【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況当第1四半期における医療用医薬品市場は、2023年4月に中間年の薬価改定が実施されるなど引き続き医療費抑制策の影響を受けました。また、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行となり、社会経済活動の正常化が進む一方で、外出機会の拡大にともなう感染状況や医療提供体制への影響が懸念されるなど、当該市場は引き続き先行き不透明な状況が継続しております。このような状況のもと、当社グループは2023年からの3カ年を期間とする「中期経営計画2023-2025 次代を創る」を新たに策定いたしました。医療・健康・介護分野に携わる企業集団として、この先に広がる次代においても、医療機関・患者さまをはじめとするステークホルダーへの付加価値の提供や社会への貢献を行うことが当社グループの使命と考えております。当中期経営計画はその使命を着実に遂行していくための基盤創りの期間と位置付け、(1)事業変革、(2)成長投資・収益性向上、(3)サステナビリティ経営、(4)資本効率の改善と株主還元の向上、の4つを基本方針として掲げ、積極的なアライアンスやDXの導入などにより具体的施策を実行してまいります。なかでも事業変革においては、具体的施策の一つとして掲げている「卸売事業の変革」を推進するため、卸売事業の中核をなす連結子会社の東邦薬品株式会社において、営業部門を中心とした大幅な組織変更を行いました。二次医療圏とも言われる構想区域を活動の軸とし、地域に根付いた取り組みを推進するための組織やチーム制に再編するとともに、医薬と検査薬の融合や、事業所の統廃合なども積極的に進めております。また、今年4月に国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と連携研究ラボを設立し、医療アクセスの課題解決や新しい技術・システム・サービスの社会実装に向けて、当社グループより8名の出向研究員と16名の社内研究員が共同研究に参画しております。当第1四半期の連結業績は、売上高351,179百万円(前年同期比8.3%増)、営業利益1,853百万円(前年同期比18.2%減)、経常利益2,521百万円(前年同期比19.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,529百万円(前年同期比25.8%減)となりました。なお、当第1四半期連結会計期間より、従来営業外収益として計上していた情報提供料収入等を売上高に含めることといたしました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の情報提供料収入等についても売上高に組替えを行っております。
セグメントの業績の概略は以下のとおりです。医薬品卸売事業においては、スペシャリティ医薬品をはじめとする、取扱卸を限定する製品の売上が順調に拡大し、売上に大きく寄与いたしました。医療機関との価格交渉においては、流通改善を推進すべく引き続き個々の製品価値と流通コストに見合った単品単価交渉に努めました。顧客支援システムについてはENIFvoiceSPやFutureENIFなどの導入軒数が増加し、利益の底上げに貢献いたしました。これらの取り組みの結果、当第1四半期の医薬品卸売事業の売上高は339,117百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益(営業利益)は2,223百万円(前年同期比3.3%増)となりました。調剤薬局事業においては、デジタル化への対応と在宅医療への貢献に向けた変革を推進するため、オンライン服薬指導の強化や電子処方箋の導入を進めるとともに、在宅専門診療所との連携強化に取り組みました。また、患者さまの受診抑制の回復に伴い処方箋応需枚数が増加した一方で、2022年4月の調剤報酬改定において算定要件が大きく見直された地域支援体制加算の経過措置が終了したことなどにより、売上高は22,827百万円(前年同期比2.7%増)、セグメント利益(営業利益)は112百万円(前年同期比16.1%減)となりました。医薬品製造販売事業においては、自社で構築した独自の検証システムに基づく徹底した品質管理と、計画的な生産体制の構築により、高品質・高付加価値な医薬品の安定供給に取り組みました。また今年6月の薬価追補収載においてジェネリック医薬品1成分3品目を新たに発売し、2023年6月末時点でのジェネリック医薬品の販売製品は87成分200品目となりました。その結果、売上高は2,658百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益は293百万円(前年同期比1.8%増)となりました。その他周辺事業においては、売上高は1,473百万円(前年同期比2.4%減)、セグメント利益(営業利益)は35百万円(前年同期比62.3%減)となりました。(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(2)財政状態の状況(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて2.7%増加し、548,154百万円となりました。これは、現金及び預金が6,549百万円、受取手形及び売掛金が11,401百万円それぞれ増加し、商品及び製品が3,790百万円減少したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて2.5%増加し、186,306百万円となりました。これは、投資有価証券が5,239百万円増加し、有形固定資産が1,081百万円減少したこと等によります。この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて2.7%増加し、734,461百万円となりました。(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて0.5%減少し、437,838百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が18,335百万円増加し、1年内償還予定の社債が20,003百万円減少したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて72.5%増加し、55,519百万円となりました。これは、社債が22,109百万円増加したこと等によります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて4.4%増加し、493,358百万円となりました。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.7%減少し、241,103百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が3,708百万円増加した一方、自己株式が6,000百万円増加したこと等によります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は300百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備前連結会計年度末において計画中であった九州東邦㈱の豊前営業所移転のための新設につきましては、2023年6月に完了しております。