【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
(経営環境について)
当第2四半期連結累計期間は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」に変更されたことを背景に、事業環境は概ね良好に推移しました。
当社の業績への影響度が特に大きい心房細動(AF)のアブレーション治療の症例数は、自社推計ベースで前年同期比9%程度増加し、期初で想定した水準(通期ベースで6%程度の増加)を上回りました。主力事業であるEP/アブレーションの自社製品は前年同期比9~15%程度の増収となり、業績をけん引しました。
また、重点施策の1つである「新領域の拡大」は順調に進捗し、業績の底上げに寄与しました。脳血管領域では、塞栓用コイルの販売実績が計画を大きく上回りました。さらに、新たに発売した急性期脳梗塞の治療デバイスである血栓吸引カテーテル「Esperance(エスペランス)」も良好な立ち上がりとなりました。消化器領域では、自社製の胆管チューブステント「REGULUS(レグルス)」の販売が好調に推移し、発売後約1年で10%程度の市場シェアを獲得しました。
一方、EP/アブレーションの重要商品であった「RF Needle(アールエフニードル)」は、前連結会計年度末で当社による独占販売が終了し、当連結会計年度から、販売支援サービスを提供する形に商流が変更されました。商流変更は減収要因となりましたが、販売支援サービスは商品仕入を伴わないため、売上総利益率を改善する方向に寄与しました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同期比で1.4%減少したものの、売上総利益の伸びにより販売費及び一般管理費の増加を吸収し、各段階利益は前年同期比で増益となり、各利益率も改善しました。
なお、外国為替相場の状況は、日本円は対米ドルで大幅に円安が進みましたが、損益に対しては大きな影響はありませんでした。当社の商品仕入の約70%が円建てであり、売上原価の計算に移動平均法を用いているため、一部の仕入商品や部材において一時的な調達コストの上昇が生じても、その影響は長期間にわたって平準化されること等が主な理由です。
(業績について)
当第2四半期連結累計期間の業績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年9月30日)
増減
増減率
金額
構成比
(%)
金額
構成比
(%)
① 売上高
25,489
100.0
25,132
100.0
△356
△1.4%
② 売上総利益
14,546
57.1
15,231
60.6
684
4.7%
③ 営業利益
5,119
20.1
5,472
21.8
353
6.9%
④ 経常利益
5,113
20.1
5,621
22.4
508
10.0%
⑤ 親会社株主に帰属する
四半期純利益
3,702
14.5
4,033
16.0
331
9.0%
① 売上高
前年同期と比べ、356百万円減収の25,132百万円となりました。詳細は後段の「品目別売上高」に記載しております。
② 売上総利益
前年同期と比べ、684百万円増加の15,231百万円となりました。AF症例数の増加による自社製品の増収、「RF Needle」の商流変更による仕入商品の減収等により、自社製品比率は前年同期比で5.2pt高い59.1%となりました。さらに、棚卸資産の廃棄損・評価損が前年同期と比べ141百万円減少しました。これらを受け、売上総利益率は前年同期に比べ3.5pt高い60.6%となりました。
③ 営業利益
前年同期と比べ、353百万円増加の5,472百万円となりました。販売費及び一般管理費は、一時的な雑収入の発生や研究開発費の減少等があったものの、賞与引当金繰入額の増加や営業活動量の増加に伴う販売関連費用の増加等があったため、前年同期に比べ増加しました。この結果、営業利益率は前年同期に比べ1.7pt高い21.8%となりました。
④ 経常利益
前年同期と比べ、508百万円増加の5,621百万円となりました。営業外収益として受取利息等で254百万円、営業外費用として一般貸付債権に関する貸倒引当金繰入等で105百万円を計上しました。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
前年同期と比べ、331百万円増加の4,033百万円となりました。税額控除等の影響により、法人税等の負担率は28.3%となりました。
(品目別売上高)
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年9月30日)
増減
増減率
リズムディバイス
6,293
6,671
377
6.0%
EP/アブレーション
13,012
12,144
△867
△6.7%
心血管関連
5,109
5,646
536
10.5%
消化器
1,073
668
△404
△37.7%
合計
25,489
25,132
△356
△1.4%
※各品目区分に分類される主たる商品は次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より、従来の「外科関連」を「心血管関連」に、従来の「消化器/PI」を「消化器」に名称変更しており、心房中隔欠損閉鎖器具は、旧区分の「消化器/PI」から新区分の「心血管関連」へ区分を変更しております。前第2四半期連結累計期間との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。
リズムディバイス
心臓ペースメーカ、T-ICD(経静脈植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)
EP/アブレーション
EP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、食道温モニタリングカテーテル、スティーラブルシース
心血管関連
人工血管、オープンステントグラフト、ステントグラフト、塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、心房中隔欠損閉鎖器具
消化器
胆管チューブステント、胆管拡張バルーン、胆道鏡システム、大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針
① リズムディバイス
ペースメーカ関連は、前年同期に比べ0.2%の増収となりました。第1四半期は販売が好調に推移したものの、第2四半期は他社の新製品の影響を受け、低調に推移しました。この結果、第2四半期連結累計期間の市場シェアはほぼ横ばいとなりました。
ICD関連は、前年同期に比べ9.4%の増収となり半期ベースで過去最高を更新しました。S-ICDについては、市場でオンリーワンであるため、戦略的商品として全国的な拡販施策への注力を継続しました。その結果、新規採用施設の増加やリピート率の向上により、販売は市場の成長を大幅に上回るペースで推移しました。一方、T-ICDについては、販売は前年同期並みで推移しました。
以上により、リズムディバイスの売上高は、6,671百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
② EP/アブレーション
EPカテーテルは、前年同期に比べ10.3%の増収となり半期ベースで過去最高を更新しました。AF症例数が前年同期比9%程度の増加となったことを背景に、心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」、EPカテーテル「EP Star(イーピースター)」、食道温モニタリングカテーテル「Esophastar(エソファスター)」等の自社製品は、前年同期比9~15%程度の増収となりました。特に、「Esophastar」については、他社製品の供給不足といった背景もあり、症例数の伸び率以上の増加となりました。
アブレーションカテーテルは、前年同期に比べ16.1%の減収となりました。内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight X3(ハートライト・エックススリー)」は、仕入先メーカーにて原材料不足の問題が発生し、商品が供給不足となったことの影響がありました。仕入の状況は第2四半期では若干の改善がみられたものの、販売は引き続き低調に推移しました。
その他については、「RF Needle」の商流が変更されたことにより、前年同期に比べ65.7%の大幅な減収となりました。
以上により、EP/アブレーションの売上高は、12,144百万円(前年同期比6.7%減)となりました。
③ 心血管関連
人工血管関連は、前年同期に比べ5.0%の増収となりました。自社製品の人工血管「J Graft(ジェイグラフト)」及び仕入商品の腹部用ステントグラフトは、横ばいの市場の中で着実にシェアを伸ばしました。また、自社製品のオープンステントグラフト「Frozenix(フローゼニクス)」の販売も、前年同期を上回り堅調に推移しました。「Frozenix」は心血管領域の成長ドライバーであり、2023年8月には新たなラインナップである「Frozenix Partial ET(フローゼニクス・パーシャルイーティー)」を発売しました。同製品は従来品を使用していない新規顧客の開拓が期待できるため、今後重点的に拡販に取り組んでいきます。
脳血管関連は、前年同期に比べ約6.1倍の大幅な増収となりました。脳血管領域の拡大は、中期的な重点施策の1つとして掲げており、今後の数年間で10品目程度の商品展開を予定しております。
塞栓用コイル「Avenir(アベニア)」の販売は、引き続き好調に推移しました。第2四半期に追加モデルとして「Avenir Pico(アベニア・ピコ)」を発売したことで、市場への浸透がさらに進みました。さらに、第1四半期に発売した血栓吸引カテーテル「Esperance(エスペランス)」は、良好な臨床評価のもと、販売は計画を大幅に上回り進捗しました。
その他については、前年同期に比べ1.3%の減収となりました。小児の心房中隔欠損症のカテーテル治療の症例数が低位で推移したこと等を受け、心房中隔欠損閉鎖器具は減収となりました。
以上により、心血管関連の売上高は、5,646百万円(前年同期比10.5%増)となりました。
④ 消化器
消化器関連は、前年同期に比べ53.5%の増収となりました。同領域では、自社製品の拡大を中期的な重点施策としております。胆管チューブステント「REGULUS(レグルス)」は、デリバリー性能の高さが医療現場の高評価につながり、当第2四半期連結会計期間末時点で、約10%の市場シェアを獲得しております。また、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針「arfa(アルファ)」もジェネレータの販促を行ったことで、販売は堅調に推移しました。
その他については、薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro(オシロ)」を含むコロナリー・インターベンション(CI)関連の販売が縮小したことで、前年同期に比べ71.3%の減収となりました。当社は同事業領域からの撤退を決定しており、当連結会計年度中にCI関連製品の販売を終了する予定です。
以上により、消化器の売上高は、668百万円(前年同期比37.7%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(四半期連結貸借対照表に関する分析)
① 資産
当第2四半期連結会計期間末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ6,188百万円減少し、40,941百万円となりました。これは主として、法人税等の支払い、配当金の支払いならびに自己株式の取得等により現金及び預金が6,772百万円減少したことによるものであります。
また、固定資産は前連結会計年度末に比べ1,098百万円増加し、28,608百万円となりました。これは主として、投資その他の資産のうち「その他」に含まれている繰延税金資産が378百万円減少した一方で、投資有価証券が1,511百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から5,090百万円減少し、69,550百万円となりました。
② 負債
当第2四半期連結会計期間末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ2,102百万円減少し、12,279百万円となりました。これは主として、短期借入金が1,500百万円、未払法人税等が195百万円減少したことによるものであります。
また、固定負債は前連結会計年度末に比べ2,294百万円減少し、1,769百万円となりました。これは主として、退職給付に係る負債が1,981百万円、長期借入金が234百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から4,397百万円減少し、14,048百万円となりました。
③ 純資産
当第2四半期連結会計期間末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ693百万円減少し、55,502百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する四半期純利益を4,033百万円計上した一方で、剰余金の配当を2,965百万円実施したこと、ならびに自己株式が1,944百万円増加したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ6,772百万円減少し、11,584百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、1,873百万円(前年同期は6,000百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前四半期純利益が5,626百万円あった一方で、キャッシュ・フローの減少要因として退職給付に係る負債の減少が1,966百万円、法人税等の支払額が1,591百万円となったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、1,770百万円(前年同期は1,951百万円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(前期に実施した売却代金の一部を当期に回収)として459百万円あった一方で、投資有価証券の取得による支出が1,417百万円、有形固定資産の取得による支出が441百万円、無形固定資産の取得による支出が368百万円となったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、6,884百万円(前年同期は6,030百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額が2,966百万円、自己株式の取得による支出が2,005百万円、短期借入金の返済による支出が1,500百万円となったことによるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、1,078百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数に著しい変動はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第2四半期連結累計期間における生産実績を商品区分別に示すと次のとおりであり、著しい変動はありません。
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年9月30日)
増減率
リズムディバイス
8
5
△33.9%
EP/アブレーション
2,591
2,899
11.9%
心血管関連
514
645
25.5%
消化器
350
262
△25.0%
合計
3,464
3,813
10.1%
(注) 1.金額は製造原価によっております。
2.第1四半期連結会計期間より、従来の「外科関連」を「心血管関連」に、従来の「消化器/PI」を「消化器」に名称変更しており、心房中隔欠損閉鎖器具は、旧区分の「消化器/PI」から新区分の「心血管関連」へ区分を変更しております。前第2四半期連結累計期間との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。
② 受注実績
当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
販売実績につきましては、「2経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の分析」をご覧ください。
(10)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動又は前連結会計年度末において計画中であったものの著しい変更はありません。