【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年9月30日)における国内経済は、オミクロン株の流行による第7波が8月にピークを迎え、感染拡大防止と経済社会活動の活性化のバランスにおいて、引き続き難しい舵取りが求められる状況となりました。今後も感染再拡大による第8波到来の懸念は残存しております。また、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まりや、原材料価格の高騰によるインフレ懸念、半導体不足によるハイテク製品の納期遅延、原油価格の高騰、日米金利差による急激な円安の進行などが景気減速の懸念材料となっており引き続き先行きが不透明な状況にあります。特に、1998年以来の記録的な円安水準は、コロナ禍からの回復を目指す国内経済にとって大きな痛手となりかねない状況です。 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとしたリモートワーク等の新しい働き方が定着し、ランサムウェア等のサイバー攻撃が激しさを増していることから、大手企業を中心に、経営課題としてセキュリティ対策の意識が高まり、サイバーセキュリティ対策製品やサービスの需要は依然として拡大しています。そのような状況下、当社のコア事業である情報基盤事業において、クラウド型セキュリティ対策製品の需要は引き続き好調に拡大しています。また、当社が提供する統合セキュリティ監視サービスも堅調で、付加価値向上に向けた戦略が実を結びつつあります。加えて、本格的なクラウド時代の到来に備え、インフラの構築・運用手法もクラウドを前提としたもの(クラウドネイティブ)にシフトし始めており、クラウドネイティブ技術を積極的に活用したソリューションの提供にも取り組み始めました。 アプリケーション・サービス事業では、CRM分野において、大手システム・インテグレーターやテレマーケティング・ベンダーとの業務提携、クラウド需要の拡大、知名度の向上と実績の拡大に伴い、新規の引き合いは堅調です。また、海外においては、ソーシャルデータ分析クラウド分野でタイ最大手企業であるWisesight社との資本・業務提携を足掛かりに、引き続き、ASEAN市場での事業展開の加速に取り組んでいます。ソフトウェア品質保証分野においては、依然として車載分野でのテストツールの需要が旺盛です。同分野においてもサブスクリプション化が進展しており、ストック型ビジネスへの転換が進んでいます。 今期より新たに事業部門として独立させた医療システム事業では、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社(2018年に当社から分社化し連結対象子会社であった株式会社NOBORIと、2022年2月に連結子会社化した旧PSP株式会社が2022年4月1日に合併しました。)が、顧客基盤の統合、サービス・製品の集約と統合に着手するとともに、ストック型ビジネスへの転換を目的として、医用画像管理システム(PACS)のクラウド化を推進しています。また、新生PSP株式会社においても、株式会社NOBORIで推進していた個人向けのPHR(Personal Health Record)サービス※1の利用者拡大に努めています。AI医療画像診断支援サービス事業については、2022年4月1日に新生PSP株式会社とエムスリー株式会社との合弁会社として設立されたエムスリーAI株式会社を中心に、AIの診療現場への流通を加速させています。
「より良い未来を創造するITのプロフェッショナル集団」を企業理念とする当社は、2021年5月10日に新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」を発表しました。今後、社会の隅々にまでデジタルがビルトインされ、デジタルを活用したビジネスモデルの変革であるDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む状況において、当社はデジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会課題を解決するためのサービスの提供を通して持続可能な社会の創造に貢献することを目指します。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に私たちの暮らしは「NEW NORMAL」と呼ばれる新しい様式へと変わりつつあります。新中期経営計画では「NEW NORMAL」の先に来る新しい社会を見据えてSDGsの観点も取り入れ、社会にとって必要不可欠な領域に向けて事業を加速していきます。
新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、前中期経営計画「GO BEYOND 3.0」の中核的事業戦略を継続しつつ、7つの基本戦略を定めその実現を目指します。■中核的事業戦略(継続) ・クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進 ・セキュリティ&セイフティ(安全と安心)の追求 ■7つの基本戦略 1)取引製品の拡大・新規サービスの立ち上げ 2)サービス化の加速(サービス比率拡大) 3)データの利活用(AIの利用を含む) 4)多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出) 5)海外市場での事業の拡大 6)グループ間連携の強化によるシナジーの創出 7)人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進を含む)
当社グループでは、上記戦略に従い、以下の取り組みを行いました。
◇情報基盤事業第1四半期連結会計期間・沖縄クロス・ヘッド株式会社、OCH株式会社に社名変更、またコーポレートロゴも変更・OCH株式会社、ワンストップで簡単に導入できる中小企業向けセキュリティ対策製品「OCH SG-ONE」の販売を開始・日本プルーフポイント株式会社より「PARTNER OF THE YEAR 2022」並びに「DEAL REGISTRATION OF THE YEAR 2022」を受賞・タニウム合同会社より2021年度の「MVP Partner of the Year」を受賞
第2四半期連結会計期間・クロス・ヘッド株式会社、次世代型クラウド総合支援サービス「Cloud Compass」の提供を開始・クラウドネイティブ活用ソリューション「テクマトリックスNEO」をリリース・OCH株式会社、JRQSSと新しい働き方の支援に向けた業務提携契約を締結・Votiro社のクラウド型ファイル無害化ソリューション「Votiro Cloud」の販売を開始・クロス・ヘッド株式会社、「Pleasanter on AWS」の提供を開始・OCH株式会社、DXを促進するアクロリア社と協業し、業務内容の標準化・効率化を支援する「octpath」の提供を開始・SentinelOne Vigilance MDRサービスの取扱いを開始・パロアルトネットワークス社 Cortex(R) Xpanse の活用を支援するアタックサーフェスマネジメントサービスの提供を開始
◇アプリケーション・サービス事業第1四半期連結会計期間・ソフトウェア品質保証分野:強力なオブジェクト認識能力を誇るUIテスト自動化ツール「Ranorex日本語版」に最新版のVersion 10.2の販売を開始・教育分野:AI型教材「Qubena (キュビナ)」を開発・提供する株式会社COMPASSとスタディ・ログ 利活用に関する共同プロジェクトを開始・教育分野:「個別最適な学び」の実践を支援する「時間割作成システム」について特許を取得・教育分野:学校法人梅花学園 梅花中学校・梅花高等学校向けにクラウドサービス「ツムギノ(tsumugino)」を導入
第2四半期連結会計期間・ソフトウェア品質保証分野:アーキテクチャ分析ツール「Lattix 2022.1.1 日本語版」の販売を開始・ソフトウェア品質保証分野:「テクマトリックス Redmine クラウドサービス」の提供を開始・ソフトウェア品質保証分野:Java対応テスト自動化ツール「Jtest 2022.1」の販売を開始・教育分野:京都教育大学附属桃山小学校向けにクラウドサービス「ツムギノ( tsumugino )」を導入・教育分野:教育現場に最適な「コメント投稿システム」について特許を取得・株式会社カサレアル、「IT 導入支援事業者」に採択 声優・モデル業界向けクラウド型スケジューラー「ボイスケ/モデスケ」を補助金対象 IT ツールとして提供を開始
◇医療システム事業第1四半期連結会計期間・PSP株式会社、脳の健康状態を”見える化”する「ブレインヘルスケア・プログラム」をSplink、ミレニアとの3社連携により提供を開始・PSP株式会社、PHRアプリ「NOBORI」とマイナポータルとの連携を開始
第2四半期連結会計期間・PSP株式会社、メドメインと資本業務提携しデジタル病理の推進を加速
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上収益は、207億43百万円と前期比45億97百万円(28.5%)の増加となり、過去最高となりました。売上総利益は73億49百万円と前期比18億14百万円(32.8%)の増加となりました。販売費及び一般管理費は、人件費などの増加のため、54億20百万円と前期比14億84百万円(37.7%)の増加となりました。その結果、営業利益は19億15百万円と前期比3億14百万円(19.6%)の増加となりました。以上により、税引前四半期利益は19億14百万円と前期比3億14百万円(19.7%)の増加、親会社の所有者に帰属する四半期利益は10億63百万円と前期比17百万円(1.7%)の増加となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」の「(2) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
① 情報基盤事業当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年9月30日)における情報基盤事業の業績は、前期までに積み上げた受注残と新規案件の受注により好調に推移しました。また、サブスクリプション型の課金モデルであるクラウド型セキュリティ対策製品の受注も拡大傾向にあります。西日本地域での販売も前期からの好調さを維持しています。当第2四半期連結累計期間の連結受注高、売上収益は前年実績を上回りましたが、営業利益については、急激な円安の進行、人件費・販管費の増加、新規事業として取り組みを始めたクラウドネイティブ活用ソリューションへの投資、オフィス移転費用の計上などの影響により、前年実績を僅かに下回りました。製品別では、クラウド時代のセキュリティに対応した「SASE(Secure Access Service Edge)※2」、「CASB (Cloud Access Security Broker) ※ 3」、「Cyber Hygiene※ 4」、「SDP (Software Defined Perimeter)※5」等、新しい世代のセキュリティ対策製品も注目度が高まってきており実績も増加しております。また、ロシアのウクライナへの軍事侵攻以降、Emotetやランサムウェア等のマルウェアへの感染が拡大しており、感染経路としては依然としてメール経由が多いため、次世代メールセキュリティ製品の需要も旺盛です。 クロス・ヘッド株式会社は、売上収益、営業利益ともに計画通り推移しました。インフラ構築案件の受注は引き続き堅調に推移しておりますが、半導体不足の影響によるネットワーク機器の納品遅れにより、大手SI経由の構築プロジェクトの延伸が継続して発生しております。 OCH株式会社は、売上収益は計画値をやや下回りましたが、営業利益については計画値を上回りました。なお、独自企画製品・サービスの受注は堅調で、サブスクリプション化が進展し、ストック型ビジネスへの転換が引き続き進行しております。
以上により、同事業の売上収益は133億66百万円と前期比20億76百万円(18.4%)の増加となり、過去最高となりました。営業利益は12億65百万円と前期比1億14百万円(8.3%)の減少となりました。
②
アプリケーション・サービス事業当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年9月30日)におけるアプリケーション・サービス事業の業績は、受注面では好調に推移し、前期実績を上回る数値を達成しました。一方で、上期前半で出遅れ、終盤で受注を追い上げたこと、また、サブスクリプション型の受注が増加し、契約期間に応じて長期に売上収益と利益が繰り延べられることから、売上収益は微増にとどまりました。なお、教育事業への積極的な投資を継続しており、また、一部不採算案件が発生したこともあり、営業利益は計画値を下回りました。 CRM分野では、受注は前期実績より順調に増加しましたが、受注タイミングが遅れたことにより売上収益、営業利益ともに計画値を下回りました。ソフトウェア品質保証分野では、企業向けシステムや組込ソフトウェアの品質を担保するためのテストツールの需要は引き続き堅調です。また、自動車のIT化に伴い車載ソフトウェアを開発する製造業などで組込みソフトウェアの品質向上を目的とした需要は底堅く、引き続き好調な受注環境を維持しております。しかしながら、サブスクリプション型ライセンスの受注が増えており、売上収益及び営業利益の伸びは受注の伸長に比べて抑えられる傾向にあります。ビジネスソリューション分野では、一部想定していた案件の失注もあり、受注面はやや出遅れました。金融関連で不採算案件が発生し、営業利益面でのマイナス要因となりました。第3四半期に向けては受注の積み上げが課題となっています。山崎情報設計株式会社は、既存案件への対応等により新規営業活動が停滞したことにより、売上収益・営業利益ともに計画を下回る結果となりました。新規営業体制の立て直し、営業活動の促進による受注の積み上げが課題となっています。株式会社カサレアルでは、売上収益・営業利益ともに概ね計画通りに進捗しました。特に、新人向けIT研修など教育事業が好調で全体の業績を牽引しています。 新規事業である教育事業については、有名私立先進校や国・公立校への導入が進みました。引き続き、事業の垂直立ち上げを実現すべく営業・マーケティング活動を大幅に強化するなど、計画に沿って積極投資を継続しています。
以上により、同事業の売上収益は33億64百万円と前期比26百万円(0.8%)の増加となりました。営業損失は97百万円と前期比65百万円(205.0%)の増加となりました。
③ 医療システム事業医療分野では、2022年4月1日に新たにスタートした新生PSP株式会社の医療情報クラウドサービス「NOBORI」の順調な受注が継続し、累積契約施設数は増加しています。加えて、既存ユーザのサービス契約更新も取りこぼすことなく受注しています。一方、コンシューマ(患者)をターゲットとしたPHR(Personal Health Record)サービスの開発や、AIベンチャー・医師らと組んだ医用画像診断支援システムの共同開発等の新規事業への先行投資を継続し、順調に成果が上がっています。オンプレミス製品の販売と保守により売上が構成される旧PSPの医用画像管理システム(PACS)事業において、期初に計画していたクラウドシフトへの移行が、当第2四半期連結累計期間において本格化しなかったことにより、新生PSP株式会社全体の業績は、計画値に対して売上収益は増加、営業利益は大幅に増加するという結果になりました。 その他、医療関連の連結対象子会社である合同会社医知悟の業績は、今期計画値を超過しており、堅調さを維持しています。株式会社A-Lineについては、診療用放射線の安全管理体制整に関する医療法施行規則の一部を改正する省令が既に施行されていますが、監督機関による監査がコロナ禍において進んでいないため、医療機関における放射線量管理システム導入に対する投資意欲が想定通りに盛り上がらない傾向にあります。そのため、受注がやや低調ですが、サブスクリプション型ビジネスであるため、売上収益、営業利益ともに概ね計画通りに進捗しました。
以上により、同事業の売上収益は40億13百万円(前年同四半期は15億19百万円)、営業利益は7億48百万円(前年同四半期は2億53百万円)となりました。
(2)
財政状態の分析当第2四半期連結累計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末(以下「前年度末」という。)から54億3百万円(12.8%)増加し、476億71百万円となりました。前渡金が36億14百万円増加したことが主な要因であります。非流動資産の残高は、前年度末から28億81百万円(28.2%)増加し、131億18百万円となりました。有形固定資産が18億45百万円増加したことが主な要因であります。以上により、総資産は前年度末から82億85百万円(15.8%)増加し、607億89百万円となりました。 流動負債の残高は、前年度末から50億15百万円(17.9%)増加し、330億5百万円となりました。契約負債が64億28百万円増加したことが主な要因であります。非流動負債の残高は、前年度末から16億22百万円(37.6%)増加し、59億34百万円となりました。リース負債(非流動)が16億55百万円増加したことが主な要因であります。以上により、負債の残高は、前年度末から66億38百万円(20.6%)増加し、389億40百万円となりました。資本合計の残高は、前年度末から16億46百万円(8.2%)増加し、218億49百万円となりました。非支配持分が12億84百万円増加したことが主な要因であります。以上により、親会社所有者帰属持分比率は28.6%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の残高は、前年同四半期に比べ50億8百万円増加し、192億16百万円となりました。当第2四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローについては、契約負債の増加等により、前年同四半期に比べ11億59百万円増加し、25億71百万円の収入となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローについては、その他(敷金の差入による支出)等により、前年四半期に比べ4億66百万円減少し、11億92百万円の支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローについては、非支配持分への子会社持分売却による収入等により、前年同四半期に比べ7億91百万円増加し、3億19百万円の支出となりました。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は26百万円であります。
(用語解説)
※1
PHR
PHR(Personal Health Record)とは、個人が自らの健康に関する情報を、自己管理のもとに情報集約化を実現するツールやシステムのこと。
※2
SASE
SASE(Secure Access Service Edge)とは、ネットワークとセキュリティの機能を包括的にクラウドから提供すること。クラウドサービスの普及が進む中で、これまでクラウドのポリシーは利用サービス別に適用されることが多かったが、SASEは単一のクラウドに集約し包括的に管理するという、新しい概念。
※3
CASB
CASB(Cloud Access Security Broker)とは、クラウドサービスのユーザーとクラウドサービスのプロバイダー間に位置し、クラウド利用状況の可視化や制御を行い、全体として一貫性のあるセキュリティポリシーを実施できるようにすること。
※4
Cyber Hygiene
定期的なパスワード変更やソフトウェアのアップデートなど、ユーザ単位でIT環境を健全に保つための取り組みを行い、セキュリティ・インシデントを防ぐこと。
※5
SDP
SDP(Software Defined Perimeter)とは、ネットワークを経由した様々な脅威に応じた境界線をソフトウェア上で構築し、アプリケーションインフラや機密情報への柔軟なアクセス制御を可能にするセキュリティフレームワークのこと。
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