【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当第2四半期連結累計期間の主要な取組み
年初来、スポーツイベントの開催が本格的に再開し、数年ぶりに人々の自由な移動が可能となるなど、引き続き社会経済活動の正常化が進んでおります。
売上高は、2,900億円と当第2四半期連結累計期間では過去最高となり、全地域、全カテゴリーにおいて前年同期比で増収となりました。地域別では、インバウンド需要の取り込みに加え、商品供給を正常化したコアパフォーマンススポーツが躍進した日本地域のアシックスジャパンで+41.8%、従来からのローカル性を重視した戦略もありリオープン需要に柔軟に対応した中華圏地域で+39.6%となりました。なお、中華圏地域におけるオニツカタイガーの売上高は、2月以降、前年を上回って推移しました。インド、マレーシアが大きく増収した東南・南アジア地域では+66.9%と最も伸長した地域となりました。当第2四半期連結会計期間では、工場稼働停止による供給制約からの反動増があった前年同期に対しても堅調に推移し、+15.1%の成長、為替影響を除いても+9.9%の成長となりました。
粗利益率は、仕入為替の悪化があったものの、販売価格適正化などが奏功し、前年同期から1.5ppt改善し、51.0%となりました。
営業利益は、当第2四半期連結累計期間では過去最高の336億円となり、前年同期比+75.4%となりました。販管費コントロールに加え、増収効果もあり、販管費率が低下し、営業利益率は前年同期の8.5%から11.6%の大幅改善となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益も当第2四半期連結累計期間では過去最高の247億円となりました。
当第2四半期連結累計期間の好調な業績の進捗を踏まえ、通期業績予想を上方修正することとなりました。また、営業活動によるキャッシュ・フローが過去最高となったこともあり、中間配当を25円、期末配当を30円(年間配当55円)に増配し、過去最高となる見通しです。
◇デジタル
①OneASICS会員の継続的な増加(前年同期比+33.9%の約830万人)もあり、ECの売上高は前年同期比+36.3%の496億円となり、OneASICS会員数の増加とともに、ECの売上高も着実に成長してきております。引き続き、OneASICS会員獲得を推進し、ランニングエコシステム拡充に向け、ランナーとの直接的な接点獲得を推進してまいります。
②経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)銘柄」において、「DX注目企業2023」に選定されました。「DX銘柄」とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定するものです。今回の選定では、「ランニングエコシステムを通じた顧客接点の拡大・顧客体験価値の向上」や「NFT※などのデジタルサービスを用いた新規ビジネスモデルの創出」などの取組みが評価されました。
※Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略称で、「偽造不可な鑑定書・所有証書付きのデジタルデータ」
◇カテゴリー
・パフォーマンスランニング
①売上高は、特に、日本地域、北米地域、欧州地域、オセアニア地域における「GEL-NIMBUS 25」のプロモーション強化が成功し、1,478億円と前年同期比+19.9%となり、全ての地域で増収となりました。
②アシックスを代表する高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO」シリーズから、走り始めから終わりまでの疲労によるランニングフォームの変化に注目し、安定性と快適性を両立させた最新モデル「GEL-KAYANO 30」を発売しました。「GEL-KAYANO」シリーズは、1993年から展開している長距離ランニング用の高機能モデルで、30年もの間ランナーに愛されてきました。
また、「GEL-KAYANO 30」では、製品ライフサイクル(材料調達・製造・輸送・使用・廃棄)における温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を、アシックスとして初めて表示しました。これは、製品の環境負荷について透明性をもって開示するもので、アシックスが掲げる2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた取組みの一環です。今後も、温室効果ガス排出量の表示を順次行っていく予定です。
・コアパフォーマンススポーツ
①売上高は、独自の商品訴求を展開しているテニスシューズなどが牽引し、404億円と前年同期比+71.9%となり、全ての地域で前年同期比2桁増収となりました。
②優れた反発性と推進力を兼ね備えた100m、200m向けの陸上短距離用スパイクシューズの最新作「METASPEED SP」を発売しました。ミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)上部のつま先部からかかと部にかけてカーボンプレートを搭載しています。
オレゴン2022世界選手権100m金メダリストでもあるフレッド・カーリー選手が、2023年5月21日に開催されたセイコーゴールデングランプリ陸上2023横浜で「METASPEED SP」を着用し、大会新記録となる9.88秒を記録し優勝しました。今後も、アシックスの技術を盛り込んだ製品を提供するなど、選手のサポートを引き続き行ってまいります。
・オニツカタイガー
売上高は、インバウンド需要の堅調な回復を取り込んだ日本地域がカテゴリー全体の増収に寄与し282億円となり、前年同期比+44.1%となりました。中華圏地域は、当第2四半期連結会計期間の売上高が好調に推移し、第1四半期連結会計期間を上回る伸長率となりました。
◇ROAツリーマネジメント
ROAは11.2%となりました。ROAの構成要素である総資産は、為替の変動による押上げ影響などにより前期末から増加しましたが、粗利益率は、商品構成の見直しや販売価格適正化などにより、前年同期から改善しました。
また、CCC日数は179日となりました。順調な売上に伴う売掛金の増加もありましたが、棚卸資産回転期間が改善し、前年同期比では5日間の長期化に留まり、前期末比では10日間短縮しました。
ROA(年率換算)=
2023年12月期第2四半期純利益
×2
(2022年12月期期末総資産+2023年12月期第2四半期末総資産)÷2
◇統合報告書
投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様に向けた、「ASICS 統合報告書2022」を発行しました。
統合報告書の発行は本年で3年目となります。今回は、アシックスの中長期の企業価値創造にかかわる重要性の高い情報を網羅的に整理し、分かりやすく編集しました。また、アシックスの経営管理や経営改革、人財戦略について臨場感を持って読んでいただけるような複数の対談企画も用意しました。従業員へのグローバルエンゲージメントサーベイの実施とその結果についても開示しております。今後も更に非財務情報の開示を充実させてまいります。
◇パラスポーツ
アシックスは2022年1月にパラスポーツ事業の戦略を策定・実行する「パラスポーツ企画部」を新設するなど、パラスポーツを通じた健康で持続可能な共生社会の実現に向け取組んでいます。
そのような中、2023年5月に一般社団法人日本パラ陸上競技連盟(以下「JPA」)と、オフィシャルパートナー契約を締結しました。これにより、JPAが指定する大会などに出場する日本代表選手団及びスタッフなどに対し、シューズやアパレル、アクセサリーを提供します。
また、2024年5月に兵庫県神戸市で開催される「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」のスポーツ用品カテゴリーで「プラチナスポンサー」になりました。
さらに、陸上競技(マラソン)の道下美里選手(所属:三井住友海上火災保険株式会社)とアドバイザー契約を締結しました。トップアスリートとして活躍しながら、パラスポーツの発展や仲間とともに挑戦し続けることなどをテーマにした講演なども積極的に行っています。今後は、同選手の意見を取り入れた製品を提供するなど、さらなる飛躍に向けて、活動をサポートしながら、走ることを通じて共生社会の実現を目指す取組みを行ってまいります。
◇世界陸連難民選手団スポンサーシップ
アシックスは、世界陸連難民選手団をオフィシャルスポンサーとしてサポートすることになりました。同選手団は、紛争や迫害により故郷を追われた難民アスリートらにより構成され、IOC(国際オリンピック委員会)の難民選手団の一員として、2016年リオデジャネイロ大会以降、競技に出場しております。
契約期間は2023年6月から2026年6月までの3年間です。同難民選手団へウエアやシューズなどの製品を提供するほか、アシックスが運営する世界各地の施設をトレーニングの場として利用いただきます。
今後も、長期ビジョン「VISION2030」のテーマである「誰もが一生涯、運動・スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造する」ために、幅広い活動を行ってまいります。
① 売上高
為替影響に加え、全てのカテゴリーで好調に推移したこともあり、290,079百万円と前年同期比28.9%の増収となりました。
② 売上総利益
上記増収の影響により、147,995百万円と前年同期比32.7%の増益となりました。
③ 営業利益
上記増収の影響により、33,610百万円と前年同期比75.4%の増益となりました。
④ 経常利益
上記増収増益の影響などにより、33,818百万円と前年同期比78.2%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
上記増収増益の影響などにより、24,796百万円と前年同期比82.8%の増益となりました。
カテゴリー別の経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(カテゴリー)
売上高
カテゴリー利益
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減額
(△は減)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減額
(△は減)
パフォーマンスランニング
123,284
147,839
24,555
25,995
29,275
3,279
コアパフォーマンススポーツ
23,520
40,430
16,910
4,026
8,700
4,674
スポーツスタイル
18,532
28,077
9,544
3,143
5,421
2,277
アパレル・エクィップメント
17,161
18,075
914
26
1,319
1,293
オニツカタイガー
19,641
28,297
8,656
3,622
7,826
4,203
① パフォーマンスランニング
売上高は、全ての地域で好調に推移し、147,839百万円と前年同期比19.9%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、29,275百万円と前年同期比12.6%の増益となりました。
② コアパフォーマンススポーツ
売上高は、全ての地域で好調に推移し、40,430百万円と前年同期比71.9%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響により、8,700百万円と前年同期比116.1%の大幅増益となりました。
③ スポーツスタイル
売上高は、全ての地域で好調に推移し、28,077百万円と前年同期比51.5%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響により、5,421百万円と前年同期比72.5%の増益となりました。
④ アパレル・エクィップメント
売上高は、日本地域や中華圏地域での好調により、18,075百万円と前年同期比5.3%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、1,319百万円と大幅増益となりました。
⑤ オニツカタイガー
売上高は、全ての地域で好調に推移し、28,297百万円と前年同期比44.1%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、7,826百万円と前年同期比116.0%の大幅増益となりました。
報告セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 日本地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、69,111百万円と前年同期比22.3%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、8,010百万円と前年同期比159.6%の大幅増益となりました。
② 北米地域
売上高は、パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツが好調だったことにより、55,921百万円と前年同期比17.4%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、505百万円となりました。
③ 欧州地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、78,379百万円と前年同期比24.4%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、7,953百万円と前年同期比11.3%の増益となりました。
④ 中華圏地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、40,413百万円と前年同期比39.6%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、8,490百万円と前年同期比42.4%の増益となりました。
⑤ オセアニア地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、18,883百万円と前年同期比22.3%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、3,139百万円と前年同期比6.6%の増益となりました。
⑥ 東南・南アジア地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、13,443百万円と前年同期比66.9%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、2,970百万円と前年同期比107.6%の大幅増益となりました。
⑦ その他地域
売上高は、パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツが好調だったことにより、24,209百万円と前年同期比19.3%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、2,661百万円と前年同期比84.6%の増益となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第2四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産457,965百万円(前連結会計年度末比7.7%増)、負債の部合計247,038百万円(前連結会計年度末比2.1%減)、純資産の部合計210,927百万円(前連結会計年度末比22.1%増)でした。
① 流動資産
受取手形及び売掛金の増加などにより、320,545百万円(前連結会計年度末比8.2%増)となりました。
② 固定資産
ソフトウエアの増加などにより、137,420百万円(前連結会計年度末比6.6%増)となりました。
③ 流動負債
償還期限が1年以内となった社債の固定負債から流動負債への振り替えによる増加などにより、165,708百万円(前連結会計年度末比10.0%増)となりました。
④ 固定負債
償還期限が1年以内となった社債の固定負債から流動負債への振り替えによる減少などにより、81,330百万円(前連結会計年度末比20.0%減)となりました。
⑤ 純資産
利益剰余金の増加などにより、210,927百万円(前連結会計年度末比22.1%増)となりました。
また、キャッシュ・フローにおきましては、当第2四半期連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、69,364百万円と前連結会計年度末比3,560百万円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は29,348百万円となり、前年同期間に比べ46,167百万円の収入増加となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益33,399百万円、減価償却費8,721百万円、棚卸資産の減少額5,997百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額9,312百万円、仕入債務の減少額6,201百万円、法人税等の支払額4,351百万円であります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は5,344百万円となり、前年同期間に比べ494百万円の支出減少となりました。
支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出4,514百万円、有形固定資産の取得による支出1,674百万円であります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は22,825百万円となり、前年同期間に比べ10,287百万円の支出増加となりました。
支出の主な内訳は、短期借入金の純減額11,000百万円、リース債務の返済による支出7,057百万円、配当金の支払額4,393百万円であります。
(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営成績の現状と見通し
2023年12月期の連結業績予想については、以下の通りといたします。
(単位:百万円)
2022年12月期実績
2023年12月期予想
前年同期比
増減額
増減率(%)
売上高
484,601
550,000
65,398
13.5
営業利益
34,002
46,000
11,997
35.3
経常利益
30,913
42,000
11,086
35.9
親会社株主に帰属する
当期純利益
19,887
25,000
5,112
25.7
1株当たり配当金
40円
55円
-
-
(通期業績予想について)
売上高は、カテゴリーではコアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイル及びオニツカタイガー、地域では日本地域、中華圏地域、東南・南アジア地域で引き続き順調に推移すると見込んでおり、かつ為替レートの見直しもあり過去最高となる見通しです。
営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益についても、上記の増収及び粗利益率改善により前回予想を上回り、いずれも過去最高となる見通しです。
(配当金予想について)
当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題のひとつとして認識しております。また「中期経営計画2023」において設定いたしました、中期経営計画期間内の連結総還元性向50%以上の方針を達成すべく、利益配分の計画を検討しております。
当第2四半期連結累計期間の業績が過去最高を更新したことから、2023年8月8日開催の取締役会において、当期の中間配当は1株につき3円の増配となる、1株当たり25円といたしました。
また、期末配当予想につきましても、本年度の業績やキャッシュ・フローの状況により、1株につき8円の増配となる、1株当たり30円に修正いたします。これにより、年間配当予想は1株当たり55円に増額修正いたします。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は2,942百万円(前年同期比17.9%増)であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員の状況
当第2四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の状況
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、販売実績につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご確認ください。
(9)設備の状況
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
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