価格改定を実施した結果、売上金額は増加しました。以上のように価格改定を進めたものの、原燃料価格高騰のコスト増を補うことはできず、紙素材事業は増収減益となりました。製品価格改定につきましては、本年6月に印刷・情報用紙、白板紙、8月に包装紙について発表し取り組みを進めてまいりました。しかし、その後も原燃料価格の高止まりや円安進行により、価格改定幅以上に製造コストが急騰していることから、10月に再度製品価格改定を発表致しました。また、為替動向を踏まえ輸出向販売数量増へ注力するとともに、市販パルプについては北上サイトで国産針葉樹100%を原料とする晒クラフトパルプの生産販売を開始し、拡大を図ってまいります。加えて需要動向に合わせた生産体制最適化と銘柄統廃合を推進し、クラフト紙、バリア紙などの新素材の品揃え拡大等にも継続して取り組み、製品ポートフォリオの転換と早期の収益安定化を目指してまいります。欧州子会社につきましても、更なる製品価格の改定の実施、生産体制の再構築によるコストダウンに継続して取り組み、安定した収益を確保できる体制の構築を引き続き目指してまいります。
(機能商品事業)機能材関連製品は、水処理膜支持体、テープ原紙などの販売は堅調に推移しましたが、フィルター、化粧板原紙、壁紙用裏打紙の販売は減少しました。また、エレクトロニクス関連製品は、バッテリーセパレータや電子工業材料の海外向け販売が増加し、前年を大きく上回りました。メルトブロー不織布につきましては、高機能不織布マスク用途を始めとしたラインアップの拡充を進め、アルコール消毒液・除菌液につきましては、特徴ある商品を自治体などに向けて提案するなどデザインやwebを活用しつつ拡販に努めました。イメージングメディア関連製品は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い減少した需要が回復傾向となり、販売は増加しました。この結果、機能商品事業全体としては、原燃料価格高騰の影響は受けたものの、価格改定や成長商品の拡販により、増収増益となりました。引き続き、中期経営計画の重点分野である機能性不織布関連事業においては、水処理膜支持体の海外水ビジネス需要を的確にとらえた新規ユーザー獲得や特殊膜への展開に加え、耐熱不織布、メルトブロー不織布などの拡販、エレクトロニクス関連製品では、自動車・省エネ・通信機器向けバッテリーセパレータや特殊ドライフィルムレジストを起点とした電子工業材料の拡販に注力してまいります。また、好調に推移しているテープ原紙につきましても、更なる拡販に取り組んでまいります。イメージングメディア関連製品は、円安を追い風として輸出向けの拡販に注力するとともに、需要が減少する製品については継続して生産体制の見直しを図り、収益向上に取り組んでまいります。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間末の資産は、売掛金、棚卸資産の増加等により前連結会計年度末に比べ107億4千3百万円増加し、2,266億2千2百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金、コマーシャル・ペーパーの増加等により前連結会計年度末に比べ115億4千9百万円増加し、1,578億1千5百万円となりました。純資産は、その他有価証券評価差額金の減少等により前連結会計年度末に比べ8億6百万円減少し、688億7百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント減少し、30.4%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ29億7千7百万円減少し、62億1千1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は、前年同四半期に比べ12億6千3百万円増加し、51億4千7百万円となりました。収入の主な内訳は、仕入債務の増加44億1百万円、減価償却費41億5千万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加73億5千2百万円、売上債権の増加47億4千8百万円であります。前年同四半期に比べ営業活動の結果使用した資金が増加した主な要因は、棚卸資産の増加による支出が56億6千9百万円増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、前年同四半期に比べ3億7千6百万円減少し、24億3千9百万円となりました。前年同四半期に比べ投資活動の結果使用した資金が減少した主な要因は、投資有価証券の売却による収入の減少15億3千9百万円や有形及び無形固定資産の取得による支出が7億9百万円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、前年同四半期に比べ36億1千万円増加し、42億8千3百万円となりました。これは主にコマーシャル・ペーパーや借入金の増加によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は4億4千7百万円であります。
(6) 従業員数① 連結会社の状況当第2四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数に著しい増減はありません。② 提出会社の状況当第2四半期累計期間において、提出会社の従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい増減はありません。
(8) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。