【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①
財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和や解除が進み、回復基調にて推移いたしました。一方、サプライチェーンの混乱やロシアによるウクライナ侵攻の長期化による原材料・エネルギー価格の高騰、インフレ抑制による金利の上昇、急激な円の為替変動など経済の先行きは、依然として不透明で予断を許さない状況が続いております。
このような環境のなか、2022年5月に’21中期経営計画(2021年度~2023年度)の見直しを行い、変化にぶれない強い企業体質の確立を目指し、財務体質の強化から資本効率の向上へと進化を図り、収益向上とバランスシート改善に取り組んでおります。
その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
総資産は、前連結会計年度末比2,719百万円増加の121,682百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比1,995百万円増加の34,081百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末比724百万円増加の87,601百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高82,911百万円(前連結会計年度比10.7%増)、営業利益9,030百万円(前連結会計年度比18.2%増)、経常利益10,471百万円(前連結会計年度比22.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,071百万円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
国内ベルト事業の売上高は28,300百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は9,172百万円(前連結会計年度比27.5%増)となりました。
海外ベルト事業の売上高は44,246百万円(前連結会計年度比21.3%増)、セグメント利益は3,458百万円(前連結会計年度比10.1%減)となりました。
建設資材事業の売上高は5,149百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は204百万円(前連結会計年度比49.5%増)となりました。
その他の売上高は5,215百万円(前連結会計年度比0.5%減)、セグメント利益は160百万円(前連結会計年度比35.3%減)となりました。
②
キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して297百万円増加の9,341百万円の収入となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して法人税等の支払額が2,351百万円増加した反面、売上債権の増減額が2,870百万円減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して383百万円増加の6,997百万円の支出となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して定期預金の預入による支出が1,550百万円増加した反面、定期預金の払戻による収入が2,131百万円増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して496百万円減少の3,741百万円の支出となりました。主な要因は、前連結会計年度と比較して長期借入れによる収入が5,000百万円増加した反面、自己株式の取得による支出が525百万円増加したことに加え、配当金の支払額が4,735百万円増加したことによるものです。
営業、投資、財務の各活動によるキャッシュ・フローの合計額に為替換算差額1,827百万円を加算し、現金及び現金同等物の増加額が430百万円となり、これに期首残高33,063百万円を加算した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は33,494百万円となりました。
③
生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
国内ベルト事業
31,898
20.2
海外ベルト事業
29,981
9.9
建設資材事業
2,555
△6.5
その他
2,325
40.1
合計
66,760
14.7
(注)1
金額は、販売価格によっております。
2
上記の金額には、外注製品受入高は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
国内ベルト事業
31,107
1.0
2,635
△2.6
海外ベルト事業
44,052
22.4
3,173
12.1
建設資材事業
9,910
84.1
6,664
101.6
その他
457
△8.0
31
△12.1
合計
85,528
17.7
12,504
40.9
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
国内ベルト事業
28,300
1.9
海外ベルト事業
44,246
21.3
建設資材事業
5,149
△4.0
その他
5,215
△0.5
合計
82,911
10.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)
財政状態
当連結会計年度末は、投資有価証券の減少等により固定資産が72百万円減少したものの、棚卸資産の増加等により流動資産が2,791百万円増加したことから、総資産は前連結会計年度末比2,719百万円増加の121,682百万円となりました。
負債は、未払法人税等の減少等により流動負債が353百万円減少したものの、長期借入金の増加等により固定負債が2,349百万円増加したことから、前連結会計年度末比1,995百万円増加の34,081百万円となりました。
純資産は、自己株式が1,164百万円増加したものの、その他の包括利益累計額が1,360百万円増加した結果、前連結会計年度末比724百万円増加の87,601百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の73.0%から72.0%となりました。
前連結会計年度との比較は下記のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
総資産額
(百万円)
118,963
121,682
2,719
純資産額
(百万円)
86,877
87,601
724
自己資本比率
(%)
73.0
72.0
△1.0
1株当たり純資産額
(円)
3,018.44
3,089.48
71.04
2)
経営成績
イ
売上高
売上高は、前連結会計年度と比べ10.7%増加の82,911百万円となりました。
国内ベルト事業の売上高は、前連結会計年度と比べ1.9%増加の28,300百万円となりました。自動車用ベルトの売上高は、二輪車用補修向けではユーザによる在庫調整に伴い減少したものの、四輪車用システム製品やバス・トラック補修向けの増加に伴い、全体では増加しました。一般産業用ベルトの売上高は、射出成形機向けが好調に推移したものの、ユーザでの部品調達難の影響もあり、全体では微減となりました。一方、搬送ベルトの売上高は、食品業界向けの需要回復や物流大型施設向けの好調な販売により増加しました。また、合成樹脂素材の売上高についても需要回復に加え、キャストナイロン等の主力製品の拡販により増加しました。
海外ベルト事業の売上高は、前連結会計年度と比べ21.3%増加の44,246百万円となりました。自動車用ベルトの売上高は、二輪車・多用途四輪車向けでは米国補修市場での在庫調整の影響を受け減少しましたが、四輪車用では東南アジア、欧州を中心に堅調に推移した結果、全体では増加しました。一般産業用ベルトの売上高は、農業機械向けは微減しましたが、その他分野にて需要拡大、拡販活動の結果、東南アジアや欧米にて増加しました。また、OA機器用ベルトの売上高についても、半導体不足の解消により増加となりました。
建設資材事業の売上高は、前連結会計年度と比べ4.0%減少の5,149百万円となりました。建築部門は新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により公共物件を中心に改修工事の需要回復により売上高が増加しました。土木部門では工事物件数は前連結会計年度並みとなりましたが、規模の縮小により売上高は減少しました。
その他の売上高は、前連結会計年度と比べ0.5%減少の5,215百万円となりました。その他には、エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、電子材料、仕入商品などが含まれております。
ロ
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度と比べ9.5%増加の56,338百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ11.1%増加の17,542百万円となり、営業費用全体では前連結会計年度と比べ9.9%増加73,881百万円となりました。
ハ
営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度の912百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は1,440百万円の収益(純額)となりました。
金融収支が、前連結会計年度の413百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は627百万円の収益(純額)と改善したことに加えて、その他営業外損益項目は前連結会計年度の498百万円の収益(純額)から当連結会計年度は812百万円の収益(純額)と改善しました。
この結果、経常利益は前連結会計年度と比べ22.4%増加の10,471百万円となりました。
ニ
特別損益
特別損益は、前連結会計年度の187百万円の利益(純額)に対し、当連結会計年度は656百万円の損失(純額)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比べ12.3%増加の9,814百万円となりました。
ホ
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ10.8%増加の7,071百万円となりました。
これにより、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の220円26銭に対し、当連結会計年度は249円12銭となりました。
3)
経営成績に重要な影響を与える要因等
当社グループは、自動車産業、一般産業、農業機械産業、情報機器関連産業、建築・土木産業への売上高がグループ全体売上高に対する大きな割合を占めていることから、これらの産業は環境の変化も大きく、また、競争も激しいため常に厳しい経営環境と言えます。
当社グループの経営に影響を与える主な要因としては、国内・海外の市場動向、為替動向、資材費の動向、諸外国の政策方針に伴う輸出入規制の動向などがあげられます。
こうした中でも、当社グループは、グローバル市場における競争に勝ち残っていくとともに、財務基盤を強化し、ユーザニーズに対応した高機能、高精密、高品質な製品を提供できるものづくりを目指し、「品質を作り、品質を売る」という創業の精神のもと、グループ全体の強固な経営基盤を確立すべく、取り組んでいきます。
経営環境の変化に対応できるよう、常にムダを省き、合理化、生産性向上を推進し、厳しい環境下でも利益が確保できる体質を構築して行きます。
また、当社グループは海外との取引が約半分を占めることから、計画段階での想定レートを厳しく設定し、経営に大きな影響が及ばないよう配慮して取り組んでいます。さらに、海外との取引上の規制等の問題については、グループの現地法人との定期的な会合等を通じて、情報共有に努めています。
4)
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2
事業の状況
1
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(4) 目標とする経営指標」に記載している中期3か年計画『’21中期経営計画』の2年目となる2022年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
2022年度
計画
実績
計画比
売上高
775億円
829億円
+54億円
(+7.0%)
営業利益
80億円
90億円
+10億円
(+12.5%)
連結配当性向
100%
100.4%
+0.4ポイント
5)
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
〔国内ベルト事業〕
自動車用ベルトの売上高は、二輪車用補修向けではユーザによる在庫調整に伴い減少したものの、四輪車用システム製品やバス・トラック補修向けの増加に伴い、全体では増加しました。
一般産業用ベルトの売上高は、射出成形機向けが好調に推移したものの、ユーザでの部品調達難の影響もあり、全体では微減となりました。
一方、搬送ベルトの売上高は、食品業界向けの需要回復や物流大型施設向けの好調な販売により増加しました。また、合成樹脂素材の売上高についても需要回復に加え、キャストナイロン等の主力製品の拡販により増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は28,300百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は9,172百万円(前連結会計年度比27.5%増)となりました。
また、セグメント資産は、58,548百万円(前連結会計年度比7.0%減)となりました。
〔海外ベルト事業〕
自動車用ベルトの売上高は、二輪車・多用途四輪車向けでは米国補修市場での在庫調整の影響を受け減少しましたが、四輪車用では東南アジア、欧州を中心に堅調に推移した結果、全体では増加しました。
一般産業用ベルトの売上高は、農業機械向けは微減しましたが、その他分野にて需要拡大、拡販活動の結果、東南アジアや欧米にて増加しました。
また、OA機器用ベルトの売上高についても、半導体不足の解消により増加となりました。
以上の結果、為替の円安影響もあり、当セグメントの売上高は44,246百万円(前連結会計年度比21.3%増)、セグメント利益は3,458百万円(前連結会計年度比10.1%減)となりました。
また、セグメント資産は、ベルト製造設備の増設を行うとともに、老朽化設備の更新などにより、54,783百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。
〔建設資材事業〕
建築部門は新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により公共物件を中心に改修工事の需要回復により売上高が増加しました。土木部門では工事物件数は前連結会計年度並みとなりましたが、規模の縮小により売上高は減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は5,149百万円(前連結会計年度比4.0%減)、セグメント利益は204百万円(前連結会計年度比49.5%増)となりました。
また、セグメント資産は2,271百万円(前連結会計年度比12.6%減)となりました。
〔その他〕
その他には、エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、電子材料、仕入商品などが含まれております。
その他の売上高は5,215百万円(前連結会計年度比0.5%減)、セグメント利益は160百万円(前連結会計年度比35.3%減)となりました。
また、セグメント資産は5,794百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。
(注)
上記の各セグメントにおける売上高は外部顧客への売上高を記載しており、セグメント利益はセグメント間取引消去前の金額を記載しております。
なお、セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。
②
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1)
キャッシュ・フローの状況
「第2
事業の状況
4
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 経営成績等の状況の概要
②
キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2)
資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金及び設備資金については、自己資金又は金融機関からの借入により資金調達することを基本とし、このうち、借入による資金調達に関しては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は長期借入金で調達しております。一方で、キャッシュ・マネジメント・システムの導入によりグループ内での余剰資金の有効活用を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は9,506百万円であります。また、現金及び現金同等物の残高は33,494百万円となっております。
③
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は適正な連結財務諸表を作成する責任を有しており、以下の確認を行っております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5
経理の状況
1
連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表
注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
a.有価証券
投資その他の資産に計上している有価証券は、当社の保有目的に基づき、子会社・関連会社株式及びその他有価証券に適切に分類し、会計処理しております。減損処理にあたっては、その他有価証券で時価のあるものについて、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理の対象とし、30%から50%までのものについては当該会社の資産状況、金額の重要性等を勘案して必要と認められる額を減損処理の対象としております。また、非上場株式については、純資産額が50%以上下落した場合に減損処理の対象としております。
b.棚卸資産
棚卸資産は、棚卸資産の評価に関する会計基準に基づき適切に評価しております。
c.営業債権
営業債権は、貸借対照表日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、貸借対照表日後に出荷したもの、委託又は試用販売のために出荷したもの等に係る債権は含めておりません。また、貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しております。
d.繰延税金資産
適正な法人税等及び法人税等調整額を計上しております。繰延税金資産に関しては将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。
e.固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。