【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和等に伴う人流の再開によりサービス消費・インバウンド需要の回復が景気を押し上げ、総じて緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、長期化するウクライナ情勢や原材料およびエネルギー価格の高騰、急激な円安によるインフレ圧力の強まりなどの激しい外部環境の変動により、先行きについては引き続き予断を許さない状況で推移いたしました。このような経済環境のなか、当社グループの事業基盤であります水産、水産加工・流通、食品の各分野におきましても、外食を中心に個人消費や設備投資の拡大が見られたものの、対ロシア制裁の影響によるサプライチェーンの混乱や為替を含めた原材料価格の急激な変動など、不安定かつ厳しい環境下にありました。こうした情勢のもとで、当社グループは、3ヵ年経営計画「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」 の初年度として、経営方針「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」をベースに、当社グループならではの一貫した体制で営業展開を推し進めてまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,268億29百万円と前連結会計年度比113億60百万円の増加となりました。営業損益は28億74百万円の利益となり前連結会計年度比3億26百万円の減少となりました。経常損益は32億20百万円の利益となり前連結会計年度比3億90百万円の減少となりました。特別損益におきましては、特別利益として5億39百万円を計上し、特別損失として5億92百万円を計上いたしました結果、親会社株主に帰属する当期純損益は24億37百万円の利益となり前連結会計年度比3億17百万円の減少となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。<食品事業>すり身部門では、南米すり身の生産は堅調に推移し、練り製品メーカーへの販売が伸長したことで売上は増加いたしましたが、下期から原料相場の断続的な下落の影響により、営業利益は減少いたしました。鮮凍水産物部門では、カニは全国旅行支援の実施などにより外食でも回復の兆しが見られたものの、米国でのロシア産水産物の禁輸措置などによる世界的な相場の下落を受け、売上、営業利益ともに減少いたしました。北方凍魚および助子は、物流コストの上昇で苦戦を強いられましたが、ホッケ・赤魚などの原料販売が好調に推移したことや人流の再開により明太子などの土産物向けの販売が回復してきたことで売上、営業利益ともに増加いたしました。加工食品部門では、養殖銀ザケや寿司種の販売が順調に推移したことで、売上、営業利益ともに増加いたしました。これらの結果、売上高は829億7百万円となり前連結会計年度比103億23百万円の増加となりました。セグメント損益は21億70百万円の利益となり前連結会計年度比88百万円の減少となりました。<海洋事業>漁網・漁具資材部門では、依然として国内において漁獲不振の影響は続いているものの、北海道の一部では秋サケの豊漁により定置網の需要が回復基調となったほか、官公庁向け漁具資材の販売が堅調に推移いたしました。また、円安の状況下において中国向けまき網用漁具資材の販売が伸長し、売上、営業利益ともに増加いたしました。船舶・機械部門では、船用品の販売が堅調に推移したことで売上は増加いたしましたが、船体一括案件や船舶用機器類の大型案件獲得には至らず、営業利益は減少いたしました。養殖部門では、サケ科魚類を中心に魚価が堅調なことから種苗や養殖用資材、養殖用餌料の販売が順調に推移いたしました結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。
これらの結果、売上高は209億78百万円となり前連結会計年度比25億63百万円の増加となりました。セグメント損益は6億17百万円の利益となり前連結会計年度比2億46百万円の増加となりました。<機械事業>機械事業におきまして、国内では冷凍食品業界での新工場向け案件を獲得するなど、継続している設備投資意欲のニーズに応えるべく、きめ細かな営業活動を努めてまいりました。海外では入出国制限が緩和されたことにより、豆腐業界・総菜加工業界向けを中心に据付、検収は順調に進みましたが、エネルギー価格の高騰などによる影響や前連結会計年度の大型案件による反動減が大きく影響し、それぞれ売上、営業利益ともに減少いたしました。これらの結果、売上高は112億44百万円となり前連結会計年度比15億41百万円の減少となりました。セグメント損益は9億45百万円の利益となり前連結会計年度比2億94百万円の減少となりました。<資材事業>資材事業におきまして、化成品部門では、合成樹脂・包装資材ともに販売は堅調に推移し、売上は増加したものの、価格高騰に対して早期の手当てに努めましたが、営業利益は減少いたしました。農畜資材においては、肥料・資材価格の高騰がありましたが、ビニールハウスなどの販売が堅調に推移したことで、売上、営業利益ともに増加いたしました。これらの結果、売上高は87億90百万円となり前連結会計年度比40百万円の増加となりました。セグメント損益は4億37百万円の利益となり前連結会計年度比18百万円の減少となりました。<バイオティックス事業>バイオティックス事業では、医療関係者向けや通信販売は堅調に推移しましたが、大手健康食品メーカー向け「アグリマックス」や「イムバランス」の素材および薬局向けOEM商品の販売が低迷いたしました結果、売上高は3億12百万円となり前連結会計年度比58百万円の減少となりました。セグメント損益は13百万円の利益となり前連結会計年度比44百万円の減少となりました。<物流事業>物流事業では、抜本的な業務効率の改善に取り組んでまいりましたが、引き続き菓子類の出荷低迷や燃料高騰などの車両に係る経費負担増により、売上高は24億89百万円となり前連結会計年度比33百万円の増加となりました。セグメント損益は46百万円の損失となり前連結会計年度比58百万円の減少となりました。<その他>その他の事業といたしまして、不動産の賃貸、人材派遣業などを行っており、売上高は1億7百万円となり前連結会計年度比1百万円の減少となりました。セグメント損益は86百万円の利益となり前連結会計年度比10百万円の増加となりました。
(財政状態)
資 産当連結会計年度における資産の部は786億47百万円となり、前連結会計年度比37億83百万円の増加となりました。これは、主として、現金及び預金の増加14億60百万円、売掛金の減少11億22百万円、商品及び製品の増加23億81百万円などによるものであります。
負 債負債の部は545億52百万円となり、前連結会計年度比2億45百万円の減少となりました。これは、主として短期借入金の減少14億39百万円、一年内償還社債及び社債の増加10億38百万円、一年内返済長期借入金及び長期借入金の増加17億64百万円などによるものであります。
純資産純資産の部は240億95百万円となり、前連結会計年度比40億29百万円の増加となりました。これは、資本金の増加11億77百万円、利益剰余金の増加19億45百万円などによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、69億39百万円(前連結会計年度比24.6%の増)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益31億68百万円、売上債権の減少19億24百万円、棚卸資産の増加22億96百万円、仕入債務の減少10億56百万円などにより9億12百万円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出16億86百万円などにより、12億68百万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額16億39百万円、長期借入による収入28億30百万円、長期借入金の返済による支出10億65百万円、社債の発行による収入34億9百万円、社債の償還による支出24億62百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入11億59百万円などの増加より、16億18百万円のプラスとなりました。
③生産、受注及び販売の実績a.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
前連結会計年度(自 令和3年4月1日
至 令和4年3月31日)
当連結会計年度(自 令和4年4月1日
至 令和5年3月31日)
金額(百万円)
金額(百万円)
前年同期比(%)
食品事業
72,583
82,907
14.2
海洋事業
18,414
20,978
13.9
機械事業
12,785
11,244
△12.0
資材事業
8,749
8,790
0.4
バイオティックス事業
371
312
△15.8
物流事業
2,456
2,489
1.3
その他
108
107
△0.9
合計
115,469
126,829
9.8
(注)1 セグメント間取引については、相殺処理しております。
b.仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
前連結会計年度(自 令和3年4月1日
至 令和4年3月31日)
当連結会計年度(自 令和4年4月1日
至 令和5年3月31日)
金額(百万円)
金額(百万円)
前年同期比(%)
食品事業
68,495
75,227
9.8
海洋事業
13,679
14,933
9.1
機械事業
8,205
6,520
△20.5
資材事業
8,252
8,601
4.2
バイオティックス事業
96
75
△21.2
その他
34
33
△2.8
合計
98,764
105,391
6.7
(注)1 セグメント間取引については、相殺処理しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症による会計上の見積りへの影響については、入手可能な情報に基づき見積りを行っております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、3ヵ年経営計画第137期中期経営計画(Toward the next stage)」の初年度として、人材と組織の連携強化を図るとともに、「浜から食卓まで」をカバーした当社グループならではの強みを生かしたきめ細かな営業活動に努めてまいりました。
経営成績等の分析
a.財政状態の分析財政状態の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。b.経営成績の分析当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、1,268億29百万円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。損益につきましては、営業損益は28億74百万円の利益(前連結会計年度比10.2%減)、経常損益は32億20百万円の利益(前連結会計年度比10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損益は24億37百万円の利益(前連結会計年度比11.5%減)となりました。
(売上高及び営業利益)「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業外損益)営業外損益は、当連結会計年度は3億46百万円の利益(前連結会計年度は4億10百万円の利益)となりました。これは主に、営業外収益として受取配当金1億76百万円及び持分法による投資利益4億74百万円の計上があるものの、営業外費用として支払利息3億90百万円などの計上があったことによるものであります。
(特別損益)特別損益は、当連結会計年度は52百万円の損失(前連結会計年度は1億67百万円の利益)となりました。これは主に、特別利益として投資有価証券売却益98百万円及び補助金収入3億2百万円、新株予約権戻入益1億30百万円の計上があるものの、特別損失として固定資産圧縮損3億2百万円及び役員株式給付引当金繰入額2億58百万円などの計上があたことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)親会社株主に帰属する当期純損益は、当連結会計年度は24億37百万円の利益(前連結会計年度は27億54百万円の利益)となりました。c.キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、事業上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。必要な資金については、銀行借入またはコミットメントラインの利用によって流動性を保持しております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は食品事業における棚卸資産が増加したことを主な要因として360億24百万円となり、前連結会計年度末比13億62百万円増加しましたが、当連結会計年度末のコミットメントライン未実行額120億円を確保している他にも各金融機関と個別に当座貸越契約を締結しており、資金の流動性は十分に保持されております。また、食品事業の北海道製造子会社における大規模投資等、投融資の長期的な資金については設備投資・事業投資計画に基づき、市場金利動向や既存長期借入金等の返済時期を総合的に勘案し、社債および長期借入金を個別に調達することによって流動性を保持しております。一方で事業活動に十分な流動性の確保を目的として当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は69億39百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、3ヵ年経営計画「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」の初年度として、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」当社グループならではの強みを生かした営業活動に努めるとともに、事業横断による人材と組織の連携強化を図ってまいりました。各事業部門においても目標達成のための施策遂行に注力し、食品事業では対ロシア制裁によるサプライチェーンの混乱や為替を含めた原材料価格の急激な変動などのリスクを注視しつつ、鮮凍水産物部門(カニ、助子、北方凍魚)を中心に採算重視の販売に努めてまいりました。海洋事業では既存事業領域の見直しと合わせ、新規事業にあたり部門を横断した営業活動を推進し、機械事業および資材事業では更なる営業基盤の強化や顧客の開拓に努めてまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,268億29百万円、営業利益28億74百万円、経常利益32億20百万円、ROE11.1%となり、利益面において前年度を下回る結果となりましたが当初予想を上回ることができました。