【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症による社会の混乱が徐々に収束に向かうなか、行動制限の緩和等により社会経済活動が正常化に向かう動きは見受けられたものの、感染再拡大の懸念は完全には払拭されていません。長期化するロシアのウクライナ侵攻は、食料やエネルギー分野を中心に世界的な商品市況の高騰を引き起こしており、原材料価格の高騰によるインフレ、半導体不足によるハイテク製品の納期遅延などの悪影響も残存しております。為替水準については、やや落ち着きを取り戻しているものの、日本の金融緩和政策は当面維持される見通しです。また、米国をはじめとする先進諸国でのインフレが抑制される兆しは見えつつも、まだまだ先行きが不透明のため、各国中央銀行の利上げは停止していません。そのため、為替水準は一進一退の状況が継続しており、日本経済における貿易赤字拡大、消費者物価の上昇は継続しており、引き続き日本経済の先行きは不透明な状況にあります。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとしたリモートワーク等の新しい働き方が定着し、ランサムウェア等のサイバー攻撃が激しさを増していることから、大手企業を中心に、経営課題としてセキュリティ対策の意識が高まり、サイバーセキュリティ対策製品やサービスの需要は依然として拡大しています。そのような状況下、当社のコア事業である情報基盤事業においては、クラウド型セキュリティ対策製品の需要は引き続き好調に拡大しています。また、当社が提供する統合セキュリティ監視サービスも堅調で、付加価値向上に向けた戦略が実を結びつつあります。加えて、本格的なクラウド時代の到来に備え、インフラの構築・運用手法もクラウドを前提としたもの(クラウドネイティブ)にシフトし始めており、クラウドネイティブ技術を積極的に活用したソリューションの提供にも取り組んでいます。アプリケーション・サービス事業では、CRM分野において、大手システム・インテグレーターやテレマーケティング・ベンダーとの業務提携、クラウド需要の拡大、知名度の向上と実績の拡大に伴い、新規の引き合いは堅調です。また、海外においては、ソーシャルデータ分析クラウド分野でタイ最大手企業であるWisesight社、並びに、タイにおけるCDP (Customer Data Platform)※14並びにマーケティング CRM のトップベンダーである Choco Card Enterprise社との資本・業務提携を行うとともに、2023年4月20日にタイに現地法人を設立し、引き続き、ASEAN市場での事業展開の加速に取り組みます。ソフトウェア品質保証分野では、企業向けシステムや組込ソフトウェアの品質を担保するためのテストツールの需要は引き続き堅調です。また、自動車のIT化に伴い車載ソフトウェアを開発する製造業などで組込みソフトウェアの品質向上を目的とした需要は底堅く、引き続き好調な受注環境を維持しております。教育分野は、引き合いが順調に推移し私立有名校を中心に導入実績は拡大しております。また、2023年1月に、探求型のキャリア教育プログラムを提供する、株式会社教育と探求社との資本業務提携により、ビジネスの拡大を加速してまいります。今期より新たに事業部門として独立させた医療システム事業では、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社が、顧客基盤の統合、サービス・製品の集約と統合に着手するとともに、ストック型ビジネスへの転換を目的として、医用画像管理システム(PACS)のクラウド化を推進しています。また、ヘルスケアITソリューション事業領域でのキヤノンメディカルシステムズ株式会社との協業や、デジタル病理関連事業の推進を目的にメドメイン株式会社との資本業務提携を行いました。さらに、新生PSP株式会社においても、株式会社NOBORIで推進していた個人向けのPHR(Personal Health Record)サービスの利用者拡大に努めています。AI医療画像診断支援サービス事業については、2022年4月1日に新生PSP株式会社とエムスリー株式会社との合弁会社として設立されたエムスリーAI株式会社を中心に、AIの診療現場への流通を加速させています。
「より良い未来を創造するITのプロフェッショナル集団」を企業理念とする当社は、2021年5月10日に新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」を発表しました。今後、社会の隅々にまでデジタルがビルトインされ、デジタルを活用したビジネスモデルの変革であるDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む状況において、当社はデジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会課題を解決するためのサービスの提供を通して持続可能な社会の創造に貢献することを目指します。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に私たちの暮らしは「NEW NORMAL」と呼ばれる新しい様式へと変わりつつあります。新中期経営計画では「NEW NORMAL」の先に来る新しい社会を見据えてSDGs(持続可能な開発目標)の観点も取り入れ、社会にとって必要不可欠な領域に向けて事業を加速していきます。
新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、前中期経営計画「GO BEYOND 3.0」の中核的事業戦略を継続しつつ、7つの基本戦略を定めその実現を目指します。
■中核的事業戦略(継続) ・クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進 ・セキュリティ&セイフティ(安全と安心)の追求 ■7つの基本戦略 1)取引製品の拡大・新規サービスの立ち上げ 2)サービス化の加速(サービス比率拡大) 3)データの利活用(AIの利用を含む) 4)多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出) 5)海外市場での事業の拡大 6)グループ間連携の強化によるシナジーの創出 7)人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進を含む)
当社グループでは、上記戦略に従い、以下の取り組みを行いました。
◇情報基盤事業第1四半期連結会計期間・沖縄クロス・ヘッド株式会社、OCH株式会社に社名変更、またコーポレートロゴも変更・OCH株式会社、ワンストップで簡単に導入できる中小企業向けセキュリティ対策製品「OCH SG-ONE」の販売を開始・日本プルーフポイント株式会社より「PARTNER OF THE YEAR 2022」並びに「DEAL REGISTRATION OF THE YEAR 2022」を受賞・タニウム合同会社より2021年度の「MVP Partner of the Year」を受賞
第2四半期連結会計期間・クロス・ヘッド株式会社、次世代型クラウド総合支援サービス「Cloud Compass」の提供を開始・クラウドネイティブ活用ソリューション「テクマトリックスNEO」をリリース・OCH株式会社、JRQSSと新しい働き方の支援に向けた業務提携契約を締結・Votiro社のクラウド型ファイル無害化ソリューション「Votiro Cloud」の販売を開始・クロス・ヘッド株式会社、「Pleasanter on AWS」の提供を開始・OCH株式会社、DXを促進するアクロリア社と協業し、業務内容の標準化・効率化を支援する「octpath」の提供を開始・SentinelOne Vigilance MDRサービスの取扱いを開始・パロアルトネットワークス社 Cortex(R) Xpanse の活用を支援するアタックサーフェスマネジメントサービスの提供を開始
第3四半期連結会計期間・クロス・ヘッド株式会社、「デジタル・ワゴン for ファイルサーバー」の提供を開始
第4四半期連結会計期間・パロアルトネットワークス社の「2022 JAPAN Distribution Partner of the Year」を受賞・クロス・ヘッド株式会社、予約ルームズと Garoon を連携させる CROSSLink 365 の新サービスを提供開始・OCH株式会社、マルチ SIM ルーターを活用し、IT 運用管理をリモートで実現するサービス「Remote Rack」をリリース ・OCH株式会社、Linux とアンチウィルスソフトをパッケージングした「MIRACLE With EPP サポートパック」を販売開始
◇アプリケーション・サービス事業第1四半期連結会計期間・ソフトウェア品質保証分野:強力なオブジェクト認識能力を誇るUIテスト自動化ツール 「Ranorex日本語版」に最新版のVersion 10.2の販売を開始・教育分野:AI型教材「Qubena (キュビナ)」を開発・提供する株式会社COMPASSとスタディ・ログ 利活用に関する共同プロジェクトを開始・教育分野:「個別最適な学び」の実践を支援する「時間割作成システム」について特許を取得・教育分野:学校法人梅花学園 梅花中学校・梅花高等学校向けにクラウドサービス「ツムギノ(tsumugino)」を導入
第2四半期連結会計期間・ソフトウェア品質保証分野:アーキテクチャ分析ツール「Lattix 2022.1.1 日本語版」の販売を開始・ソフトウェア品質保証分野:「テクマトリックス Redmine クラウドサービス」の提供を開始・ソフトウェア品質保証分野:Java対応テスト自動化ツール「Jtest 2022.1」の販売を開始・教育分野:京都教育大学附属桃山小学校向けにクラウドサービス「ツムギノ( tsumugino )」を導入・教育分野:教育現場に最適な「コメント投稿システム」について特許を取得・株式会社カサレアル、「IT 導入支援事業者」に採択 声優・モデル業界向けクラウド型スケジューラー「ボイスケ/モデスケ」を補助金対象 IT ツールとして提供を開始
第3四半期連結会計期間・CRM分野:Choco Card社(タイ王国・CDP大手)と資本・業務提携 タイ及びASEAN地域でのCRMソリューション事業拡大を加速・CRM分野:ベルシステム24、インツミット、テクマトリックス、3社共同で台湾市場向け顧客分析・活用サービス「CRM Next」提供開始・CRM分野:FastSeriesの導入ユーザー 中日本高速道路株式会社様が「2022 CRMベストプラクティス賞」を受賞・教育分野:通知表や各種証明書などの「帳票作成装置及び帳票作成方法」について特許を取得・教育分野:学校法人鶴学園 なぎさ公園小学校向けにクラウドサービス「ツムギノ( tsumugino )」を導入・教育分野:ツムギノ、クラウド型教育プラットフォーム「まなびポケット」との連携を開始・山崎情報設計株式会社、アレクシアフィンテック株式会社に社名変更・クラウドサービス情報開示認定機関ASPICより「最優秀ビジネス活用賞」及び「最優秀・認定取得賞」を受賞
第4四半期連結会計期間・ソフトウェア品質保証分野:マイクロサービスの開発とテストのサポートツール「SOAtest/Virtualize 2022.2」の販売を開始・ソフトウェア品質保証分野:C 言語/C++言語対応テストツール「C++test 2022.2」の販売を開始・ソフトウェア品質保証分野:C#/VB.NET 対応静的解析・動的解析ツール「dotTEST 2022.2」の販売を開始・教育分野:教育機関向け EdTech 分野で、教育と探求社と資本・業務提携
◇医療システム事業部門第1四半期連結会計期間・PSP株式会社、脳の健康状態を”見える化”する「ブレインヘルスケア・プログラム」をSplink、ミレニアとの3社連携により提供を開始・PSP株式会社、PHRアプリ「NOBORI」とマイナポータルとの連携を開始
第2四半期連結会計期間・PSP株式会社、メドメインと資本業務提携しデジタル病理の推進を加速
第3四半期連結会計期間・PSP株式会社、旧株式会社NOBORIと旧PSP株式会社との事業統合が進展し、新規医療施設に対するクラウド型PACSの提案機会が増加
第4四半期連結会計期間・PSP株式会社、IT導入補助金2023のIT導入支援事業者に採択
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、459億50百万円と前期比94億36百万円(25.8%)の増加、売上総利益は163億69百万円と前期比39億13百万円(31.4%)の増加となりました。販売費及び一般管理費は、人件費などの増加のため、111億73百万円と前期比29億3百万円(35.1%)の増加となりました。この結果、営業利益は50億98百万円と前期比13億63百万円(36.5%)の増加となりました。以上により、税引前利益は50億66百万円と前期比13億48百万円(36.3%)の増加、親会社の所有者に帰属する当期利益は29億50百万円と前期比5億78百万円(24.4%)の増加となりました。売上収益、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益、すべて過去最高となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」の「(2) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
① 情報基盤事業当連結会計年度における情報基盤事業の業績は、前期までに積み上げた受注残と新規案件の受注により好調に推移しました。また、サブスクリプション型の課金モデルであるクラウド型セキュリティ対策製品の受注も拡大傾向にあります。西日本地域での販売も前期からの好調さを維持しています。当期の連結受注高、売上収益は前年実績を上回りましたが、営業利益については、急激な円安の進行、人件費・販管費の増加、新規事業として取り組みを始めたクラウドネイティブ活用ソリューションへの投資、オフィス移転費用の計上などの影響により、前年実績を僅かに上回る水準に留まりました。製品別では、クラウド時代のセキュリティに対応した「SASE(Secure Access Service Edge)※15」、「CASB (Cloud Access Security Broker)※16
」、「Cyber Hygiene※17」、「SDP (Software Defined Perimeter)※18」等、新しい世代のセキュリティ対策製品も注目度が高まってきており実績も増加しております。また、ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、Emotetやランサムウェア等のマルウェアへの感染が拡大しており、感染経路としては依然としてメール経由が多いため、次世代メールセキュリティ製品の需要も旺盛です。デジタルコンテンツが指数関数的に増加していることから、ストレージ分野の受注も好調です。クロス・ヘッド株式会社は、受注高、売上収益、営業利益ともに計画を上回りました。インフラ構築案件の受注は引き続き堅調に推移しております。また、中部事業所を開設し、東海地区における販路拡大にも取り組みました。 OCH株式会社は、売上収益・営業利益ともに計画値をやや下回りました。なお、独自企画製品・サービスの受注は堅調で、サブスクリプション化が進展し、ストック型ビジネスへの転換が引き続き進行しております。主力製品の一部において市場競争が激化しているため、適宜、製品ポートフォリオの見直しに着手しています。
以上により、同事業の売上収益は293億5百万円と前期比45億94百万円(18.6%)の増加となり、過去最高となりました。営業利益は31億25百万円と前期比70百万円(2.3%)の増加となりました。
②
アプリケーション・サービス事業当連結会計年度におけるアプリケーション・サービス事業の業績は、受注面は堅調に推移し、売上収益、営業利益ともに前期実績を上回る数値を達成しました。なお、教育事業においては、受注が好調に推移したことにより、前倒しの投資が発生したこと、また、ビジネスソリューション事業において一部不採算案件が発生したことが影響し営業利益は計画を下回りました。CRM分野では、通期では受注の計画値を上回りましたが、上半期での受注の遅れから売上収益は計画値を下回る結果となりました。一方で、営業利益については前期実績、計画ともに上回りました。ソフトウェア品質保証分野においては、依然として車載分野でのテストツールの需要が旺盛で受注の計画は上回りましたが、サブスクリプション化の進展により売上収益、営業利益ともに計画を若干下回りました。ビジネスソリューション分野では、上半期において想定していた案件の失注があり、受注面では前期実績を下回りました。金融関連で発生した不採算案件も営業利益面でのマイナス要因となりました。アレクシアフィンテック株式会社(旧山崎情報設計株式会社)は、既存案件への対応等により新規営業活動が停滞したことにより、売上収益・営業利益ともに計画を下回る結果となりました。営業体制の立て直し、営業活動の促進による受注の積み上げが課題となっています。株式会社カサレアルでは、受注高、売上収益、営業利益ともに前年実績を上回りました。特に、IT研修など教育事業が好調で全体の業績を牽引しています。 新規事業であるEdTech事業については、有名私立先進校や国・公立校への導入が進みました。また、ビジネス強化を目的に、2023年1月に、探求型のキャリア教育プログラムを提供する、株式会社教育と探求社との資本業務提携を行いました。引き続き、事業の垂直立ち上げを実現すべく営業・マーケティング活動を大幅に強化し、導入作業に携わる技術要員を増強するなど、積極投資を継続しています。
以上により、同事業の売上収益は73億円と前期比58百万円(0.8%)の増加となり、過去最高となりました。営業損失は20百万円と前期比27百万円(56.8%)の減少となりました。
③ 医療システム事業医療分野では、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社の医療情報クラウドサービス「NOBORI」の順調な受注が継続し、累積契約施設数は増加しています。加えて、既存ユーザのサービス契約更新も取りこぼすことなく受注しています。一方で、一般生活者をターゲットとしたPHR(Personal Health Record)サービスの開発や、医療機関、AIベンチャー・外部企業との連携による共同開発等の新規事業への先行投資を継続し、順調に成果を上げています。オンプレミス製品の販売と保守により売上が構成される旧PSPの医用画像管理システム(PACS)事業において、期初に計画していたクラウドへの移行が、当連結累計期間において期初想定よりも穏やかなスピードで進捗しているため、新生PSP株式会社全体の業績は、計画値に対して売上収益、営業利益ともに大幅に増加しました。その他、医療関連の連結対象子会社である合同会社医知悟の業績は、受注高、売上収益、営業利益いずれも計画を超過しており、堅調さを維持しています。株式会社A-Lineについては、診療用放射線の安全管理体制整に関する医療法施行規則の一部を改正する省令が既に施行されていますが、監督機関による監査がコロナ禍において進んでいないため、医療機関における放射線量管理システム導入に対する投資意欲が想定通りに盛り上がらない傾向にありますが、線量管理システム「MINCADI」の受注は増加傾向にあり、売上収益は順調に増加し、営業損失は縮小しました。
以上により、同事業の売上収益は93億44百万円と前期比47億84百万円(104.9%)の増加となりました。営業利益は19億93百万円と前期比12億65百万円(173.8%)の増加となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、200億71百万円と前期比19億15百万円(10.6%)の増加となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローについては、契約負債の増加等により、収入は63億48百万円と前期比10億65百万円(20.2%)の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度と比較して、有形固定資産の取得による支出及び投資の取得による支出等により、支出は31億31百万円と前期比33億26百万円(-%)の増加となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローについては、前連結会計年度と比較して、非支配持分への子会社持分売却による収入等により、支出が12億99百万円と前期比6億59百万円(33.7%)の減少となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)
生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
情報基盤事業
18,539,607
+24.4
アプリケーション・サービス事業
3,860,679
+1.1
医療システム事業
2,338,617
+46.6
全社(共通)
65,225
△24.5
合計
24,804,131
+21.5
(注) 1 金額は、製造原価によっております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)
仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
情報基盤事業
3,386,796
+13.7
アプリケーション・サービス事業
164,726
△42.4
医療システム事業
1,775,704
+200.7
合計
5,327,226
+38.2
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2
当連結会計年度において、「医療システム事業」に著しい変動がありました。これは、PSP株式会社を当連結会計年度より連結の範囲に含めたことによるものです。
(3)
受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
情報基盤事業
40,618,402
+35.8
37,214,011
+43.7
アプリケーション・サービス事業
7,801,951
+0.8
4,458,177
+12.7
医療システム事業
10,007,477
+95.9
10,736,951
+6.6
合計
58,427,831
+36.6
52,409,140
+31.2
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2
当連結会計年度の受注高において、「医療システム事業」に著しい変動がありました。これは、PSP株式会社を当連結会計年度より連結の範囲に含めたことによるものです。
(4)
販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
情報基盤事業
29,305,598
+18.6
アプリケーション・サービス事業
7,300,580
+0.8
医療システム事業
9,344,434
+104.9
合計
45,950,613
+25.8
(注) 1 売上割合が10%以上の取引先はありません。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。3
当連結会計年度において、「医療システム事業」に著しい変動がありました。これは、PSP株式会社を当連結会計年度より連結の範囲に含めたことによるものです。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。連結財務諸表の作成における見積りに与える影響について、本有価証券報告書の提出日現在においては、新型コロナウイルス感染症拡大を理由とする重要な会計上の見積りの見直し等を行っておりません。今後、経済活動の動向等により顧客業績が悪化するなどして、顧客において当社グループの取扱製品やサービスに対する購入・投資意欲の減退が見られた場合に、当社の財政状態に影響を与える可能性はございますが、本有価証券報告書の提出日時点においては、従前と比較して連結財務諸表の作成の見積りにあたり、新型コロナウイルス感染症拡大を理由として、連結財務諸表の作成に大きな影響を及ぼす事象の発生等は認識しておりません。
(2)経営成績の分析情報基盤事業の売上収益は293億5百万円と前期比45億94百万円(18.6%)の増加となり、過去最高となりました。営業利益は31億25百万円と前期比70百万円(2.3%)の増加となりました。当連結会計年度における情報基盤事業の業績は、前期までに積み上げた受注残と新規案件の受注により好調に推移しました。また、サブスクリプション型の課金モデルであるクラウド型セキュリティ対策製品の受注も拡大傾向にあります。西日本地域での販売も前期からの好調さを維持しています。当期の連結受注高、売上収益は前年実績を上回りましたが、営業利益については、急激な円安の進行、人件費・販管費の増加、新規事業として取り組みを始めたクラウドネイティブ活用ソリューションへの投資、オフィス移転費用の計上などの影響により、前年実績を僅かに上回る水準に留まりました。製品別では、クラウド時代のセキュリティに対応した「SASE(Secure Access Service Edge)※15」、「CASB (Cloud Access Security Broker)※16
」、「Cyber Hygiene※17」、「SDP (Software Defined Perimeter)※18」等、新しい世代のセキュリティ対策製品も注目度が高まってきており実績も増加しております。また、ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、Emotetやランサムウェア等のマルウェアへの感染が拡大しており、感染経路としては依然としてメール経由が多いため、次世代メールセキュリティ製品の需要も旺盛です。デジタルコンテンツが指数関数的に増加していることから、ストレージ分野の受注も好調です。クロス・ヘッド株式会社は、受注高、売上収益、営業利益ともに計画を上回りました。インフラ構築案件の受注は引き続き堅調に推移しております。また、中部事業所を開設し、東海地区における販路拡大にも取り組みました。OCH株式会社は、売上収益・営業利益ともに計画値をやや下回りました。なお、独自企画製品・サービスの受注は堅調で、サブスクリプション化が進展し、ストック型ビジネスへの転換が引き続き進行しております。主力製品の一部において市場競争が激化しているため、適宜、製品ポートフォリオの見直しに着手しています。
アプリケーション・サービス事業の売上収益は73億円と前期比58百万円(0.8%)の増加となり、過去最高となりました。営業損失は20百万円と前期比27百万円(56.8%)の減少となりました。新規事業である教育事業への積極投資や、CRM事業における顧客の意思決定の長期化傾向による受注のタイミングの遅れ等が主な要因です。当連結会計年度におけるアプリケーション・サービス事業の業績は、受注面は堅調に推移し、売上収益、営業利益ともに前期実績を上回る数値を達成しました。なお、教育事業においては、受注が好調に推移したことにより、前倒しの投資が発生したこと、また、ビジネスソリューション事業において一部不採算案件が発生したことが影響し営業利益は計画を下回りました。CRM分野では、通期では受注の計画値を上回りましたが、上半期での受注の遅れから売上収益は計画値を下回る結果となりました。一方で、営業利益については前期実績、計画ともに上回りました。ソフトウェア品質保証分野においては、依然として車載分野でのテストツールの需要が旺盛で受注の計画は上回りましたが、サブスクリプション化の進展により売上収益、営業利益ともに計画を若干下回りました。ビジネスソリューション分野では、上半期において想定していた案件の失注があり、受注面では前期実績を下回りました。金融関連で発生した不採算案件も営業利益面でのマイナス要因となりました。アレクシアフィンテック株式会社(旧山崎情報設計株式会社)は、既存案件への対応等により新規営業活動が停滞したことにより、売上収益・営業利益ともに計画を下回る結果となりました。営業体制の立て直し、営業活動の促進による受注の積み上げが課題となっています。株式会社カサレアルでは、受注高、売上収益、営業利益ともに前年実績を上回りました。特に、IT研修など教育事業が好調で全体の業績を牽引しています。 新規事業であるEdTech事業については、有名私立先進校や国・公立校への導入が進みました。また、ビジネス強化を目的に、2023年1月に、探求型のキャリア教育プログラムを提供する、株式会社教育と探求社との資本業務提携を行いました。引き続き、事業の垂直立ち上げを実現すべく営業・マーケティング活動を大幅に強化し、導入作業に携わる技術要員を増強するなど、積極投資を継続しています。
医療システム事業の売上収益は93億44百万円と前期比47億84百万円(104.9%)の増加となりました。営業利益は19億93百万円と前期比12億65百万円(173.8%)の増加となりました。医療分野では、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社の医療情報クラウドサービス「NOBORI」の順調な受注が継続し、累積契約施設数は増加しています。加えて、既存ユーザのサービス契約更新も取りこぼすことなく受注しています。一方で、一般生活者をターゲットとしたPHR(Personal Health Record)サービスの開発や、医療機関、AIベンチャー・外部企業との連携による共同開発等の新規事業への先行投資を継続し、順調に成果を上げています。オンプレミス製品の販売と保守により売上が構成される旧PSPの医用画像管理システム(PACS)事業において、期初に計画していたクラウドへの移行が、当期において期初想定よりも穏やかなスピードで進捗しているため、新生PSP株式会社全体の業績は、計画値に対して売上収益、営業利益ともに大幅に増加しました。その他、医療関連の連結対象子会社である合同会社医知悟の業績は、受注高、売上収益、営業利益いずれも計画を超過しており、堅調さを維持しています。株式会社A-Lineについては、診療用放射線の安全管理体制整に関する医療法施行規則の一部を改正する省令が既に施行されていますが、監督機関による監査がコロナ禍において進んでいないため、医療機関における放射線量管理システム導入に対する投資意欲が想定通りに盛り上がらない傾向にありますが、線量管理システム「MINCADI」の受注は増加傾向にあり、売上収益は順調に増加し、営業損失は縮小しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、459億50百万円と前期比94億36百万円(25.8%)の増加となり、過去最高となりました。売上総利益は163億69百万円と前期比39億13百万円(31.4%)の増加となりました。販売費及び一般管理費は、主に人件費が増加したことにより、111億73百万円と前期比29億3百万円(35.1%)の増加となりました。その結果、営業利益は50億98百万円と前期比13億63百万円(36.5%)の増加となりました。以上により、税引前利益は50億66百万円と前期比13億48百万円(36.3%)の増加、親会社の所有者に帰属する当期利益は29億50百万円と前期比5億78百万円(24.4%)の増加となりました。
(3)財政状態の分析当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末(以下「前年度末」という。)から95億3百万円(22.5%)増加し、517億70百万円となりました。前渡金が49億50百万円増加したことが主な要因であります。非流動資産の残高は、前年度末から36億84百万円(36.0%)増加し、139億20百万円となりました。有形固定資産が26億15百万円増加したことが主な要因であります。以上により、総資産は前年度末から131億87百万円(25.1%)増加し、656億91百万円となりました。 流動負債の残高は、前年度末から80億54百万円(28.8%)増加し、360億44百万円となりました。契約負債が93億43百万円増加したことが主な要因であります。非流動負債の残高は、前年度末から14億17百万円(32.9%)増加し、57億29百万円となりました。リース負債が14億61百万円増加したことが主な要因であります。以上により、負債の残高は、前年度末から94億72百万円(29.3%)増加し、417億73百万円となりました。資本合計の残高は、前年度末から37億15百万円(18.4%)増加し、239億17百万円となりました。利益剰余金22億31百万円増加したことが主な要因であります。以上により、親会社所有者帰属持分比率は28.9%となりました。
(4)戦略的現状と見通し
2021年5月10日発表した新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」の2年目にあたる当連結会計年度(2023年3月期)は、受注高、売上収益、営業利益ともに計画を大きく上回り、過去最高を更新しました。上記の定量的な成果に加え、新中期経営計画の基本戦略に沿った取り組みにも注力しました。例えば、2022年12月にグループ会社5社を含めた本社機能の移転及び集約を実施しました。この本社機能の集約により、中期経営計画の基本戦略にも掲げている「グループ間連携の強化によるシナジーの創出」を追求し、中期経営計画の着実な遂行と持続的成長の実現を進めています。同じく中期経営計画の基本戦略にも掲げている「多様なアライアンス・M&A」の取り組みとして、CRM分野の海外事業の拡大を目的としたChoco Card Enterprise社との資本・業務提携や、教育分野でのビジネス強化を目的とした教育と探求社との資本業務提携、デジタル病理関連事業の推進を目的としたメドメイン株式会社との資本業務提携等を実施しました。
■情報基盤事業部門最先端のネットワークセキュリティ関連技術の動向を先取りし、積極的に新規商材を発掘し、取引製品の拡大・新規サービスの立ち上げに引き続き取り組んでまいります。合わせて、各種自社サービスと組み合わせ、競合他社との差別化を推進していきます。自社サービスの開発においては、クラウドネイティブ・ソリューション「NEO」の製品化に向けた投資を積極的に推進するとともに、次世代統合監視サービス「TPS」の販売強化に取り組んでいきます。 また、当該セグメントにおける連結子会社との事業連携も加速させ、情報基盤のライフサイクル全般をカバーする総合的なサービス提供力の向上に努めます。
<新中期経営計画における主な基本戦略>『デジタル化を支える情報基盤・技術・サービスの提供』・取扱製品/サービスの拡大・代理店(パートナー)と戦略アカウントの深掘り・プロダクト組織とアカウント組織のマトリックス化・専門性の更なる強化と技術力の可視化(保守対応の可視化、技術情報発信など)・統合監視セキュリティサービス(TPS)の拡販・センター集約型ビジネスの拡大(付加価値の追求)・サブスクリプション販売への移行促進(ストックビジネス強化)
■アプリケーション・サービス事業部門CRM分野、ビジネスソリューション分野、ソフトウェア品質保証分野、教育分野それぞれにおいて、クラウドサービス(SaaS)を加速度的に推進します。また、顧客企業でソフトウェア開発の内製化が進む中で、顧客向けの受託開発を担当していた技術リソースの一部を「自社独自サービス開発(ベストプラクティスのクラウドサービス)」や「自社付加価値を高める既存クラウドサービスの拡充」に戦略的にシフトしていきます。 CRM分野においては、従来の電話やメールといったコミュニケーション手段にとどまらず、SNS等の多様なチャネルに対応したコンタクトセンターCRMソリューションを提供しています。AIを活用したチャット・ボット等の最先端技術を活用し、コンタクトセンターの運用効率化に貢献していきます。当該分野においても、クラウド化を推し進めると同時に、民間のみならず自治体の広聴業務向けの事業拡大に取り組みます。また、ソーシャルデータ分析クラウド分野でタイ最大手企業であるWisesight社との資本・業務提携や、タイにおけるマーケティングCRMのトップベンダーであるChoco Card社と資本・業務提携、また、現地法人の設立を通して、急速に発展しているASEAN(特にタイとインドネシア)地域での顧客拡大に取り組み、ビジネスのグローバル化を推進していきます。 ソフトウェア品質保証分野においては、様々なデバイスがインターネットで相互接続されるIoTやM2M(機器間の通信)の拡がりにより、組込みソフトウェアの品質向上は社会的にも非常に重要な課題となってきています。医療機器、自動車、鉄道、電子機器等様々な分野で機能安全の国際規格への対応が必要となってきています。組込みソフトウェアの品質向上・機能安全(セイフティ)に対する需要を的確に捉えて行くと同時に、複雑化、大規模化する企業内情報システム分野におけるソフトウェア品質向上のニーズにも応えていきます。DevOpsやOSS※19 に対応した開発支援ツールの提供にも力を入れます。当該分野においても、クラウド型サービスの提供を推進しています。ビジネスソリューション分野では、従来の特定顧客向け受託開発ビジネスで積み上げてきた技術力を活かし、新しい分野でのベストプラクティスをシステム化したクラウドサービスの創出に取り組んで行きます。また、当社が知見を蓄積した学術分野や、金融工学の技術を活用した金融機関向けのリスク管理分野でのビジネス拡大にも取り組んでいきます。政府のGIGAスクール構想※20により急速にデジタル化が進む教育分野においては、学習指導要領の改定に伴い、「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)や「個別最適な学び」の実現が謳われています。その実現に向けて、これまでの発想とは全く違う新しいコミュニケーション・プラットフォームや校務支援クラウドサービスが必要不可欠です。この市場の変化と新しいニーズに対応するために当社が開発したクラウドサービス「ツムギノ」を積極的に拡販していきます。合わせて、2023年1月に実施した、株式会社教育と探求社との資本業務提携に続き、教育ビジネスの強化、販路拡大に向けて多様なアライアンス・M&Aの検討を継続していきます。 当該セグメントにおける連結子会社は、単体事業との事業シナジーを追求しつつ、それぞれの専門分野で事業の拡大を図ります。
<新中期経営計画における主な基本戦略>『最善の手法である「Best Practice」を誰にも使いやすいUXを通してクラウド型で提供』・AI医療診断支援サービス事業の加速・PHR事業の拡大・CRMサービスのワンストップ化に向けた他ベンダーとの連合・グループの組成・グローバル展開(ASESAN)の加速・AI技術を活用した製品/サービスの創出・ポートフォリオの拡充(ソフトウェア開発基盤ソリューションの独自開発等)・ツールを活用した第三者テスト/検証市場への参入・独自のビジネス分析ソリューションの開発・提供
■医療システム事業部門医療システム事業部門においては、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社が、顧客基盤の統合、サービス・製品の集約と統合に着手するとともに、ストック型ビジネスへの転換を目的として、医用画像管理システム(PACS)のクラウド化を推進しています。特に、他社に先行してサービスを開始した医療情報クラウドサービス「NOBORI」は、クラウド型PACS(医用画像管理システム)市場において圧倒的なシェアを獲得しており、引き続き市場を牽引していきます。また、新生PSP株式会社においても、株式会社NOBORIで推進していた個人向けのPHR(Personal Health Record)サービス事業やAI医療画像診断支援サービス事業といった、蓄積された医療データの利活用を行う新規事業への先行投資を継続しつつも、これら事業の収益化に取り組みます。AI医療画像診断支援サービス事業については、2022年4月1日に新生PSP株式会社とエムスリー株式会社との合弁会社として設立されたエムスリーAI株式会社を中心に、AIの診療現場への流通を加速させています。また、これまで旧PSP株式会社が販売してきたオンプレミス形式の医用画像管理システムをクラウド型PACSに移行していくことも戦略的且つ加速度的に進めます。
<新中期経営計画における主な基本戦略>『最善の手法である「Best Practice」を誰にも使いやすいUXを通してクラウド型で提供』・AI医療診断支援サービス事業の加速・PHR事業の拡大・AI技術を活用した製品/サービスの創出
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析 ① キャッシュ・フローキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 ② 資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、取扱い製品であるネットワーク関連機器の保守用機材の購入等の設備投資資金及び販売用ソフトウェアの開発費等であります。 ③ 資金の源泉当連結会計年度末において200億71百万円の現金及び現金同等物の残高があり、当面の資金需要に充当し得る十分な資金を保有しております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について当社グループが成長を続けていくためには多くの課題が残されていると考えております。具体的には、①業界動向や顧客ニーズ等の「外部環境変化への対応力強化」と、②人材面や業務プロセスの効率化等の「内部の課題解決」の二つに大別されます。 ① 外部環境変化への対応力強化・
持続的な成長シナリオの構築現在、当社グループの事業セグメントにおいては、ニッチ市場ながらも競争力の高い製品やサービスを展開しておりますが、今後も持続的に成長するためには、市場ニーズに対応した新しい製品やサービスを切れ目なく立ち上げていく必要があります。・
ビジネスモデルの多様化企業のITシステム投資の方向性が、設備の「所有」からサービスの「利用」へと加速度的に変化しております。IT資産においてもオフバランス化が進み、「持たざる経営」がITの分野にも浸透しつつあります。 これまで、企業はITシステム(ハードウェア、ソフトウェア、開発)を資産として購入・運用してきましたが、ITシステムを資産として保有せず、外部事業者のサービスをインターネット越しに活用するクラウドサービスの利用が広がっております。これにより、企業側はITシステムの初期投資や運用・保守等の負担を低減することができます。当社グループでは、アプリケーション・サービス事業において、自社開発ソフトウェア・パッケージの販売、保守を行ってまいりましたが、これらソフトウェアの機能をインターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス事業に参入しております。売り切り販売中心のフロー事業に加え、継続的に収入が得られるサービス事業によるビジネスのストック化を更に推進します。クラウド時代の顧客企業ニーズの変化に積極的に対応し、ストック型ビジネスを中心戦略とした「持たざる経営」を支えるサービス・プロバイダー、サービス・クリエーターとしての地位の確立を進めてまいります。・
サービスのフルライン化上述のとおり、IT業界ではクラウドという新しいビジネスモデルへの対応が必要となる一方で、従来どおりITシステムの自社所有を希望する企業があります。このため、当社グループは、システム導入以降に必要となる保守・運用サービスについても積極的に拡充し、システムのライフサイクル全てをカバーするフルラインのサービス提案を行ってまいります。また、グループ経営を一層強化することにより、システムのフルアウトソーシングの請負にも注力し、継続的な取引機会の確保に努めてまいります。24時間対応のオンサイト保守やリモート監視業務については、外部委託からクロス・ヘッド株式会社への委託へ切り替え、グループ内での機能の自活、内製化を進めております。また、株式会社カサレアルの完全子会社化によりソフトウェアの開発要員を拡充しておりますので、開発業務についても同社技術力を活用した効率化を進めます。以上の取り組みにより、グループの総合力を発揮するとともに、サービスのフルライン化を進めます。・
業界構造一般的に、ソフトウェア開発会社は人的資源中心のビジネスであり、大規模な初期投資を必要としないことから、少人数の企業から大手のシステム・インテグレーターまで多数の企業が存在します。業界全体が多重の下請け構造になっているため、下請け構造の下層に位置する企業は、規模の大小にかかわらず苦しい経営を強いられております。このため、生き残りを図るためには、付加価値の高いサービスを提供し、顧客企業への直販、直接契約を志向することが重要であり、フルラインでのサービス提供と総合力の発揮、一定規模の開発体制が求められます。当社グループは、今後もM&Aの活用を経営の選択肢に取り入れ、スピード感を持って付加価値の向上、総合力の発揮、規模の拡大を目指してまいります。
② 内部の課題解決・
人材の採用と育成当社グループは、これまで即戦力の中途入社社員の採用により事業の拡大を図ってまいりましたが、中堅社員層の比率が相対的に高くなっているため、将来的なコストアップを防ぐためにも、今後は、若手社員の拡充に軸足を移し、新卒や第二新卒の採用活動に力を入れていく必要があります。 また、一般的な労働集約型ビジネスではない、高付加価値なストック型ビジネスの拡大や、新規事業の創発等の事業戦略の実現に向け、今後のITの技術革新や業界を取り巻く環境変化にキャッチアップし、2023年4月に新たに策定した「経営戦略を実現する人事戦略」に沿って、新たな価値を創造できる人材育成計画の策定及び実現を進めてまいります。 ・
品質カイゼン活動ITシステムは、社会インフラ化しており、また、企業経営にとっても経営戦略を具現化するためのツールとして、ITシステムの果たす役割は一層重要性を増しております。ITシステムを構成するハードウェアの性能は日進月歩で向上しておりますが、人的資源に依存するソフトウェアの開発においては、依然として属人的な要素が少なくありません。開発プロセスの標準化や科学的手法によるテストの合理化、既存ソフトウェア部品の有効活用等、さまざまな努力を重ね、ソフトウェア品質、サービス品質の向上に努めなければなりません。高品質な製品・サービスの提供は勿論のこと、企業業績の安定化のためにも、品質カイゼン活動を積極的に推進してまいります。・
社内ITシステムの充実業務プロセスを効率化、合理化していくため、また、事業上の迅速な意思決定を促進するためにはITシステムの積極的な活用が不可欠であると認識しております。経営者のリーダーシップのもと、当社のIT推進部において、デジタル技術の活用による社内生産性の向上及び事業活動の質の向上に向けて自社ITシステム戦略を策定しております。また、月次単位の定期会議を開催し、経営者や他部署を交え、課題の把握及び今後の施策の検討を行っております。具体的には以下のような取り組みテーマがあります。
1 開発・導入のスピードアップ、品質向上2 人材の育成、充実、体制の再構築3 能動的な企画・提案活動4 投資対効果の計測5 クラウド化の促進6 セキュリティの安心・安全の追及上場企業として求められる内部統制を着実に実行していくためにも、ITによる業務統制は重要な役割を担っていると考えております。当社グループは、社内ITシステムの継続的な開発を通じて、業務プロセスの効率化、企業活動の可視化を図ってまいります。
(用語解説)
※14
CDP
CDP(Customer Data Platform)とは、マーケティング担当者向けにパッケージ化されたソフトウェアであり、さまざまなシステムで収集した顧客データを統合化して一元管理可能なプラットフォームのこと。
※15
SASE
SASE(Secure Access Service Edge)とは、ネットワークとセキュリティの機能を包括的にクラウドから提供すること。クラウドサービスの普及が進む中で、これまでクラウドのポリシーは利用サービス別に適用されることが多かったが、SASEは単一のクラウドに集約し包括的に管理するという、新しい概念。
※16
CASB
CASB(Cloud Access Security Broker)とは、クラウドサービスのユーザとクラウドサービスのプロバイダー間に位置し、クラウド利用状況の可視化や制御を行い、全体として一貫性のあるセキュリティポリシーを実施できるようにすること。
※17
Cyber Hygiene
Cyber Hygieneとは、定期的なパスワード変更やソフトウェアのアップデートなど、ユーザ単位でIT環境を健全に保つための取り組みを行い、セキュリティ・インシデントを防ぐこと。
※18
SDP
SDP(Software Defined Perimeter)とは、ネットワークを経由した様々な脅威に応じた境界線をソフトウェア上で構築し、アプリケーションインフラや機密情報への柔軟 なアクセス制御を可能にするセキュリティフレームワークのこと。
※19
OSS
OSS(Open Source Software)とは、人間が理解しやすいプログラミング言語で書かれたコンピュータプログラムであるソースコードを広く一般に公開し、誰でも自由に扱ってよいとする考え方。また、そのような考えに基づいて公開されたソフトウェアのこと。
※20
GIGAスクール構想
GIGAスクール構想(「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」)とは、2019年に開始された、全国の児童・生徒1人に1台のコンピュータと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み。
#C3762JP #テクマトリックス #情報通信業セクター