【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、社会経済活動が感染症流行前に戻りつつあり、消費の本格的な持ち直しが期待され始めております。しかし、欧米の金融引締めや中国のコロナ政策の混迷等に伴う海外経済の後退が懸念されるなか、円安・物価高への対処等から日銀の緩和政策の転換が視野に入るなど、景気動向は予断を許さず、特に中小企業においては厳しさが増すものと見込まれております。
米菓業界におきましては、斯業大手の火災事故に伴う増産が夏場以降一服、通常の営業体制を取り戻しつつあり、各社、これまで定番品増産のため控えていた新商品の投入を拡大、最需要期の秋冬に入り消費の活性化に繋げたいと力を入れております。一方で、原材料や燃料費等の製造コストは高止まったままであり、価格転嫁が追い付かない状況下、特に採算面において厳しい事業環境が続いております。
このような経営環境にあって、当社グループは、中期経営計画「新しい岩塚価値の創造」の初年度にあたり、「もっと美味しく・もっと楽しく・もっと笑顔に!」をスローガンに掲げ、引き続き「美味しさと品質」を追求していく方針にあります。大手企業の営業再開もあって一層競争が激化するなか、新しい岩塚価値商品をお届けするとともに、採算面も重視していく必要があり、ますます新工場「BEIKA Lab」での研究開発機能が真価を発揮するものと考えております。
開発部門におきましては、お客様に感動していただける新しい岩塚価値商品の開発を進め、他社との差別化を際立たせたいと考えております。創業精神に拘って仕立てた「米技心シリーズ」の発売、人気日本料理店・店主の監修を得た大人の味わい商品3品の定番化のほか、イタリア料理店高名シェフとのコラボ商品3種を1年半の時間をかけて開発し年度内に発売予定であるなど、ワンランク上の新しい岩塚価値の新商品を次々と生み出しております。
製造部門では、原材料や燃料、電力費など外的要因によるコストアップが顕著に現れており、更なる騰勢が窺われるなど早期の改善は難しい状況にあります。このため、主力品の集中生産、在庫の活用、物流体制の整備など生産効率向上に努めコスト削減のための自助努力を重ねておりますが、工場増設に係る固定費負担が残るなか、製造原価の高止まりを余儀なくされております。このため、生地生産、包装工程などの機械化による省人や、揚げ釜や空調を更新し電力使用量を削減するなど、できる限りの合理化を進め生産性向上に努めております。
営業部門では、夏場までは代替需要に対し商品供給を最優先するやや変則的な営業体制を強いられ、企画品等の年度計画を先送りせざるを得なかったものの、結果として主力商品(TOP6+2)においては相応の伸びが見られました。また、控えてきた新商品を秋冬の需要期に向け順次投入、75周年記念商品と位置づけた「米技心シリーズ」の発売、「賛否両論」の笠原店主監修商品の拡充のほか、イタリア料理店の落合シェフ監修のコラボ商品についてはお披露目会からの丁寧な販促活動を行うなど、ブランド価値を高める営業施策に鋭意取り組んでおります。なお、価格改定について10月以降ご理解を得て進めることができ、収益の改善に一定の寄与ができたものと考えております。
この結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、夏場の一服後も代替需要の影響が残り需要期にきて上向き傾向を示しておりますが、原材料や燃料費など製造コストが高止まりしており、前年同期間比増収となったものの営業損益は僅かに前年に届きませんでした。売上高は、期初の伸長、夏場の停滞、秋冬需要期の増加と総じて代替需要の影響を受けたほか生地生産設備の増強が奏功、150億87百万円(前年同期間比12.9%増)となりました。損益面では、最需要期である第3四半期において僅かながら良化したものの、製造原価に係るコストアップの吸収は容易でなく、大雪により物流が停滞した影響もあって、営業損失2億29百万円(前年同期間は2億3百万円の損失)となり、経常利益は44億20百万円(前年同期間比385.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は31億93百万円(同593.3%増)となりました。
なお、経常利益に関しては、当社が株式を保有するWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.からの株式配当金42億88百万円を営業外収益の受取配当金に計上しております。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は839億46百万円となり、前連結会計年度末と比較して123億31百万円の減少となりました。
流動資産は107億22百万円となり、前連結会計年度末と比較して25億12百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が19億88百万円、受取手形及び売掛金が3億49百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は732億23百万円となり、前連結会計年度末と比較して148億44百万円の減少となりました。これは主に、投資有価証券が時価評価等により147億73百万円減少したこと等によるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の負債は214億91百万円となり、前連結会計年度末と比較して50億96百万円の減少となりました。
流動負債は、39億88百万円となり、前連結会計年度末と比較して18百万円の減少となりました。これは主に、未払法人税等が3億50百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が1億円、賞与引当金が2億59百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は175億2百万円となり、前連結会計年度末と比較して50億78百万円の減少となりました。これは主に、投資有価証券の時価評価等に伴い繰延税金負債が44億37百万円減少したこと等によるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における純資産は624億54百万円となり、前連結会計年度末と比較して72億35百万円の減少となりました。これは主に、利益剰余金が30億13百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が102億51百万円減少したこと等によるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(3)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は2億17百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績等に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の経営成績等に重要な影響を与える要因の記載について重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の資本の財源及び資金の流動性の記載について重要な変更はありません。