【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。(1) 経営成績当第1四半期連結累計期間における当社グループの経営環境は、中国の経済活動再開による鉄鋼需要回復の期待感から鋼材需要・市況が好転する動きも見られましたが、中国経済の回復は力強さに欠け、中国からの鋼材輸出量は高水準で推移しており、先行き不安が続いております。当社グループの主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材需要も全体的に盛り上がりに欠けておりますが、各拠点において、鉄スクラップ価格が弱含みに推移するなか、高水準の鋼材マージン維持及びコスト低減に努めたことで、業績は総じて順調に推移しました。
日本におきましては、大型建築案件向けや土木関連などの形鋼需要は堅調であるものの、中小建築案件向けの荷動きは低調に推移しております。ヤマトスチールにおきましては、高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や大型サイズの生産・販売強化に製販一体となって取り組むとともに、主力の物件向けのH形鋼のサイズエキストラの改定を行うなど販売価格の高値維持に努めております。営業利益につきましては、国際的な鉄スクラップ市況の軟化を受け、国内市況も下落したことで鋼材マージンが改善し、前年同期比で大幅な増益となりました。
連結子会社を有するタイ、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン、サウジアラビア、ベトナム、韓国におきましては、いずれも2023年1月~3月の業績が当第1四半期連結累計期間に反映されます。
タイの連結子会社サイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッド(SYS)におきましては、タイ国内の形鋼需要はインフラ投資を中心に回復の兆しが見られますが、以前の水準には戻っておらず、またASEAN市場では昨年下期以降、中国メーカー等との厳しい競争環境が継続しており、販売数量は前年同期比で大幅に減少しました。営業利益につきましては、スクラップ価格の下落もあり、鋼材マージンは高水準を維持したものの、前年同期比で減益となりました。
米国の持分法適用関連会社ニューコア・ヤマト・スチールカンパニー(NYS)におきましては、経済の先行き不安等により流通顧客向けは低調でありますが、半導体や電気自動車関連などの大型工場建設案件を中心に形鋼需要は底堅く推移し、総じて需給が引き締まった状態が続いており、高水準の鋼材マージンを維持しております。業績につきましては、前年同期並みの高収益を確保しております。
中東の持分法適用関連会社スルブカンパニー(SULB)におきましては、昨年の原油高以降、GCC域内の建設活動が回復基調にあり、フル生産状態が続いております。年初は中国製品の流入の影響による市況軟化が見られましたが、トルコ地震後は需給が引き締まったことで市況は持ち直し、業績につきましては、前年同期比で増益となりました。
ベトナムの持分法適用関連会社ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニー(PY VINA)におきましては、旧正月休み明け後は、鉄鋼市況の回復の兆しが見られ、形鋼需要も徐々に増加しておりますが、市中在庫水準は依然として高く、本格的な回復には至っておりません。業績につきましては、前年同期比で若干の増益となりました。
韓国の持分法適用関連会社ワイケー・スチールコーポレーション(YKS)におきましては、インフレと金利上昇の影響を受け、鉄筋需要は落ち込み、販売数量は大幅に減少しました。業績につきましては、鉄スクラップ価格が下落するなか、販売価格の維持に努め、高水準の鋼材マージンを確保したものの、前年同期比で減益となりました。なお、前連結会計年度において、YKSを含む韓国の鉄鋼会社が韓国公正取引委員会より課徴金の納付命令を受けた件に関して、2023年4月に地方自治体が当該鉄鋼会社に対して損害賠償を求める民事訴訟を提起し、YKS及び当社の連結子会社であるヤマト・コリア・ホールディングスカンパニーリミテッド(YKH)においても訴状(約118億ウォン)を受領したため、当第1四半期連結累計期間に当社グループの損失見込額1,456百万円(持分法による投資利益のマイナス482百万円及び訴訟損失引当金繰入額(特別損失)973百万円)を計上しております。なお、YKS及びYKHは答弁書を提出し、反論していく予定です。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照下さい。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比4,464百万円減の42,527百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前年同期比105百万円減の4,115百万円、経常利益は前年同期比2,225百万円増の25,400百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比271百万円増の18,311百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。① 鉄鋼事業(日本)大型建築案件向けや土木関連などの形鋼需要は堅調であるものの、中小建築案件向けの荷動きは低調に推移しております。ヤマトスチールにおきましては、高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や大型サイズの生産・販売強化に製販一体となって取り組むとともに、主力の物件向けのH形鋼のサイズエキストラの改定を行うなど販売価格の高値維持に努めております。営業利益につきましては、国際的な鉄スクラップ市況の軟化を受け、国内市況も下落したことで鋼材マージンが改善し、前年同期比で大幅な増益となりました。以上により、当事業の売上高は前年同期比590百万円増の18,974百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比2,021百万円増の2,991百万円となりました。
② 鉄鋼事業(タイ国)タイ国内の形鋼需要はインフラ投資を中心に回復の兆しが見られますが、以前の水準には戻っておらず、またASEAN市場では昨年下期以降、中国メーカー等との厳しい競争環境が継続しており、販売数量は前年同期比で大幅に減少しました。営業利益につきましては、スクラップ価格の下落もあり、鋼材マージンは高水準を維持したものの、前年同期比で減益となりました。以上により、当事業の売上高は前年同期比5,517百万円減の21,035百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比2,207百万円減の1,678百万円となりました。
③ 軌道用品事業当事業の売上高は前年同期比198百万円増の1,587百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比170百万円増の184百万円となりました。
④ その他その他の売上高は前年同期比262百万円増の930百万円、セグメント利益(営業利益)は25百万円(前年同期はセグメント損失(営業損失)6百万円)となりました。
(2) 財政状態当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比16,649百万円増の531,649百万円となりました。 負債につきましては、前連結会計年度末比3,508百万円増の48,297百万円となりました。 また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加、配当金の支払による減少等により、前連結会計年度末比13,140百万円増の483,352百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが46,431百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが4,709百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは10,003百万円減少しました。これに資金に係る換算差額の増加1,392百万円を加えた結果、当第1四半期連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末比33,110百万円増の166,969百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は46,431百万円(前年同期は25,213百万円の増加)となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益が24,372百万円(前年同期は23,175百万円)及び、利息及び配当金の受取額が46,279百万円(前年同期は25,262百万円)であったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は4,709百万円(前年同期は347百万円の増加)となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間において、定期預金の預入による支出が4,041百万円(前年同期は12百万円)であったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間において、財務活動による資金の減少は10,003百万円(前年同期は6,980百万円の減少)となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間において、配当金の支払額による支出が8,608百万円(前年同期は5,771百万円)であったこと等によります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間において研究開発費は発生しておりません。