【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間の主要な取組み
今期も、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)により様々な影響が懸念されますが、世界では社会経済活動の正常化に向けた取組みが進みつつあります。そのような状況の中、アシックスの今期の売上高は大幅伸長し前年同期比で12.7%の成長となり、為替影響を除いても3.5%の成長でした。粗利益率は、主に仕入為替の悪化や米欧での物流費の高騰があったものの、チャネルミックスの良化や販売価格の適正化などもあり、前第3四半期連結累計期間と同水準を保ちました。
なお、ロシア・ウクライナ情勢をめぐる混乱が起きておりますが、アシックスのロシア・ウクライナ事業の規模は小さく、業績への影響は軽微でした。
◇デジタル
①全世界におけるECの売上高は584億円(前年同期比25.4%増)と引き続き伸長しました。また、OneASICS会員数は670万人(前年同期比34%増)となりました。引き続き、中期経営計画2023における重点戦略の1つである「ランニングでNo.1」実現の観点から、ランナーとのタッチポイントを拡大することでOneASICS会員数を増やし、ランニングエコシステムを早期に構築して参ります。
②8月に、日本において登録者数350万人超を誇る日本最大級のランナー向けポータルサイト「ランネット」の運営や、質の高い大会運営と計測を提供する株式会社アールビーズをグループ会社化しました。ランネットの登録者350万人超をOneASICS会員に誘導するとともに、ランネットとアシックス双方の商品・サービスを結び付けることでランナーとの接点を拡大させ、アシックスが推進する「ランニングエコシステム」の更なる強化を目指します。
◇パフォーマンスランニング
①売上高は前年同期比2桁増収となりました。特に中華圏地域とオセアニア地域では+30%超、東南・南アジア地域では+56.0%と大幅伸長しました。第3四半期連結会計期間の前年同期比は25.8%成長し、中華圏地域は感染症による行動規制がありましたが、51.4%の大幅な成長となりました。
②7月15日から24日にかけてアメリカオレゴン州ユージーンにて、アシックスがオフィシャルスポンサーを務めるオレゴン世界陸上選手権大会が開催されました。本大会では女子マラソンにおいて、アシックスのメタスピードプラスシリーズを着用した米国代表のサラ・ホール選手が5位入賞、エマ・ベイツ選手が7位入賞と結果を残してくれました。また、大会開催前にも、さまざまなランニングイベントをランニング専門店とのパートナーシップの下で開催しました。また、約2,000人の市民ランナーが世界陸上のトップアスリートと同じ場所でスタート・フィニッシュした世界初のキャンペーンを展開しました。
③2019年からカテゴリー基軸の経営管理体制を導入するなど、収益性の改善に取組んでおり、今期のパフォーマンスランニングの粗利益率は48.4%と、2019年第3四半期連結累計期間の44.2%から大幅に改善しています。感染症対策の緩和を受けた経済活動の正常化への期待の中、世界的にランニングイベントが再開されてきています。このような中、四半世紀以上にわたり愛され続けてきた”GEL-KAYANO”シリーズに今年も新作が登場しました。また、株式会社アールビーズのグループ会社化を機にこれまでの北米や豪州だけでなく、国内におけるランニングエコシステムの構築を加速させていきます。なお、詳細は11月22日に開催する会社説明会「インベストメントデイ」にてお伝えします。
◇オニツカタイガー
①売上高は東南・南アジア地域が前年同期比2倍超となったことに加え、日本地域も好調に推移したことで増収となりました。一方で、上海などでの感染症による行動規制により中華圏地域が減収となったことで、為替影響を除くと減収となりました。但し、第3四半期連結会計期間では、日本地域で前年同期比+32.0%、中華圏地域においても+16.6%と回復傾向にあります。
②9月にミラノのファッションウィークにて、23年春夏コレクションを発表しました。今年のコレクションのテーマは、「ジャパニーズ・ミニマリズム」でした。斬新なフォルムと伝統を組み合わせ、必要のないものをそぎ落とす引き算の美学を通し、美しさの頂点を表現しました。今回で21年秋冬から合計4回目の参加となりました。また、今年の2月に引き続きフィジカルショーでの開催となりました。
◇サステナビリティ
①国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、OECDの「多国籍企業行動指針」、国際労働機関(ILO)の「多国籍企業および社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)」に基づき、アシックス人権方針を策定し、コーポレートサイト上に公開しました。
②温室効果ガス排出量を最も低く抑えたスニーカー「GEL-LYTE™ Ⅲ CM 1.95(ゲルライトスリーシーエム1.95)」を開発しました。カーボン・ネガティブ・フォームの開発などの削減施策によって当社のスニーカーの平均的な排出量から70%以上削減し、排出量を1.95kgに抑えました。現時点で温室効果ガス排出量が公表されているスニーカーのなかで最少です。今回の新しい取組みは、アシックスが掲げる「2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ」を実現するための重要なマイルストーンです。今後も将来世代にわたって安心して運動を続けられる健やかな地球環境を守り、また、スポーツによる心の充実を感じてもらうなど、人々の心身の健康が実現できるよう環境と社会に配慮した事業活動に取組んでいきます。
◇ROAツリーマネジメント
中期経営計画の目標指標のひとつであるROAですが、粗利益率は為替影響や物流費の高騰があったものの、チャネルミックスの良化などで前年同期比同水準と健闘し、総資産は円安影響などを受け増加したものの、それを上回る四半期純利益の増益があり、ROAは前年同期比で7.5%から7.8%と0.3%向上しました。
また、CCCは順調な売上による売掛金の増加や生産の正常化による在庫の増加もあり、前年同期比で157日から186日と29日間の悪化、前期末比は134日から52日間の悪化となりました。
ROA(年率換算)=
2022年12月期第3四半期純利益
×
4
(2021年12月期期末総資産+2022年12月期第3四半期末総資産)÷2
3
① 売上高
為替影響に加え、全てのカテゴリーで好調に推移したこともあり、売上高は363,068百万円と前年同期比12.7%の増収となりました。
② 売上総利益
上記増収の影響により、181,509百万円と前年同期比12.5%の増益となりました。
③ 営業利益
上記増収の影響により、36,051百万円と前年同期比0.7%の増益となりました。
④ 経常利益
上記増収増益の影響はあったものの、為替差損の増加などにより、34,219百万円と前年同期比4.1%の減益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
感染症の影響による特別損失計上額が減少したことにより、23,245百万円と前年同期比21.9%の増益となりました。
カテゴリー別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、一部カテゴリーについて算出方法を変更したことに伴い、前第3四半期連結累計期間の実績を組み替えて表示しております。
(単位:百万円)
(カテゴリー)
売上高
カテゴリー利益
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
(△は減)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
(△は減)
パフォーマンスランニング
167,426
197,270
29,844
40,060
43,910
3,850
コアパフォーマンススポーツ
35,269
40,998
5,728
6,637
8,266
1,628
スポーツスタイル
26,561
31,443
4,881
4,722
5,345
622
アパレル・エクィップメント
25,375
26,623
1,248
△67
△578
△510
オニツカタイガー
30,386
31,868
1,482
5,450
6,411
961
① パフォーマンスランニング
売上高は、日本地域を除く全ての地域で好調に推移し、197,270百万円と前年同期比17.8%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、43,910百万円と前年同期比9.6%の増益となりました。
② コアパフォーマンススポーツ
売上高は、日本地域を除く全ての地域で好調に推移し、40,998百万円と前年同期比16.2%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、8,266百万円と前年同期比24.5%の増益となりました。
③ スポーツスタイル
売上高は、日本地域を除く全ての地域で好調に推移し、31,443百万円と前年同期比18.4%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、5,345百万円と前年同期比13.2%の増益となりました。
④ アパレル・エクィップメント
売上高は、為替影響により、26,623百万円と前年同期比4.9%の増収となりました。カテゴリー損失につきましては、販売費及び一般管理費の増加などにより、578百万円となりました。
⑤ オニツカタイガー
売上高は、上海などでの感染症による行動規制の影響で中華圏地域が減収となったものの、東南・南アジア地域での好調により、31,868百万円と前年同期比4.9%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や粗利益率の改善などにより、6,411百万円と前年同期比17.6%の増益となりました。
報告セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 日本地域
売上高は、一部工場の稼働停止などによる生産混乱の影響から回復しつつあることにより、89,154百万円と前年同期比3.2%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、粗利益率の悪化などにより、4,316百万円と前年同期比2.1%の減益となりました。
② 北米地域
売上高は、為替影響により、75,656百万円と前年同期比14.2%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、広告宣伝費の増加などにより、1,429百万円と前年同期比48.0%の減益となりました。
③ 欧州地域
売上高は、ほぼ全てのカテゴリーが好調だったことや為替影響により、102,479百万円と前年同期比12.7%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、粗利益率の悪化や広告宣伝費の増加などにより、12,566百万円と前年同期比13.8%の減益となりました。
④ 中華圏地域
売上高は、オニツカタイガーが低調であったものの、パフォーマンスランニングの好調や為替影響により、47,649百万円と前年同期比16.1%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、10,678百万円と前年同期比16.3%の増益となりました。
⑤ オセアニア地域
売上高は、ほぼ全てのカテゴリーが好調だったことにより、24,841百万円と前年同期比29.2%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響に加え、粗利益率の改善などにより、4,198百万円と前年同期比43.5%の増益となりました。
⑥ 東南・南アジア地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、13,895百万円と前年同期比79.2%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響に加え、粗利益率の改善などにより、2,724百万円と前年同期比274.7%の大幅増益となりました。
⑦ その他地域
売上高は、アパレル・エクィップメントを除く全てのカテゴリーが好調であったことにより、33,424百万円と前年同期比27.4%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、3,005百万円と前年同期比63.0%の増益となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産444,912百万円(前連結会計年度末比28.7%増)、負債の部合計246,938百万円(前連結会計年度末比23.9%増)、純資産の部合計197,973百万円(前連結会計年度末比35.1%増)でした。
① 流動資産
商品及び製品の増加などにより、321,229百万円(前連結会計年度末比32.1%増)となりました。
② 固定資産
ソフトウエアの増加などにより、123,683百万円(前連結会計年度末比20.5%増)となりました。
③ 流動負債
支払手形及び買掛金の増加などにより、146,345百万円(前連結会計年度末比66.9%増)となりました。
④ 固定負債
償還期限が1年以内となった社債の固定負債から流動負債への振り替えによる減少などにより、100,593百万円(前連結会計年度末比9.8%減)となりました。
⑤ 純資産
利益剰余金の増加などにより、197,973百万円(前連結会計年度末比35.1%増)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営成績の現状と見通し
中華圏地域、オセアニア地域におけるパフォーマンスランニング、また全ての地域でコアパフォーマンススポーツが好調に推移することが見込まれ、且つ為替レートの見直しもあり、売上高は前回予想を上回り、過去最高となる見通しです。
上記増収影響により営業利益は増益となり、過去最高益の見通しです。経常利益ならびに親会社株主に帰属する当期純利益についても前述の理由から、前回予想を上回る見込みです。
なお、本連結業績予想にあたっては、実際の業績などは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に
帰属する
当期純利益
1株当たり
当期純利益
2022年度予想
百万円
480,000
百万円
34,000
百万円
32,000
百万円
21,000
円 銭
114.69
2021年度実績
404,082
21,945
22,166
9,402
51.38
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は4,308百万円(前年同期比22.0%増)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員の状況
当第3四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の状況
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、販売実績につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご確認ください。
(9)設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
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