【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前第2四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第2四半期累計期間における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰等により、インフレ傾向が各国で強まってきました。これに対応するため、米国連邦準備制度理事会等が次々に政策金利の引き上げを行い、このことによって景気後退の観測が強まりました。株式市場は利上げに対して反応しましたが、米国においては雇用情勢が比較的堅調に推移したこともあり、大きく下落することはありませんでした。
当社ビジネスの主戦場である、LGDの市場は、継続して市場規模が拡大しております。引き続き世界各地で新しいLGD製造企業が立ち上がり、既存のメーカーは生産能力の拡大を進めています。また、大型のLGDを求める傾向も継続していますが、一方で、競争の激化によって製品価格の下落も進んでいます。その中で、種結晶は少数の供給者しかいないため、大きな値下がりを起こしておりません。
このような状況の中、当社は当第2四半期累計期間において、引き続き生産効率が向上し、種結晶の成長装置1台当たり生産個数は増加しました。これによって、当第2四半期累計期間の販売数量も増加しました。また、大型化も進展しており、特に11x11mmの種結晶の販売数量は大幅に増加しました。さらに、為替相場の円安傾向の影響により、円換算の売上高が増加しました。
また、当社の種結晶ユーザーからは、引き続き非常に強い引き合いが来ており、当社の生産能力で売上高が決まる状況が継続しております。2023年3月期第3四半期に稼働する計画であった新工場(島工場)は、既に建物の建設は完了し、設備の設置ならびに調整を開始しております。2022年11月中旬には一部の設備を使って生産を開始し、2023年3月期第3四半期中に全面稼働する見込みです。計画通り生産能力の拡大が進む見込みで、上述の生産効率向上技術も適用できると考えられます。
以上の結果、当第2四半期累計期間の売上高は1,269,016千円、営業利益は597,231千円、経常利益は649,679千円、四半期純利益は460,156千円となりました。また、当第2四半期累計期間の製品種類別の売上高は、種結晶1,228,973千円、基板及びウエハは10,671千円、光学系及びヒートシンクは18,887千円、工具素材は10,483千円となりました。
なお、当社はダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当第2四半期会計期間末における総資産は5,525,842千円となり、前事業年度末に比べ2,708,287千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資等により現金及び預金が1,883,708千円、有形固定資産が569,560千円、売掛金が102,579千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債は1,064,146千円となり、前事業年度末に比べ291,851千円増加いたしました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定を含む)が44,892千円減少したものの、その他流動負債に含まれる未払金が215,945千円、未払法人税等が131,580千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産は4,461,696千円となり、前事業年度末に比べ2,416,436千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資や新株予約権の行使等により資本金及び資本準備金がそれぞれ978,140千円増加したこと、四半期純利益計上により利益剰余金が460,156千円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して
1,883,708千円増加し、2,950,703千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は472,852千円となりました。これは主に税引前四半期純利益が649,652千円、減価償却費が125,756千円あった一方、売上債権の増加額が102,579千円、棚卸資産の増加額が89,281千円、法人税等の支払額が77,032千円、未収消費税等の増加額が47,443千円、役員賞与引当金の減少額が18,000千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は509,591千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が508,798千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,887,957千円となりました。これは主に株式の発行による収入が1,937,265千
円あったこと等によるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社の研究開発活動は、(ⅰ)生産技術に関する研究開発、(ⅱ)新製品に関する研究開発、(ⅲ)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。
開発テーマは審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、半期単位で開発報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。
当第2四半期累計期間における研究開発費の総額は、47,380千円であります。
また、当第2四半期累計期間における研究開発活動の状況の変更内容は、次のとおりであります。
研究開発活動の結果、当第2四半期累計期間において、①大型、高品質結晶の開発、②低抵抗Bドープ基板の量産化手法開発、③島工場で使用する新型成長装置の成長条件の開発について成果がありました。
研究開発活動の結果の具体的な内容は、以下に示すとおりです。
なお、当社は、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(ⅰ) 生産技術に関する研究開発
当社の生産技術は、親結晶からの分離技術によって、親結晶と同じサイズの子結晶を作るところが出発点になっており、このプロセスでは、親結晶の大きさとその性状は、子結晶を通じて全ての製品の大きさと品質を決定づけることとなります。このため、元となる結晶を、大型化し、高品質化することが、全ての製品にとって重要な技術課題となっております。既に16x16mmの大型単結晶の試作に成功し、当第2四半期累計期間において、引き続き20x20mmの結晶に向けた成長装置の基礎的な検討を進めました。さらに、品質の向上を目指して、成長条件の検討を行いました。
(ⅱ) 新製品に関する研究開発
当社が想定している新製品は、応用分野によって分かれており、以下のとおりであります。
①ダイヤモンド半導体デバイス開発等に必要な素材の開発
a.ウエハの開発
上記の大型の結晶を開発することが、本研究課題に関連しており、引き続き検討を進めました。
b.低抵抗基板の開発
ダイヤモンドデバイス開発に必要な材料として、縦型デバイスを製作するための基板があります。縦型デバイスは、デバイスの底面から上面(または逆方向)へ電流を流すため、抵抗値の低い基板が必要です。
当社は既にこのような低抵抗のダイヤモンドが成長する条件を確立しており、0.2mm程度の厚さの基板の試作を行い、目標とした特性を得られることを確認しました。この製品化について審査を行い、2023年3月期第3四半期からテスト的に一部のユーザーへ販売することを決定しました。当該状況を見て、2024年3月期にも製品化を行う方針です。
②光学部品として必要な高品質結晶の開発
研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(ⅲ) 製造装置及び方法に関する研究開発
2023年3月期第1四半期において新型成長装置の面積拡大が確認できましたので、成長速度やできあがった子結晶の品質を確認しました。その結果、既存成長装置での製造とほぼ同じ成長速度で製造でき、かつ、品質も同等であることが確認できました。このことによって、島工場稼働時には、新型成長装置の使用を進めることを決定しました。
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