【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から緩やかに持ち直しているものの、原油価格高騰などエネルギー価格の高止まり、それに伴う原材料価格の高騰、及び日米金利差拡大による円安ドル高の進行など、一進一退を繰り返す状況となっております。当社グループの主要取引先であります紙パルプ業界の動向は、国内につきましては板紙及び衛生用紙等の需要は横ばいで推移しておりますが、新聞用紙及び印刷情報用紙の需要は、新型コロナウイルス禍以前の水準までは回復に至らず減少傾向が続いております。海外につきましては、アジア地域において通販市場の拡大に伴う板紙及び衛生用紙の需要があるものの、新聞用紙及び印刷情報用紙は国内と同様に需要の減少傾向が続くと見込まれるなど、不安定な状況が継続しております。これを受け、当社は世界的な紙の需要減を見込み、抄紙用フエルトのコスト競争力を強化するべく生産体制の最適化を進めると同時に、原材料価格等の高騰によるコスト上昇に対応するため、製品価格への転嫁を推進してまいりました。加えて、品質面では衛生用紙向けベルトが世界的に評価され、拡販につなげるべく積極的な受注活動を行ってまいりました。このような状況の中、製品価格改定の浸透、需要が旺盛な板紙向けフエルトの販売数量の増加に加え、為替が円安に推移した影響により、当社グループの連結売上高は9,997百万円(前年同期比13.2%増)となりました。損益の状況につきましては、売上高増加の一方で、原材料価格やエネルギー価格高騰による売上原価の増加、海上輸送の混乱や原油価格高騰による運送コストの増加により、連結営業利益は579百万円(前年同期比69.9%増)、為替差益を計上したことにより連結経常利益は871百万円(前年同期比52.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は675百万円(前年同期比63.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。<抄紙用具関連事業>(日本)内需につきましては、厳しい市場環境が続く中、懸命な受注活動を推進したことにより、抄紙用フエルトの販売数量が増加いたしました。また、輸出につきましては、中国国内の一部顧客との商流を当社直販に変更したため抄紙用フエルトの販売数量が増加いたしました。これに加え為替影響により、売上高は6,327百万円(前年同期比9.4%増)、セグメント利益は1,475百万円(前年同期比23.1%増)となりました。(北米)新型コロナウイルス感染症の影響による一部顧客の生産調整の一巡及び板紙向けの需要増により抄紙用フエルトの販売数量が増加いたしました。これに加え為替影響により売上高は1,404百万円(前年同期比56.0%増)、セグメント利益は121百万円(前年同期比615.2%増)となりました。(欧州)新型コロナウイルス感染症対策に伴う販売製品の選択と集中を行ったため抄紙用フエルトの販売数量が減少いたしました。抄紙用ベルトは衛生用紙向けに受注活動を推進したことで販売数量が増加いたしました。これに加え為替影響により、売上高は1,418百万円(前年同期比19.6%増)、セグメント利益は98百万円(前年同期比58.7%増)となりました。
(中国)中国国内の景気減速に加え、一部顧客との商流を当社直販に変更したため抄紙用フエルトの販売数量が減少いたしました。抄紙用ベルトは一部顧客の操業低下により販売数量が減少いたしました。この結果、売上高は148百万円(前年同期比63.1%減)、セグメント利益は39百万円(前年同期比21.0%減)となりました。(タイ)板紙向けの需要増により抄紙用フエルトの販売数量が増加いたしました。これに加え為替影響により、売上高は219百万円(前年同期比41.4%増)、セグメント利益は37百万円(前年同期比80.7%増)となりました。<工業用事業>需要拡大が期待されている高温成型用の耐熱緩衝材の販売数量が増加いたしました。この結果、売上高は478百万円(前年同期比20.2%増)、セグメント利益は86百万円(前年同期比29.9%増)となりました。
当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ860百万円増加し、26,593百万円となりました。これは主として現金及び預金が547百万円、原材料及び貯蔵品が212百万円、投資有価証券が276百万円増加した一方、有形固定資産が474百万円減少したことによるものです。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ182百万円増加し、7,147百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が308百万円、流動負債その他が260百万円増加した一方、未払法人税等が215百万円、賞与引当金が200百万円減少したことによるものです。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ678百万円増加し、19,446百万円となりました。これは主として利益剰余金が394百万円増加したことによるものです。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は251百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。